chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
ただいま読書中 https://blog.goo.ne.jp/mxd00665

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

おかだ外郎
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2015/01/19

  • 正論

    「腹が立つくらいの正論」というものがありますが、聞いた人が腹を立てた時点ですでにその「正しさ」が他人に及ぼす効果は失われています。【ただいま読書中】『土偶を読む』竹倉史人著、晶文社、2021年、1700円(税別)「土偶」は「妊娠した女性」とか「デフォルメされた人体」とか「宇宙人」なんてことも言われています。しかし「本当に女性なのか?そもそもあれは人体か?デフォルメと言うが、本当か?」という疑問を持った著者は人類学の立場から土偶を“読む"ことにします。土偶のレプリカを常に手もとに置き、縄文人と同じような生活をすることで、縄文人が何を思ってあのような造形を生んだのかを知ろうというのです。そこから浮かんだのは、驚愕の解釈。土偶は「縄文人が大切にしていた食材(主に植物、一部貝類)を精霊として表現した写実的なフィギ...正論

  • 喉元過ぎれば熱さを忘れる

    10年経つと原発事故の悲惨さはもう忘れられてしまったようです。ならば、半世紀以上前の戦争の悲惨さなんか、もう戦争そのものがなかったことになっているのでしょうね。【ただいま読書中】『早良親王』西本昌弘著、吉川弘文館、2019年、2200円(税別)桓武天皇の同母弟で、崇道天皇という追尊天皇(天皇位には就かず、死後に天皇号を追贈された人)です。早良親王の祖父施基(しき)親王は天智天皇の第七皇子でその妻は越前の地方豪族の娘。父白壁王は末っ子でその妻和(やまと)新笠は百済の下級氏族出身です。家系図だけ見たら早良親王に天皇の“目"はありません。だからでしょう、白壁王の長男の山部王は官僚として励むことになり、弟の早良は幼くして東大寺に出され、仏道修行に励むことになります。その目が大きく変わったのが、称徳天皇の崩御で白壁...喉元過ぎれば熱さを忘れる

  • 体罰

    弱虫で卑怯者の行為です。だって「殴り返さない(殴り返せない)とわかっている相手」だけを選んで殴っているでしょ?【ただいま読書中】『命の救援電車──大阪大空襲の奇跡』坂夏樹著、さくら舎、2021年、1700円(税別)1945年3月10日未明、東京に大空襲がありました。それまで米軍の空襲は主に軍事施設を狙った精密爆撃でしたが、この時から米軍の戦術は市街地に対する無差別大規模破壊大量殺戮を目的とするものに変わります。3月12日未明には名古屋、そして13日23時57分から14日3時25分の間に大阪に274騎のB29から1730トンの焼夷弾が投下されました。大阪市は一面の火の海になります。「大阪の地下鉄の駅に逃げ込んだ人が、走っていた電車に命を救われた」という噂が一部で囁かれていました。しかしあくまで噂です。現実的...体罰

  • 正確な時計

    正確な時計世界で最初に発明された時計の正確性はどうやって確認されていたのでしょう?【ただいま読書中】『発明は改造する、人類を。』アイニッサ・ラミレズ著、安部恵子訳、柏書房、2021年、2800円(税別)材料科学者(兼サイエンス・ライター)の著者は「材料が発明家によっていかに形作られたか」だけではなくて「その材料がいかに文化を形作ったか」について探求しました。たとえば「時計」。正確な懐中時計の発明によって、「時間」は「商品」になりました。20世紀初めのロンドンで、実際に「時間」を売って歩いた女性の話が本書の冒頭に登場します。時計を持っていないけれど商売に「時刻」が必須の人(特に閉店時刻が厳密に決められていたパブの主人たち)のために、週に1回グリニッジ天文台に出かけて自身の懐中時計(「アーノルド」という名前で...正確な時計

  • 弔問外交

    “お友達"のプーチンとトランプは、いましたっけ?【ただいま読書中】『ばらまき──河井夫妻大規模買収事件全記録』中国新聞「決別金権政治」取材班著、集英社、2021年、1600円(税別)「政治」が大好きなことで結びついている夫妻が引き起こした事件の顛末です。最初は「文春砲」でした。「妻の選挙で運動員に規定以上の報酬が支払われ、その責任者は夫(しかも法務大臣)」というのです。即日河井克行は法務大臣を辞職、中国新聞は(というか、文春以外のすべてのマスコミは)文春の“二の矢"は何か、と固唾を呑みます。中国新聞は「多数の自民党県議などへの現金ばらまき」が“それ"と読んで、独自に取材を始めその感触を得て記事にします。しかし文春の“二の矢"は河井克行の「(選挙運動中の)60kmオーバーのスピード違反」。つまり結果として中...弔問外交

  • 円安対策

    「投機的な動きは許せない」と政府・日銀は円買い介入をしましたが、貴重な外貨(死語?)を手放して安物となった円を買い込むのは、結局国益を損じていません?さらに、円安傾向なのは「投機」のせいでしたっけ?【ただいま読書中】『あたしの、ボケのお姫様。』令丈ヒロ子著、ポプラ社、2016年、1400円(税別)中学生のまどかのクラスに5月という中途半端な時期に転校生るりりがやって来ます。小柄で昭和アイドルのような恰好をしていて、話すと完璧な天然ボケ。小学生の時に「あたしはお笑いの道を目指す」と決心して同級生のキエ蔵とコンビを組んで学校では人気者となっていたのに、“路線対立"(キエ蔵は完璧な脚本と徹底した稽古での漫才を目指すが、まどかは自由奔放な方が好み)のためにコンビ解消をしてしまい、その時の“傷"を今も引き摺っていた...円安対策

  • 敬老の日に思うこと

    高齢者の就労率がどんどん上がっているそうです。その記事を読んでいると、「人手不足だから」とか「日本人は勤労意欲が高いから」などの理由が挙げられていますが、これ、根拠はなんでしょう?ちゃんと「高齢者自身」に聞いたのかな?もしかしたら「年金では食っていけない」がトップの理由ではないか、と思いますが、これも私の想像でしかありません。だから実際にアンケートしたらわかるんじゃないかしら?【ただいま読書中】『嫌われた監督──落合博満は中日をどう変えたのか』鈴木忠平著、文藝春秋、2021年、1900円(税別)現役時代に3度の三冠王を獲得したとんでもない選手だった落合博満は、2004年から7年間中日ドラゴンズの監督を務めました。本書は「落合が監督になるらしい」という噂が囁かれるようになったところから始まります。日刊スポー...敬老の日に思うこと

  • 「緊張感を持って注視する」

    昔「壊れたレコードプレーヤー」という言葉がありました。しかし、ここまで“正確"に同じ言葉を確信的に繰り返している政治家を見ると、彼らの頭の中には「壊れていないテープレコーダー」が設置されているに違いない、という確信が私の中に生まれました。【ただいま読書中】『100万回死んだねこ──覚え違いタイトル集』福井県立図書館編著、講談社、2021年、1200円(税別)本書はちょっとしたクイズ本になってます。Q:あなたは図書館の司書です。「こんな本を探しています」と質問が来ました。あなたはその人に「この本のことですか?」とどんな本のタイトルを答えますか?夏目漱石の「僕ちゃん」……これは簡単。「坊ちゃん」。「蚊にピアス」……これも簡単。「蛇にピアス」。しかしこの質問で改めて「蚊」も「蛇」も虫偏であることを意識しました。...「緊張感を持って注視する」

  • 台風への備え

    まずするべきは、何でしょう?「緊張感を持って注視する」でとりあえず足りるかな?日本の政治家は「それで充分」とふだんから主張していますよね。【ただいま読書中】『NSA(上)』アンドレアス・エシュバッハ著、赤坂桃子訳、早川書房(ハヤカワ文庫SF2352)、2022年、1240円(税別)蒸気機関に駆動された産業革命の時代、イギリスではバベッジ卿(とエイダ)によって「解析機関」が製作されました。この解析機関が発展して電子化されていたら歴史はどうなっていたか、という歴史改変もののSFです。本書ではさらにもう一捻りが加えられていて、第一次世界大戦後に携帯電話とワールドネット(現在のインターネットのようなもの)も発明されていて、ちょうど現在の世界(スマホとネットの世界)とほぼ同じ状況になっているところに、ヒトラーが登場...台風への備え

  • 早起きは三文の徳

    一体何が「三文」なのか、ちょっと考えてみました。このことわざは勤労を是としている雰囲気です。早起きしてとっとと働け、と。しかし日本では「夜なべ仕事」も是とされています。「母さんは夜なべをして手袋を編んでくれた」(「かあさんの歌」)とは言いますが、「母さんは早起きをして手袋を編んでくれた」とは言いません。ただ、ここで問題になりそうなのは、照明でしょう。貧乏な家にとって、夜間の照明はそれだけで“浪費"です。もしうっかり蝋燭なんか使ったらそのコストを回収するために莫大な仕事が必要になります。それだったら太陽と共に起き出してお日さまという「無料の照明」を使った方が「三文の得」、そしてそれを実践する行為自体が「徳」であるぞよ、ということだったのでは?電気を使いたい放題でしかも遊びほうけている現代の人の姿を見たら、江...早起きは三文の徳

  • 喉元過ぎれば

    「2年も我慢したのだから」「行動制限が出ていないから」とこのお盆には人が散々動きました。「11年も経ったのだから」と政府は原発を再稼働どころか新造もする気です。【ただいま読書中】『戦火のマエストロ近衛秀麿』菅野冬樹著、NHK出版、2015年、2500円(税別)「戦火」と「近衛」で私がまず想起するのは「近衛文麿」です。由緒正しい摂関家の出身で、天皇の信任が篤かったのか首相を3回も務め、しかし軍の暴走を抑えられずその責任を占領軍に問われてA級戦犯として巣鴨プリズンに出頭を命じられ、自宅で自殺をした人。近衛秀麿は文麿の弟で、政治ではなくて音楽の道を選択しました。しかし1920年代の日本に「生きた西洋音楽」はほとんどありません。しかたなく秀麿は、東京音楽大学に潜り込んだり、貴重な楽譜を持っている人の所に行って見せ...喉元過ぎれば

  • 無問題

    「旧統一協会との関係はない」と言いつつ、選挙に協力してもらっていた人がいます。さらに「問題はないが、これからの関係は見直す」と同時に言う人もいます。関係があるの?ないの?問題がないのなら、どうして関係を見直す必要があるの?【ただいま読書中】『暁の宇品──陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』堀川惠子著、講談社、2021年、1900円(税別)広島が原爆投下の標的とされたのは、地形的に“好条件が揃っていたこと"があったこともありますが、軍都であることも大きな理由でした。ただ、戦前の日本の都市はどこも“軍都"だったはず。軍都広島の特異な点は「陸軍船舶司令部」があったことです。これは、陸軍の兵員輸送・補給・兵站を一手に担う組織で、人員は30万人と方面軍一つに相当するぐらいの巨大さでしたが、日本の史料にはその記述はほとんど...無問題

  • 効率重視

    「スピード映画」に眉をひそめる人たちの多くは、20年くらい前に「あらすじで読む名作」とか「あらすじで読む世界の名著」で「読んだ気」になっていたことがあるのではないですか?やってることは昔も今も、それほど違わないような気が私にはするのですが。【ただいま読書中】『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』オーサ・イェークストロム作、KADOKAWA、2015年、1000円(税別)「セーラームーン」と「犬夜叉」で日本が好きになって、スウェーデンから日本に引っ越してきた著者。ブログに「日本でびっくりしたこと」を四コマ漫画で描いたらそれが評判になって、とうとう本になってしまった、のだそうです。日本文化(アニメや漫画)が、外国人の運命を左右している、と聞くと、日本人としてはちょっと複雑な気分になってしまいます。子供時代に...効率重視

  • 最大多数の最大幸福

    一番手っ取り早いのは、全国民を麻薬漬けにすること。【ただいま読書中】『逝年』石田衣良著、集英社文庫、2011年、429円(税別)「娼夫クラブ」というきわどい場所を舞台にしての「闘病純愛もの」として私は前作の『娼年』を読みました。巻末で警察の摘発を受けてクラブは閉鎖、オーナーは逮捕されてしまいましたが、本作では、ちょっと前には何も知らなかった大学生のリョウがクラブの立て直しという難題に挑戦することになります。当然娼夫と客(女性)とのセックスは濃密に描写され続けますが、著者は社会的なテーマ(性同一性障害、「普通」とは何か、など)を盛り込むだけではなくて、副次的なテーマとして「女性の加齢による肉体的変化を、いかにポジティブに描写するか」もじっくりと書き込んでいます。そして、全体としてみたら、前作の「闘病純愛」を...最大多数の最大幸福

  • わからないことだらけ

    この世は「わからないこと」に満ちています。それを「わかりたい」と努力するから、自分はまだ成長できるのでしょう。もしも「すべてがわかった」となったら、あとは死ぬしかない。さすがに「死」は実際に死なないと「わからない」でしょ?【ただいま読書中】『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?──これからの経済と女性の話』カトリーン・マルサル著、高橋瑠子訳、河出書房新社、2021年、2100円(税別)ニュートンが万有引力で表現した中では「星」は「質点(重心にすべての質量が集中した点)」として表現できます。そこでは「星の個性」ははぎ取られてしまいます。また、古典的な物理学では「原子」の運動によってすべての法則が説明できるとされていました。原子レベルでも惑星レベルでも、初期条件さえわかれば「未来」は完全に予測可能でした。アダム・...わからないことだらけ

  • 過去の未来

    昔のSF作品を読んだり見たりすると、今に通用する先進性を感じることもありますが、ときにものすごく古めかしいと感じることもあります。たとえば喫煙。昭和の時代に、今のように喫煙が激減するとは誰も思っていなかったから、21世紀の世界でも多くの人が煙草を吸っていたりするんですよね。【ただいま読書中】『日本アニメ誕生』豊田有恒著、勉誠出版、2020年、1800円(税別)1961年早川書房の第一回SFコンテスト(当時の名称は空想科学小説コンテスト)で入賞した著者は、SF作家としてデビューします。同じコンテストで入賞した平井和正が少年マガジンで漫画「エイトマン」の原作をしていましたが、それがテレビアニメになることと也、著者に「シナリオライター」の口がかかります(当時のプロは「けっ、テレビ漫画だと?馬鹿にするな」だったので、素...過去の未来

  • 師匠と弟子

    「出藍の誉れ」という言葉があるように、「師匠」が注目されるのは「師匠を越えるすごい弟子」がいた場合です。だけどそれって、「人を育てる苦労」にプラスして「自分の強力なライバル」を作ってしまうわけで、なんだか割が合わないような気がします。【ただいま読書中】『絆──棋士たち師弟の物語』野澤啓亘著、日本将棋連盟、2021年、1810円(税別)雑誌「将棋世界」2019年2月号〜20年6月号に連載された「師弟」に大幅に加筆されたものです。個人としての棋士は、なかなか本心を明かしません。記者がインタビューで苦労しているのは、私もテレビ画面でよく見かけます。ところが「師弟」を切り口にすると、棋士たちは驚くほど饒舌に自分について語り始めるのだそうです。本書に登場する「師弟」は「中田功/佐藤天彦」「畠山鎮/斎藤慎太郎」「木村一基/...師匠と弟子

ブログリーダー」を活用して、おかだ外郎さんをフォローしませんか?

ハンドル名
おかだ外郎さん
ブログタイトル
ただいま読書中
フォロー
ただいま読書中

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用