「バブルによる隔離」を言っていたくせに、今頃になって「五輪では空港で関係者と一般利用者の動線を分ける」ことの検討を始めるそうです。「隔離」って言葉を、五輪の運営者は理解できていないのかな?動線が混じっていたら隔離されていることにはならないでしょ?もしかしてウイルスよりも脳なし?少なくとも能なしであることは間違いないようです。「バブルによる隔離」と口に出した瞬間「なんとなく生じた“達成感”」で満足しちゃいました?【ただいま読書中】『二つの温暖化──地球温暖化とヒートアイランド』甲斐憲次編著、成山堂書店、2012年、3800円(税別)気温計による測定はたかだかこの100年のことですが、化石記録・花粉分析・同位体分析などから過去の気温はけっこう高い精度で推定できます。歴史を見てもある程度のことはわかります。たとえば1...隔離の意味が理解できない
規則一点張りの融通が利かない人間は腹立たしいものですが、決まりを守るという簡単なことさえまるでできない人間はもっと腹立たしいものです。【ただいま読書中】『摩擦のしわざ』田中幸・結城千代子著、西岡千晶絵、太郎次郎社エディタス、2015年、1500円(税別)摩擦によって「熱」「音」などが発生するのはなぜか、から話は始まります。これには「原子」「分子」の存在を理解する必要があります。さらに摩擦によって「電気(正確には静電気)」も発生します。これには原子の内部構造を理解する必要があります。摩擦によって表面が削られる「摩耗」という現象もあります。ブレーキは摩擦がなかったら機能しませんが、では単にぎゅっと止まれば良いかと言えばそうではありません。公共交通機関が急停車したら車内で転倒事故多発です。だから微妙なコントロールが必...規則を守る
昭和16年:「米英には必ず勝てます」「我々(政治家と軍人)を信じてください」「ここまで来たら戦争をやめるわけにはいきません」昭和20年:「負けを認めない限り、負けたことにはなりません」令和3年:「コロナには必ず勝てます」「ここまで来たらオリンピックをやめるわけにはいきません」そしてオリンピック後には?【ただいま読書中】『りゅうおうのおしごと!(6)』こげたおこげ作、白鳥士郎原作、スクウェア・エニックス、2017年、571円(税別)『りゅうおうのおしごと!(7)』こげたおこげ作、白鳥士郎原作、スクウェア・エニックス、2018年、571円(税別)「才能がない人間は去れ」は正しいのか?この問いに何人もの人が真っ正面から向き合います。「才能がない人間は努力をすれば良い」が正しいとしたら、ではテーゼは「才能vs努力」なの...天皇に対して……
赤木ファイルに墨塗をした人は、きちんとその記録を残しているんですかね?そもそもどこを墨塗するか、指示した人は誰?墨塗の場所を決定した根拠は?ページを抜いていない、という根拠は示せます?【ただいま読書中】『性転師──性転換ビジネスに従事する日本人たち』伊藤元輝著、柏書房、2020年、1600円(税別)共同通信社の遊軍記者として神戸で仕事を始めた著者は、デスクから指示された取材で偶然坂田という人に出会います。坂田が社長をする会社は「海外美容整形アテンド」を名乗っていました。これはつまり、タイで性別適合手術(昔の言い方だと性転換手術)を受けたい日本人をタイの病院や旅行会社に取り次ぎ、パック旅行としてまとめて仲介料を頂く仕事です。「男→女」の場合は100万円程度、その逆は3回の渡航が必要で300〜400万円。日本で初め...改竄の記録の改竄の記録
尾身さんの危惧は「自主研究に過ぎない」と切って捨て、天皇の懸念は「宮内庁長官の考え方に過ぎない」と切って捨てる政治家って、専門家よりも天皇よりもエラい、という自覚があるのでしょうね。(ちなみに、専門家は研究をするのが当たり前ですし、天皇は政府に直接口出ししたら憲法違反になるから間接的にしか述べることが許されていません)まあ、たしかに彼らは人間の世界では一番エラいのでしょう。問題は、ウイルスがそれを認めてくれる(「エラい人には従おう」と思ってくれる)かどうかです。だれかウイルスの意向を確かめました?【ただいま読書中】『横浜の関東大震災』今井清一著、有隣堂、2007年、2300円(税別)1923年(大正12年)9月1日正午1分前の関東大震災では、「東京(市)」の被害はよく知られていますが、神奈川県や千葉県でも大きな...ウイルスよりエラい人たち
「2万人入れる」「スポンサー関係者は『別枠』」「会場で飲酒できるかどうか検討」なんてことを“オリンピックのエラい人”たちが言っています。なんだかもやもやしたいやんな気分です。「別枠」って、ウイルスが「この人たちは別枠扱いね」と言ってくれる?市中では「飲むな」「声を出すな」と言われているのに、五輪会場は別天地?東京オリンピック2020のゴールドパートナーがアサヒビールで会場で出されるアルコールもアサヒビールのはずだから、このもやもやした気分をなんとか晴らすために「もうアサヒビールは飲まない」という決心でもするしかないですかね。あ、私は下戸だから、最初からアサヒビールは飲んでいなかった。【ただいま読書中】『研究不正と歪んだ科学──STAP細胞事件を超えて』榎木英介編著、日本評論社、2019年、2300円(税別)「S...オリンピック会場で飲酒の“検討”
将軍家や大名などは子供ができないことに備えて側室を複数置く、という“対策”を立てるそうですが、男性不妊に対しては無効ですよね。ちなみに、男性に不妊の原因がある確率は、女性とほぼ同等だそうです。「嫁して3年子なきは去る」は女性の側にだけ要求してはいけないみたい。【ただいま読書中】『源氏将軍断絶』坂井孝一著、PHP研究所、2021年、1020円(税別)室町幕府も江戸幕府も初代の血統が15代続きましたが、鎌倉幕府の場合頼朝の血筋は三代まで。四代と五代は摂家将軍、六〜九代は親王将軍となりました。源氏の血筋は存在していたのに、どうして源氏将軍が途絶えてしまったのか、それを本書は問います。さらに、誰もがたよりにする鎌倉幕府の公式資料は『吾妻鏡』ですが、これが編纂されたのは頼朝挙兵から120年後、つまり「北条寄り」の史料です...男系の維持
一番楽観的な未来:ワクチンが奏効あるいはウイルスが突然変異をして無害になる。悲観的な未来:これはいくつもあり得ます。たとえば、ワクチンの効果があってもごく短期間。ワクチンの副反応で人類がばたばた倒れる。ウイルスが突然変異をして凶悪になる。ワクチンの効果は限定的で、今と同じ状態がずっと続く。新しい疫病がさらに発生する。【ただいま読書中】『コロナ後の世界』大野和基編、文藝春秋(文春新書1271)、2020年、800円(税別)目次:「独裁国家はパンデミックに強いのか」(ジャレド・ダイアモンド)、「AIで人類はレジリエントになれる」(マックス・テグマーク)、「ロックダウンで生まれた新しい働き方」(リンダ・グラットン)、「認知バイアスが感染症対策を遅らせた」(スティーブン・ピンカー)、「新型コロナで強力になったGAFA」...ポストコロナ
すばらしい手品を見て、科学のすごさを思う人もいれば、過去の修練の大変さを思う人もいるし、魔術や超能力の実在を信じる人もいます。【ただいま読書中】『りゅうおうのおしごと!(3)』こげたおこげ作画、白鳥士郎原作、スクェア・エニックス、2016年、562円(税別)『りゅうおうのおしごと!(4)』こげたおこげ作画、白鳥士郎原作、スクェア・エニックス、2016年、562円(税別)『りゅうおうのおしごと!(5)』こげたおこげ作画、白鳥士郎原作、スクェア・エニックス、2016年、571円(税別)子供の時に師匠宅に引き取られた主人公、盲目の永世名人、やたら派手なライバル、など「3月のライオン」を連想させるネタが豊富に仕込まれていますが、あちらになくてこちらにあるのが「弟子」の存在です。小学生のあいちゃんは無事(?)九頭竜くんの...同じものを見ても
大戦果ヴェトナム戦争(当時はまだ「ベトナム」と表記されていました)が盛んに新聞で報道されていた頃「アメリカ軍・南ベトナム政府軍の死傷者は○人、ベトコンの死者は××人」などと毎日ニュースになっていました。「××」は必ず「○」の数倍〜100倍で「圧倒的じゃないか、ならどうして戦争が長引くんだ?」と小学生でも不思議に思っていました。で、何年も戦争は続き、そのうち「ソンミ村」の報道があり、「まさかソンミ村の住民も『ベトコン』に数えられていたのかな?」とある中学生は思いましたっけ。【ただいま読書中】『ヴェトナム戦争ソンミ村虐殺の悲劇──4時間で消された村』マイケル・ビルトン/ケヴィン・シム著、葛谷明美、後藤遥奈、堀井達朗訳、藤本博、岩間龍男監訳、明石書店、2017年、5800円(税別)https://www.amazon...大戦果
この世で最初の大学を作った人たちは、大学の卒業生ではありません。【ただいま読書中】『京都の渡来文化と朝鮮通信使』仲尾宏著、阿吽社、2019年、1800円(税別)京都は日本の伝統の源泉扱いされていますが、実はグローバルな文化交流の結節点でもあった、つまり「日本の伝統」と人びとがなんとなく思い込んでいるものの正体は一体?という疑問から本書は始まります。日本に「人や文化が外国から渡来」したことが史料でわかるのは、飛鳥時代の「帰化人」にまで遡ることができます。ところで「帰化」とは古代中国の「欣化内帰(きんかないき)」によりますが、『古事記』では見えず、『日本書紀』で初めて登場します。「倭国」から「ミニ中華帝国としての日本国」になった、という意識の表れでしょう。「帰化人(渡来人)」は、自発的な移住・商売・戦乱による難民や...最初の大学生
昨日の本は「江戸への引っ越し」でしたが、今日の本で著者が向かうのはアフリカです。人はいろんなところに向かって移動するもののようです。【ただいま読書中】『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎著、光文社(新書883)、2017年(17年9刷)、920円(税別)子供時代の夢が「バッタに群がられて喰われてしまいたい」だった著者は、昆虫学者になりますが、日本では「バッタ研究」では食えないことがわかり、31歳の時サバクトビバッタで大被害を受けているアフリカに渡ります。フィールドワークはまったく初めての若い博士がサハラ砂漠でどのような大冒険を繰り広げたか、さあ、始まり始まりぃ。先日の『南極で心臓の音は聞こえるか──生還の保証なし、南極観測隊』(山田恭平)もそうでしたが、「若いポスドク」って生きの良い文章を書く人が多いの...今日はアフリカ
桃から生まれたから桃太郎、これはシンプルにわかります。では竹から生まれたからかぐや姫……これはわかりません。どうして?【ただいま読書中】『江戸移住のすすめ』冨岡一成著、旬報社、2021年、1500円(税別)「Jターン」とか「Iターン」とか言われていますが、ならば「江戸」に移住するのはいかが?と勧めてくれる本です。電気もガスもないし当然ネットも使えないけれど、住めば都ですよ、と。まずは家探しから。著者は親切にも「大家への挨拶」での“模範”を示してくれます(といっても、出典は落語ですが)。時刻の数え方も独特です。これはもう、覚えるしかありません。江戸だと時鐘が一刻ごとになるから大体の時刻はわかりますが、あとは太陽の傾きで見当をつけるしかないでしょう。ただ、誰も腕時計を持っているわけはないので、厳しい「遅刻」の概念は...かぐや
「専門家の意見を聞く」と二言目には専門家に責任を負わせようとしている政治家が、尾身さんが国会で五輪開催にものを言った瞬間「あんなの自主的な研究だ」と公然と無視する構えを示しました。普段「意見を聞く」と言っていたのは何だ?と思うと同時に「意見は聞くが研究は無視」という態度に、私は茫然。「専門家」としては「意見」よりも「研究」の方が「上」なのですから。「意見」には厳密な根拠は必ずしも要求されませんが、「研究」には必ず厳密な根拠と論証が要求されます。それを「自主的な研究」と切って捨てる政治家は、頭のどこか(おそらく言葉の中枢、あるいは現実認識、あるいは倫理観)が壊れているのではないか、と私は思っています。田村さんはあとから「研究の自主性は大切」などの言い訳をしています。もちろん言論の自由があるから、何を言っても良いで...研究<意見?
日本政府は「専門家の意見を聞く」とよく言います。でも、政府の意向に反することを専門家が言ったら、学術会議から外されたり怒られたりします。【ただいま読書中】『そのとき、「お金」で歴史が動いた』ホン・チュヌク著、米津篤八訳、文響社、2021年、2350円(税別)スチュワート王朝は思いつきのように重税を課しさらに「債務不履行」を乱発しました。そのため国王に対する不信感は増し、ついに清教徒革命が勃発。さらには父の処刑から教訓を得ず重税を課そうとしたチャールズ2世もまた名誉革命を食らうことになりました。その後の英国政府は、税金や債券の支払いでは極めて“優等生”となり、国債の利率は急低下、安いコストで資金が調達できるようになった金融市場に資金が集まるようになり、英国は高価な戦列艦を次々建造することが可能になりました。18世...専門家の異見の存在意義
コロナに関して政府は何かあると「専門家の意見を聞いてから」と記者の質問を強制終了させていましたが、実際に専門家が意見を言うと無視し続けてきました(「GoToトラベル」の強行なんかその象徴)。それどころか最近は「立場をわきまえろ」とかの反発や非難が増えています。結局「専門家の意見」って、政治家にとっては、何?【ただいま読書中】『日本史サイエンス──蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る』播田安弘著、講談社(ブルーバックスB2149)、2020年、1000円(税別)日本侵略のため、フビライハーンは高麗に軍船建造と3万人以上の人員の徴用を命じました。そこで高麗がどの程度の軍船を準備できたか、を著者はエンジニアの目で分析します。内部構造まできちんと設計して、その船に何人(と軍馬が何頭)乗れるかを計算しています。する...専門家の意見
特殊詐欺の人たちは、「現在の社会で何が問題になっているか(何が一番人びとの興味を引き心に訴求するか)」「人はどうしたら動くか」についてやたら詳しいようです。だったらそういった人たちを政府はスカウトして、「巣ごもりの人たちが何を求めているか」「どうしたら国民が巣ごもりを継続できてコロナを制圧できるか」について知恵を出してもらいさらに広報もしてもらったらどうでしょう。「良い仕事」をしてくれるかもしれませんよ。【ただいま読書中】『りゅうおうのおしごと!(1)』こげたおこげ作画、白鳥士郎原作、スクウェア・エニックス、2016年、533円(税別)『りゅうおうのおしごと!(2)』こげたおこげ作画、白鳥士郎原作、スクウェア・エニックス、2016年、571円(税別)中学生でプロ棋士になり、16才で竜王を獲ってしまった九頭竜八一...詐欺師の活用法
知の知、無知の知科学において重要なのは、何がわかっているかをきちんと科学者が把握し、さらにそれを他の科学者とも共有できていること、さらに何がわかっていないかもきちんとわかっていることです。【ただいま読書中】『南極で心臓の音は聞こえるか──生還の保証なし、南極観測隊』山田恭平著、光文社(光文社新書1077〉、2020年、1000円(税別)「生還の保証なし」はもちろん日本の観測隊の話ではなくて、シャクルトンが隊員募集の広告で使った「男子求む至難を極めし航海薄給・極寒・続く暗黒・常なる危険生還の保証無し成功時には名誉有り」からです。高校生の時に講演で聴いた「南極に行きたいなら、金持ちになるか南極観測隊」「南極観測隊員になるなら研究者になるのが簡単」「南極大陸では自分の心臓の音が聞こえる」という話に“呪い”にかけられ、...知の知、無知の知
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