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念願だった退職後の生活。 どう過ごしていくか暗中模索の日々で、 思いついた事をつらつら記していく
おせんタヌキはおミヨちゃんに寄り添っていた。慎太郎の戦死の報を受け、悲しみに暮れるおミヨちゃんを痛々しくて見ていられないから。慰めの言葉もなく、ただ寄り添うしかない。幾日もただ、さめざめと泣き続けるおミヨちゃんに、おせんタヌキはお地蔵さまにすがり、どうしたものかを問う。しかし生きとし生けるものにとって、この世は諸行無常。痛みに耐え時が過ぎるのを待つばかり、との答えしか出てこない。おせんタヌキはあれだけお世話になったおミヨちゃんに何とか力になりたい、元気になって欲しいと心から願う。でも亡くした者は帰らない。おミヨちゃんもそれくらい分かっている。しかし後から後から溢れ出る涙と悲しみは当人もどうする事も出来ないのだ。おせんタヌキはただ寄り添うだけしかできない自分の限界を痛感する。そんな時お山が動き、多くのタヌキ...お山の紅白タヌキ物語第8話バルチック艦隊妨害工作
戦地に秘密裏に配属された四国のタヌキたち。ある者は兵糧の米に化け、ある者は小豆に化け到着した。米に化けたタヌキたちは香川県の丈吉郎タヌキ中心とする一派であり、歩兵第12連隊(香川県)に所属、一般の人間の日本兵と区別するため、白の軍服を着用とした。また小豆に化けたタヌキたちは、愛媛県の五右衛門タヌキ一派が中心である。もちろんその中に権蔵タヌキも含まれ、歩兵第22連隊(愛媛県)に(もちろん秘密裏に)編入された。歩兵第12連隊、歩兵第22連隊共に四国出身者を中心に構成され、その二つの連隊は第11師団に属し、その師団は(日露戦争を期に)乃木希典大将率いる第三軍に編入されている。そこに四国中の成人タヌキ男子が多数志願し、戦地へと送られた。彼らも一般の人間たちの正規軍着用である黒の制服と区別するため、赤い軍服を身にま...お山の紅白タヌキ物語第七話赤い軍服と白い軍服
四国中から出征したお里に住む若者の戦死公報が次々に届き、タヌキたちの悲しみと狼狽と何とかしなくてはとの思いが頂点に達する。そして誰が音頭をとるでもなく、四国の真ん中に位置するお山に集結した。と云っても全てのタヌキたちという訳ではない。四国と言っても徒歩だと意外に広く、出発する位置によっては集会所になるお山までの距離に違いがあり、居住地により移動の数日に差が出る。更に歩く負担だけではなくその間の食事の事も考えなければならない。だから誰でも気軽に行けるという訳ではないのだ。それぞれのお山の集落から人望たぬきぼうが厚く元気な若者タヌキと、長老リーダーが代表として選ばれ、集会に臨む。一同に集まった集会所はタヌキの群れで溢れ、それはそれは壮観である。だが今はそんな事を感心している場合ではなく、早急に行動方針を決めな...お山の紅白タヌキ物語第6話タヌキたちの出征
お山の大飢饉を何とか乗り越えた数年後、権蔵タヌキや尚郎タヌキたちは妖術を極め、昇級試験を順調に上り続けた。二級だった権蔵タヌキは三段に、あの劣等生だった尚五郎タヌキと庄吉タヌキは初段になり、一人前の立派な大人のタヌキとして認知されるようになる。また、おせんタヌキもまだ少女タヌキながら、昇段試験を受けられる年齢になって、いきなりもう四段と天才ぶりを発揮した。そんな昇段試験を目覚ましい異例の速さで飛び級し、権蔵タヌキでさえ頭が上がらない出世を尻目に、男タヌキの面々は少々渋い顔であった。お里ではおミヨちゃんと慎太郎の祝言を目前にして、村中が活気だっている。この年、おミヨちゃんと慎太郎のご両人以外も二組の祝言が予定されており、祝言ラッシュのおめでたい雰囲気で沸き立っているから。こんな小さなお里の村で、どうしてそん...お山の紅白タヌキ物語第二章第五話祝言といくさ
その年は四国中のお山が大凶作だった。タヌキたちや他の生物にとって、生存の厳しさを痛感するほど食べる物がない大飢饉に見舞われていた。だが里の人間界はそこまで酷くなく、何とか食と生計が立つほどに持ちこたえている。そうした状態の中、おせんタヌキは相変わらずお地蔵さまの隣で上手に化けてお供物をせしめることができ、幼い孤児であるにも関わらず今日まで生き延びてきた。と云っても、食にありつけられるのはその時いただいたお供物だけ。一日僅かな量の食事しか摂れていない。だから可哀想だが身は細り、いつも空腹な状態にいた。それでもまだ、おせんタヌキの方がマシである。お山に居る他のタヌキたちはもっと悲惨で、その日の食を摂るために移動する体力さえ残っていない。劣等生の尚五郎タヌキや庄吉タヌキはもちろん、あの権蔵タヌキですら飢餓の状態...お山の紅白タヌキ物語第四話お山の飢饉
今宵はボク、初登場の尚五郎タヌキがお山のタヌキ界について紹介するね。月夜のお山はいつも賑やかなんだ。何故なら四国中の至る所のお山でポンポコ踊りが繰り広げられるから。と云っても誤解してはいけないよ。タヌキたちはただ楽しむためだけに踊っているのではないんだ。と云うのも、個々のタヌキを注視してもらうと分かるが、むやみに腹包はらづつみを叩いている訳じゃなく、ピョンピョン飛び跳ねたりしている訳でもない。それぞれが悩み、苦しみ、工夫をしながら自らのワザを磨いているんだ。ワザ?それって何?見た感じ、ただのタヌキ踊りにしか見えないけど、踊りではないの?じゃぁ、一体どんなワザに拘こだわっているの?それはね、そのポンポコ踊りがタヌキたちにとって厳しい修行だと云う事。踊りに見えるその行為は、実はタヌキ特有の妖術ようじゅつを仕掛...お山の紅白タヌキ物語第3話ポンポコ踊り
おせんタヌキがお地蔵さまの横で化けるようになって数か月。里の村人の間ではすっかり有名なスポットとなった。と云っても一日中24時間化けっぱなしという訳ではない。村人がお供えを持ってくる時間帯だけ、チャッカリ成り済ますのがおせんタヌキ。もちろんおせんタヌキだって一日中暇な訳ではなく、都合と云うものがあるのだ。おミヨちゃんやお米ばあちゃんや与助のオヤジも、相変わらずお供物を供え続けている。その決まった時間帯になると、好奇心に駆られた暇な村人がワザワザ物陰に隠れ、おせんタヌキが化ける様子や、元に戻りお供えの供物を持ち去る様子を見物する。時には大胆にも素知らぬ振りをして、おミヨちゃんが供えるタイミングでただの通行人を装い横切りながら様子を盗み見る者までいた。だって二体あるお地蔵さまのうち、おせんタヌキが化けたお地蔵...お山の紅白タヌキ物語第2話おせんタヌキ
今から100年以上前、四国のお山にタヌキの集落があった。そこに住むタヌキたちは里に住む人間と近過ぎず、遠過ぎない絶妙な距離感で共存していた。タヌキの中には権蔵のような果敢な若者もいる。権蔵タヌキは好奇心からいつも人里に出向いては葉の影に隠れ、人を定点観察するのが好きだった。そのお気に入りの場所とは、あぜ道と村通りの角にあるお地蔵さんが良く見える場所。お地蔵さんはいつも温和な顔をして権蔵タヌキを迎え入れてくれる。だから権蔵はそのお地蔵さんが大好きだった。そしてもうひとつ、お地蔵さんが好きな理由がある。それは時々そのお地蔵さんに供えられるお供物をお裾分けして貰えるから。そのキッカケとなったのはある日のこと。権蔵タヌキは、初めて降りた人里で優しいお顔のお地蔵様の足元に、美味しそうなお餅が供えられているのを見つけ...お山の紅白タヌキ物語
ママチャリ総理大臣~時給1800円~【改】 第31話 最終回 『その後の道』
「・・・・僕とは結婚したくないの?ゴメン、カエデならウンって言ってくれると思った。」「違うの。そうじゃないの。平助と結婚したいとか、したくないとかじゃなく、今私にはやりたい事が見つかったの。」「やりたい事?」「そう、やりたい事。平助の任期はあと少しで終わるジャン?私はこの間、平助やエリカさんや田之上さんたち、皆をみてきたわ。とても勉強になった。私の知らなかった事がいっぱいあって、それを皆でクリアしてきたのを目撃してきたの。私は(お目付け役としての)職務上、蚊帳の外だったけど直ぐ近くにいたわ。皆の奮闘する姿を見られて幸運だった。でもこの一年近くの任期では、やり残した事がいっぱいあったでしょ?私はそれを引き継ぎたくなったの。」「僕のやり残した事?」「そう、やり残した事よ。現役で働く人たちの減税や職場環境改善や...ママチャリ総理大臣~時給1800円~【改】第31話最終回『その後の道』
ママチャリ総理大臣~時給1800円~【改】第30話 カエデの誕生日
今日はカエデの誕生日。朝から軽快な出立いでたちのカエデは、リュックを背負い『蓬莱軒』の店舗前に現れた。そこは通い慣れた平助のアパート。もうそこには平助が待っている。「やあ、カエデ。おはよう。今日は澄み渡った青空でよかったな。」「おはよう、平助。こんな格好で来いと云うから来たけど、動きやすい格好と、よそ行きの服って何?」「お!スニーカーだね。よそ行きのヒールはリュックの中かい?」「そうよ、この中は服と靴だけ。着替えを用意して、何処に連れてってくれるの?」「それはね・・・。ジャン!!」とアパートの側面の壁を指さした。そこには自転車が立てかけてある。平助はその自転車を押してきて、カエデの前に停めた。「へぇ~二人乗り自転車ジャン!面白~い!これどうしたの?拾ってきたの?」「誰が拾ってくるんじゃい!それに何処に落ち...ママチャリ総理大臣~時給1800円~【改】第30話カエデの誕生日
ママチャリ総理大臣~時給1800円~【改】 第29話 『COP28』国際会議
日本は地球環境問題に取り組むべく、ほぼ2年に一回のペースで『GEA国際会議』を開催、更に温室効果ガス削減を議題とした『コップ28』の検証と課題克服に積極的な立ち位置を築いてきた。『気候変動に関する国際連合枠組条約』(1994)発効以降、『京都議定書』(1997)にて、まず先進国が温室効果ガス削減に署名。その後途上国を巻き込み、全世界的な取り組みに規模を拡大した国連気候変動枠組み条約締約国会議(通称COP)として毎年開催。COP24『パリ協定』(2015)にて実施ルールを採択、現在は『コップ28』に発展、具体的対策の推進と問題解決に向けた対応を話し合う機会となっている。COP25(2019)に於いて〇泉〇次郎環境大臣の行った消極的な演説に対し、国際環境NGOが「化石賞」を贈るなど、誠にふざけた対応を見せてき...ママチャリ総理大臣~時給1800円~【改】第29話『COP28』国際会議
ママチャリ総理大臣~時給1800円~【改】第28話 地方議会
ネット政変が起きる少し前、直接民主制を可能とするための憲法改正が行われた。それによりまず、国政単位で直接民主制の制度が確立、現在に至る。だが、地方議会はそうはいかない。間接民主制から直接民主制に移行するためには、住民の声を吸い上げ、公正に対処できる機関が必要になるから。その役割を地方議会と役所が受け持っていたが、国政同様、数々の問題を孕んでいた。間接民主制の議員は選挙で選ばれる。そこに問題があった。選挙に立候補するためには多額の選挙費用を要し、資金を持つ者、若しくは団体に所属していない者は、実質立候補できない。普通に暮らす庶民には憲法で保障されていながら、はなから立候補の権利すら存在しないのだ。では立候補できる者は、何故立つのか?そんなに多額の費用をかけてまで。それはうま味があるから。知意欲、名誉欲を満た...ママチャリ総理大臣~時給1800円~【改】第28話地方議会
ママチャリ総理大臣~時給1800円~【改】第27話 日本発 巨大アニメテーマパーク
ネット国民アンケートには救済を求める投稿の他、様々な意見が大量に集まってきた。それらはAIによって内容別・案件別等に分類され、ファイリングされる。そして要望の多い順にアンケート議題に上り検討、投票された。第四代平助内閣組閣当初から、ある案件が検討されていた。それは日本の宝であり、対外イメージを爆上げした功労者である『アニメコンテンツ』。そのテーマパークである。だがアニメコンテンツはインバウンド需要を満たす稼ぎ頭であるのに、今まで政治の世界では見向きもされてこなかった。誠に奇妙な事である。日本の誇るアニメ文化。この分野でも誰かに忖度してきたのか?もしかしてアメリカが誇るウオルト・ディズニーの作ったディズニーランドに?はたまたこちらもアメリカは誇るハリウッド映画のユニバーサルスタジオが作ったUSJに?どちらも...ママチャリ総理大臣~時給1800円~【改】第27話日本発巨大アニメテーマパーク
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『被差別部落被差別部落被差別部落』gooblog運営さんへ怒りを以て告発します!浅はかな『不都合なワード』削除の弾圧(奇妙な果実〜鉄道ヲタクの事件記録〜第12話「近衛文麿内閣』の文章中、近衛文麿のブレーンのひとり、『被差別部落出身学者』の人物背景紹介が引っかかったらしい)という事は、この記事も不都合なワード削除の対象ですよね?どうぞ、どうぞ!削除してください。私は敢えて故意にこの記事をUPしました。意図や趣旨を吟味しない軽薄な運営当局に正直(嫌気がさし)抗議し、今後の投稿は一切いたしません。(全く同様の内容を『小説家になろう』に投稿していますが、こちらは現時点で削除されていません。言葉の意図を吟味する(できる)サイトと、その能力や主張・思想を応援する理念・運営姿勢が欠落しているサイトの差を見せつけられたの...『放送禁止歌』です。被差別部落の悲劇を歌った歌です。
1945年8月広島と長崎に原子爆弾投下。次いでソ連が日本に宣戦布告。この事態を受け、ついに日本はポツダム宣言を受託。連合国に降伏した。その頃秀則東京鉄道局長の立場であり、日本の鉄道は膨張し続けていた。戦後の利用客の増加もさることながら、旧陸軍・海軍の施設や病院などを鉄道施設として編入、大陸や半島からの引揚者や復員兵を大量に受け入れ、戦前の職員数約20万人から60万人にまで膨れあがっていた。駅舎・関連施設の戦災による補修などの経費がかさみ、経営は赤字状態であった。つまり国策である鉄道局は戦後処理の一翼を担わされ、好むと好まざるとに関わらず、無駄に肥大化せざるを得なかったのである。戦後の困ったことは何でも生き受ける鉄道局、『何でも屋』としての性格を帯びていた。そのせいで赤字財政も肥大化。1948年秀則が運輸次...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~最終回事件
1945年長男秀彦はこの春中学校を卒業、高校に進学するはずであったが、東京は空襲で焼け野原。校舎はどこも授業を再開できる状態ではない。この時実家の様子もどうなっているか分からない。止む無く疎開先の長野で、現地の高校に入学した。だが地元民でもない疎開者が、現地の高校に腰掛で入学して良いのか?いや、自分は焼け野原と化した東京に戻り、一刻も早く復興に寄与すべき?そうした未来を見通せない不安や焦りの中、悶々としていた。本当は疎開なんかしたくはなかった。だがお嬢様育ちの母一人に弟たちを任せる訳にはいかない。父に代わって自分が疎開先の一家を守らなければならないとの使命感が、長男である自分を奮い立たせていた。僕は父からの連絡をひたすら待っていた。「もう大丈夫だから、東京の家に戻ってこい。」との手紙を。一年や二年、学校に...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~第16話GHQ
はじめに第12話『近衛文麿首相』が公開停止になっています。これはGooblog編集当局から『現在この記事は公開を停止させていただいております。この記事の投稿は以下の行為に該当しまたは該当する恐れがあり(詳しくは「gooブログサービス」利用規約第11条をご確認下さい)、又はこの記事に対してプロバイダ責任制限法等の関連法令の適用がなされています。【理由1】差別表現などの不適切な表現一部のお客様には、「ブログIDの連絡先メールアドレス」または「gooメールアドレス宛」にgoo事務局からお知らせをお送りしている場合がございますので、併せてご確認をお願いします。』とのメッセージ(通知)が届いたからです。ですが私はこの回を改めて読み返して見ても、どの箇所が『差別表現などの不適切な表現』なのか判断できません。全くの青天...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~第15話空襲
「日本人、死なないで欲しい」アフリカから全身全霊で訴える理由「世界はとても広い。アフリカに来い」(withnews)「日本人、死なないで欲しい」アフリカから全身全霊で訴える理由「世界はとても広い。アフリカに来い」(withnews)-Yahoo!ニュース昨年11月、X(旧Twitter)で、泥だらけのバケツの上に置かれたノートの画像が筆者の目にとまりました。ノートには、黒のマジックペンで、こう書かれていました。《日本人、...「日本人、死なないで欲しい」アフリカから全身全霊で訴える理由「世界はとても広い。アフリカに来い」(withnews)-Yahoo!ニュース奇妙な果実〜鉄道ヲタクの事件記録〜第15話の前にどうしても紹介したい記事を見つけたので共有し、紹介させていただきます。(第15話は明後日、今度の日...自殺を考えている全ての日本人へ〜カメルーンからのメッセージ〜
秀則が企画院専任になるのと同時期、第二次企画院事件と言われた『高等官グループ事件』が起きる。1938年の判任官グループ事件での『判任官』とは、秀則の『技師』の上位の官職等級であり、『高等官』は更に上位の官職である。調査官及び元調査官である高等官が治安維持法違反容疑で逮捕され、検挙者17名を出したのだ。『高等官』の任免には天皇の裁可を要し、その高等官を逮捕するという事は、天皇の裁可に異を唱えるのと同様の恐れ多い処断であったと云える。それ程財閥・商工省と内閣直属の企画院の権力争いは熾烈しれつを極め、食うか食われるかの権力闘争であった。企画院は軍部(主に陸軍)の(実務上の必要性から)全面的なバックアップを受け、この時点では何とか生き延びる事が出来た。但しこの事件以降、企画院の主導権は軍部が握る。その後、戦争激化...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~第14話太平洋戦争
1938年(昭和13)5月、戦時統制を目的とした『国家総動員法』が施行される。この法律により、日中戦争総力戦のため、政府が国家に於ける全ての人的・物的資源を統制運用する旨が規定された。これは日中戦争早期講和失敗により、泥沼化・長期化する事となった事態に対応する施策である。近衛首相は「この戦争、俺のせいか?」との思いも強く、自身の持つ社会主義思想を実践に活かす、いわばやけくそ的推進の部分も見られる。後に(戦後)この法律が治安維持法と並ぶ天下の悪法としての代名詞を冠される事となったが、これは戦争遂行を何としても維持しなければならない(おっ始めたからには絶対に負ける訳にはいかない使命と責任を負った)軍部と、企画院首脳の思惑が一致した施策であった。企画院首脳の思惑?実は企画院、東京帝大卒業後、京都帝大に進学して以...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~第13話企画院事件
1937年(昭和12)企画院が発足した年は日独防共協定に伊が加わり、大本営が戦時下以外にも設置される大本営令が発布され、日本が日中戦争に突入した年でもある。時の首相は近衛文麿。6月4日に第1次近衛内閣を組織、首相就任時の年齢は45歳7か月、初代首相・伊藤博文に次ぐ史上2番目の若さであった。彼は言わずと知れた千年前から続く藤原五摂家筆頭近衛家の出である。影山秀則が企画院技師兼任として近衛内閣の中枢機関に関われたのは、単に順当なキャリア故ゆえだけではない。近衛文麿という人物の思想や人格が、秀則のような人材を引き寄せたともいえる。どういう事か?それを説明するには、近衛文麿の生い立ちに触れなければならない。1891年(明治24)10月12日近衛篤麿公爵、旧加賀藩主前田慶寧侯爵の五女・衍子の間に、東京市麹町区(現:...奇妙な果実〜鉄道ヲタクの事件記録〜第12話近衛文麿首相
秀則一家が家族旅行から一週間ぶりに帰る。おアキさんにお土産を持参して。「ただいま、おアキさん。留守中変わりはありませんでしたか?」「旦那様、奥様、お帰りなさいませ。特に何もございませんでした。お帰りになられるこの瞬間までは。」帰ってくるなり騒々しい秀彦と早次を見て、ため息交じりにそう言った。「ねぇねぇ、おアキさん!海ってね、とっても大きいんだよ!海の向こうはね、また海で、そのまた向こうもまだまだ海なんだ!そのずーと向こうには雲がモクモクってこ~んなに広がっているんだ!ね、凄いでしょ?ほんでもって、大っきな波がザッバーンって何度も何度もやって来るんだよ!ボクは『ワ~!』って慌てて逃げても、凄っごい速さで追いかけてくるんだ。おアキさんにもみせたかったなぁ~!あ!そうだ!これこれ!」そう言ってリュックの中から四...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~第11話島村の愚痴
ホンダやトヨタの不正問題の本当の原因は「あの人物」だということをご存知ですか?【ゆっくり解説】サムネイルと具体的内容には齟齬があるというか、完全に別内容であり、意図的な釣り釣りタイトルである。本当の内容に即したタイトルは、動画サムネ下部にある大文字部分「ホンダやトヨタの不正問題の本当の原因は「あの人物」だということをご存知ですか?【ゆっくり解説】』である。だが制作者が敢えて釣り釣りタイトルにしたのは、何某かの事情があるのだろう。つまりYouTube運営が当局に忖度し、弾圧によるアカウント規制を回避したとか?この動画で取り上げている自動車業界と監督省庁の問題が、如何に国民に対し不利益を与えているかを訴えている問題回であるから。動画内で主張している内容は、実はそっくり財務省や他の行政機関・省庁にも当てはまる。...サムネと内容は全く違うよ。でもね、言いたい事はここに紹介するに値すると思います。
秀則が視察で海外に出発したのは、2.26事件で軍部が実権を握る暗い世相の始まりの頃だった。世界恐慌の混乱からいち早く脱した日本(といっても好景気を迎えられた訳ではない。庶民の生活は貧しいままで、国家経営がどん底から這い上がったというだけ。)しかしその一番の功労者である高橋是清がクーデターの犠牲になるなど、アメリカの人種差別の批判などしている場合ではない程の、政治の世界に理不尽な暴力がまかり通っていた。結果、軍の要求は即ち国家の施策となり、鉄道省の役割も戦争準備の総動員体制構築が急務となる。秀則は海外視察から帰ってすぐの1937年6月、鉄道省本省の運輸局運転課への配属となった。そして翌月の7月7日盧溝橋事件勃発。小競り合いの末、翌8月に入ると戦闘が本格化しだす。ついに日本は帝国陸軍の派兵を決定、人員、物資の...奇妙な果実〜鉄道ヲタクの事件記録〜第10話初めての家族旅行
警告!今話の内容には残酷な描写が含まれます。苦手な人はご注意ください。秀則が帰国して一週間が経った。秀彦と早次の成長の速さは、一年の空白を埋める以上に大きい。一緒に過ごしていたら気づかない一日の貴重な重さが、離れていたがために今更ながら心のひだに突き刺さる。秀彦が裏庭に咲くアジサイの葉に泳ぐデンデン虫を、この世の奇跡を目撃したかのように真剣な表情で観察する様子。早次が母百合子にしがみつき、その肩越しに僕を見つめる様子。そこは早次にとってこの世で一番安心できる場所であると主張している。塀越しに豆腐屋のラッパが聞こえてくる。ああ、ここは日本なんだ。海外での暮らしも決して危険なことは無かった。ある一度の経験以外は・・・。ただ、その体験時以外も平時は気が抜けない。いつも心の鎧を脱ぐことは無かった。外国とはそういう...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~第9話外遊のお土産話
警告⚠️この動画はショッキングで残酷な写真と歌詞が載せられています。苦手な方、こういうのが嫌いな方は決して見ないでください。この回のblogは『奇妙な果実〜鉄道ヲタクの事件記録』の背景となる【ビリー・ホリデイ】の歌を紹介する動画を載せました。何故『奇妙な果実』なのか?一連の物語の終盤に分かってくると思います。それはまだ先のお話ではありますが、今回紹介するこの歌の動画は、今後投稿・発表する物語のテーマの内容を先取りした伏線を意図したものです。歌の背景にショッキングな写真が登場します。苦手な方は決して見ないで(聴かないでください)。奇妙な果実〜ビリーホリデイ
次男『早次』が誕生したのは翌年3月であった。その頃には兄夫婦の子供たちも加わり、毎日がお祭り騒ぎのような賑わいが百合子の実家を賑わせていた。百合子自身にとって、産前産後の実家暮らしが長期にわたって続くより、我が家と実家を行ったりたり、来たりという生活が一番良いようであった。そんな暮らしができるのも、実家の近くに居を構えた者のお手軽な特権であろう。もちろんそんな環境を支えてきたのは、おアキさんの獅子奮迅の活躍があったからではあるが。「おアキさん、どうだ?」ハァハァ言いながら僕が駆けつけると「旦那様、お疲れ様でございます。まだでございます」と、頭を下げ、とり澄まして云うと、「秀則さん、お早い御着きで。」と百合子の母、ハルが応える。幼い秀彦が僕に気がつき、「お父さん~!」と走り寄る。秀彦にとって初の弟か妹の誕生...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録第8話在外研究員の外遊
今回からこの物語の名称を『奇妙な果実』という表題を加え、【奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録】としました。今回は内容の一部に、残酷な説明描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。1910年の日韓併合後、日本は清国と直接国境を接する事となる。前話(第6話)で触れたが、当時日本は日露戦争で辛勝したにもかかわらず、依然ソ連ロシアの脅威に晒され続けていた。その紛争の火種となる地域はやはり中国東北部の満州。強大な国力を誇るソ連ロシアに対抗するには、満州を緩衝地帯として日本が掌中に収めておく必要があった。当時の朝鮮と満州の国境「豆満江」の中州に『間島』と呼ばれる朝鮮族の居留地があったが、その朝鮮族は間島を超え、次第に国境北部の満州地区に増殖し、清国との間に軋轢が生じた。日本は新たな日本人となった朝鮮族保護を名目に在間...奇妙な果実〜鉄道ヲタクの事件記録〜第7話南満州鉄道と百合子の二度目の懐妊と島村の結婚
僕が鉄道局技師になったのは人事の都合で予定から一年ほどお預けとなり、正式辞令が出たのは1929(昭和4)だった。転勤により職場環境が変わっても、職責の重さは変わらない。僕は秀彦の誕生以来、激務をこなしながら出来るだけ早く帰宅するよう習慣がついた。その前から職場内では『マイホームパパ』の印象が定着していたが、長男誕生の喜びようと云ったら、思わずニヤケてくる締まらない表情が尚一層の愛妻子煩悩亭主として名をはせていた。それにあれ以来、お手伝いさんのおアキさんは影山家に無くてはならない不動の存在となり、なし崩し的に家事全般を任せるようになった。夕食等の食事の憂いも解消している今、僕に家庭内の不安材料はない。玄関を開け、「帰った。」と云うのももどかしく、秀彦の顔を覗きに行く。「あなた、お帰りなさい。まぁまぁ、何です...鉄道ヲタクの事件記録第6話嵐の前の幸せ
妻百合子が母ナツに連れられて高輪の実家に里帰りするのと入れ替わりに通いのお手伝いさんがやって来た。彼女はおアキさんと云って、以前藤堂家に長年仕えていた元召使い。妻の里帰りでひとりになった僕がさぞ難儀するであろうと、母ナツのたっての願いで、秀則の家の掃除、洗濯、食事の支度を任されたようだ。ベテランだけあって、高齢ではあるが手際が良い。料理のメニューは煮物が多く年寄り臭いが、バラエティーに富んでいて且つ、家庭料理の暖かさと懐かしさがあり、とても美味い。ただ僕を「旦那様」と呼ぶのはムズムズして少々こそばゆい。「おアキさん、その「旦那様」は何とかならないかなぁ~、その呼び名は若輩者の僕としてはとても相応しいとは思えないんだ。」「アラ、そうでございますか?でも私、以前奉公させていただいた藤堂家では、ご主人さまの事を...鉄道ヲタクの事件記録第5話長男誕生
妻の体調の異変に気付いたのは、島村の来訪から数日後だった。相変わらず多忙な僕が妻の日常の微妙な変化が分る筈はないが、何か言いたげなのは流石に空気で読める。だがそれ以上の意思表示をしようとしない。「あなた、行ってらっしゃい。」「ああ、言ってくる。」「お気をつけて。」この繰り返し。だが、それからまた数日後、妻の百合子は改まって「あなた、お伝えしたいことがございます。」「何ですか?」「今夜は早く帰ってこられそうですか?」(いつになく真剣な表情で突然そうこられると、身構えちゃうよ。)「ああ、約束はできないが、百合子が早く帰ってきて欲しいと云うのなら、出来るだけ早く帰ろう。」「そうしてくださると嬉しいです。」「分かった、出来るだけ早く帰ろう。それじゃ、行ってきます。」百合子の言いたい事?何だろう?随分勿体ぶって念を...鉄道ヲタクの事件記録第4話妻の目標と日記
日本人として知っておくべき、あの時代の日本人の使命を紹介します。あの時代、過ちもあった。慢心もあった。傲慢もあった。でも自分の信じる正義のために自らの生命を捧げ、統治する国のため賭けた者たちがいた。真摯に統治する民に向き合った者達がいた。それに比べて今の私たち。できない言い訳、やらない言い訳なら、いくらでもできる。それを誰も非難しない、非難できない。ただあの時インドネシア独立のため、オランダからの独立戦争にインドネシア人独立義勇兵と共に、日本兵2000人が立ち上がり、1000名が生命を落とした歴史的事実は覆せない。インドネシア独立に寄与した事実は誰も消せない。彼らの行為を非難したり、歪曲する勢力(中韓米)が如何に侮蔑しても、準国歌の存在が歴史の書き換えを阻止し、拒絶している。私は小学生の頃、学校で敗戦史観...鉄道ヲタクの途中ですが
秀則一家が家族旅行から一週間ぶりに帰る。おアキさんにお土産を持参して。「ただいま、おアキさん。留守中変わりはありませんでしたか?」「旦那様、奥様、お帰りなさいませ。特に何もございませんでした。お帰りになられるこの瞬間までは。」帰ってくるなり騒々しい秀彦と早次を見て、ため息交じりにそう言った。「ねぇねぇ、おアキさん!海ってね、とっても大きいんだよ!海の向こうはね、また海で、そのまた向こうもまだまだ海なんだ!そのずーと向こうには雲がモクモクってこ~んなに広がっているんだ!ね、凄いでしょ?ほんでもって、大っきな波がザッバーンって何度も何度もやって来るんだよ!ボクは『ワ~!』って慌てて逃げても、凄っごい速さで追いかけてくるんだ。おアキさんにもみせたかったなぁ~!あ!そうだ!これこれ!」そう言ってリュックの中から四...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~第11話島村の愚痴
ホンダやトヨタの不正問題の本当の原因は「あの人物」だということをご存知ですか?【ゆっくり解説】サムネイルと具体的内容には齟齬があるというか、完全に別内容であり、意図的な釣り釣りタイトルである。本当の内容に即したタイトルは、動画サムネ下部にある大文字部分「ホンダやトヨタの不正問題の本当の原因は「あの人物」だということをご存知ですか?【ゆっくり解説】』である。だが制作者が敢えて釣り釣りタイトルにしたのは、何某かの事情があるのだろう。つまりYouTube運営が当局に忖度し、弾圧によるアカウント規制を回避したとか?この動画で取り上げている自動車業界と監督省庁の問題が、如何に国民に対し不利益を与えているかを訴えている問題回であるから。動画内で主張している内容は、実はそっくり財務省や他の行政機関・省庁にも当てはまる。...サムネと内容は全く違うよ。でもね、言いたい事はここに紹介するに値すると思います。
秀則が視察で海外に出発したのは、2.26事件で軍部が実権を握る暗い世相の始まりの頃だった。世界恐慌の混乱からいち早く脱した日本(といっても好景気を迎えられた訳ではない。庶民の生活は貧しいままで、国家経営がどん底から這い上がったというだけ。)しかしその一番の功労者である高橋是清がクーデターの犠牲になるなど、アメリカの人種差別の批判などしている場合ではない程の、政治の世界に理不尽な暴力がまかり通っていた。結果、軍の要求は即ち国家の施策となり、鉄道省の役割も戦争準備の総動員体制構築が急務となる。秀則は海外視察から帰ってすぐの1937年6月、鉄道省本省の運輸局運転課への配属となった。そして翌月の7月7日盧溝橋事件勃発。小競り合いの末、翌8月に入ると戦闘が本格化しだす。ついに日本は帝国陸軍の派兵を決定、人員、物資の...奇妙な果実〜鉄道ヲタクの事件記録〜第10話初めての家族旅行
警告!今話の内容には残酷な描写が含まれます。苦手な人はご注意ください。秀則が帰国して一週間が経った。秀彦と早次の成長の速さは、一年の空白を埋める以上に大きい。一緒に過ごしていたら気づかない一日の貴重な重さが、離れていたがために今更ながら心のひだに突き刺さる。秀彦が裏庭に咲くアジサイの葉に泳ぐデンデン虫を、この世の奇跡を目撃したかのように真剣な表情で観察する様子。早次が母百合子にしがみつき、その肩越しに僕を見つめる様子。そこは早次にとってこの世で一番安心できる場所であると主張している。塀越しに豆腐屋のラッパが聞こえてくる。ああ、ここは日本なんだ。海外での暮らしも決して危険なことは無かった。ある一度の経験以外は・・・。ただ、その体験時以外も平時は気が抜けない。いつも心の鎧を脱ぐことは無かった。外国とはそういう...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録~第9話外遊のお土産話
警告⚠️この動画はショッキングで残酷な写真と歌詞が載せられています。苦手な方、こういうのが嫌いな方は決して見ないでください。この回のblogは『奇妙な果実〜鉄道ヲタクの事件記録』の背景となる【ビリー・ホリデイ】の歌を紹介する動画を載せました。何故『奇妙な果実』なのか?一連の物語の終盤に分かってくると思います。それはまだ先のお話ではありますが、今回紹介するこの歌の動画は、今後投稿・発表する物語のテーマの内容を先取りした伏線を意図したものです。歌の背景にショッキングな写真が登場します。苦手な方は決して見ないで(聴かないでください)。奇妙な果実〜ビリーホリデイ
次男『早次』が誕生したのは翌年3月であった。その頃には兄夫婦の子供たちも加わり、毎日がお祭り騒ぎのような賑わいが百合子の実家を賑わせていた。百合子自身にとって、産前産後の実家暮らしが長期にわたって続くより、我が家と実家を行ったりたり、来たりという生活が一番良いようであった。そんな暮らしができるのも、実家の近くに居を構えた者のお手軽な特権であろう。もちろんそんな環境を支えてきたのは、おアキさんの獅子奮迅の活躍があったからではあるが。「おアキさん、どうだ?」ハァハァ言いながら僕が駆けつけると「旦那様、お疲れ様でございます。まだでございます」と、頭を下げ、とり澄まして云うと、「秀則さん、お早い御着きで。」と百合子の母、ハルが応える。幼い秀彦が僕に気がつき、「お父さん~!」と走り寄る。秀彦にとって初の弟か妹の誕生...奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録第8話在外研究員の外遊
今回からこの物語の名称を『奇妙な果実』という表題を加え、【奇妙な果実~鉄道ヲタクの事件記録】としました。今回は内容の一部に、残酷な説明描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。1910年の日韓併合後、日本は清国と直接国境を接する事となる。前話(第6話)で触れたが、当時日本は日露戦争で辛勝したにもかかわらず、依然ソ連ロシアの脅威に晒され続けていた。その紛争の火種となる地域はやはり中国東北部の満州。強大な国力を誇るソ連ロシアに対抗するには、満州を緩衝地帯として日本が掌中に収めておく必要があった。当時の朝鮮と満州の国境「豆満江」の中州に『間島』と呼ばれる朝鮮族の居留地があったが、その朝鮮族は間島を超え、次第に国境北部の満州地区に増殖し、清国との間に軋轢が生じた。日本は新たな日本人となった朝鮮族保護を名目に在間...奇妙な果実〜鉄道ヲタクの事件記録〜第7話南満州鉄道と百合子の二度目の懐妊と島村の結婚
僕が鉄道局技師になったのは人事の都合で予定から一年ほどお預けとなり、正式辞令が出たのは1929(昭和4)だった。転勤により職場環境が変わっても、職責の重さは変わらない。僕は秀彦の誕生以来、激務をこなしながら出来るだけ早く帰宅するよう習慣がついた。その前から職場内では『マイホームパパ』の印象が定着していたが、長男誕生の喜びようと云ったら、思わずニヤケてくる締まらない表情が尚一層の愛妻子煩悩亭主として名をはせていた。それにあれ以来、お手伝いさんのおアキさんは影山家に無くてはならない不動の存在となり、なし崩し的に家事全般を任せるようになった。夕食等の食事の憂いも解消している今、僕に家庭内の不安材料はない。玄関を開け、「帰った。」と云うのももどかしく、秀彦の顔を覗きに行く。「あなた、お帰りなさい。まぁまぁ、何です...鉄道ヲタクの事件記録第6話嵐の前の幸せ
妻百合子が母ナツに連れられて高輪の実家に里帰りするのと入れ替わりに通いのお手伝いさんがやって来た。彼女はおアキさんと云って、以前藤堂家に長年仕えていた元召使い。妻の里帰りでひとりになった僕がさぞ難儀するであろうと、母ナツのたっての願いで、秀則の家の掃除、洗濯、食事の支度を任されたようだ。ベテランだけあって、高齢ではあるが手際が良い。料理のメニューは煮物が多く年寄り臭いが、バラエティーに富んでいて且つ、家庭料理の暖かさと懐かしさがあり、とても美味い。ただ僕を「旦那様」と呼ぶのはムズムズして少々こそばゆい。「おアキさん、その「旦那様」は何とかならないかなぁ~、その呼び名は若輩者の僕としてはとても相応しいとは思えないんだ。」「アラ、そうでございますか?でも私、以前奉公させていただいた藤堂家では、ご主人さまの事を...鉄道ヲタクの事件記録第5話長男誕生
妻の体調の異変に気付いたのは、島村の来訪から数日後だった。相変わらず多忙な僕が妻の日常の微妙な変化が分る筈はないが、何か言いたげなのは流石に空気で読める。だがそれ以上の意思表示をしようとしない。「あなた、行ってらっしゃい。」「ああ、言ってくる。」「お気をつけて。」この繰り返し。だが、それからまた数日後、妻の百合子は改まって「あなた、お伝えしたいことがございます。」「何ですか?」「今夜は早く帰ってこられそうですか?」(いつになく真剣な表情で突然そうこられると、身構えちゃうよ。)「ああ、約束はできないが、百合子が早く帰ってきて欲しいと云うのなら、出来るだけ早く帰ろう。」「そうしてくださると嬉しいです。」「分かった、出来るだけ早く帰ろう。それじゃ、行ってきます。」百合子の言いたい事?何だろう?随分勿体ぶって念を...鉄道ヲタクの事件記録第4話妻の目標と日記
日本人として知っておくべき、あの時代の日本人の使命を紹介します。あの時代、過ちもあった。慢心もあった。傲慢もあった。でも自分の信じる正義のために自らの生命を捧げ、統治する国のため賭けた者たちがいた。真摯に統治する民に向き合った者達がいた。それに比べて今の私たち。できない言い訳、やらない言い訳なら、いくらでもできる。それを誰も非難しない、非難できない。ただあの時インドネシア独立のため、オランダからの独立戦争にインドネシア人独立義勇兵と共に、日本兵2000人が立ち上がり、1000名が生命を落とした歴史的事実は覆せない。インドネシア独立に寄与した事実は誰も消せない。彼らの行為を非難したり、歪曲する勢力(中韓米)が如何に侮蔑しても、準国歌の存在が歴史の書き換えを阻止し、拒絶している。私は小学生の頃、学校で敗戦史観...鉄道ヲタクの途中ですが
「あなた、私これを作りましたのよ。」と言って見せたのは一週間のメニュー表だった。「なになに?メニュー表?月曜日の朝は「ごはん、納豆、わかめと豆腐の味噌汁、お新香、メザシ?」火曜日の朝は「ごはん、生卵、ねぎと油揚げの味噌汁、お新香、アジの開き?」・・・・・。よく考えたね。凄いと思うよ。学業が常にトップだった百合子が、(料理のレパートリーは驚くほど少ないのに、)僕と結婚してくれてしかも飽きさせないようにバラエティーに富んだ食事を心がけてくれて感謝しているよ。ありがとう。昼食は職場の弁当だから、朝起きて作るの大変だろう?だけど・・・、夕ご飯はカレーにお蕎麦にかつ丼が三日おきの日替わりなのね・・・。僕の仕事が遅くなり、外で食べてくる事が多いのに、そこいらのお店のメニューとほぼ同じなのはどうなのかな?」「料理のレパ...鉄道ヲタクの事件記録第3話島村秀夫
「あなた、起きてください!会社に遅れますよ!朝ごはんを食べなくても良いなら、もう少し寝ていられますけど。」(慌てて飛び起き)「あぁ、イヤ、起きる。ああ、腹減った!」「あなたって本当に食べないと生きてゆけない方なのね。お付き合いしていた時もお汁粉に目が無かったようですけど、今でも三食キッチリお食べになって、更に再三間食なさっているって知っていますわよ。」「百合子は僕の事、単なる食いしん坊だと思っているでしょ?」「いいえ、そんな事は無くってよ。以前お兄様(義兄)が仰っていましたわ。『弟は生まれつきの胃酸過多のせいか、しょっちゅう何か口にしていないと生きてゆけない生き物なんだ。』って。あなたを見ていて合点がいきましたの。」「僕は蟒蛇うわばみか!もう~、兄貴ったら、そんな事まで百合子に言い触らしていたの?百合子に...鉄道ヲタクの事件記録第二話「新婚生活」
Amazon.co.jp:シベリアの異邦人~ポーランド孤児と日本~:米森充:本#パブファンセルフhttps://www.amazon.co.jp/シベリアの異邦人~ポーランド孤児と日本~-米森-充/dp/B0D17YV4X7/ref=sr_1_2?__mk_ja_JP=カタカナ以前のバージョンは製本元から値上げの通告を受け、やむなく廃刊しました。今回は本のサイズを縮小しコストダウンを図ったつもりでしたが、値上げ後価格と変わらず、あてが外れてしまいました。でも表紙イラストの画像が鮮明になり、サイズダウンにより手持ち感、読み心地感が改善されるなど、良い要素もあったため価格が高めだけど見切り発車しました。自主出版は製造コストがどうしても販売価格を押し上げてしまうのは、どうする事もできません。苦肉の策として、どう...昨年秋に廃刊した『シベリアの異邦人』をリニューアルして再刊行しました。
大正13年春、影山秀則は百合子を見て驚いた。あの日東京会館にて兄秀種の結婚式に出席、兄の花嫁有紀子の妹である百合子と出会う。花嫁の有紀子は文金高島田がよく似合う古風な美人だったが、妹の百合子は髪が首を隠す程度のショートヘアでひと際目立つ美人だったから。女子高3年生であるとその時の紹介で知った。いかにも利発で活発な今時の流行はやりの女の子。この時僕が抱いた第一印象である。僕はと云えば東京帝国大学の3回生であり、来年の春には卒業し、前途洋々の未来が待っている真面目で男前の(自分で言うか!)の学生である。そんな僕の日課は大好きな汁粉を高輪『甘味亭』で食す無上の時間を過ごす事。実家からは少し遠いが、大学の帰り道からは丁度良い位置にあり、上品で美味いと地元では有名な店である。食いしん坊の僕は甘いものに目がない。しか...鉄道ヲタクの事件記録第一話お見合いと結婚
刑務所の前で「出待ち」を毎朝続けるひとりの男性、何をしている?「刑務官はいい顔をしないが、やめられない」同行して分かった理由と覚悟(47NEWS)のコメント一覧-Yahoo!ニュース刑務所の前で「出待ち」を毎朝続けるひとりの男性、何をしている?「刑務官はいい顔をしないが、やめられない」同行して分かった理由と覚悟(47NEWS)のコメント一覧-Yahoo!ニュース冷たい風が吹きすさぶ2月の早朝、大阪刑務所の前で“出待ち”を続ける男性がいた。松浦未来さん(37)。お目当ては、フルに刑期を終えて釈放された「満期出所者」たち。...刑務所の前で「出待ち」を毎朝続けるひとりの男性、何をしている?「刑務官はいい顔をしないが、やめられない」同行して分かった理由と覚悟(47NEWS)のコメント一覧-Yahoo!ニュース例...犯罪は憎む。でも罪を償った者は?
地域の未来を担うhttps://youtube.com/watch?v=W6WLoVmiuYoこんな行い、一体誰ができるだろう?私は今の日本の政治を批判する記事ばかり投稿してきたが、この動画に登場する彼のような活動をしてはこなかった。人にはそれぞれ役割があり、全員が同じ行為をしなければならない訳ではない。でもそれぞれが与えられた環境や条件の中で真摯に生きられなければ、とても恥ずかしいと思う。彼に顔向けができない程に。私この動画を見る機会を得られて幸運でした。そしてこうした活動を政治に活かせるような世の中にしたい。だから決意を新たにして『自分にできる事』を精一杯やっていきたいと思う。私のようなしがない年金暮らしの前期高齢者に何ができる?言い訳ならいくらでもできるだろう。でもこの動画の彼のように、赤ちゃんポス...ゆりかご会に預けれれた子が
この2曲は私にとって若い頃の記憶が思い起こされる曲。苦く辛い体験でしたが、今となってはかけがえのない思い出です。『歳時記~ダイアリー~』に登場する【いわさきちひろ】の絵を眺めていると、大人になって何か忘れていた大切なものを取り戻したような気持ちになります。歌詞の中で♪そんなちひろの子供の絵のような君の笑顔がとても好きだった♪とありますが、ちひろの子供たちはどれも真剣な表情で、笑ってなんかいません。でもこれらの絵をみていたら、我が子を抱きしめた時のような感情が湧いてきます。いつまでも抱きしめていたい。ず~と守ってあげたい。あなたにとって、何物にも替え難い大切な存在は何ですか?2曲目『思い出はつりかご』は、傷つき疲れ果てた気持ちを優しく癒してくれる気がします。時間が有る時に聴いてくださると幸いです。さだまさし2選
統一教会系団体が推した「スパイ法」と相似形…閣議決定された経済安保情報保護法案の背後に何が統一教会系団体が推した「スパイ法」と相似形…閣議決定された経済安保情報保護法案の背後に何が:東京新聞TOKYOWeb先月末に閣議決定された経済安保の保護法案は「特定秘密保護法の拡大版」と危惧される。秘匿する情報の範囲を経済分野にも広げ、漏洩(ろうえい...統一教会系団体が推した「スパイ法」と相似形…閣議決定された経済安保情報保護法案の背後に何が:東京新聞TOKYOWeb私は度々自分のスタンスを表明しているが、右翼も左翼も嫌いであり、日和見主義のノンポリも嫌いである。それに加え、中国・韓国・北朝鮮・ロシアに対し、最大限の警戒心を抱いている。そういう立場に立った上でこの東京新聞の記事に対し、明確に反対の意見を表明する。(...東京新聞の危険な論法〜統一教会=勝共連合が押す「スパイ法」
1943年9月30日御前会議で日本は降伏すると決した。だがいつ降伏を宣言するのか?どうやって国体護持を認めさせるのか?その問題を討議しなければならない。実際のこの後の歴史では、絶望的な戦いが続く中、首脳部は降伏の決断ができなかった。連合国側からポツダム宣言が発表され、日本の無条件降伏を勧告されてもである。その理由は、日本の首脳部が最後まで心配していたのが『国体護持』(天皇制維持)であったから。つまり彼らが心配していたのは国民の安全ではなく、天皇制の保全であった。国民にどれだけの犠牲を強いても守りたかったのが天皇制。その是非についてここでは触れない。ただ、歴史の事実として踏まえておくとする。とにかく無条件降伏を受け入れれば、連合国側(主にアメリカ)の意向で天皇制を廃止すると言われたら抗えない。日本の立場とし...お山の紅白タヌキ物語第19話最終回「平和!」