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  • お守りの中身

    たたみかけるように樫村の質問は続いた。 「その丸い物って、誰からもらったのですか?」 「親父からですよ。もっとも親父も祖父からもらったと言っていましたから先祖代々かも」 「ふーん。先祖代々ねぇ」 「故意に提出しなかったわけじゃないですよ。これ金属製じゃないですし」 「え、金属じゃないってどうしてわかるのですか」 「音ですよ」 「音?」 そう言うと遠藤は机の端で叩いて見せた。瀬戸物を叩いた時のよう…

  • 提出されなかった物

    遠藤は再び呼び出されていた。というのも、どうしても最初の事件が起きた理由を突き止める必要が生じたからだ。トリガーが何だったのか。樫村と工藤は、原因追及の方針変更を迫られせっぱつまったあげく、最初に立ち返ることにしたのだ。 部屋は暗くされていた。もちろん、オレンジ色の現象を捉えやすくするというのが目的ではあったが、それ以上に遠藤が何か知っているのではないかという期待が大きかった。そのためには、…

  • オレンジ色の輝き

    報告を受けた伊藤は、渋い顔をした。 「そんなはっきりした兆候は、今まで報告がなかったね」 「ええ、普段明るい場所ではわかりにくい現象ではあったのですが」 「それでも、動作したならわかるだろう?」 「ただし、破損した例のものだけかもしれないです」 「確かに、そうかも知れない。でも、そうだとしたら前提が根底から崩れるよ」 「仰っている意味がよくわからないのですが」 「だってそうだろう。我々はどちらも…

  • もう一つのコピー

    早速、壊れてしまっていた例のものを元にして3Dプリンタでコピーを作ったところ、当然の結果しか得られなかった。異様な突起はなかっのた。ただ破損した箇所が若干盛り上がった形で、コピーは出来上がった。 筆談でのやりとりなので、意思疎通に時間がかかり樫村は不機嫌の極みだった。 意味のない言葉だけは自由に発せられるので、なおのこと真意不明の発言が増えた。 「なんだよ、まったくもう」 付き合う工藤も笑うだけ…

  • コピーして明らかになったこと

    3Dプリンタが作り出した、人の目には見えない突起物は、完全には作りきれなかったことがはっきりした。というのも、材料がなくなって途中で生成が止まっていたことが判明したからだ。最初から作り直すという案もあったが、3Dプリンタで生成できる範囲を超えていることでもあり、プリンタ自体を大幅に改造しないと不可能だった。 「これからどうします?」 「そうだね。見た目だけの部分を作ることで我慢するよ」 「我慢す…

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