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ホタルの独り言 Part 2 https://blog.goo.ne.jp/hotaru-net

ホタルをはじめとして様々な昆虫と美しい自然風景を追い求めて撮影した写真を「独り言」とともに掲載します

ホタルの独り言 Part 2
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2015/09/15

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  • ゲンジボタル 西日本型と東日本型の違い

    ゲンジボタルの西日本型と東日本型の違いを写真と映像で比較すでに九州南部や四国の高知県ではゲンジボタルが発生し、今年2025年もホタルの季節が始まった。知人によれば、高知県では発生が遅れているようであり、冬季の渇水や3~4月の低温の影響などが原因として考えられ、今後の発生状況が心配ではあるが、全国的には、これから徐々に発生が北上し、今月上旬に幼虫の上陸を観察した東京の生息地では、順調ならば6月20日前後には多くのゲンジボタルが舞うだろう。さて、ゲンジボタルは、遺伝子の違いにより中部山岳地帯(フォッサマグナ)を境に西日本型と東日本型に分けることができる。この2つの型は発光間隔が異なっており、特にメスを探している時のオスの発光パターンは明瞭で、気温20℃の時の同期明滅の間隔は西日本は2秒、東日本では4秒と異なっ...ゲンジボタル西日本型と東日本型の違い

  • ゲンジボタルの幼虫上陸(東京2025)

    ゲンジボタルの幼虫上陸の様子を観察し記録撮影を行ってきた。ゲンジボタルは、九州の鹿児島などではすでに成虫が飛んでいるが、東京都の山間部ではゴールデンウイーク頃が、毎年、幼虫上陸の時期になっている。千葉県の房総では4月上旬が上陸時期なので、同じ関東でも房総に比べて気温が低い東京の山間部は一か月ほど遅い上陸である。今年の上陸初見日は、知人T氏によれば4月24日に1頭、28日には15頭前後の上陸が20時頃に確認されている。そこで幼虫が上陸する条件と私の休日が合致した5月2日および6日に観察と撮影を行った。ちなみに、この生息地のゲンジボタルは西日本型であり、幼虫の上陸行動にも集団性が見られる。5月2日は、昼頃から雨が降りだし、夕方には1時間に10mmを超える豪雨が3時間ほど続いた。気温は15℃。18時から観察を開...ゲンジボタルの幼虫上陸(東京2025)

  • 今熊神社のミツバツツジと山桜

    今熊神社のミツバツツジと山桜の写真を、過去の撮影であるが現像し直して、まとめて掲載した。今熊神社は、東京都八王子市の標高505.7mの今熊山に鎮座する。本殿が今熊山頂にあり遥拝殿は山麓にある。その遥拝殿の背後には、ミツバツツジ約1,500株が植栽されており、4月中旬頃になると山肌をピンク色に染めるのである。また、大きな山桜もあり、時期を同じくして満開となる。訪れたときは、夜半まで雨が降っており、朝は晴れ。期待通りに朝靄が出て、朝日とともに幻想的な光景となった。以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。ミツバツツジと山桜Canon5DMarkⅡ/TAMRONSPAF70-200mmF/2.8DiLD(IF)MACRO/絞り優先AEF2.81/...今熊神社のミツバツツジと山桜

  • 我が家の庭づくり~その2

    4月も半ばすぎとなり夏日となる日も。我が家の庭も、だいぶ緑が濃くなってきた。雑木林風の山野草園では、スミレやカタクリなどの早春の花々が終わり、ヒメシャガやキエビネ、チゴユリなどが咲き始めた。他にも昨年の秋に植えた植物たちが芽吹きはじめ、かなり賑やかになってきたが、庭の日当たり加減や時間帯などによって定着する植物が決まってくるので、それを見極めながら、また徐々に植物を増やしていきたい。コケ庭もスナゴケが成長を開始し、こちらも緑が濃くなってきた。一面にコケが生え揃うには、まだまだ時間がかかりそうだが、雑草と闘いながら気長に管理していきたいと思う。山野草の成長も楽しみなのだが、昆虫好きとして嬉しいことがあった。3月末に庭木のエノキの枝に越冬明けのアカボシゴマダラの幼虫が付いているのを発見したのである。中国原産の...我が家の庭づくり~その2

  • ヤエヤマヒメボタル(マクロ写真)

    ヤエヤマヒメボタルLuciolafiliformisyayeyamanaMatsumura,1918は、ホタル科(FamilyLampyridae)ホタル属(GenusLuciola)でヒメボタルLuciolaparvulaと同じ仲間ので、石垣島と西表島に生息するホタルである。ヤエヤマヒメボタルは、2022年の飛翔風景を撮影しているが、今回は前回撮ることができなかった成虫のマクロ写真の撮影が主目的であった。勿論、飛翔風景も撮りたいと思い、三晩とも違う生息場所で撮影する計画を立てた。遠征初日は生憎の雨で、気温が17度と低く、また風も強かったため、2022年に撮影した生息場所を日中にロケハンしたのみで終了。翌2日は、晴れたものの気温が18度で風も吹いていた。この日も同じ場所を訪れ、17時半から待機しカメラをセ...ヤエヤマヒメボタル(マクロ写真)

  • ハラアカマドボタル(サキシママドボタル)

    ハラアカマドボタルPyrocoeliaabdominalisNakane,1977は、ホタル科(FamilyLampyridae)マドボタル属(GenusPyrocoelia)で、石垣島と西表島に分布する一生を通じて林内の陸地で過ごす陸生ホタルである。前胸背は鮮やかな淡赤色で両縁は黒色で腹部腹側が淡赤色である。マドボタル属ではあるが、前胸部の窓ははっきりしない。しかしながら、幼虫や翅が退化したメス成虫もマドボタル属特有の形態である。幼虫はマイマイなどの陸生貝類を食べている。成虫は3月~5月頃に発生し、ほとんど発行することはなく、配偶行動はフェロモンによる。石垣島には、同属ではヤエヤママドボタルPyrocoeliaatripennisLewis,1896が生息しているが、発生時期が10月~3月頃と異なってい...ハラアカマドボタル(サキシママドボタル)

  • コフキショウジョウトンボ

    コフキショウジョウトンボOrthetrumpruinosumneglectum(Rambur,1842)は、トンボ科(FamilyLibellulidae)シオカラトンボ属(GenusOrthetrum)に属し、海外では、台湾からインドシナ半島、インドを経てアフガニスタンに至る広い地域に分布、国内では石垣島、西表島、波照間島、竹富島にのみ分布している。オスは、成熟すると腹部は紅色に、胸部には青白い粉を吹くのが特徴である。オオヤマトンボEpophthalmiaeleganselegans(Brauer,1865)は、かつては南西諸島には分布していなかったが、1967年に石垣島の石垣ダムで発見されたのを皮切りに、次々と南西諸島で発見されていった。台湾から飛来したものが、生息環境に合致した石垣ダム造成により世代...コフキショウジョウトンボ

  • ルリモンジャノメ

    ルリモンジャノメElymniashypermnestratinctoriaMoore,1878は、タテハチョウ科(FamilyNymphalidae)ジャノメチョウ亜科(SubfamilySatyrinae)マネシヒカゲ属(GenusElymnias)のチョウで、台湾から南の東南アジアに広く分布しているが、2021年5月に西表島西岸で発見されて以降発生を繰り返し、2022年には近隣の小島および石垣島でも発生が確認され、現在では定着している。翅表が瑠璃色で、飛んでいる時には、瑠璃色と後翅のオレンジ色が見えて美しいが、止まっている時には、まったく翅を開くことがないので翅裏だけの撮影。そのほか、環境省レッドリストに準絶滅危惧種として記載されており、名前の由来となった翅裏の複雑な波模様が特徴的であるマサキウラナミ...ルリモンジャノメ

  • ジャコウアゲハ八重山亜種

    ジャコウアゲハ八重山亜種Byasaalcinousbradanus(Fruhstorfer,1908)は、アゲハチョウ科(FamilyPapilionidae)ジャコウアゲハ属(GenusByasa)で、東アジアおよび日本に分布している。国内では秋田県以南から八重山諸島まで分布し、南西諸島では分布によって以下の亜種に分類されている。ジャコウアゲハ本土亜種Byasaalcinousalcinous(Klug,1836)ジャコウアゲハ八重山亜種Byasaalcinousbradanus(Fruhstorfer,1908)ジャコウアゲハ奄美沖縄亜種Byasaalcinousloochooana(Rothschild,1896)ジャコウアゲハ宮古亜種ByasaalcinousmiyakoensisOmoto,19...ジャコウアゲハ八重山亜種

  • ヤエヤマカラスアゲハ

    ヤエヤマカラスアゲハAchillidesbianorokinawensisFruhstorfer,1898は、アゲハチョウ科(FamilyPapilionidae)ルリモンアゲハ属(GenusAchillides)で、八重山諸島にのみ生息しており、カラスアゲハは分布によって以下ように分類されている。カラスアゲハ(AchillidesdehaaniidehaaniiC.FelderetR.Felder,1864)カラスアゲハ八丈亜種(AchillidesdehaaniihachijonisMatsumura,1919)カラスアゲハトカラ亜種(AchillidesdehaaniitokaraensisFujioka,1975)オキナワカラスアゲハ(Achillidesryukyuensisamamiensis...ヤエヤマカラスアゲハ

  • リュウキュウアサギマダラ

    リュウキュウアサギマダラIdeopsissimilissimilis(Linnaeus,1758)は、タテハチョウ科(FamilyNymphalidae)マダラチョウ亜科(SubfamilyDanainae)リュウキュウアサギマダラ属(GenusIdeopsis)に属する石垣島では最も普通に見られるチョウ。アサギマダラと名が付くが、アサギマダラParanticasitaniphonica(Moore,1883)とは別属である。国外ではインド、スリランカ、ミャンマー、マレーシア、中華人民共和国南部、台湾、国内では沖縄本島・宮古島・石垣島・西表島・与那国島・奄美諸島・トカラ列島に分布する。アサギマダラのような移動性はなく、奄美大島より北では迷蝶である。越冬態は成虫で、しばしば林内で枝などに集団でぶら下がって越...リュウキュウアサギマダラ

  • ナナホシキンカメムシ

    ナナホシキンカメムシCallipharaexcellens(Burmeister,1834)は、半翅目(OrderHemiptera)キンカメムシ科(FamilyScutelleridae)ナナホシキンカメムシ属(GenusCalliphara)で、国外では台湾、東南アジア、国内では奄美大島,喜界島,沖永良部島,与論島,沖縄島,大東諸島,宮古島,石垣島,西表島に分布する。体色は強い金属光沢のある青緑色で、黒色の円紋が並ぶ。脚の腿節は鮮やかな紅色で、小楯板(しょうじゅんばん)に4~7個の濃紺色の円紋があることが和名の由来である。色彩や形態が、まるでカナブンなど甲虫のように見えるが、カメムシの仲間である。体長は16ミリ~20ミリほどで、カメムシとしては大きいほうである。ナナホシキンカメムシは、食草であるカンコ...ナナホシキンカメムシ

  • 一本マングローブ(石垣島遠征2025)

    一本マングローブは、沖縄県石垣島の西部にある名蔵湾に一本だけ孤立して生えているヒルギの木のことである。(マングローブとは、潮間帯に生える植物群の総称を意味し、この場所も以前は一本ヒルギと呼ばれていたようである。)石垣島には2022年に一度訪れているが、今回、4月1日から4日までの三泊四日で再度、石垣島に遠征してきた。ヤエヤマヒメボタルの成虫のマクロ撮影、他には過去に撮影できなかった風景と昆虫たちを写真に収めることが目的で、この一本マングローブもその1つであった。写真撮影は、自然風景も昆虫も何と昨年10月12日以来である。1日東京羽田6:45発石垣島直行JAL971便で向かい、現地では予約済みのレンタカーを借りて、計画通りに周ろうと思ったのだが、生憎の雨模様で肌寒い。とりあえず、初日はあちこちロケハンのみで...一本マングローブ(石垣島遠征2025)

  • 梅林の朝

    梅は、中国原産のバラ科サクラ属の落葉小高木で、日本には奈良時代に伝わったとされている。春の訪れを告げる梅の花は、その可憐な姿と芳しい香りで人々を魅了し、古くから愛されてきた。鎌倉時代の花見は梅が主流であり、冬の寒さに耐えて早春に咲くことから、清廉や不屈の精神の象徴とされ、武士や歌人などに愛されてきた。古典文学においては多くの作品でその美しさや象徴的な意味が語り継がれており、「万葉集」第五"梅花の歌"には「初春の令月にして、氣淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」とある。これは元号「令和」に由来する。平安時代の歌人、紀貫之の和歌には、梅の花の美しさとその儚さが描かれており、梅の香りを通じて、春の訪れを感じ取り、自然の移ろいを詠んでいる。また、紫式部の『源氏物語』にも、梅の花が重要なモチーフと...梅林の朝

  • 我が家の庭づくり~コケ庭と山野草園

    今回は、趣味の話である。趣味とは、仕事や義務とは別に、個人の興味や関心に基づいて自発的に行う活動のこと。ライフワークであるホタルの研究も趣味の1つである。このブログに掲載している多くの昆虫写真や自然風景写真の撮影も趣味であるし、ドライブや写真撮影のために遠征する車の運転もそうである。(今はプロドライバーであるから本業でもある)他には、フルートの演奏、音楽鑑賞と、どちらかと言えば多趣味の部類に入るかもしれない。趣味を持つことで、ストレスを解消したり、自分の能力を高めたり、人との交流を深めたりでき、楽しい日々であるが、昨今、更に「ガーデニング」も趣味に加わったので、その話をしたいと思う。これまでほとんど手つかずで放置状態、まるでジャングルのようになっていた「我が家の庭」小さな庭と広めの庭の二か所を、昨年の秋頃...我が家の庭づくり~コケ庭と山野草園

  • 富嶽十二景

    富嶽十二景を集めてみた。かつて「富嶽十景」という表題で富士山の写真10枚を掲載したことがあるが、今回は過去に撮影したものから12枚を選んで再現像し1920×1280ピクセルの大きな画像で掲載した。こうして並べてみると、いずれも素人が撮影した写真であることがよく分かる駄作ばかりで恥ずかしい・・・が、昨今まったく撮影に出かけておらず、新たな写真を掲載できないので無理やりの更新である。以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。三つ峠より朝焼けと富士山Canon5DMarkⅡ/EF17-35mmf/2.8LUSM/絞り優先AEF111/30秒ISO100(撮影地:山梨県2012.12.317:48)箱根大観山より雪景色と紅富士CanonEOS5DM...富嶽十二景

  • 逆さ富士

    逆さ富士は、富士山の風景を表す雅称の一つで、水面に富士山が上下反転した形で映り込む様を言う。逆さ富士はその美しい姿から、古くより日本人に愛でられており、江戸時代では葛飾北斎が『富嶽三十六景』のうちの「甲州三坂水面」で甲斐国都留郡の河口湖に映る逆さ富士を描いている。また、2004年から発行されていた千円札E号券の裏面には本栖湖の逆さ富士が描かれている。これまで富士山の写真を数多く撮ってきたが、今回は、その中から湖面に映った逆さ富士の写真を集めてみた。早朝の紅富士や日の入り時刻、あるいは夜間に星空とともに撮ったものを掲載したが、並べてみると、湖面に揺らぎがなく完全な逆さ富士のものは少ないし、ただ単に逆さに映り込んでいるだけの写真が多いのが反省点である。ダブル・ダイヤモンド富士のようなインパクトがある写真の方が...逆さ富士

  • カラマツ林の四季

    カラマツLarixkaempferiは、マツ科カラマツ属の落葉針葉樹で日本の固有種。漢字では「唐松」だが、中国には分布せず、葉の付き方が唐絵の松に似ていることが由来といわれる。カラマツで構成するカラマツ林の天然分布域は限られ、天然林は本州中部日本アルプス周辺の標高1,500mほどの山岳地帯に限られるが、奥日光周辺や富士山周辺などでも見つかっているだけである。現在の北日本でも見慣れた風景だが、本来は北日本に分布しておらず、ほとんど戦後の植林によって作られたものだ。山地帯や亜高山帯など比較的寒冷な土地や火山灰の痩せ地などスギの植林が困難な地域でも十分に育つため大規模な植林が行われ、人工のカラマツ林が広く分布しているのである。近年、安い外材の輸入によって国産材の需要は低迷し、人工林の管理が十分に行われなくなった...カラマツ林の四季

  • 2025年のスタート

    松の内を過ぎてしまい、新年の挨拶を申しそびれてしまったが、まずは、当ブログにご訪問頂いている皆様のご健康と益々のご発展をお祈りし、2025年が素晴らしい年になるよう、私自身も頑張りたいと思う。さて、これまでならば新年のスタートから信州などへ遠征し、霧氷や冬の星空を撮っていたが、新しい職に就き、独り立ちしておよそ二か月。仕事にも生活リズムにも慣れてはきたものの、まだ、休日は自宅でゴロゴロしており、なかなか遠出をして写真を撮る気持ちになれない。毎年、この時期には年間スケジュールが年末まで埋まっているのだが、今年は幾つかを除いては何も決めていない。それでも、決定している予定の中で大きなものを記せば、今年は4月に「石垣島」に行くことにしており、航空券やホテルは既に予約済である。沖縄本島は3年連続で訪れ、昨年は大収...2025年のスタート

  • 2024年の自己ベスト(自然風景編)

    本年は、私の人生にとって大きな節目の年であった。4月に28年間勤めた会社を60歳定年で退職し、8月末まではホタルの研究と昆虫や自然風景の写真撮影のために費やした。と言っても、時間が十分にありながら、思うように出かけられなかったのも事実。しかしながら、前記事で紹介したように初撮影の昆虫たちとの出会いや3年連続の沖縄遠征が叶ったことは嬉しい。自然風景写真においても、撮影した光景は多くはなかったが、それでも一度は訪問して撮っておきたかった白川湖の水没林や大台ヶ原から見る天の川など、タイミングを合わせて撮ることができ、会社勤めではなかなか都合がつかないゲンジボタルの幼虫上陸の様子も写真として残すことができたことは、たいへん有意義であった。ただし、9月以降に新たな職に就いてからは、まったく撮影に出かけることができず...2024年の自己ベスト(自然風景編)

  • 2024年の自己ベスト(昆虫編)

    2024年も残すところ1週間あまり。10月14日以来、写真撮影に出掛けておらず、本年は出掛ける予定がないことから、私自身の一年を振り返った反省と来年の計画立案のために、年末恒例のあくまでも自己満足のベスト10作品を今年撮影した写真の中から選んで締めくくりたいと思う。本記事は昆虫、次に自然風景をまとめて掲載したい。昆虫の写真を撮り始めて48年。1972年(昭和47年)から研究を始めていたヘイケボタルの生態写真を残しておきたいという思いから、1978年にオリンパスOM-2とズイコーマクロ50mmを購入して撮り始めた。中学1年生の子供であるから、写した写真は生態写真とはほど遠い証拠程度のものばかりであるが、当時のネガフォルムは今でも保存している。ヘイケボタルこの写真は、1979年に撮影したヘイケボタルである。以...2024年の自己ベスト(昆虫編)

  • 冬は、つとめて

    冬は、つとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。平安時代中期に執筆されたと考えられる清少納言の随筆『枕草子』の一節である。冬は朝の趣を詠ったものだ。春のあけぼの(日の出前)に対して「つとめて」は7時過ぎ頃だろう。今日の東京の日の出時刻は6時40分であるから、明るくなって凍った空気の様子もわかり、冬ならではの趣が感じられ、私も好きな時間である。趣味の写真撮影でも遠い現地で朝を迎え、その情景を心で写したいとカメラを向けていることが多い。同じ朝でも、仕事に向かう朝はちょっと違う。以前、28年間勤めた会社は、毎朝4時37分の始発電車に乗り通勤。帰宅は23時を過ぎることも多かった。自宅に5時間しかいなのだから睡眠時間は...冬は、つとめて

  • 蒲生の棚田

    あっという間に師走。昨今は、曜日の感覚が全くない。今の仕事は、隔日勤務のため、朝8時に自宅を出て、帰宅は翌朝5時。その日は仕事はなく翌日に備える。月に11~12稼働のため連休もあるが、休日が土日とは限らないので、今日が何曜日であるか分からなくなっている。仕事中の休憩時間は、最低3時間取ることが法的にも定められているが、仮眠する精神的余裕は、まだない。つまり一日おきに徹夜である。帰宅後は、布団で寝てしまうとリズムが狂うので、なるべく頑張って起きているが、睡魔との闘いで気が付くとうたた寝。それでも夜は爆睡で、翌朝は快調に目覚めて、また仕事に出かけている。こんな生活リズムにもだいぶ慣れ、帰宅時の早朝、きりっとした空気の中、達成感と充実感に満ち溢れた感じは、徹夜で写真撮影に行って良い風景に出会えた時に似ている。蒲...蒲生の棚田

  • ビーナスベルト

    ビーナスベルトとは、早朝や日没後の薄明の20分程度の間、太陽とは逆側の空にピンク色の帯がかかる現象である。大気が安定し澄み渡った晩秋から冬にかけて見られることが多い。くすんだアッシュピンクやオレンジ色がかったピンク、紫がかったピンクなど様々な色合いがあり、色やベルトの幅は、時間とともに変化していく。ベルトの下の藍色に染まった部分は、地球の影である。ビーナスベルトは、ピンク色がローマ神話の愛と美の女神「ビーナス」を象徴する色であるために名付けられたが、スピリチュアルな意味もあるという。バランスと調和、新しい出発や変化が始まることを象徴しており、新たに何かをスタートすることで、女神がもたらすような幸福に導かれるらしい。ビーナスベルトを目撃したら「新しいことを始めると成功に繋がる」かもしれない。ホタルの生態と生...ビーナスベルト

  • 紅葉の帳(もみじのとばり)

    秋といえば紅葉。様々な色彩に染まった紅葉の帳は、私たちの心を癒し、感動を与えてくれる。欧米では、紅葉する落葉広葉樹は約13種類ほどで単色が多いようだが、日本には26種類あることや、気候風土が生み出す鮮やかな色彩と多彩が織りなすグラデーション、自然と調和した景観美が他の国では見られない壮大な景観を作り出しており、世界一美しいと言われる。しかしながら、美しい紅葉も植物学的にみれば、木々が生き残るための戦略の1つにしか過ぎない。夏の間、葉は光合成で栄養をとり込み、樹木の為に供給し続けるが、秋になり日照時間が減ると光合成で作られる栄養も徐々に減少し、やがて導管が凍ることで、水が流れにくくなったり、気泡によって導管の水の流れが遮断される。このエンボリズム現象がおきると葉にはエネルギーも水分もいかなくなってしまう。葉...紅葉の帳(もみじのとばり)

  • 夢氷(むひょう)

    最近、夢をよく見る。というより、見た夢を覚えていると言った方が正しいだろう。その内容は様々で、決して悪夢ではないのだが、行ったこともないような場所に、かつての知り合いたちとともに出かけているような夢が多く、ストーリー性があるものだ。夢は「今まで見聞きした情報を整理し、記憶として定着するため」に見ているのだと言われている。最新の研究では「最近の研究では、レム睡眠、ノンレム睡眠にかかわらず、夢を見ている」と言われ、「私たちは眠っているかぎりつねに夢の世界にいる」と言い、レム睡眠中は「実体験に近い夢」「ストーリーのある夢」、ノンレム睡眠中は「抽象的で辻褄が合わない夢」を見ていることが多いらしい。私のように夢をはっきり覚えているという事は、起きる直前に見た夢を覚えているとのことだが、眠りが浅く脳がしっかり休めてい...夢氷(むひょう)

  • マダラナニワトンボの連結飛翔と産卵

    マダラナニワトンボの連結飛翔と産卵の撮影を行った。マダラナニワトンボSympetrummaculatumOguma,1915は、トンボ科(FamilyLibellulidae)アカネ属(GenusSympetrum)で、体長32~38mm程度、黒色に淡黄色斑を有し。成熟しても赤くならない黒味の強い赤とんぼである。日本固有種で、平地から丘陵地の抽水植物が繁茂し、遠浅で開放的な樹林に囲まれた水質のよい池沼などに生息しているが、全国的に姿を消している。環境省版レッドリスト2020では絶滅危惧ⅠB類(EN)として記載され、都道府県版レッドリストにおいては、16の府県で絶滅危惧種としている。2000年頃では本州および四国の香川県に分布し産地が点在していたが、京都、大阪、岡山、広島では絶滅し、2015年に確認された生...マダラナニワトンボの連結飛翔と産卵

  • 滝雲

    滝雲は、新潟県魚沼市の枝折峠(しおりとうげ)で見られる自然現象。“雲”が山々を越え、”滝”のように流れ落ちているように見えることから「滝雲」と呼ばれている。雲海の発生するスポットは全国にいくつもあるが、スケールの大きな滝雲が見られる場所は、枝折峠をおいて他にないと言っても過言ではないだろう。過去には、2022年9月25日に訪れて撮影し「枝折峠の滝雲」として当ブログで紹介しているが、規模が小さく望遠レンズでしか撮っていなかったことから、今回、再び枝折峠を訪れた。滝雲は、発生の条件が限られ、いつ訪れても見られるわけではない。湿度が高く、昼夜の温度差が15℃以上と大きく、夜は風のない晴天でなければならない。その条件が合致すると、夜間から明け方に枝折峠の東側にある奥只見湖から銀山平にかけて霧が発生し、深い谷間に霧...滝雲

  • 紫金山・アトラス彗星

    紫金山・アトラス彗星(C/2023A3)は、2023年1月に発見された彗星で、2024年9月27日(世界時。日本時では28日)に近日点を通過し、9月下旬には日の出前の時刻に東の低空で、地球への最接近する10月12日(世界時。日本時では13日)頃は、夕方に西の空の低い位置に見ることができる。これまでネオワイズ彗星やZTF彗星、ポン・ブルックス彗星がやってきたが、天候などの理由からまったく撮ることができなかった。唯一、2021年12月にレナード彗星は撮ることができたが、証拠程度のものであり、いつかは美しい彗星を撮りたいと思っていたところ、紫金山・アトラス彗星を撮れるかもしれない大チャンスがやってきたのである。9月に就職した仕事の関係で、写真撮影の遠征ができず、ようやくこの三連休は出かけることができるようになっ...紫金山・アトラス彗星

  • 樺の風景

    今年の4月に28年間勤めた会社を定年退職し、しばらく自由にさせてもらっていたが、この9月から別の会社に就職した。未経験の職種で、今は研修と勉強の毎日である。そのため、今月は下旬まで撮影に出かける精神的余裕がないので、しばらくは過去に撮影した写真をテーマごとにまとめて掲載したいと思う。今回は、好きな風景の1つで、白い幹や樹形に魅了される樺の風景を集めてみた。樺(カンバ)とは、カバノキ科(FamilyBetulaceae)の植物の総称である。6属150種ほどの落葉樹からなるが、「樺」という漢字から連想するカバノキ属(GenusBetula)は、日本に約10種があり、高原の木として知られる白樺(シラカンバ)や亜高山帯の岳樺(ダケカンバ)が代表的であろう。白樺は爽やかな高原のイメージを生むことから「高原の白い貴公...樺の風景

  • 日本の星空

    日本の星空を各地で撮影し、このブログに写真やタイムラプス動画を掲載してきた。撮影機材は星景撮影には不十分であり、どの画像も美しいとは言えない。星空を専門に撮っておられる方々に比べれば恥ずかしいものばかりであるが、写真を並べてスライドショー動画を作ってみた。以下の動画は1920×1080ピクセルのフルハイビジョンで投稿しています。設定をクリックした後、画質から1080p60HDをお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。StarryskiesofJapan(動画の再生ボタンをクリックした後、設定をクリックした後、画質から1080p60HDをお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます)----------------------------------------------...日本の星空

  • ヤマキチョウ

    ヤマキチョウGonopteryxrhamnimaximaButler,1885は、シロチョウ科(FamilyPieridae)モンキチョウ亜科(SubfamilyColiadinae)ヤマキチョウ属(GenusGonepteryx)のチョウで、国外では北アフリカから中国、朝鮮半島にかけて分布し、岩手県、長野県、山梨県、岐阜県に分布するが、極めて局所的であり、アザミ類やマツムシソウが生育する乾燥した広く明るい標高1,000m以上の高草原地帯に生息している。幼虫の食草は、本州(中部以北)の山地や高原に生える落葉低木であるクロツバラのみで、成虫は8月上旬頃から出現し9月中旬頃まで見られる。年一化で、初夏から夏に羽化した成虫はそのまま越冬し、翌年の5月から7月頃にかけ産卵する。翅を開くと(開帳)60~75mmほど...ヤマキチョウ

  • 夏の終りのハーモニー

    夏の終りのハーモニーといえば、1986年にリリースされた井上陽水と安全地帯とのコラボレーション・シングルを思い浮かべる方々が多いかも知れない。私も好きな1曲だ。お二人の美しい歌声とハーモニーに心揺さぶられるが、「夢もあこがれも違う二人だからこそ奏でられるハーモニー。この想い出は、いつまでも忘れない」・・・夏とともに終わる恋の歌である。夏は恋の季節である。昆虫たちだけでなく、私たちもそうのようだ。フェロモンやテストステロンというホルモンが関係しているらしい。燃え上がる恋、甘酸っぱい恋、切ない恋、爽やかな恋、人様々であろうが、フェロモンやホルモンの発散や上昇が抑えられる秋になると散ってしまうこともある。幸い、今年の5月で結婚33年目を迎えたが、10代の頃を振り返れば、夏の終りは切ない思いばかりであった。山下達...夏の終りのハーモニー

  • ホソミモリトンボ

    ホソミモリトンボSomatochloraarctica(Zetterstedt,1840)は、エゾトンボ科(FamilyCorduliidae)エゾトンボ属(GenusSomatochlora)で、2011年7月に尾瀬ヶ原で見たのが最初であるが、証拠にもならない写真しか撮れなかった。その後、毎年のように別の生息地の探索を続け、十カ所以上を何度となく訪れ、2021年には上高地の田代湿原で目撃したが、場所柄、撮影はできなかった。そして昨年、これまでの経験と知識から自力で撮影可能な生息地を見つけ、今年も含めて8回訪問し、のべ58時間にわたって観察と写真撮影を行った。本記事は、その生息地における結果をまとめたものである。(他の生息地でも同一であるとは限らない)観察と写真撮影を行った生息地は乾燥化が進んでおり、この...ホソミモリトンボ

  • "Danse de l'amour" of fireflies

    "Dansedel'amour"offireflies/邦題「届いておくれ、愛の光よ」ホタルが舞う季節は終わったが、外国の方々向けに、これまでに日本各地(岩手県から高知県まで)で撮影したホタルの写真をスライドショー動画にまとめてみた。Firefliesglowtocourttheirpartners.InJapan,firefliesnotonlyliveintheforests,butalsoflyovertheriversin"SATOYAMA".FeelthehealingpowerofJapanesenatureasyouwatchthefirefliesdance.Thefireflyscenery,whichcanonlybeseeninJapan,isapartofJapanesecultu..."Dansedel'amour"offireflies

  • シータテハとエルタテハ

    シータテハとエルタテハ。CとL。後翅裏の白紋の形から付けられた何ともユニークな和名である。先日、久しぶりにシータテハを見かけて撮影したので、和名も形態も似通った両種について比較してみた。まずは分類であるが、どちらもタテハチョウ科(FamilyNymphalidae)ではあるものの、シータテハはキタテハ属GenusPolygoniaで、エルタテハはタテハチョウ属GenusNymphalisである。分布や生息環境も似ており両種ともに成虫で越冬するが、シータテハは年に2回程度発生し、夏型と秋型の季節型がある。キタテハ属GenusPolygoniaシータテハPolygoniac-albumhamigera(Butler,1877)タテハチョウ属GenusNymphalisエルタテハNymphalisvaualbu...シータテハとエルタテハ

  • ホソミモリトンボの交尾態

    ホソミモリトンボの交尾態を撮影することができた。ホソミモリトンボの生息地には、今季4回目、昨年から合わせて8回目の訪問。この日は朝6時から待機した。天候は晴れで気温は18℃。7時過ぎにオスが1頭飛来したが、すぐに遠くへ飛んで行ってしまった。その後、8時半頃からは厚い雲がかかり、太陽が照らないと寒いほどの状況が1時間ほど続き、その間はまったく飛来することはなかった。晴れ間が広がってからも、時折、雲に太陽が隠れ、朝から快晴の日よりも気温の上昇が穏やかであった。今回の大きな目標は、ホソミモリトンボの交尾態を撮ることであった。そのための方法としては2つ。1つは、周囲の木々を隈なく見て回り、枝に止まっているところを探す。もう1つは、産卵に来たメスをオスが捉えた後、タンデムとなって飛んでいくところを目で追いながら、止...ホソミモリトンボの交尾態

  • ホソミモリトンボの産卵

    ホソミモリトンボの本州における貴重な生息地の1つにおいて、昨年から観察と撮影を続けており、今回、7回目の訪問で産卵の様子を撮影することができた。(前回6/26の訪問では、観察のみで写真は撮れなかった)ホソミモリトンボのメスは、どこからともなく現れ、湿原の上を低空で飛翔しながら産卵に適した場所を探す。茂みが少し開けた場所に降りるが、水がないと分かると、すぐに飛び立ち移動する。どの個体も産卵する場所は同じであり、湿原の中を蛇行しながら流れる幅30cmほどの流れである。ただし、流れは草で覆い隠されており、周囲より幾分草が少ないことで分かる程度である。茂みで身を隠すことができる場所でしか産卵しない。飛来したメスは、その茂みの中に降りていき、草につかまって尾部先端を水中に入れて産卵する。(写真2、3)短いと5秒程度...ホソミモリトンボの産卵

  • コシボソヤンマ

    コシボソヤンマBoyeriamaclachlani(Selys,1883)は、ヤンマ科(FamilyAeshnidae)コシボソヤンマ属(GenusBoyeria)で、北海道・本州・四国・九州(種子島、屋久島)に分布し、6月下旬から9月末ころまで見られる。朝と夕方に活発に活動する黄昏ヤンマで、和名の由来となっている腹部第3節の「くびれ」が著しいことが本種の特徴である。ミルンヤンマPlanaeschnamilnei(Selys,1883)と共に数少ない流水性種のヤンマで、低山地、丘陵の麓から平地にかけての樹林に囲まれた薄暗い砂礫底の細流や涌水池の砂泥底に生息している。ミルンヤンマと同所的に見られることもあるが、本種の方がより低地の穏やかな流れを好む傾向がある。人々の生活圏に近いこともあり、河川改修、湧水の不...コシボソヤンマ

  • ハネビロエゾトンボ(ホバリング)

    ハネビロエゾトンボは、2012年に千葉県、2020年と2022年に栃木県で撮影し当ブログにも掲載しているが、産卵の様子は未撮影で、飛翔に関しては、真横からのカットはピントが甘く、ジャスピンのものは斜め後ろからで複眼と胸部の色彩が分からないものばかりであった。これは、生息地がかなり暗い場所であったり、小川に近づけなかったり、個体数が少ないなどの理由による。今年は、何とかして複眼の先の触角から尾部付属器までピントが合っていて他種との区別ができ、エゾトンボ科らしい金属光沢の色彩を写して残したい。しかしながら、ハネビロエゾトンボは、北海道から九州まで分布しているが、環境省版レッドリスト(2020)では絶滅危惧Ⅱ類として記載され、都道府県版レッドリストでは、何と40の都道府県で絶滅、絶滅危惧Ⅰ類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶...ハネビロエゾトンボ(ホバリング)

  • オオムラサキ

    オオムラサキSasakiacharondacharonda(Hewitson,1863)は、タテハチョウ科(FamilyNymphalidae)コムラサキ亜科(SubfamilyApaturinae)オオムラサキ属(GenusSasakia)に分類されるチョウで、日本の国蝶である。本種は最初に日本で発見され、学名のSasakiaは佐々木忠次郎博士に献名された。ちなみに、国蝶は、法律や条例で規定されたものではなく、1956年にオオムラサキが記念切手の図案に採用されたことを契機として、その翌年に日本昆虫学会が選んだものである。勇ましく、堂々としていて、華麗である事と日本中に分布していることが理由に挙げられている。日本では北海道から九州まで各地に分布し、翅を広げると10センチ以上あり、日本に分布するタテハチョウ...オオムラサキ

  • 猛暑日はマルタン・ネアカ

    一日の最高気温が摂氏25度以上の日を「夏日」、30度以上の日を「真夏日」、35度以上の日を「猛暑日」と言うが、ここ数日は連日の猛暑で、10年に一度の暑さであるという。昼間は、屋外での運動は危険であり、冷房の効いた室内にいたい。しかしながら、こんな暑い日だからこそ虫撮りに出掛けてしまう。目的は、そう、吸い込まれそうなくらい青い眼が美しいマルタンヤンマである。暑い日中はトンボも涼しい木陰の枝に止まっていて撮り放題なのである。2011年に撮影済(参照:マルタンヤンマ)だが、久しぶりに会いたくなった。目的地までは、自宅から車で40分ほど。午前9時半に到着したが、気温はすでに35℃で容赦なく照り付ける太陽。黒い私の愛車のボンネットで、目玉焼きが作れるに違いない。ポカリスエットを買って、マルタンヤンマの生息域である池...猛暑日はマルタン・ネアカ

  • 山梨のヒメボタル(2009~2024)

    山梨のヒメボタル生息地(一ヵ所)には、2008年からほぼ毎年訪れ、観察と撮影を続けている。当地は標高およそ1,000mで、赤松林とブナ林に挟まれた急斜面の尾根であり、下草は極めて少ない。尾根道は地肌が見えており、豪雨があれば全て流してしまうような環境である。幼虫の生息調査も行ったが、幼虫も餌となる陸生巻貝も発見できなかった。これまで日本各地のヒメボタル生息地を訪れてきたが、このような環境の生息地は他では見たことがない。狭い範囲で様々な環境とヒメボタルの飛翔光景を観察できる貴重な生息地である。以下には、2009年から今年2024年の間に撮影した写真から9枚を選び、さらに動画1点を掲載した。1枚目は、ネガカラーフィルムでの撮影で、他はデジタルカメラで撮影したものである。成虫は、薄暮型で19時半頃にブナ林から発...山梨のヒメボタル(2009~2024)

  • ホソミモリトンボ(2024その1)

    ホソミモリトンボは、北海道と本州に生息しているが、本州での確実な生息地は数か所しかない。古い文献に掲載されている生息地も、実際に行って見た所、現在では尾瀬と上高地以外はほとんど絶滅状態であると言える。それは、高山性トンボであり、高層湿原にのみ生息していることで、温暖化と湿原の植生遷移により生息できなくなってきていることが原因と思われる。これまで、この極めて希少な種を写真に収めようと試みてきたが、尾瀬と上高地は撮影できる状況ではなく、探し始めて10年目の昨年に、ようやく間近で撮影できる生息地を自力で見つけることができた。当地には4回通い、オスの老個体の飛翔写真は満足できるレベルのもの残すことができた。(参照:ホソミモリトンボ(ホバリング))しかしながら、まだまだ課題を多く残しているため、今年も訪れることにし...ホソミモリトンボ(2024その1)

  • 東京のヒメボタル(ブナ林編)

    東京のヒメボタルの発生が始まって一週間。発生数の状況確認のため7月9日と同じ生息地を訪れた。結果から言うと、前回と発生数はほとんど変わらず、50mくらいの範囲で、30頭余りであった。杉林は間伐と下草狩り、ブナ林では乾燥が懸念材料であったが、12日金曜日には雨が降り、訪れた13日も夕方に雨が降ったので、乾燥が原因ならば発生数が増えるだろうと期待したが、思ったほど増えていなかった。ただし、メスが確認できなかったことから、まだこれからが発生のピークになる可能性もある。あるいは、ヒメボタルは成虫になるまで2年を要するため、小規模な生息地では2年周期で発生数が増減するため、今年は少ない年とも考えられるが、環境の急変で減少したならば、復活にはゲンジボタル以上に時間がかかる。飛ぶことができないメスが産卵する場所は局所的...東京のヒメボタル(ブナ林編)

  • 東京のヒメボタル(林道編)

    東京のヒメボタルの発生が始まった。多摩西部の標高700m以上の山間部には、居所的ではあるが、かなり広範囲にヒメボタルが生息している。2004年から観察を続けているが、どの生息地も概ね19時半頃から発光を始め、21時頃までの活動で、生息地ごとの標高やその年の気候によって発生の時期は多少差があるが、全体では7月6日から20日までの2週間が発生時期である。今回は、2021年から毎年定点観察を行っている生息地を訪れた記録である。当地は、標高1,000mを越えるブナとミズナラ、シラカンバの原生林と杉林からなる秩父多摩甲斐国立公園の一角である。知人T氏によれば、今年は7月7日から発生。前日夕方の雷雨が地上に出てくるためのサインとなったようである。例年では7月10日が初見日であるから、若干早いようである。翌日も観察に訪...東京のヒメボタル(林道編)

  • ホタルの谷(東京)

    ホタルの谷は、東京都内にもある。そういった名前の場所があるわけではなく、私が勝手にそう呼んでいるだけだが、多摩西部の標高約300mの山間部にある。吸い込まれそうな細い深谷の底を流れる渓流にゲンジボタルが生息しているのである。多摩地域は、2019年10月12日に通過した台風19号が1日で550mmを超える大雨を降らし、川は濁流と化した。10月一か月の平年降水量が200mm前後であるから、たった1日でそれを大きく上回る雨が降ったのである。これにより、各地で大きな被害が出たが、多摩西部の渓流に生息するゲンジボタルの幼虫やカワニナの多くが流され、翌2020年の発生は激減し、わずか数頭しか飛ばなかった。2022年7月4日に訪れた際は、5~6頭が飛翔しており復活の兆しが見え始めていた。そこで今年、7月2日と4日に様子...ホタルの谷(東京)

  • 沖縄のトンボたち(2024)

    3年連続の沖縄遠征(6/26~29)。今年は、自己満足の範疇であるが充実した4日間であり、コノハチョウ、カラスヤンマ、天の川という主要な撮影目標をすべて達成し、その他の昆虫、特にトンボ類に関しては多くの写真を撮ることができた。これは、過去2回の知識と経験があってこその成果であった。沖縄には、那覇市内に妹が移住して住んではいるが、時期になると自宅近くでホタルが出たと連絡があるくらいで、トンボチョウなどの生息場所を知っている訳でもない。また、現地に昆虫に詳しい知人もおらずガイドを頼むこともできない。したがって、トンボやチョウの生態や生息環境を学んだ上で、現地の自然環境をインターネットの情報やGoogleMapのストリートビューなどから調べて計画を立て、後は実際に行って見てみるしかない。過去2回これを繰り返し、...沖縄のトンボたち(2024)

  • オオキイロトンボ(飛翔と産卵)

    オオキイロトンボHydrobasileuscroceus(Brauer,1867)は、トンボ科(FamilyLibellulidae)オオキイロトンボ属(GenusHydrobasileus)で、沖縄本島の他、渡嘉敷島、久米島、石垣島、西表島に分布する国内のトンボ科では最大種である。平地や丘陵地の挺水植物がよく繁茂する池沼や水田・水路に生息している。翅全体が黄橙色に着色しており、後翅の広角部に褐色の部分があり、サイズと独特の翅の模様で他種とは簡単に区別できる迫力あるトンボである。オオキイロトンボは、昨年の7月7日に沖縄で撮影し本ブログに「オオキイロトンボ」として掲載しているが、タンデム飛翔2カットのみであった。そこで、今年も同じ生息地に行って、今回は2回訪問してみたところ、たいへん個体数が多く、朝7時頃か...オオキイロトンボ(飛翔と産卵)

  • カラスヤンマ

    カラスヤンマChlorogomphusbrunneusbrunneusOguma,1926は、ミナミヤンマ科(FamilyChlorogomphidae)ミナミヤンマ属(GenusChlorogomphus)のトンボで、沖縄本島北部のやんばる地域にのみ分布している。山間の渓流源流域に生息し、4月中旬~8月下旬(5月中旬~6月下旬に多い)に出現する体長70㎜~83㎜内外の大きなヤンマである。メスの翅がカラスのように黒褐色であることが名前の由来であるが、翅色には個体差があり、翅全体が黒褐色のものや透明部分が現れる個体もいる。ミナミヤンマ科は、国内では1属3種2亜種が分布しており、四国南部、九州南部、薩南列島、トカラ列島、奄美大島、徳之島にはミナミヤンマが、沖縄本島にはカラスヤンマとオキナワミナミヤンマが、慶良...カラスヤンマ

  • コノハチョウ

    コノハチョウKallimainachuseucercaFruhstorfer,1898は、タテハチョウ科(FamilyNymphalidae)タテハチョウ亜科(SubfamilyNymphalinae)コノハチョウ族(TribeKallimini)コノハチョウ属(GenusKallima)のチョウで、翅の裏面が枯葉のように見えることが和名の由来である。模様は個体変異が多く、1頭ずつ模様が異なると言ってもよい。コノハチョウ属はインド、東南アジア地域を中心に10種が知られ、コノハチョウは、インド北部からヒマラヤ、インドシナ半島、中国、台湾に、そして日本国内では沖縄本島、沖永良部島、石垣島、西表島、徳之島などの南西諸島の島々に分布しており、日本に分布するものは7亜種に内のKallimainachuseucerc...コノハチョウ

  • オキナワトゲオトンボ

    オキナワトゲオトンボRhipidolestesokinawanusAsahina,1951は、トゲオトンボ科(FamilyRhipidolestidae)トゲオトンボ属(GenusRhipidolestes)のトンボ。トゲオとは「棘尾」の意味で、オスの腹部第9節背面にトゲ状の小さな突起があることに因んでいる。昨年は、沖縄本島に分布する同属のヤンバルトゲオトンボRhipidolestesshozoiIshida,2005を撮影しているが、2005年までは、オキナワトゲオトンボとヤンバルトゲオトンボは、同一種のリュウキュウトゲオトンボとされていた。しかしながら、トゲオトンボ属の分類整理及び種の細分化がなされ、またDNAを使った分子系統解析が行われ、沖縄本島北部の山原(やんばる)だけに分布すえう種をヤンバルトゲ...オキナワトゲオトンボ

  • リュウキュウルリモントンボの青メス産卵

    リュウキュウルリモントンボの青メス産卵を撮影した。リュウキュウルリモントンボCoelicciaryukyuensisryukyuensisAsahina,1951は、2022年に沖縄を訪れた際、6月23日に撮影し本ブログ記事「リュウキュウルリモントンボ」として掲載しているが、今年は、青メス(オス型メス)の産卵シーンを撮ることができた。リュウキュウルリモントンボは、オスメスともに未成熟の時は黄色い体色で、オスは成熟に伴い体色が青く変化する。一方、メスは黄色のまま成熟する個体と、オスに似た青色になる個体がいる。青メス(オス型メス)は、ルリボシヤンマ属(GenusLuehdorfia)などでも表れる変異だが、環境要因による地理的変異と思われる。本種は、沖縄北部に広く分布しているが、青メス(オス型メス)が見られる...リュウキュウルリモントンボの青メス産卵

  • 沖縄辺戸岬から天の川

    沖縄辺戸岬から天の川を撮ってきた。3年連続三泊四日の沖縄遠征。今年は、6月26日(水)から29日(土)の期間、昆虫は、これまで撮れなかったカラスヤンマとコノハチョウ、風景では天の川を主な撮影目的として行ってきた。昨年同様に成田空港から8時10分発のジェットスターGK337便に搭乗し、那覇11時15分着。レンタカーでやんばるを目指し、各種トンボを撮影後に天の川撮影を行ったが、一昨年は国頭郡今帰仁村の古宇利島から撮影し(沖縄の天の川)、昨年は、東村の高江展望台から撮っている。(七夕の天の川(沖縄にて))今年はどこから撮ろうかと、色々と悩んだ結果、沖縄本島最北端の辺戸岬(へどみさき)から撮る事にした。なぜなら、沖縄本島で一番暗い空だからである。空の暗さを評価する値ボートル・スケール(TheBortlescale...沖縄辺戸岬から天の川

  • 岐阜県郡上市の和良蛍

    岐阜県郡上市の和良蛍を、今年も観察し、写真と動画を撮影してきた。和良町は、和良川や鬼谷川などに国の特別天然記念物に指定されているオオサンショウウオが生息していることで有名だが、ゲンジボタルも見ることができる。地元では和良蛍と呼んでおり、おそらく本州一の発生数であろう。鬼谷川の東野地区では、およそ1kmにわたって1,000頭以上のゲンジボタルが乱舞し、2つの違った景観を見ることができる。1つは、ファブリダムによって流れが穏やかになる場所では、平面的ではあるが対岸で乱舞するゲンジボタルの光が水面に映り、光の数が2倍になって見える。一方、川の蛇行を正面から見る下流の場所では、ゲンジボタルの舞いが立体的に見えるのである。どちらも西日本型ゲンジボタル特有の2秒間隔の発光で、一斉に集団同期明滅する様は圧巻である。和良...岐阜県郡上市の和良蛍

  • オオミドリシジミ

    オオミドリシジミFavoniusorientalisorientalis(Murray,1875)は、シジミチョウ科(FamilyLycaenidae)ミドリシジミ亜科(SubfamilyTheclinae)ミドリシジミ族(TribeTheclini)オオミドリシジミ属(FavoniusSibatani&Ito,1942)で、ゼフィルス(Zephyrus)と呼ばれている樹上性のシジミチョウの一種である。当ブログPartⅡにおぴて単独で掲載したことがなかったため、今回、過去の撮影であるが紹介したい。本種は、平地~山地の広葉樹林に生息しており、幼虫の食樹は、コナラ、クヌギ、ミズナラなどで、成虫はクリの花などで吸蜜することもある。オスの翅表が青緑に輝く一群であるオオミドリシジミ(Favonius)属の中では、本...オオミドリシジミ

  • ただ撮っただけのトンボ写真

    8月末までは、主にこれまで撮ることができなかった自然風景や撮り直しも含めた昆虫写真の撮影でスケジュール表が埋まっており、5月末までは、必ずしも予定通りではなく、また自己満足の範囲ではあるが、それなりの結果は出してきた。スケジュール的には、今月と来月がメインで、ホタルの観察と撮影を中心としてチョウやトンボ等の写真撮影を予定しているが、ホタル以外は、なかなか予定通りには進んでいない。天候と発生のタイミングもそうだが、予定したにも関わらず、間際で取りやめていることが多い。撮りたい被写体はほとんどが遠方のため、1度の遠征でいくつもの被写体をセットにすることが多い。今回は、当初、車中泊で大阪にてチョウを撮影し、その夜は岐阜でホタル。そのまま富山まで移動して早朝からチョウ、夜はホタル。徹夜走って帰宅。という計画を立て...ただ撮っただけのトンボ写真

  • 秩父のヒメボタル

    秩父のヒメボタル秩父のヒメボタルは、数年後には絶滅するかもしれない。秩父のヒメボタル生息地には、2010年から訪れている。当時、秩父にヒメボタルが生息していると言う話を聞き、長年の勘で生息していそうな場所を夜間に一人で探索したところ、農家の庭先で発光している数頭のヒメボタルを見つけた。その付近を歩いて探していると、何も植わっていない単なる草地で無数のヒメボタルが乱舞している所を発見。時刻は、午前1時を過ぎていた。それまでは、東京奥多摩の山奥の杉林でしか見たことがなく、「森のホタル」と言われていたヒメボタルが開けた草地で飛び交う様に驚いたものである。その後、毎年訪れては観察と撮影をし、メスの形態、特に前胸部の赤斑が特徴的であることも分かった。(参照:ヒメボタルの生態と生息環境)その頃は、カメラマンは勿論のこ...秩父のヒメボタル

  • 野川に生きるホタル

    野川に生きるホタルを今年も観察し、写真と動画を撮ってきた。水面に光が映る様子を残すという目的は達成できた。野川は、東京都調布市、小金井市、三鷹市にまたがる都立野川公園の北地区を流れており、ゲンジボタルが生息している。元々は、隣接する野川公園自然観察園内で発生していたが、今ではホタル自ら生息範囲を広げて野川の本流でも発生するようになった。野川は、冬季に渇水することがあるが、年々、ゲンジボタルの生息に不可欠な物理的環境が整い、ゲンジボタルの飛翔数も増加している。西日本型のゲンジボタルではあるが、優雅な光景に心から癒される。私の自宅から車で20分ほどで行ける場所で、昨年は5月28日に訪れた。今年は29日に訪れたが、すでに発生のピークに達していた。野川のゲンジボタルは、都内で一番早い自然発生地の1つであり、例年5...野川に生きるホタル

  • サラサヤンマ

    サラサヤンマSarasaeschnapryeri(Martin,1901)は、ヤンマ科(FamilyAeshnidae)サラサヤンマ属(GenusSarasaeschna)のヤンマである。サラサヤンマは北海道から屋久島にまで分布し、丘陵地や低山地のほとんど水のない小さな湿地や休耕田などに生息しており、体長が6cm程で、ヤンマの仲間ではかなり小さい。関東では5月初め頃に羽化して、雑木林の中で過ごした後、成熟する5月下旬頃に湿地に戻ってくる。幼虫は、草に覆われた湿地内の、僅かに水の溜まった場所で、泥の上に落ち葉が堆積したような所で生活しているようであるが、まだ、生態の詳細は解明されてはいない。サラサヤンマは、環境省版レッドリストに記載はないが、都道府県版レッドリストでは、東京都、神奈川県、群馬県、長野県のRD...サラサヤンマ

  • ヒメボタル(中部地方)

    2024年最初のヒメボタルの観察は、初訪問の中部地方の生息地にて行ってきた。ヒメボタルは、すでに高知県などでは5月上旬から発生しており、関東東海でも例年通り6月上旬から7月中旬にかけて様々な場所で発生すると思われ、今年も毎年訪れている生息地にて、生息環境や発生状況の確認、更にはこれまで訪れたことのない場所でも観察を行いたいと思っているが、今年最初のヒメボタルの観察は、初訪問の中部地方を選んだ。カメラマンは勿論、地元の方の鑑賞者も誰一人来ない所である。ヒメボタルの生息地は、標高およそ50mで、市街地からさほど遠くない所にある山のふもとの雑木林である。近くには畑や竹林もあり、かなり広範囲に飛翔する。深夜型であり、概ね23時から翌2時頃まで活発に発光飛翔する。現地では18時から環境を細かく調査し、日の入りを待っ...ヒメボタル(中部地方)

  • 大台ヶ原から天の川

    大台ヶ原から天の川の撮影を行った。大台ヶ原は、紀伊半島の南東、奈良県と三重県の境にある日出ヶ岳(1,695m)を最高峰とする台地状の山地である。大台ヶ原山全体が特別天然記念物に指定されている日本百名山のひとつ。日本百景や日本の秘境100選にも選ばれており、吉野熊野国立公園の特別保護地区にも指定されている。4月中旬から山開きされ、11月下旬までの間、四季折々の風景を堪能できる。また、有名な星空スポットであり、満天の星を楽しめる場所でもある。大台ヶ原から天の川の光景は、以前から一度は行って見たいと思っており、GW頃に計画はしていたもののGW期間中は事情により出掛けることができず、その後も、躊躇していた。まずは、遠いこと。自宅からの距離は550kmほどだが、180kmは一般道を走らなければならず、所要時間は8時...大台ヶ原から天の川

  • ゲンジボタルの幼虫上陸(東京)

    ゲンジボタルの幼虫上陸の様子は、これまで各地で観察し撮影してきたが、今回、初めて東京都内のゲンジボタル生息地で観察し、写真に記録として残すことができたので掲載したいと思う。ゲンジボタルの幼虫は、およそ8か月から個体によっては3年8か月の水中生活を終え終齢に達すると、陸地で蛹になるために上陸をする。その時期は、全国各地の生息地ごとにおおよそ決まっており、その時期に達して以下に示した細かな基本的条件が合致した夜に上陸が行われる。(飼育して放流した幼虫は体内時計が狂っており、以下の条件とは関係なく上陸する場合がある。)ゲンジボタルの幼虫上陸の基本的諸条件日長時間が、12~13時間であること。上陸時の気温が、水温より高い、もしくは約10℃以上であること。降雨であること。(または降雨後で陸地が十分に濡れていること。...ゲンジボタルの幼虫上陸(東京)

  • 白川湖の水没林

    白川湖の水没林を撮影してきた。自然風景写真は4月に桜を撮って以来だが、随分と久しぶりのような気がする。白川湖は、山形県西置賜郡飯豊(いいで)町にある。最上川の治水、周辺のための水のコントロール、水力発電などに利用される「白川ダム」によって造られた人造湖である。白川湖に春先の雪解け水が大量に流れ込んで満水になると岸辺が水没し、生えているヤナギなどの木々が水の中から生えているかのような光景が見られる。いわゆる水没林である。飯豊町は、木々が芽吹く前の残雪がある3月下旬~4月中旬を「白の水没林」、新緑の季節を「緑の水没林」と命名し、パンフレットやWeb等でPRに力を入れている。この光景は、5月下旬になると田植えのためにダムの水が放水されて水位が下がり、林に戻ってしまうので、全体でおよそ2か月間限定である。似たよう...白川湖の水没林

  • 浄土平で天の川撮影

    浄土平で天の川を撮影してみたのだが、気温2℃で物凄い強風。耐えきれず、わずか数分で撤退したため、良い結果は得られなかった。GW期間中の渋滞と混雑を避けるため、GW後の平日において、天気の良い日を待って東北に出掛けてきた。一番の目的は、次の投稿記事で紹介したいと思うが、折角、東北に行くのだからと、目的地に向かう途中で天の川が撮れる良い場所はないかと探し、浄土平から撮ってみることにした。浄土平は、福島県福島市にある全長約29kmの磐梯吾妻スカイラインの中間あたりに位置する標高1600mの高山地帯で、磐梯朝日国立公園の特別保護地区にも指定されており、高山植物や野鳥、星空観察にも最適だと言われている。ちなみに磐梯吾妻スカイラインは、4月23日に冬期通行止めが解除されたが、5月7日までは、17時から翌朝8時までは夜...浄土平で天の川撮影

  • ムカシトンボ

    ムカシトンボEpiophlebiasuperstes(Selys,1889)は、トンボ目(Odonata)均翅不均翅亜目(Anisozygoptera)ムカシトンボ科(FamilyEpiophlebiidae)ムカシトンボ属(GenusEpiophlebia)に分類されるトンボである。トンボは、系統上から大きく3つのグループに分類されている。1つは、イトトンボやカワトンボ等の4枚の翅の形がほぼ同じ均翅亜目で、2つ目は、アキアカネやヤンマ等の前後の翅の形が異なる不均翅亜目、そして3つ目が、ムカシトンボの均翅不均翅亜目である。ムカシトンボは、均翅亜目でも不均翅亜目でもなく両方の特徴を持っていて、2つの亜目のつながりを示している。同じ特徴をもつ化石が1億5千万年前~2億年のジュラ紀や三畳紀の地層から出土すること...ムカシトンボ

  • ホソミイトトンボ

    ホソミイトトンボについては、これまでに本ブログにて産卵や越冬に関して写真も併せて載せており、今回、新たな知見はないが、前記事の「ホソミオツネントンボ」の産卵を観察し記録した水田にて、本種の産卵の様子を写真撮影し、動画にも収めたので、改めて掲載したいと思う。ホソミイトトンボAciagrionmigratum(Selys,1876)は、イトトンボ科(FamilyCoenagrionidae)ホソミイトトンボ属(GenusAciagrion)で、もともと千葉県南部、静岡以西の本州、四国、九州が主な分布域の南方系のイトトンボであったが、年々北上し、東京都、埼玉県では普通に見られるようになっており、新潟県や石川県、福島県、栃木県、茨城県、長野県でも単発的な記録がある。近くに雑木林がある平地や丘陵地の挺水植物が繁茂し...ホソミイトトンボ

  • ホソミオツネントンボ

    ホソミオツネントンボは、当ブログの記事「成虫で越冬するトンボ」で紹介しているが、単独での掲載はなく、またこれまで産卵の様子を撮影していなかったため、今回、産卵の撮影を行い、以下に過去の写真とともにまとめた。ホソミオツネントンボIndolestesperegrinus(Ris,1916)は、アオイトトンボ科(FamilyLestidae)ホソミオツネントンボ属(GenusIndolestes)で、当ブログの記事「オツネントンボ」と同様に成虫で越冬するトンボである。ちなみに、成虫で越冬するトンボは3種のみで、他はホソミイトトンボである。(参照:成虫で越冬するトンボ)本種は、北海道、本州、四国、九州に分布するが、オツネントンボよりも寒さに弱く、北海道では極めて局所的で、東北地方でも数は多くない。平地~山地の抽水...ホソミオツネントンボ

  • ホソオチョウと外来種問題

    ホソオチョウに関して、本ブログ(PartⅡ)にて単独で紹介したことがなかったことから、これまでに撮影した写真を再現像し掲載するとともに外来種問題について考えたい。ホソオチョウSericinusmontelaGray,1853は、アゲハチョウ科(FamilyPapilionidae)ウスバアゲハ亜科(SubfamilyParnassiinae)タイスアゲハ族(TribeZerynthiini)ホソオチョウ属(GenusSericinus)に属する1属1種を構成する小形のアゲハチョウの仲間だが、原産地は東アジア一帯で、ロシア沿海州、中国、朝鮮半島である。元来、日本にはいないチョウであるが、1978年の東京都日野市百草園で最初に確認された。その理由は、"人為的な放蝶"であり、韓国から持ち込まれたと言われている。...ホソオチョウと外来種問題

  • アゲハから教わる

    アゲハPapilioxuthus(Linnaeus,1767)は、アゲハチョウ科(FamilyPapilionidae)アゲハチョウ亜科(SubfamilyPapilioninae)アゲハチョウ族(TribePapilionini)アゲハチョウ属(GenusPapilio)アゲハチョウ群(xuthusgroup)のお馴染みのチョウである。アゲハチョウとも呼ばれるが、この呼び名は他のアゲハチョウ亜科のチョウとの混称や総称として使われることも多く、図鑑等では「アゲハ」あるいは「ナミアゲハ」としていることから、本ブログでは「アゲハ」と表記した。アゲハは、北海道から沖縄まで広く平地に生息しており、地域にもよるが3~10月くらいまで飛んでおり、都会の真ん中でも見ることができる最もポピュラーな存在である。幼虫の食草は...アゲハから教わる

  • 若葉

    若葉は、春に芽吹いてまだ間もないころの柔らかい葉を指す。新緑も好きだが、このまだ若い木々の色が好きで、いつもカメラを向けてしまう。百花繚乱の賑わいがひと段落した雑木林は、若葉色で蔽われる。と言っても、一色ではない。そこには木々1本1本の限りない濃淡の差や明暗のニュアンスがある。そして、それらが調和し瑞々しい風景を作り出しているが、この若葉の時は、短い。生命力あふれる木々の葉は、成長して青々と茂る青葉になり、雑木林はより一層生気に満ちた色彩へと変わっていく。その瞬間瞬間の素晴らしさに惹かれているのだろう。若葉という言葉は、木々の葉だけでなく、若者や子供、新しさなど、様々なものを表現する際にも使われる。私がすぐに思いつくのは、車の免許を取得したばかりの方が付ける初心者マーク(若葉マーク)。他にも保育園や幼稚園...若葉

  • ほたる出現予想(2024)

    ほたる出現予想2024を、民間の気象情報会社㈱ウェザーニュースが4月11日に公式Webサイトにて発表した。(ウェザーニュースほたる出現予想2024)それによると、2024年の傾向として「高温傾向で例年並み~やや早く出現西日本や東日本では5月中旬から出現ピーク」だと言う。その理由として「冬の終わり頃から春にかけての気温が高いほど、飛び始める時期も早くなる」とし、都道府県別のほたる出現傾向のページでは、「2024年のほたるの見頃予想日を都道府県別にズバリお伝えする」と言い切っている。東日本では、「東日本のほぼ全域で5月下旬までに飛び始め、5月中旬~6月上旬に出現ピークを迎える予想。東京など関東南部でも5月下旬には出現ピークとなる。」らしい。東京に関しては、5月13日を出現開始とし、5月27日をピーク開始として...ほたる出現予想(2024)

  • 春の里山散策

    ムカシトンボ探索東京都内にもムカシトンボが生息しており、羽化の季節となった。ところが、地域によっては激減している。その大きな理由が大雨である。2019年10月12日。過去最強クラスの台風19号が大型で強い勢力を保ったまま伊豆半島に上陸し、中でも静岡県や関東甲信越、東北地方ではこれまでに経験したことのないような記録的な大雨が降り、大規模な河川氾濫や土砂災害に見舞われた。東京の西多摩地域では、他の月の、月間降水量より多い384.5mmが、たった1日で降ったのである。この雨により、山地の渓流は人よりも大きな岩が流れ、崩落も起きた。当然、水生昆虫の多くが流されてしまい、ゲンジボタルでは、翌2020年の発生はほとんどなかった。それでも一昨年からゲンジボタルは徐々に復活してきたので、2017年以降にまったく観察してい...春の里山散策

  • 桜、散る

    桜、散る・・・"桜は散り際が最も美しい"と言われているが、果たして、そうだろうか?東京の桜は、平年より5日遅い3月29日に咲き始め、4月4日に満開となり、都心では既に「桜、散る」ところがほとんどである。"桜散る"この文言を聞くと思い出すのは、高校と大学受験である。受験で不合格になったことを表しているのだ。幸い第一志望校には合格(桜咲く)であったが、何校かは不合格で、試験会場に合格発表を見に行き、自分の受験番号がないのを目の当たりにした時の気持ちは言い表せない。努力の結果が実を結ばず、自分の人生が左右されるのだから、宝くじの当選番号を違って"桜散る"の一言では済まされないこともあろう。ちなみに、この言葉が使われ始めたのは1950年代で、早稲田大学の学生が始めた合否電報が最初だったらしい。かつての電報は、カタ...桜、散る

  • 赤上がりのギフチョウとヒメギフチョウ

    日本各地で、ギフチョウとヒメギフチョウが舞う季節になってきた。今回は、個体変異での1つである赤上がりのギフチョウとヒメギフチョウを紹介したい。ギフチョウとヒメギフチョウが属するギフチョウ属は、強い飛翔力がなく他の生息地との行き来がないため、小さな地域個体群ごとに翅形や翅のサイズ、前後翅の黄色条または黒色条の幅、後翅肛角部の赤斑、斑紋の細部形状などに違いがある地理的変異が知られているが、同一地域個体群の中でも常染色体劣性遺伝により引き継がれている形質もある。赤上がりもその1つである。「赤上がり」とは後翅表面の遠位内側にある大きな赤紋以外に小さな赤紋が黒帯の内側に沿って現れる個体変異で、蝶の愛好家の中で言われている愛称である。どこの地域の発生地でも生じる一般的な変異だが、群馬県や長野県などの一部では、色が薄く...赤上がりのギフチョウとヒメギフチョウ

  • わに塚の桜

    わに塚の桜は、山梨県韮崎市にある「わに塚」の上に立つ一本桜で、樹齢約330年、根回り3.4m、樹高17mのエドヒガンザクラで、平成元年に韮崎市の天然記念物に指定されている。ちなみに、エドヒガン(江戸彼岸)は、古くから日本の山野に自生していた野生種で、江戸でお彼岸のころに花が咲くところから名付けられたと言われている。「わに塚」の名の由来については、桜の脇にある案内板に2つの説が書いてある。1つは、甲斐国志によれば、お詣りするときに使う神社の神具・鰐口(わにぐち)に似た形の塚だったことから名付けられたという説。もう1つは、地元の人々の言い伝えで、日本武尊(やまとたけるのみこと)の王子、武田王(たけだのきみ)の墓または屋敷跡だという説がある。いずれにせよ、見晴らしが良い田畑の中に土を小高く盛った塚。その上で咲き...わに塚の桜

  • 早春の里山散策

    早春の里山散策の映像をYouTubeに公開した。「ホタルは里山環境の結晶である」これは、私の師である昆虫学者故矢島稔先生の言葉であるが、ホタルの研究を続けている私にとって「里山」は重要なフィールドの1つである。では、里山とはどんなところを言うのであろうか?里山とは、「自然環境と都市空間との間にあり、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、小川、草原などで構成される地域を指す。また、里山は、農林業などに伴う人々が自然ととともに作り上げ、維持してきた多様な環境であり、生息する生物に多様性がある。」と定義づけられる。しかしながら、里山の多くは人口の減少や高齢化の進行、産業構造の変化により環境変化を受けている。雑木林や小川など物理的な環境が存在しても、放置されて荒れた林や休耕田ばかりでは、里山の...早春の里山散策

  • オツネントンボ

    オツネントンボSympecmapaedisca(Brauer,1877)は、アオイトトンボ科(FamilyLestidae)オツネントンボ属(GenusSympecma)のトンボで、ヨーロッパから中央アジアを経て中国東北部、日本に分布し、日本では北海道、本州、四国、九州北部に分布している。平地から山地にかけてのアシなど抽水植物が多く生えた池沼や湿原、水田などに生息している。トンボの多くが幼虫(ヤゴ)で越冬(アカネ属は、卵で越冬)するが、オツネントンボは、成虫のまま越冬する。それが越年(おつねん)という和名の由来である。日本の約200種いるトンボの中でも、成虫で越冬するのは、本種を含め、ホソミオツネントンボ、ホソミイトトンボの3種のみである。ちなみに英名で「winterdamsel=冬の乙女」という名前がつ...オツネントンボ

  • ヤマトシジミ(チョウ)

    ヤマトシジミPseudozizeeriamahaargia(Menetries,1857)は、シジミチョウ科(FamilyLycaenidae)ヒメシジミ亜科(SubfamilyPolyommatinae)ヤマトシジミ属(GenusPseudozizeeria)のチョウで、国外では中国、韓国、台湾をはじめ、南アジアから東南アジア、東アジア一帯に広く分布し、日本国内では本州以南に分布している。関東では年5~6回、4月上旬頃から11月下旬頃まで発生し、幼虫の食草であるカタバミがある平地であれば、都市部の公園や住宅地においても普通に見られるチョウである。カタバミさえあれば、どこでも繁殖できるという特徴から日本で一番生息数が多いチョウではないだろうか。あまりにも普通種であるため、本種を単独で取り上げたことがなかっ...ヤマトシジミ(チョウ)

  • カラマツの丘と天の川

    カラマツの丘と天の川を撮影してきた。カラマツの丘は、群馬県嬬恋村にある。キャベツ畑が見渡すかぎり続き、その丘の上にポツンとカラマツ林が佇むロケーションで、まるで北海道の美瑛のような場所であり、今年の1月14日に訪れ「嬬恋の丘(カラマツの丘)」として掲載している。その時は、凍てつく冬の朝のマジックアワー(魔法の時間)の美しさを体感することはできたものの、東の空の星空は寂しく、畑を覆う雪も奇麗ではなかった。「まるで北海道の美瑛のような・・・」美瑛に行かぬとも似た光景を見られるのは嬉しいが、嬬恋村のカラマツの丘らしいオリジナルの美しさを感じて残したい。そこで、夏の天の川とともに撮ろうと計画を立てていた。夏の天の川は、3月上旬になると深夜2時過ぎから東の地平線から昇ってくる。日の出前までが撮影時間になるが、その時...カラマツの丘と天の川

  • スギタニルリシジミ

    スギタニルリシジミCelastrinasugitaniiMatsumura,1919は、シジミチョウ科(FamilyLycaenidae)ヒメシジミ亜科(Subfamilypolyommatinae)ルリシジミ属(GenusCelastrina)に属するチョウで、中国の南西部・南部、朝鮮半島、台湾、日本では北海道・本州・四国・九州に分布し、日本では以下の3亜種がある。本種は、本ブログ(PartⅡ)において単独で取り上げたことがなかったので、過去に東京都の檜原村で撮影した本州・四国亜種を掲載し紹介しておきたい。北海道亜種CelastrinasugitaniiainonicaMurayama,1952本州・四国亜種Celastrinasugitaniisugitanii(Matsumura,1919)九州亜種...スギタニルリシジミ

  • 私にとって写真とは

    私にとって写真とは何なのか?中学生の時から撮り始めて46年。大部分は、ホタルをはじめとする昆虫写真で、その他は自然風景の写真であるが、私はプロの写真家ではない。芸術家でもない。写真は「趣味」である。撮って楽しければ良い。しかしながら、写した結果には最低でも自己満足したい。「写真」は写実であり「絵」とは違う。人間が意識的(意図的)にデザインや彩色をして描いたものが「絵」だが、「写真」は、真を写すと書く。客観的な「真実」を記録したものだ。撮影テクニックは別の話として、昆虫写真の場合は、その種の特徴が分かる図鑑的なもの、あるいは生態の瞬間の正確な記録であると言える。自然風景写真はどうだろう。撮影者の意識や個人的感情とは関係なくただ映される「画」を超えて、目の前にある風景から感じる抽象的で漠然とした感覚を「写真」...私にとって写真とは

  • 相州三浦秋屋の里

    秋谷の立石にて、富士と満月を撮ってきた。前回の群馬遠征から一か月以上空いての撮影である。2024年2月24日は満月(実際は24日の21時半が満月)である。アメリカの農事暦で「スノームーン」と呼ばれ、今年地球から最も遠い小さく見える満月だが、日の出日の入り時刻と月の入り月の出時刻から、富士山頂に満月を重ねる「パール富士」が撮れるチャンスの日でもある。パール富士は、ダイヤモンド富士と違って、そもそも撮影できる日は年に数回しかなく、昇るパール富士は、緻密な計算を行って撮影場所を決めても、昇ってくる月が富士山で見えないので、運の良さも必要だ。沈むパール富士においては、当然、山頂と重なる方角を計算して撮影場所を選定する必要はあるが、最後の瞬間は、沈む月の角度を見極めながらちょっと移動すれば富士山頂の好きな位置と重ね...相州三浦秋屋の里

  • 春よ来い

    2月中旬だというのに、18日は全国的に気温が上がり、3月から4月並みの暖かさとなった。北海道と東北では2月としては観測史上最も高い記録的な暖かさだという。気象庁によれば、日本付近では、偏西風が平年よりも北側へ蛇行したために南の高気圧の勢力が強まったことに加え、日本の北にある低気圧に向かって暖かい空気が流れ込んだことで九州から北海道にかけて広く気温が平年を大きく上回ったことが原因だという。日差しの下ではシャツの袖をまくり、春の暖かさを心身ともに感じたが、数日後には再び寒気が南下し、季節は逆戻りするようである。こうした気温の周期的な変化は、春の訪れが近いということだ。能登の復興のためにも早く本格的な「春」が訪れて欲しいと思う一方、今季は、各地で雪不足となっており、オープンできなかったスキー場もあると聞く。掲載...春よ来い

  • ミヤコマドボタル

    ミヤコマドボタルPyrocoeliamiyakoNakane,1981は、ホタル科(FamilyLampyridae)マドボタル属(GenusPyrocoelia)で、一生を陸地で生活する陸生ホタルである。真冬にホタルの記事は、本土においては季節外れであるが、生息地の沖縄県宮古島では、5月から8月頃が発生のピークであるものの冬季においても見ることができる。2012年9月8日~9日の2日間、沖縄県立宮古高等学校の招きにより宮古島を訪れて、本種を観察した結果はホームページ「東京にそだつホタル」の"ホタルに関する調査研究レポート"「ミヤコマドボタル」において記載しているので、詳細はそちらを参照いただきたい。このブログでは未掲載であったため、未発表の写真とともに簡単に紹介したい。以下には、発光するミヤコマドボタル...ミヤコマドボタル

  • 嬬恋の丘 (カラマツの丘)

    嬬恋の丘(カラマツの丘)は、群馬県嬬恋村にある。キャベツ畑が見渡すかぎり続き、その丘の上にポツンとカラマツ林が佇むロケーションで、まるで北海道の美瑛のような場所である。まずは、阪神淡路大震災から29年。5時47分に会社の駐車場から黙とうを捧げた。能登半島地震の被災者の方々にも、一日も早い復興をお祈りした。さて、今回の群馬遠征は、この嬬恋の丘(カラマツの丘)がメインであった。浅間山と星空は、月明かりがない快晴ならば撮影のチャンスは多いが、カラマツの丘では、広大な雪原の丘とカラマツ林、その星空とマジックアワー(魔法の時間)の光景を撮りたかった。嬬恋村は、13日の午後から夕方まで雪で深夜から晴れの予報。星は二の次で、とにかく雪が積もった光景であって欲しかったため、この週末は絶好のチャンスとばかり遠征を決めたので...嬬恋の丘(カラマツの丘)

  • 浅間山と冬の星空

    浅間山と冬の星空を撮ってきた。この冬に撮りたい光景は、寄せ氷、霧氷、星景・・・様々な冬ならではの一瞬を収めたいが、すべて天候次第である。そして、できれば、私自身がこれまでに撮ったことない場所の景色を残しておきたい。この週末は、東京でも夕方に雪が舞った。かなりの降雪であったが、時間して1時間ほどで積もるほどではなかった。関東甲信越の特に日本海側や山地では大雪。気圧配置は西高東低の冬型。翌日14日は、高気圧に覆われるという予報である。この気圧配置と天候で、私が撮りたい光景の中から選択できるのは星景であった。そこで、昨年の10月23日以来およそ2か月半ぶりに写真撮影に出掛けることにした。ちなみに10月23日はキトンボ、その前の8月27日はホソミモリトンボで、風景写真は7月23日の滝巡りが最後で、5か月以上も空い...浅間山と冬の星空

  • 2024新年のスタート

    紅富士(箱根大観山より)2024年となり新年の挨拶をしたいところですが、1月1日午後4時過ぎ、石川県で震度7の地震があり、北陸を中心とする地域では地震と津波による大きな被害が出ました。また2日には、日本航空の旅客機が午後5時47分、羽田空港に着陸したところ、海上保安庁の固定翼機に衝突し炎上するという惨事も起こっています。海外では、今もなおロシアがウクライナへ、そしてイスラエルがガザ地区へ軍事侵攻を続けています。このような時に、新年のお祝いの言葉を述べる気持ちになれないのが正直なところです。被災された方々には、心よりお悔やみ申し上げたいと思います。先行き不安な新年のスタートですが、まずは、世界に平和が戻り誰しもが安心して暮らせる世の中になるよう祈りたいと思います。そして皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し...2024新年のスタート

  • 2023年の自己ベスト(自然風景編)

    今年は、新型コロナウイルスの感染拡大も減少し、ようやく日常が戻ってきたにも関わらず、自然風景撮影においては気象条件とのタイミングが悪く、また様々な事情により遠征できなかったことが多かった。そのため桜や紅葉、霧氷などまったく撮影できず、四季を通じて自然風景をほとんど撮らなかった一年であった。毎年、何とか自己ベスト10を選んではいたが、本年はホタルの飛翔風景とホタルの映像を含めて以下の10作品を挙げるのが精一杯の状況である。それぞれの写真の詳細については各リンクをクリックして頂き、該当ページをご覧頂きたい。パール紅富士和良蛍杜に舞うヒメボタルヒメボタル(東京2023)星峠から天の川を撮る冬から春にかけての星空(霧ヶ峰より夏の天の川)陣馬の滝ムーンライト富士和良蛍の映像杜に舞うヒメボタルの映像星峠の天の川や岐阜...2023年の自己ベスト(自然風景編)

  • 2023年の自己ベスト(昆虫編)

    早いもので2023年も残すところ2週間。10月23日以来、写真撮影に出掛けておらず、本年は出掛ける予定がないことから、私自身の一年を振り返った反省と来年の計画立案のために、年末恒例のあくまでも自己満足のベスト10作品を選んで締めくくりたいと思う。本記事は昆虫、次に自然風景をまとめて掲載したい。今年撮影した昆虫写真10枚は、図鑑的写真と言う観点から選んだが、その7割が沖縄県で撮影したものとなった。そのような中で、今年一番に選んだのは「ホソミモリトンボ」である。詳細は、下記リンク先をご覧頂きたいが、本州においての本種の生息地は、高標高の湿原に限られ、これまで福島、栃木、群馬、長野、新潟、岐阜の6県で記録があるが、いずれも局所的であり、近年では確認されていない場所も多い。2011年から探しもとめ、尾瀬と上高地で...2023年の自己ベスト(昆虫編)

  • 和良蛍を守る ホタル勉強会

    和良蛍を守るためのホタル勉強会の講師として、和良蛍を守る会の招きで12月3日から一泊二日で岐阜県郡上市和良町を訪れた。自宅を朝の5時に出発し、中央道国立府中ICから土岐JCTで東海環状道を走り、美濃関JCTで東海北陸道の郡上八幡ICで降り、そこからは一般道で和良町へ。片道およそ390kmの道のりである。現地には正午前に到着し、勉強会は13時から市民センターの会議室で行った。休憩を挟みながら90分ほどホタルの基礎的な話から、ゲンジボタルの生態と生息環境の詳細について話し、和良のゲンジボタルの特徴と保全方法についても述べさせて頂いた。和良蛍は、まったくの自然発生で、幼虫やカワニナの放流は勿論、特に環境を保全する作業等も行ってはいない。それでも、数千を超えるゲンジボタルが乱舞する素晴らしい場所であるが、問題は、...和良蛍を守るホタル勉強会

  • 秋の色

    前記事の表題は「11月の夏日」投稿した翌日の7日(火)は、何と東京都心の気温が27.5度と11月の最高気温を100年ぶりに更新した。ところが、12日(日)は一転して冬。上空に強い寒気が入り、東京都心は11℃と今シーズンで1番の寒さになった。13日(月)も各地で寒い朝となり、東京や名古屋、大阪などでは、昨日に続いて今季最低気温を更新した。一体、秋はどこへいったのだろう?そのうちに季節は夏と冬だけになってしまうのではないだろうかと心配である。こうした異常気象は、生態系を変化させ、昆虫をはじめとする動植物の生態も変えてしまい、私たち人間の生活にも影響を及ぼすだろう。日本の四季は、食や行事と密接に関係があり、様々な伝統文化を生み出してきた。「衣替え」「花見」「夏祭り」「花火大会」「お月見」・・・などの行事がある。...秋の色

  • 11月の夏日

    11月なのに暑い。4日は、日本ホタルの会の会議で、久しぶりに対面で行い中野まで行ってきたが、東京都心では最高気温26.3℃を観測し14年ぶりに25度以上の夏日となった。気象庁によれば、年間の夏日の日数が4日で141日目となり、1875年の観測開始以降最多だという。全国915の観測地点のうち219地点で夏日となり、38地点で11月の観測史上最高を記録したらしい。まさに異常である。異常といえば、この秋はクマの被害がとても目立つ。環境省は、今年4月から10月末までにクマに襲われるなど被害に遭った人が全国で180人に上ったと発表している。こちらも統計を開始した2006年以来、過去最多という。私も過去に5回ほどツキノワグマに遭遇している。幸い襲われたことはないが、昆虫や自然風景の写真を撮りに行く場所は、ほとんど人が...11月の夏日

  • トビナナフシ

    トビナナフシは、ナナフシ目(OrderPhasmatodea)トビナナフシ科(FamilyDiapheromeridae)トビナナフシ属(GenusMicadina)で、短い翅をもつナナフシの仲間である。前翅は小さく円形で後翅は腹部中央に達する程度の長さで扇状に広げることができるが、飛翔能力は高くない。日本には以下の3種類が生息している。ニホントビナナフシMicadinaphluctainoides(Rehn,1904)分布:本州(茨城県以西)、四国、九州、沖縄奄美地方の沿海地から低山帯の雑木林ヤスマツトビナナフシMicadinayasumatsuiShiraki,1935分布:北海道、本州、四国、九州の低山帯から山地帯の雑木林シラキトビナナフシMicadinafagi(IchikawaandOkada,...トビナナフシ

  • キトンボ(飛翔)

    キトンボSympetrumcroceolum(Selys,1883)は、トンボ科(FamilyLibellulidae)アカネ属(GenusSympetrum)で、北海道・本州・四国・九州に分布している。主に丘陵地や低山地の森林に囲まれているような水面が開けた池、沼などに生息し、晩秋の最も遅くまで見られるトンボである。環境省版レッドリストに記載はないが、改変を受けやすい環境に生息するため都道府県版レッドリストでは、東京都、神奈川県、千葉県では絶滅、茨城県、群馬県、静岡県、愛知県では絶滅危惧Ⅰ類、栃木県、埼玉県、山梨県などでは絶滅危惧Ⅱ類として記載している。この週末は、当初、土曜日の夜から出掛け、信州戸隠の鏡池の紅葉撮影を計画していたが、紅葉が見頃でも無風でなければ水鏡にならないため、天気予報を信じて断念。...キトンボ(飛翔)

  • 夏から初秋へ

    ブログの更新が一か月空いてしまった。写真は8月下旬以来まったく撮っていない。チョウやトンボ、自然風景も被写体となるものは多くあったが、その多くは、撮影しても過去に写したものと同じような写真になってしまう。新たな目標もあったが、週末の天気に左右され、結局、この週末まで一切出掛けないままでいた。気が付けば、猛暑の夏からようやく秋の気配を感じる気候となり、季節は確実に進んでいることを感じる。この一か月以上は、ブログに掲載済みの写真を見直し、特に星景写真においてノイズが目立つもののRAW現像のやり直しを数多く行った。これまで星景写真のRAW現像は、まずDxoPureRAWというソフトでRAWの最適化を行ってから、AdobeLightroomClassicで作業を行っていたが、今年4月にアップデートされたLight...夏から初秋へ

  • ヤマトンボ科

    ヤマトンボ科は、かつてエゾトンボ科(FamilyCorduliidae)に属するヤマトンボ亜科(SubfamilyMacromiinae)に分類されていたが、現在では、ヤマトンボ科として分類され、国内には以下の2属6種が生息している。尚、以前は北海道のみに分布する種をエゾコヤマトンボとし、コヤマトンボの北海道亜種としていたが、DNA鑑定の結果、コヤマトンボとの違いが見受けられないとのことからコヤマトンボとなっている。ヤマトンボ科では、オオヤマトンボとコヤマトンボの2種を撮影しており、ブログ(PartⅠ)ではエゾトンボ科として紹介しているが、本ブログ(PartⅡ)では取り上げていなかったので、今回改めてヤマトンボ科として掲載した。ヤマトンボ科(FamilyPetaluridae)オオヤマトンボ属(Genus...ヤマトンボ科

  • エゾトンボ科の飛翔

    先月、ホソミモリトンボを撮ることができたので、今回はエゾトンボ科の飛翔写真をまとめてみた。日本に分布するエゾトンボ科は以下の3属13種であるが、そのうち3属7種を撮影しており、それぞれ1枚ずつ飛翔の写真を掲載した。尚、撮影済みの種には各々の記事へのリンクを貼っておいたので参照頂きたい。ミナミトンボ属(GenusHemicordulia)ミナミトンボHemicorduliamindananipponicaAsahina,1980オガサワラトンボHemicorduliaogasawarensis.Oguma,1913リュウキュウトンボHemicorduliaokinawensisAsahina,1947トラフトンボ属(GenusEpitheca)トラフトンボEpithecamarginata(Selys,18...エゾトンボ科の飛翔

  • ホソミモリトンボ(ホバリング)

    ホソミモリトンボSomatochloraarctica(Zetterstedt,1840)の本州における生息地に通うこと今季4回目。今回は、初訪からおよそ一か月後でも出現しているのかを確認すること、そして出現しているならば、ピントの合った飛翔写真を撮る、この2つを目的に訪れた。ホソミモリトンボの生息地には6時半に到着。天候は快晴。早速、これまで毎回のように飛翔していた場所で待機することにした。前回8月11日に比べて、アキアカネの数が激減していた。多くが麓に降りて行ったのだろう。また、クロヒカゲなどのチョウの姿もほとんど見かけなかった。それだけ季節が進んだということである。気温が上がってきた8時。体感的にはこれまでと変わらないが、小さな虫を捉えるために飛び回るアキアカネの姿はない。前回は、すでにホソミモリト...ホソミモリトンボ(ホバリング)

  • ホソミモリトンボ(飛翔と静止)

    ホソミモリトンボSomatochloraarctica(Zetterstedt,1840)は、前々回の記事「ホソミモリトンボ」において証拠程度の写真ではあるが、初掲載として紹介したものの、やはりピンボケの証拠写真では気が済まない。8月4日にも再訪したが、個体の確認はしたものの写真撮影までには至らなかった。そこで、今回8月11日に3回目の訪問である。天候は晴れ。8月4日同様に、現地に5時半から待機。6時過ぎには湿原全体に太陽があたり、徐々に気温が上がっていく。初回は7時には飛翔が確認できたが、2回目は8時になってから、ようやく現れた。今回は7時半頃に現れたが、湿原上空で摂食飛翔するばかりでなかなか降りてこない。8時を過ぎると、メスが産卵にやってきた。今回も同じ場所での産卵であり、湿原に茂みの中に潜ってしまう...ホソミモリトンボ(飛翔と静止)

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