10)アナーキズム六月二三日。日米新安保条約が、両国の批准書交換によって発効した。同じその日、岸信介首相も臨時閣議で「人心を一新し、政局を転換するため」退陣の決意を表明した。これを機に、史上空前の規模で行なわれた安保反対闘争は、ようやく収束されていくのである。七月に入ると初旬に、全学連の第十六回全国大会が東京で開かれたが、日共系の反主流派は大会をボイコットし、独自に全自連(全国自治会連絡会議)を結成、全学連は事実上分裂した。また主流派内部でも安保闘争の総括をめぐって、闘争を高く評価するグループと、これを敗北と見るグループに分かれ、総括論争は混迷を深めていった。そして、安保闘争を終始リードしてきたブント(共産主義者同盟)は三つの派に分裂し、事実上“解体”していくことになる。こうした左翼学生戦線の混迷の中で、...青春流転(12)