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ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (臨床心理士・赤坂正人) https://blog.goo.ne.jp/red777slope

こころの困りごと・悩みごと相談でじーじ臨床心理士が公園カウンセリング、訪問カウンセリング、面会交流の相談・援助などをやっています

赤坂正人 1954年生まれ 家庭裁判所調査官として司法臨床に従事 放送大学大学院臨床心理学プログラム修了 心理カウンセリング個人開業 臨床心理士 新潟市西区 心理療法、家族療法、遊戯療法、面会交流の相談・援助など 精神分析学会、遊戯療法学会会員 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006,『臨床心理学』)「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011,『遊戯療法学研究』)ほか

ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (臨床心理士・赤坂正人)
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2015/02/19

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  • 中井久夫『統合失調症の有為転変』2013・みすず書房-その2・こまやかな精神科治療に学ぶ

    2017年のブログです*中井久夫さんの『統合失調症の有為転変』(2013・みすず書房)を再読しました。前に読んだのは2013年秋ですから4年ぶりです(当時のブログもありますので、拙いものですが、よかったら読んでみてください)。いい本なので早めに再読をしようと思っていましたが、4年たってしまいました(中井さん、ごめんなさい)。しかし、やはりいい本です。中井さんの統合失調症の患者さんへの優しさが本からあふれてくるような感じで、読んでいてこちらまで優しくなれるような気がします。4年で自分がどれだけ成長できたのかは心もとないのですが、こういういい本を見つけて読むのも、一応、才能かもしれません。本の中身は、やはり中井さんの精神科診療のさまざまな工夫、丁寧な考察、そして、優しい祈りでしょうか。そうなんです。中井さんは...中井久夫『統合失調症の有為転変』2013・みすず書房-その2・こまやかな精神科治療に学ぶ

  • 赤ちゃんをあやしながらの公園カウンセリングは、こころもウーウーにっこりします

    こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリング,訪問カウンセリング,メールカウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でやっています。また,面会交流の相談・援助もやっています。公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族...赤ちゃんをあやしながらの公園カウンセリングは、こころもウーウーにっこりします

  • 中井久夫『統合失調症の有為転変』2013・みすず書房-その1・ていねいな精神科臨床に学ぶ

    2013年のブログです*6月~8月にかけて放送大学大学院臨床心理プログラムの病院実習で精神科病院におじゃましました。統合失調症の患者さんと接するなかで,いろいろなことを考え,学ばせていただきました。実習中は本を読む余裕がなかったのですが,実習が終わってから中井久夫さんの『精神科医がものを書くとき』(2009),『隣の病い』(2010),『世に棲む患者』(2011,いずれも,ちくま学芸文庫)などを読んで,実習中のじーじの疑問などがすでに中井さんによって丁寧に説明されていることがわかりました。実習前に読んでおけばよかったと後悔の毎日です。そんな中井さんの『統合失調症の有為転変』を読みました。中井さんのご本はいつもそうですが,この本も実践第一の本です。絵画療法など,じーじにとってもとても興味深い文章も載っていま...中井久夫『統合失調症の有為転変』2013・みすず書房-その1・ていねいな精神科臨床に学ぶ

  • 小野有五『北海道 森と川からの伝言』1997・北海道新聞社-北海道の自然保護を考える

    2020年春のブログです*小野有五さんの『北海道森と川からの伝言』(1997・北海道新聞社)を久しぶりに読みました。面白かったです。小野さんは当時、北大大学院の先生。専攻は地球環境科学。その難しそうな肩書とはうらはらに、森や植物、川などのお話をわかりやすくしてくれます。もともとは「北海道新聞」に週1回連載されたエッセイ。ミズバショウやカタクリなどの春の花のお話から始まって、北大構内のハルニレ伐採のお話や札幌の河畔林伐採のお話、さらには、士幌高原道路とナキウサギのお話、千歳川放流路のお話、などなど、だんだんと深刻なお話になってきます。深刻になるのは小野さんのせいではなく、住民の声を聞かずに開発(?)を進めようとするお役所のせいなのですが、住民無視、企業優先のお役所体質は今も変わりません。小野さんのお話は、そ...小野有五『北海道森と川からの伝言』1997・北海道新聞社-北海道の自然保護を考える

  • 立原正秋『風景と慰藉』1974・中公文庫-立原さんのヨーロッパ・韓国紀行です

    2023年5月のブログです*立原正秋さんの紀行文集『風景と慰藉』(1974・中公文庫)をかなり久しぶりに読む。これも古い本で、当時、大学生だったじーじには少し難しいところがあったらしく、本にはめずらしくアンダーラインも付箋もなく(?)、きちんと読んだのか、やや不明(立原さん、ごめんなさい)。就職後も読んだのかどうか記憶がはっきりしない。しかし、改めて読んでみると、これがとてもいい本だった。じーじのその後の50年(!)の経験が無駄ではなかったようで、読んでいて立原さんの文章がこころに染み入ってくるような感じがする。本書は、立原さんのヨーロッパと韓国の紀行文集だが、ヨーロッパではスペイン・ポルトガル・ギリシア・イタリアを旅する。なかなか渋い選択だ。スペインやギリシアの大地を旅しながら、日本の風土との違いを考え...立原正秋『風景と慰藉』1974・中公文庫-立原さんのヨーロッパ・韓国紀行です

  • 松木邦裕『耳の傾け方-こころの臨床家を目指す人たちへ』2015・岩崎学術出版社-ていねいなきき方を学ぶ

    2015年のブログです*松木邦裕さんの『耳の傾け方-こころの臨床家を目指す人たちへ』(2015・岩崎学術出版社)を読みました。初学者用かな?と思って読んだのですが,なかなか奥が深く,じーじの力ではまだまだ理解が十分でないところが多々あったように思います。しかし,とても面白く読めました。面接におけるクライエントさんの話のきき方をていねいに検討されています。特に、精神分析的な心理療法のきき方を学ぶうえではとても勉強になると思います。今後,何度もなかみを噛みしめながら読んでいきたい本だと思いました。全体的な印象としては,精神分析の大家のみなさんはそれなりに表現は違いますが,しかし,やはり,松木さんも大切なところでは,成田善弘さんや藤山直樹さんと同じようなお考えを述べられているような印象を持ちました。もちろん,細...松木邦裕『耳の傾け方-こころの臨床家を目指す人たちへ』2015・岩崎学術出版社-ていねいなきき方を学ぶ

  • 中井久夫『世に棲む患者』2011・ちくま学芸文庫-ていねいな精神科治療に学ぶ

    たぶん2014年ころのブログです*中井久夫さんの『世に棲む患者』(2011・ちくま学芸文庫)を再読しました。中井さんはじーじがもっとも尊敬と信頼をする精神科医のお一人。一度だけ研究会で講演をお聞きしたことがありますが、流行のパワーポイントを使わずに、黒板に板書をしてお話をされたのが、新鮮な記憶として残っています。本書を読むのは、単行本だった『病者と社会-中井久夫著作集第5巻』(1991・岩崎学術出版社)の時も含めると4~5回目だと思うのですが、今回も勉強になりました。中井さんは統合失調症の治療で有名で、また、風景構成法などでは世界的に高名な精神科医ですが、その文章はまったく偉ぶったところがなく、やさしい語り口で、しかし、その内容は深く、広く、目配りの行き届いた文章です。中井さんの精神科治療もおそらくは同じ...中井久夫『世に棲む患者』2011・ちくま学芸文庫-ていねいな精神科治療に学ぶ

  • 村上春樹・柴田元幸『翻訳夜話』2000・文春新書-翻訳という生き方

    2019年春のブログです*村上春樹さんと柴田元幸さんの『翻訳夜話』(2000・文春新書)を久しぶりに再読。ついこの間読んだような気がしていたが、19年も経っていた(村上さん、ごめんなさい)。そういえば、この時点で、村上さんは、キャッチャー・イン・ザ・ライもグレイト・ギャッツビーもまだ訳していなくて、いずれ訳してみたい、と話されている。話したことでこれらの翻訳が実現をしたということもあったのかもしれない。村上さんと柴田さんの翻訳をめぐる話は読んでいて、とても楽しい。東大の柴田さんの教え子たちの質問に答えたり、翻訳学校の生徒さんとお話したり、翻訳家のたまごさんたちと議論をしたり、いろんなレベルの人たちとの話の中で、村上さんの翻訳や小説などについての考えが読めて、刺激的だ。そして、面白かったのは、村上さんの「カ...村上春樹・柴田元幸『翻訳夜話』2000・文春新書-翻訳という生き方

  • 大場登『ユングの「ペルソナ」再考』2000・創元社-ユング心理学に学ぶ

    2011年のブログです*放送大学大学院の大場登先生の『ユングの「ペルソナ」再考』(2000・創元社)を読みました。大場先生の博士論文ということで、じーじに理解できるかなと不安を抱きながら読みましたが、丁寧な論文で最後まで一気に読んでしまいました(内容をどれだけ正確に理解できているかは別ですが…)。最近読んだ河合俊雄さんの『概念の心理療法』(日本評論社)でも同じような印象を持ちましたが、ユング心理学の場合、概念が固定化してしまうことが問題で、イメージや考えが常に流動的になっていることが大切(河合さんの言葉では「弁証法的」になっていることが必要)なのかなと思いました。大場先生の論文は、引用文献が和辻哲郎さんや坂部恵さんなど、じーじも興味を持って読んでいた人達がたくさん出てきたのですが、同じものを読みながら、こ...大場登『ユングの「ペルソナ」再考』2000・創元社-ユング心理学に学ぶ

  • 村上春樹 『やがて哀しき外国語』1997・講談社文庫-村上さんのプリンストン滞在記です

    2019年春のブログです*村上春樹さんのエッセイ『やがて哀しき外国語』(1997・講談社文庫)を再読しました。じーじが持っている本は2011年発行で、読むのはおそらく今回が3回目くらいかなと思います。もっと早くに再読したかったのですが、なぜか本棚の脇の文庫本の山(!)の下のほうに埋もれていて、やっと今回、救出(?)できました。面白かったです。そして、読んでいて、心地良かったです。村上さんのエッセイは文章のテンポがじーじと合うというか、のんびりな感じがして、あまり切れきれでないところがいいのかもしれません(?)。本書は村上さんがプリンストン大学で少しだけ授業を持っていた2年間のエッセイなのですが、村上さんらしさがたくさん出ていて面白いです。一例ですが、村上さんは当時、日本では新聞を取っていなかったとか、ニュ...村上春樹『やがて哀しき外国語』1997・講談社文庫-村上さんのプリンストン滞在記です

  • 北山修ほか編『語り・物語・精神療法』2004・日本評論社-神田橋條治さんの症例検討会ライブがすごいです

    2023年5月のブログです*北山修・黒木俊秀さん編著の『語り・物語・精神療法』(2004・日本評論社)を久しぶりに再読する。2002年の第9回日本語臨床研究会の記録。日本語臨床研究会は、北山修さんや藤山直樹さんなどが参加されていた精神分析を日本語で研究しようという勉強会で、じーじも何回か参加させてもらったことがあるが、型にとらわれない、自由でなかなか刺激的な研究会だった。何回目だったかは忘れたが、甲南大学で行われた時に、中井久夫さんが講演をされたが、以前どこかにも書いたが、パワーポイントがお嫌いだという中井さんが、黒板にいっぱい板書をされてお話をされたのが印象的だったのを覚えている。今回もいろいろなプログラムがのっているが、圧巻なのが神田橋條治さんの症例検討会でも公開スーパーヴィジョン。すごい!のひと言だ...北山修ほか編『語り・物語・精神療法』2004・日本評論社-神田橋條治さんの症例検討会ライブがすごいです

  • 立原正秋『夢幻のなか』1976・新潮社-美意識・勁さ・潔さ

    2023年5月のブログです*立原正秋さんの随筆集『夢幻のなか』(1976・新潮社)を読む。すごく久しぶりの再読。本棚の横に積んであった単行本の山の中から発掘した(?)。1976年第1刷。貧乏学生だったのに、新刊で買ったらしい。相当、立原さんに熱中していたようだ。1976年(昭和51年)といえば、じーじは大学4年生。大学生のくせに、授業に出ないでこんな本(立原さん、ごめんなさい。先生方もごめんなさい)を読んでいたわけだ。しかし、今、読んでもいい本だ。あとがきに、立原正秋さんの3冊目の随筆集とある(1冊目、2冊目は、まだ本の山の中で迷子になっている)。立原さんの随筆といえば、読んだことのあるかたはおわかりだろうが、美しいものにはとても優しいが、醜いものや卑怯なものにはとても手厳しいことで印象的だ。小説も同じだ...立原正秋『夢幻のなか』1976・新潮社-美意識・勁さ・潔さ

  • オグデン(狩野力八郎監訳・藤山直樹訳)『こころのマトリックス-対象関係論との対話』1996・岩崎学術出版社

    2023年5月のブログです*久しぶりに再読をしたオグデン(狩野力八郎監訳・藤山直樹訳)『こころのマトリックス-対象関係論との対話』(1996・岩崎学術出版社)をようやく読み終える。藤山直樹さんの翻訳デビュー作である。藤山さんが土居健郎さんの7年にわたるスーパーヴィジョンを終えて、狩野力八郎さんのスーパーヴィジョンを受けはじめた頃、狩野さんから紹介のあったこのオグデンさんの本を藤山さんが翻訳、それを狩野さんと藤山さんが4年をかけて検討したという労作。学者さんの世界も大変だ。オグデンさんの本の紹介は2冊目だと思うが、オグデンさんはアメリカの精神分析家で、フロイトさんやクラインさんの考えを深化させ、ウィニコットさんやビオンさんのアイデアを発展させている人で、じーじもよくわからないなりに(?)ファンである。たしか...オグデン(狩野力八郎監訳・藤山直樹訳)『こころのマトリックス-対象関係論との対話』1996・岩崎学術出版社

  • 村上春樹 『猫を棄てる-父親について語るとき』2020・文藝春秋-村上さんが猫とお父さんを語る

    2020年春のブログです*村上春樹さんの『猫を棄てる-父親について語るとき』(2020・文藝春秋)を読みました。つい最近、出た本ですが、小さな本ですので、あっという間に読んでしまいました。しかし、内容は深いです。村上さんのお父さんのことを書いた本ですが、村上さんとお父さんとの二人の思い出も出てきます。タイトルの、猫を棄てる、はそういう思い出の一つ。不思議な、しかし、少しだけほっとする、猫とのお話です。一方、お父さんのお話は、その青春時代が戦争中と重なっていて、なかなかつらいものがあります。中国で捕虜を虐殺するのを見た、という話を村上さんのお父さんがされるのを、村上さんは一回だけ聞いたことがあるそうですが、それがお父さんだけでなく、村上さんのこころにも、大きな影響を与えていることが記されています。父子の葛藤...村上春樹『猫を棄てる-父親について語るとき』2020・文藝春秋-村上さんが猫とお父さんを語る

  • T・H・オグデン(藤山直樹監訳)『精神分析の再発見-考えることと夢見ること、学ぶことと忘れること』2021・木立の文庫

    2022年5月のブログです*アメリカの精神分析家であるT・H・オグデンさんの『精神分析の再発見-考えることと夢見ること、学ぶことと忘れること』(藤山直樹監訳・2021・木立の文庫)を読む。2021年10月の発行時に一回読み、半年後の今回、再読をする。勉強嫌いのじーじにはめずらしいこと。すごく面白い本だが、なかなか難しく、どれだけ理解できたか。再読をしても、感想文を書くほど理解できているかどうかもわからないが、とりあえず今の段階でわかっているらしいことを記す。そういえば、オグデンさんの本はとても面白くて数冊読んでいるが、いずれも感想文は書けずにいる。今後の課題だ(藤山さんの翻訳デビュー作であるオグデンさんの『こころのマトリックス-対象関係論との対話』(1996・岩崎学術出版社)もとてもいい本で、いつかご紹介...T・H・オグデン(藤山直樹監訳)『精神分析の再発見-考えることと夢見ること、学ぶことと忘れること』2021・木立の文庫

  • 米村晃多郎『サイロ物語』1980・作品社-北海道の農家と大自然を描く物語たち

    2020年春のブログです*米村晃多郎さんの短編集『サイロ物語』(1980・作品社)を久しぶりに読みました。この本もだいぶ昔に帯広の古本屋さんで買ったもの。何回か読んではいるのですが、今回はかなり久しぶりになってしまいました(米村さん、ごめんなさい)。しかし、いい発見がありました!?なんと、あの天陽くんのモデルになった神田日勝さんをモデルにした小説があったのです(今ごろ気づいて、あった、もないのですが…)。日勝さんのことを昨年まではあまりよくわからずにいたので(日勝さん、ごめんなさい)、これまで読み流していたと思うのですが、今回は、えっへん!やっと気がつきました。日勝さんと奥さんの生活が戦後開拓農家の苦労話として、かなり詳しく描かれています。いい小説です。米村さんの文章はとても美しい日本語で、余韻が残って、...米村晃多郎『サイロ物語』1980・作品社-北海道の農家と大自然を描く物語たち

  • 下坂幸三『摂食障害治療のこつ』2001・金剛出版-摂食障害とその家族に向き合う

    2019年5月のブログです*下坂幸三さんの『摂食障害治療のこつ』(2001・金剛出版)を再読しました。先日、同じ下坂さんの『拒食と過食の心理-治療者のまなざし』(1999・岩波書店)を再読して、かなり勉強になったので、その続きです。この本もかなり久しぶりの再読。最近は摂食障害の患者さんにお会いすることがあまりないので、つい足が遠のいてしまいました。本書のほうが岩波本より2年後に出た本で、出版社も精神医学関係の会社からであり、少しだけ専門的かもしれませんが、基本はぶれていません。今回、印象に残ったことを、一つ、二つ。一つめは、繰り返しになりますが、面接論で、患者さんや家族の発言をなぞるように繰り返して、要約することの大切さ。このことはよく言われますし、たまたま、今読んでいるサリバンさんも同じことを強調してい...下坂幸三『摂食障害治療のこつ』2001・金剛出版-摂食障害とその家族に向き合う

  • イザベラ・バード(高梨健吉訳)『日本奥地紀行』1973・平凡社-英国婦人による明治11年の日本紀行

    2021年5月のブログです*先日、テレビを観ていたら、英国の旅行家イザベラ・バードさんの特集番組の再放送をやっていました。とても面白かったので、本も読もうと思い、本棚を探したところ、じーじにはめずらしく、すぐに見つかったので(?)、久しぶりに読みました。バードさんの『日本奥地紀行』(高梨健吉訳・1973・平凡社)。1878年(明治11年)にバードさんが通訳と2人で東日本を旅した時の紀行文で、横浜から関東、東北、北海道の日高地方まで旅した記録です。まだ道路がまったく整備されていない明治初期、人力車や馬、徒歩などによる旅行です。しかも、泊まる宿屋もノミや虫でひどいところが多く、さらに、外国人を初めて見る人々は、バードさんの泊まる部屋の障子にたくさんの穴を開けて(?)、興味津々と眺めます。そういう旅を続けて、北...イザベラ・バード(高梨健吉訳)『日本奥地紀行』1973・平凡社-英国婦人による明治11年の日本紀行

  • PТA不加入と登校班拒否-じーじのじいじ日記(2024.5.14)

    2024年5月の日記です*夕方のニュースを見ていたら、保護者がPТAに加入していない子どもが小学校の登校班に入れないという問題が出ていた。保護者のPТA不加入と子どもの登校班拒否とがどう関係するのかまったくわからない。同調社会の日本らしいことだなと思うが、笑いごとではすまされないだろう。PТAは保護者の任意参加が原則で、強制ではない。入らない保護者が増えるとPТAは困るかもしれないが、あくまでも任意の団体だ。困るPТAは対策を考えて、加入している保護者や教師と相談をして、できる範囲で行事を行なうべきだと思う。PТAに入らない保護者の子どもを小学校の登校班から締め出すというのはいじめだろう。もっとも、じーじが小学校の頃には登校班なんてなかったし、子どもたちの時もなかった。それで特に支障もなかったと思う。ニュ...PТA不加入と登校班拒否-じーじのじいじ日記(2024.5.14)

  • 下坂幸三『拒食と過食の心理-治療者のまなざし』1999・岩波書店-摂食障害と向き合う

    2019年5月のブログです*下坂幸三さんの『拒食と過食の心理-治療者のまなざし』(1999・岩波書店)を再読しました。これもかなり久しぶりの再読。昔、家裁調査官の時に、万引きをした女の子が摂食障害の子で、対応に苦労した時に、下坂さんの本で勉強をしたことを思い出します。いわゆる不良少女とは違う真面目な女の子の非行で、非行というよりやはり精神的な病いとして理解する必要を感じたことがありました。以来、摂食障害はじーじの中で大切なテーマの一つですが、なかなか難しいです。この本もアンダーラインや付箋がいっぱいですが、どれくらいきちんと理解できているのかは心許ないですし、ましてやそれを心理療法の中でどれくらい実践できるのかについてはまだまだだな、と思ってしまいます。それでも、今回、印象に残ったことを一つ、二つ。一つめ...下坂幸三『拒食と過食の心理-治療者のまなざし』1999・岩波書店-摂食障害と向き合う

  • ウォルター・ウェストン(青木枝朗訳)『日本アルプスの登山と探検』1997・岩波文庫-明治時代の山歩き

    2021年5月のブログです*ウォルター・ウェストンさんの『日本アルプスの登山と探検』(青木枝朗訳・1997・岩波文庫)を久しぶりに読みました。ウェストンさんは、初夏に上高地で行なわれるウェストン祭で有名なかたで、登山家。この本を読むのはおよそ20数年ぶり。40代後半になって、山歩きをするようになった頃に読んで以来です。このところ、なぜか明治から昭和にかけての山歩きの本を読んでいて、昔の山の紀行文を読むと、こころが落ち着いてとてもいいです。田部重治さん、木暮理太郎さん、武田久吉さん、若山牧水さん、などといった人たちの山の文章を読むと、昔の日本の山の美しさに感心させられますし、山里に住む人たちの素朴さにこころうたれます。古きよき日本の姿がたしかに描かれています。それは本書でも同様で、本書は明治20年代の日本ア...ウォルター・ウェストン(青木枝朗訳)『日本アルプスの登山と探検』1997・岩波文庫-明治時代の山歩き

  • 河合隼雄『対話する生と死-ユング心理学の視点』2006・だいわ文庫-心理療法を深める

    2019年春のブログです*河合隼雄さんの『対話する生と死-ユング心理学の視点』(2006・だいわ文庫)を再読しました。これもかなり久しぶりで、小さな文庫本なので、本棚の片隅にあったのを見つけて読んでみました。しかし、中身は充実していて、いい勉強になりました。さすがは河合さん!です。今回、特に印象に残ったところを一つ、二つ。一つめは、治療者の私が、もう一人の私としての病者を自覚すると、病者の心の中のもう一人の私としての治療者が働きはじめる、ということ。深い言葉です。転移・逆転移を表現しているとも言えそうですし、患者さんの自己治癒力の発現の機序を語っているようにも思えますし、さらには、もっと深いことがらを表現しているようにも思えます。たぶん北山修さんも同じようなことを話されていて、もっともっと考えてみたいな、...河合隼雄『対話する生と死-ユング心理学の視点』2006・だいわ文庫-心理療法を深める

  • 沢木耕太郎『旅のつばくろ』2020・新潮社-沢木さんが日本を旅する

    2020年5月のブログです*沢木耕太郎さんの『旅のつばくろ』(2020・新潮社)を読みました。沢木さんの新刊です(えっへん!すごいでしょ)。本書はJR東日本の車内誌「トランヴェール」に連載されたエッセイをまとめたもの。おもしろいです。老人になった(?)沢木さん(沢木さん、ごめんなさい。でも、沢木さんはじーじより7歳年上なのです)の、しかし、気持ちの若々しさがうらやましいです(何がちがうんだろ?)。旅は、沢木さんの高校時代の東北貧乏旅の思い出から始まって、東北、北陸の旅や思い出話などが綴られますが、沢木ファンには懐かしいお話も出てきます。例えば、エッセイ集『246』(たぶん?)に出てきたハチヤさん(養蜂家)のお話や、別のエッセイでの高倉健さんのお話、『深夜特急』でのお話などなど。また、作家吉村昭さんとの仙台...沢木耕太郎『旅のつばくろ』2020・新潮社-沢木さんが日本を旅する

  • 北山修ほか編『日本語臨床3「甘え」について考える』1999・星和書店-「甘え」の臨床に学ぶ

    2020年5月のブログです*北山修ほか編『日本語臨床3「甘え」について考える』(1999・星和書店)をかなり久しぶりに読みました。土居さんの「甘え」理論を1997年の第4回日本語臨床研究会で討議をしたあとの論文集ですが、読むのはなぜか久しぶりになってしまいました(土居さん、北山さん、ごめんなさい)。例によって、付箋やアンダーラインがあるものの、記憶がほとんどなく、なんと藤山直樹さんも論文を書いていて、ラッキーでした(一回読んだはずなのに、ラッキーもないのですが…。藤山さん、ごめんなさい)。言い訳になりますが、人はやはりその時の実力に応じた読書しかできないのですね。さて、今回の実力(?)で、印象に残ったことを一つ、二つ。一つは、小此木啓吾さんの論文。小此木さんは土居さんより10歳後輩らしいのですが、土居さん...北山修ほか編『日本語臨床3「甘え」について考える』1999・星和書店-「甘え」の臨床に学ぶ

  • 行者にんにく!を眺めながらの里山カウンセリングは、こころもにんにん元気になります

    こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリング,訪問カウンセリング,メールカウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でやっています。また,面会交流の相談・援助もやっています。公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族...行者にんにく!を眺めながらの里山カウンセリングは、こころもにんにん元気になります

  • 孫娘たちが大好きな段ボールの小さなおうちは新潟のばーばのプレゼント-遊ぶことのちから

    上の孫娘が7歳、下の孫娘が4歳のころのブログです*新潟のじーじのおうちの居間には、孫娘たちが大好きな段ボールでできた小さなおうちがあります。何年か前の孫娘たちの誕生日に、新潟のばーばがプレゼントをしたおうちなのですが、これが孫娘たちが大好きで、新潟に遊びに来ると、いつも二人で中に入って遊んでいます。段ボールのおうちなので、ブーフーウーのおうちのように、今にも倒れそうなおうちなのですが、孫娘たちは大のお気に入りで、いらっしゃいませー、とお店やさんごっこをしたり、秘密基地のようにして、二人で遊んでいます。最近は、ようやくはさみの使い方を覚えた下の孫娘が、折り紙をハート形に切って、セロテープで貼って飾ったりしていて、この子は将来、建築家になれるかもしれません(?)。上の孫娘も、紙をテープのように切って、丸めてつ...孫娘たちが大好きな段ボールの小さなおうちは新潟のばーばのプレゼント-遊ぶことのちから

  • 神田橋條治『精神科診断面接のコツ』1984・岩崎学術出版社-精神科面接の名著に学ぶ

    2020年5月のブログです*神田橋條治さんの『精神科診断面接のコツ』(1984・岩崎学術出版社)を久しぶりに読みました。この有名な精神科臨床の面接の名著、じーじも家裁調査官の時代から何度も読んで参考にさせていただいていますが、感想文は初めてです。このまるで宝箱のような本を再読して、今の力量で何をどう感じるのか、自分で確かめてみたいと思いました。あいかわらず、付箋とアンダーラインだらけで、少し整理をしながら読み進めました。あくまでも、今の時点で印象に残ったことを一つ,二つ。一つめは、読んでいて思い出したのですが、ごく近い未来を予測することの大切さ。その後、この予測と結果を比較することで、面接や診断の善し悪しがわかり、面接の技術が上がるといいます。頷けます。二つめは、いつでも、あと5分で面接を終われるような面...神田橋條治『精神科診断面接のコツ』1984・岩崎学術出版社-精神科面接の名著に学ぶ

  • 立松和平『歓びの知床』1999・地球丸-和平さんの知床・知布泊での丸太小屋生活です

    2020年5月のブログです*立松和平さんの『歓びの知床』(1999・地球丸)を久しぶりに読みました。面白かったです。今年の連休はコロナで県外に出かけられないので(県境で検問をしているニュースまでありました)、もっぱら読書三昧の生活。もっとも、じーじの場合、車中泊で旅行をしていても、人の少ないところで、景色を眺めたり、本を読んだり、ビールを呑んだりしているだけなので、家にいるのと同じなんですけどね…。さて、本書、和平さんの知床・知布泊での丸太小屋生活を綴っています。以前、この本を読んで、じーじも知床に小さいのでいいので、丸太小屋がほしいな、と思ったことがあったくらいで、あこがれの生活です。山荘のまわりでソバを育て、しまいには地元の友人たちと農業会社まで作ってしまいます。さらに、別の友人に頼まれて、毘沙門堂ま...立松和平『歓びの知床』1999・地球丸-和平さんの知床・知布泊での丸太小屋生活です

  • 山中康裕『こころと精神のはざまで』2005・金剛出版-こどもごころを残したすてきな臨床家に学ぶ

    2020年5月のブログです*山中康裕さんの『こころと精神のはざまで』(2005・金剛出版)を久しぶりに読みました。このところ、BS放送大学の小野けい子先生の「イメージと心理療法」を見ていて、ゲストで登場される山中さんの切れのいい、しかし、温かみとユーモアのあるお話をお聞きして、やはりすごい先生だな、と思い、何冊かの本を読み返しています。本書は、雑誌「臨床心理学」に、河合隼雄さんの後を受けて連載されたエッセイというか、論文で、山中さんの学術的な経験が本音でどんどんと語られます。バウムテストや絵画療法の思い出、ひきこもりの「内閉論」、こころの「窓」論、箱庭療法のカルフさんとの思い出、などなど、その専門性の高さはじーじも尊敬をするところです。また、河合隼雄さんだけでなく、中井久夫さんや木村敏さん、その他の優秀な...山中康裕『こころと精神のはざまで』2005・金剛出版-こどもごころを残したすてきな臨床家に学ぶ

  • 川上弘美『ゆっくりさよならをとなえる』2004・新潮文庫-電車の中で読むのは少し危険な本です

    2019年5月のブログです*川上弘美さんのエッセイ集『ゆっくりさよならをとなえる』(2004・新潮文庫)を再読しました。川上さんのエッセイを読むのは、『赤ゾンビ…』以来ですかね?少し前の本で、本棚の端のほうでなんとなく寂しそうにしているのを見つけて(?)読みました。いい本です。軽いタッチの文章のわりに、なんというかいみじみとした感じが漂っていて、文章も少しだけ寂し気です。しかし、内容がとても面白いので、時々、フフフ、と笑ってしまいます。大笑いをするわけではないのですが、時おり軽く笑ってしまうので、電車の中では要注意です。もともとは日経や朝日、中日などの新聞や月刊雑誌に連載したエッセイたちらしいのですが、こんなに笑わせていいのだろうか、と思ったりしながら読んでいました。川上さんのサービス精神もあるのかもしれ...川上弘美『ゆっくりさよならをとなえる』2004・新潮文庫-電車の中で読むのは少し危険な本です

  • 川上範夫『ウィニコットがひらく豊かな心理臨床-「ほどよい関係性」に基づく実践体験論』2012・明石書店

    2020年5月のブログです*川上範夫さんの『ウィニコットがひらく豊かな心理臨床-「ほどよい関係性」に基づく実践体験論』(2012・明石書店)を初めて読みました。川上さんの論文は、これまでにいくつか読ませていただいています。そのこまやかでていねいな実践を踏まえた論考にはすごく感心させられることが多かったのですが、今回、単行本を古本屋さんで手に入れることができました(こんないい本が品切れなのはもったいないことです)。すごい本です。川上さんは、ご自分のケースを紹介しながら、ウィニコットさんをとてもわかりやすく説明してくれていますが、それがすごいです。ウィニコットさんをこんなに深く理解して、説明されるかたはそういません。ひょっとすると、ウィニコットさんが表現できなかったことも説明されているような気もします。本当に...川上範夫『ウィニコットがひらく豊かな心理臨床-「ほどよい関係性」に基づく実践体験論』2012・明石書店

  • 村上春樹 『ダンス・ダンス・ダンス』(上・下)1991・講談社文庫-『羊をめぐる冒険』の世界へ

    2019年6月のブログです*村上春樹さんの『ダンス・ダンス・ダンス』(上・下)(1991・講談社文庫)を再読しました。なんとなく、あらすじの一部をぼんやりと覚えているような気がしていたので、再読がしばらくぶりになってしまいましたが、細部はほとんど忘れていたので、例によって(?)、またまたとても新鮮な気分で読んでしまいました。さきほど、読み終えたばかり、この感情をどう表現したらいいのか、戸惑います。やはり、すごい小説です。今まで思っていた以上にすごいです。読むほどに、生きる経験を積んで読むほどに、うなずけることと不思議さの両方が、哀しみや微笑みや笑いととともに増えていきそうな小説です。そう、この小説の中で、読者は人生を生き、哀しみ、苦しみ、喜び、そして、死を眺めるのだと思います。生きることのしんどさ、辛さ、...村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』(上・下)1991・講談社文庫-『羊をめぐる冒険』の世界へ

  • 山中康裕『親子関係と子どものつまずき-子どもと教育を考える22』1985・岩波書店

    2019年5月のブログです*山中康裕さんの『親子関係と子どものつまずき-子どもと教育を考える22』(1985・岩波書店)を再読しました。この本もかなり久しぶりで、本棚の隅のほうに隠れていた(?)のを見つけ出して、読んでみました。全然古くありません。まだ大家になる前の山中さんの若々しい姿が、そこにあって、新鮮な感じで読めてよかったです。自閉症の子どもさんなどのケースをていねいに提示して、ケースの理解と治療の様子をかなり詳しく述べておられるので、とても参考になります。山中さんは理屈抜きに、自分に正直に子どもさんやお母さんと向き合っており、やはりその情熱と熱意がすごいなと思います。例によって、今回、印象に残ったことを一つ、二つ。一つめは、子どもの出生について。世間では、子どもをつくる、つくらない、産む、産まない...山中康裕『親子関係と子どものつまずき-子どもと教育を考える22』1985・岩波書店

  • 藤沢周平『三屋清左衛門残日録』1992・文春文庫-老いることと生きること

    2019年5月のブログです*藤沢周平さんの『三屋清左衛門残日録』(1992・文春文庫)を再読しました。久しぶりでしたが、堪能しました。やはりいい小説です。この小説も、テレビドラマを観たのがきっかけで読みました。嫁役の南果歩さんがとても可愛かったのを覚えています。その後、原作を読んだのですが、すばらしい小説で、それがきっかけでじーじは藤沢周平さんの小説をたくさん読むことになりました。さて、本書、おとなの小説です。おとなというより年寄りの小説かもしれません。しかし、物語は結構、現代的で、描かれる主題は、例えば、組織で、あるいは、社会で、生きていく、とはどういうことか、と問いかけてきます。そして、そこに、男女のことがらが絡み、人として生きることとは、ということも出てきます。出てきますが、当然、正解はなく、様々な...藤沢周平『三屋清左衛門残日録』1992・文春文庫-老いることと生きること

  • 滝川一廣『新しい思春期像と精神療法』2004・金剛出版-子どものことを考える精神科医に学ぶ

    2019年6月のブログです*滝川一廣さんの『新しい思春期像と精神療法』(2004・金剛出版)を再読しました。5月の遊戯療法学会で滝川さんのお話をお聞きして、やはりすごい人だと思い、この本も再読しました。いい本です。臨床中心に、理屈ではなく、現実をわかりやすく説明してくださいます。特に、デビュー論文が摂食障害の論文だったということもあって、摂食障害とその治療についての記述がすごいですし、それでいてわかりやすく、身近な感じがする論考です。例によって、印象に残ったことを一つ、二つ。一つめは、いじめについて。いじめは悪ふざけのレベルから恐喝や傷害のレベルまで幅広いのですが、滝川さんは、どのいじめも子ども集団の中での相互作用として生じている現象、と捉えます。それゆえに、加害者意識が生じにくいことを指摘されますが、い...滝川一廣『新しい思春期像と精神療法』2004・金剛出版-子どものことを考える精神科医に学ぶ

  • 読書三昧・村上春樹さん・藤沢周平さん-じーじのじいじ日記・セレクト

    2019年5月の日記です*金曜日のボランティアで疲れたせいか、週末は小説三昧。村上春樹さんの『ダンス・ダンス・ダンス』(2004・講談社文庫)と藤沢周平さんの『三屋清左衛門残日録』(1992・文春文庫)を交互に読む。すごい組み合わせ、自分でも驚く(!)。しかし、これがとてもいい。カステラとおせんべいを交互に食べているような感じ(?)。洋風と和風のコラボレーションだ。どちらもなかなか深くて、しかし、少々のユーモアが効いているので、読み心地がいいし、後にひく。人生とは、出世とは、仕事とは、男女とは、などなど、久しぶりに考えながら、しかし、時おり、ニヤリとしながら読む。どちらもおとなの小説で、じーじにも読みごたえを感じさせてくれる。いい週末だ。そして、もうすぐビールの時間だ。(2019.5記)読書三昧・村上春樹さん・藤沢周平さん-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 滝川一廣『「こころ」の本質とは何か-統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』2004・ちくま新書

    2019年5月のブログです*先日の遊戯療法学会で滝川一廣さんのお話に感心をしたので、本棚の隅っこにあった滝川さんの『「こころ」の本質とは何か-統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』(2004・ちくま新書)を見つけ出して読む。久しぶりだが、いい本だ。統合失調症の発症の経過がとてもていねいに説明されて、中井久夫さんと同じくらいにわかりやすい。幻聴の生じ方もよく理解できる。自閉症に関しては、共同性という概念の導入で、こちらもとても理解しやすい。自閉症が単なる発達の正規分布の一部であることも述べられて(いわゆる自閉症スペクトラムだ)、いたずらに原因追及をすることの弊害も説明される。それよりも、関係性の発達の遅れととらえて、周囲がかかわることの大切さが説明される。昔と違って、一次産業や二次産業の人口が減り、三次産業と...滝川一廣『「こころ」の本質とは何か-統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』2004・ちくま新書

  • 遊戯療法・箱庭療法・プレイセラピー-2019年遊戯療法学会

    2019年5月の日記です*昨日から遊戯療法学会で東京にいる。昨日はワークショップとシンポジウム。ワークショップは山中康裕さん。箱庭療法のカルフさんと思い出話。今も昔も「熱い」先生で尊敬をする。山中さんのお元気なお話を堪能してまことに幸せな時間を過ごす。シンポジウムは養護施設の子どもさんのケース。いつもお世話になっている新潟大の横山知行先生が指定討論者のお一人だったが、先生のすごいケースも提示されて、教わることが多かった。今日の午前中は研究発表。じーじは田中千穂子さんが助言者の分科会に参加したが、田中さんのあいかわらず切れのいい助言に酔う。とても幸せな時間だった。午後、もう少しだけ勉強をして帰りの新幹線に乗る予定。新幹線で吞むビールが今から楽しみだ。(2019.5記)遊戯療法・箱庭療法・プレイセラピー-2019年遊戯療法学会

  • 心理臨床・イメージ・箱庭療法-じーじのカウンセリング日記

    2019年5月の日記です*BSの放送大学の「心理臨床とイメージ」を見る。今日は箱庭療法の講義。講師は小野けい子先生。放送大学大学院で勉強していた時にたいへんお世話になった先生だ。臨床心理学、心理療法、箱庭療法、絵画療法など、とても詳しく、ていねいに、わかりやすく教えていただいた。そして、今日のゲストがなんと山中康裕さん。遊戯療法学会の会長で、このブログにも何度も登場している先生。じーじの尊敬する心理療法家だ。山中さんはスイスの箱庭療法家のカルフさんから箱庭療法を習い、その後、河合隼雄さんなどと一緒に、箱庭療法を世界的なものに発展させた人でもある。このお二人が箱庭療法のお話をするということで、とても豪華な講義である。久しぶりに学生になったような気分で真面目に勉強をする。実は今月中旬に東京で遊戯療法学会があっ...心理臨床・イメージ・箱庭療法-じーじのカウンセリング日記

  • 立原正秋『冬の旅』1973・新潮文庫-凛とした孤高の青年を描く

    2019年5月のブログです*立原正秋さんの『冬の旅』(1973・新潮文庫)を久しぶりに読みました。おそらく30代の終わりくらいに再読をして以来、約30年ぶりくらいの再読です。とてもいい小説で、記憶力の悪いじーじにしてはめずらしくあらすじを覚えていて、再読が久しぶりになってしまいました。本当にいい小説なので、あらすじだけでなく、文章もじっくりと味わうことができるのですが、すごいご無沙汰でもったいないことをしてしまいました。今回は、文章を丁寧に味わいながら、ゆっくり、ゆっくりと読みました。やはりすごい小説です。文章がたびたび胸に迫ってきて、こころを平静に保つのが難しくなることもありました。じーじが持っている文庫本は1973年に購入したもの。大学1年の時です。おそらく高校時代に「冬の旅」のテレビドラマを観て、印...立原正秋『冬の旅』1973・新潮文庫-凛とした孤高の青年を描く

  • 冬の旅・愛読書・物語のちから-じーじのじいじ日記・セレクト

    2019年5月の日記です*昨日から立原正秋さんの『冬の旅』(1973・新潮文庫)を再読している。じーじにとってはもっとも大切な小説。「もっとも」という言葉は簡単には使いたくないが、この小説はじーじにとっては本当に大切な小説。この小説を読んだことで、非行少年の相手をしてみたくなり、臨床の世界に入ったからだ。おそらく、自分の中の、非行少年、不良少年、の部分に向き合わされたのだろうと思う。あらすじはさすがに、じーじにはめずらしく(?)まだ覚えているので、再読を少し迷ったが、やはりいい小説を読んで、こころを豊かにしたいな、という思いが強くなった。いい小説の文章の力、物語の力は、やはりすごいと思う。そういう意味で、再読をしたい大切な小説はまだたくさんあって、たとえば、村上春樹さんの『海辺のカフカ』(2005・新潮文...冬の旅・愛読書・物語のちから-じーじのじいじ日記・セレクト

  • 加藤周一『夕陽妄語2 1992-2000』2016・ちくま文庫-ドイツと日本の戦争責任のあり方を考える

    2022年5月のブログです*加藤周一さんの『夕陽妄語21992-2000』(2016・ちくま文庫)を再読する。加藤さんの『夕陽妄語』の感想文は、なぜか、『1』と『3』だけがあって(よかったら読んでみてください)、『2』がなかったので、再読してみた。1992年から2000年にかけて、『朝日新聞』に月1回ずつ連載されたエッセイをまとめたもの。この間、日本では、戦後50年問題、阪神淡路大震災、オウムサリン事件などがあり、海外ではユーゴスラビア紛争その他が起きた。加藤さんはそれぞれの出来事を冷静に、時に熱く述べるが、じーじの見るところ、その通底には日本の戦争責任のあり方の不十分さを問うているものがあるように感じられた(加藤さん、間違っていたら、ごめんなさい)。ドイツが、ナチスの戦争責任とそれへの協力者に対して長年...加藤周一『夕陽妄語21992-2000』2016・ちくま文庫-ドイツと日本の戦争責任のあり方を考える

  • 伊藤良子『心理療法論』2011・京都大学学術出版会-こころに大切なことを学ぶ

    2018年のブログです*先日、伊藤良子さんの『心理治療と転移』を読んでおもしろかったので、今度は同じく伊藤さんの『心理療法論』(2011・京都大学学術出版会)を再読してみました。これもかなり久しぶりで、なんとなく心理療法論という題名や京都大学学術出版会という名前にちょっと怖じ気づいてしまい、遠のけていました(伊藤さん、京大関係者のみなさん、ごめんなさい)。読んでみると、内容は案の定、ほとんど忘れていたのですが、しかし、ところどころに付箋やアンダーラインがあり、昔は真面目に勉強していたんだな、と感心をしました(?)。今回、印象に残ったことを一つ、二つ…。一つめは、来談者こそクライエント、という視点。われわれは、ともすると、症状を出している人が問題、と考えがちですが、こと、心理療法においては、来談者に耳を傾け...伊藤良子『心理療法論』2011・京都大学学術出版会-こころに大切なことを学ぶ

  • 東北・道の駅・車中泊-じーじの2019年東北の旅・5

    2019年ゴールデンウィークの日記です*今朝、新潟に戻る。6泊7日の東北の旅。初めての日本海側の旅だったので、じーじもワクワク、ドキドキの旅だった。三内丸山遺跡もすごかったし、本州から見る北海道もすごかった。時間や空間が雄大になった感じで、今も気持ちがいい。一方、車中泊をした道の駅。人さまのことは言えないが、車中泊の車が増えてたいへん。ホテルや旅館に泊らない貧乏人が増えているのかな?景気が悪いのかな?やはり消費税増額などをしている場合ではないのかもしれない。というより、この際、消費税は廃止したほうがいいかも…。足りない税収は大企業や高額所得者からいっぱいいただくようにしたい。ちょうど参議院選挙もあるし、ひょっとすると衆議院選挙もあるかもしれず、いい機会かも?貧乏な庶民をいじめる消費税は廃止しましょう!あ、...東北・道の駅・車中泊-じーじの2019年東北の旅・5

  • 伊藤良子『心理治療と転移-発話者としての<私>の生成の場』2001・誠信書房-「私」とは?

    2018年のブログです*伊藤良子さんの『心理治療と転移-発話者としての<私>の生成の場』(2001・誠信書房)を再読しました。今年の遊戯療法学会のワークショップでお話をきく機会があり、せっかくなので以前読んだことのある本書を読んだうえでお話をきこうと思って再読をしたのですが、読み終わるまでに少し時間がかかってしまいました。じーじの本には2種類の付箋が貼られていて、おそらく2回は読んでいるようなのですが(?)、なかなか難しい本で、今回も結構、難渋をしました。それでも、少しだけ、印象に残ったことを書いてみます。一つめは、自閉症児は「見ること」へのとらわれがあるのではないかという仮説です。自閉症児が「見る」ことに過剰にとらわれて、「もの」に執着し、「人」への対象の移行がうまくできていなにのではないか、ということ...伊藤良子『心理治療と転移-発話者としての<私>の生成の場』2001・誠信書房-「私」とは?

  • 桜吹雪の山形・庄内路を南下中です-じーじの2019年東北の旅・4

    2019年ゴールデンウィークのブログです*今日の東北地方日本海側はやや強めの風。わが愛車タントくんは秋田から山形県庄内地方に入りました。散りかけの桜が風に舞って、タントくんのフロントガラスに付き、とってもきれい。無粋なじーじでもひと時の詩人にしてくれそうです。山形美人ちゃんは…、と探しますが、風が強いせいか、見当たりません。残念。途中、日帰り温泉があったので寄りました。湯船がいくつもあって、立派な温泉。5分以上入らないこと、と書かれた湯船もあって、本格的です。旅の疲れを癒しました。庄内は作家藤沢周平さんのふるさと。あちらこちらから周平さんの描くお侍さんや農民さんが出てきそうな雰囲気です。しばらく読んでいなかったので、帰ったらまた読みたいと思います。さてさて、旅も終盤。安全運転で新潟を目指します。(2019...桜吹雪の山形・庄内路を南下中です-じーじの2019年東北の旅・4

  • 子ども・自閉・遊戯療法-2018年遊戯療法学会

    2018年のブログです*週末に首都大学東京で開催された2018年遊戯療法学会に行ってきました。遊戯療法学会の首都大学東京での開催は2008年以来10年ぶりとのことで、そういえば10年前、入会して間もなくのわたしは、知らない人ばかりの大学内でうろうろしていたな、となつかしく思い出しました。今年のテーマは、子どもの今-遊戯療法の実践者としてできること、で基調講演はなんと落合恵子さん、初めて生で見てしまいました。ワークショップは伊藤良子さんの、自閉スペクトラム症の子どもの遊戯療法から学んだ重要なこと、のクラスを選択しました。最近、伊藤さんの『心理治療と転移』(2001・誠信書房)という本が気になって再読中なのですが、ちょうどその中の一事例を詳しくご紹介いただいて、とても勉強になりました。ひとがひとになっていく瞬...子ども・自閉・遊戯療法-2018年遊戯療法学会

  • 山菜を眺めながらの里山カウンセリングは、こころもぐんぐん、おなかはぐーぐーです

    こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリング,訪問カウンセリング,メールカウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でやっています。また,面会交流の相談・援助もやっています。公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族...山菜を眺めながらの里山カウンセリングは、こころもぐんぐん、おなかはぐーぐーです

  • 今年の5月1日は秋田美人ちゃんがいっぱいです!-じーじの旅・セレクト

    2019年ゴールデンウィークのブログです*5月1日といえばメーデー。現役時代はメーデーの行進をしたものですが、引退後はひとり旅の日々。今日は秋田県内を南下しました。秋田美人といいいますが、確かに美人ちゃんが多いです。街を歩く女性の2人に1人は美人ちゃん。青森も意外と(?)美人ちゃんが多く、街を歩く3人に1人は美人ちゃんでしたが、さすがは秋田です。美人恐怖症のじーじにはうれしい悲鳴(?)。そういえば、じーじの母方の先祖は秋田出身(ちなみに父方は仙台出身で、戊辰戦争後に北海道に渡ったらしいです)。ということで、じーじも秋田美人の血をひいていますが(?)、そんなじーじが新潟美人の奥さんと結婚をしましたので、その間にできた娘(孫娘たちのママですね)は新潟・秋田連合の最強の美人ちゃん。孫娘たちも新潟・秋田最強連合の...今年の5月1日は秋田美人ちゃんがいっぱいです!-じーじの旅・セレクト

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