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読書録 本読みの貪欲 https://dokusyotyu.hatenablog.com/

本を読んで感想を書くブログ。海外文学をもっと読みたい今日この頃。

ただの本好きの趣味ブログです。よろしくお願いします。

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2015/01/08

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  • 『くるまの娘』(宇佐見りん著)【読書感想】

    以前から気になっていた本を手に取った。宇佐見りん著『くるまの娘』。表紙の絵は、メリーゴーランドと顔のない女子高生。題名と合わさってどこか不穏な雰囲気をまとう一冊だ。 宇佐見りんさんの本を読むのは、芥川賞受賞作の『推し、燃ゆ』に続き2作目。『推し、燃ゆ』は、「推しが燃えた」という言葉から想像されるインターネットの有象無象に右往左往するような可笑しみのある話なのかと思いきや、「依存」をテーマにしたひたすらヘビーな物語で驚いた。そして驚くと同時に、どこか消化しきれないモヤモヤ感が後に残った。 今回読んだ『くるまの娘』も同じようなモヤモヤとした読後感が後に残る物語である。 読み始め、この物語はヤングケ…

  • 『人は死ねない 超長寿時代に向けた20の視点』(奥信也著)【読書感想】

    趣味として古今東西様々な本を斜め読みしてきて、ひとつ学んだことを挙げるとすれば「人は自分の死に時を選べない」ということである。私だって、貴方だって、明日死ぬかもしれないし、120歳まで生きるかもしれない。 それでも科学の発展は、我々は思いがけず長生きする可能性が高い世界をもたらした。超長寿を手に入れてしまった私たち、簡単には死ねなくなってしまった私たちに死生観のアップデートを勧めるのが、『人は死ねない 超長寿時代に向けた20の視点』(奥信也著)である。 以下、目次。 はじめに 第1章 あらゆる病気は克服されていく――人生120年が現実を帯びる現代 第2章 健康とお金の関係はこう変わる――経済力…

  • 『嘘と正典』(小川哲著)【読書感想】

    小川哲さんの短編集『嘘と正典』を読んだ。 著者の名前は以前から知っており、いずれ読みたいなと思っていたが、ついつい先延ばしにしていた。今年のはじめ、著者が長編『地図と拳』で第168回の直木賞を受賞されたと聞いて、ようやく購入したのが本書である。 冒頭に収録されている短編『魔術師』を読み始めてすぐに後悔した。なんで早く読まなかったのだろう。私の好みのど真ん中を行く一篇だったのだ。 ジャンル越境的SF 文庫版を読んだが、この文庫はハヤカワ文庫JAから出版されている。すなわちSF棚に並んでいる。しかし本書は、ジャンルSFらしくない。裏表紙のあらすじにもこんな一文がある。 圧倒的な筆致により日本SFと…

  • 久しぶりのブログおよび読みたい本

    今週のお題「読みたい本」 久しぶりにブログを書く。およそ2年ぶりである。最後に書いた記事はウエルベックの『セロトニン』。単行本が発売されて比較的すぐ読んだ記憶がある。『セロトニン』は今や文庫版も発売されている。書店で見つけた文庫版は、とりあえず購入して本棚に並べてある。新作も7月に発売だそうで楽しみです。 さて近況である。 数カ月前のことだ。特に理由はないものの、ひどく精神的に落ち込んでいた。自分の人生にはもう面白いことは何も起きず、老後に怯えながら職場と自宅を往復するほかないのだ、という諦念に襲われていた。当時の日記(断続的に紙のノートに日記を書いている)を読み返すと、ルーチン化した日常に絶…

  • 『セロトニン』(ウエルベック著 関口涼子訳)【読書感想】

    セロトニンとは神経伝達物質であり、不足するとうつ病などを惹起させるという。幸福物質、などと呼ばれているのを耳にすることも多い。題名通り、本書『セロトニン』(ウエルベック著)は幸福についての物語である。 40代の白人男性である主人公は、幸福とはセックスを含んだ恋人関係であるとする。 しかし彼は20歳ほど年下の恋人を愛しておらず、ヴァカンスでも寝室は別だ。そのうえ、PCを覗き見することで、彼女の不実も知ってしまう。さらには仕事にも意義を感じられない彼は鬱状態に陥り、抗鬱剤を服用することになる。彼の服用する抗鬱剤キャプトリクスの副作用は、性欲の喪失、そして不能だった。 ある日、主人公はふとしたきっか…

  • スティーヴンスン『宝島』【読書感想】

    ミスター・トリローニは、スクーナーの出航準備を監督できるよう、波止場の旅亭に泊まっていた。そこまでは歩いたが、うれしいことに道は岸壁ぞいで、そこには大きさも艤装も国籍もとりどりの船がひしめいていた。水夫たちが、ある船では鼻歌まじりに作業をしており、ある船では、ぼくの頭上はるか、蜘蛛の糸みたいに細いロープにつかまっていた。今日までぼくはずっと浜辺で暮らしてきたのに、いまはじめて、海と間近に接した気がした。タールのにおいも、潮の香も、まるで新鮮だった。目にはいる見事なこしらえの船首像は、どれもみな遠い潮路を渡ってきたのだ。 昔から海洋冒険小説が好きだった。特に大好きだった一冊がスティーヴンスンの『…

  • 『光文社古典新訳文庫ベスト・セレクション for teens』が欲しい、かもしれない

    タイトルそのままです。 そろそろまた長編の海外文学を読みたい欲が出てきたこともあり、次のゴールデンウィークに読む本を物色していた。前回の長編外文読書は正月休みに読んだユゴーの『レ・ミゼラブル』。『レ・ミゼラブル』は学生時代に挫折した本だった。過去に挫折した本を読み通すことは、普通の読書の楽しさにプラスして、読み切ったという達成感も得られて気分が良い。なので今回も、10年前に読み挫折したドストエフスキーの『罪と罰』に再チャレンジしようと決めた。 ところで『罪と罰』は、有名な小説である。いくつかの出版社から発売されており、どの訳で読むか選べる楽しさがある。私の読書はただの楽しみのための読書なので、…

  • 挫折本を読み返す。ヴィクトール・ユゴー著『レ・ミゼラブル』(西永良成訳)

    「ところが、アンジョルラスには女がいない。彼は恋をしていないのに、勇猛果敢になれる。氷みたいに冷たいのに、火みたいに壮烈になれるなんて、これこそ天下の奇観というもんだぜ」 アンジョルラスは聴いているようには見えなかったが、もしだれかがそばにいたら、彼が小声で「祖国(パトリア)だよ」とつぶやくのが聞こえたかもしれない。 挫折本を再び手に取り、そして挫折せずに読み通すために必要なものは、暇と勢いである。今回の『レ・ミゼラブル』読破への再チャレンジでつくづくそう思った。 私は『レ・ミゼラブル』という物語をトム・フーパー監督のミュージカル映画で知った。この映画は当時の私にとっては大きな衝撃で、気がつけ…

  • 2020年読書記録まとめ 読書メーターより

    2020年読書記録のまとめ。 昨年は、例年になくたくさんの本を読みました。数えてみると、去年の倍。たくさん読んだ分、心に残った本も多かった一年でした。 しかし、その割にはあまり感想を書けていない&ブログの更新が出来ていない。『授乳』(村田沙耶香著)や『家畜化という進化ー人間はいかに動物を変えたか』(リチャード・C・フランシス著)など、印象深かった本の感想すら書けていない。今年は頑張る。 こうやって見返すと、相変わらず小説中心の読書だなと思う。アニメ『PSYCHO-PASS(1期)』に、はまりにはまっていたことがばれてしまう……2020年の読書メーター読んだ本の数:125読んだページ数:4067…

  • 2020年読んで思い出に残っている本

    読書メーターによると、2018年は54冊、2019年は64冊、2020年は127冊の本を読んでいた。読書の楽しみは量ではないとはいえ、我ながらよく読んだなと思う。年100冊越えは学生の時以来だ。たくさん読めただけではなく、面白かった本にたくさん出会えた一年だった。 先日、Twitterで#2020年の本ベスト約10冊というタグを見つけ、思いつくままに小説本をあげたが、2020年読んで印象に残っている本は小説以外にもある。年末なので、忘備録として2020年の趣味読書についてブログに書いておこうと思う。 『冗談』(ミラン・クンデラ著) 好きな作家の一人であるミラン・クンデラの処女長編作『冗談』をよ…

  • 引っ越しました。【日記】

    先週末に引っ越した。最近、あまり本を読めていないのは、この引っ越しの準備で大忙しだったからである。仕事も年末進行で忙しかった。なんだか随分と長い期間、面白い小説を読んでいない気がする(多分気のせい)。 数えてみると、この10年で4回目の引っ越しだ。親が転勤族であったこともあり、引っ越しには抵抗がない。知らない街で新しい生活が始まるのも好きである。 私の趣味は読書と日々のスーパーでの買い物ぐらいしかいないので新しい街に住むとまずは最寄りのスーパーを探す。庶民的な安いスーパーだと嬉しい。 特に県を跨いだ引っ越しだと、食文化の違いから、スーパーに並んでいる調味料や食材が違っていたりするので、ちょっと…

  • 6年使ったKindleが壊れた【日記】

    久しぶりのブログです。相変わらず毎日、本を読んでいるのだけれど、あまり感想を書けずにいる。12月末に引っ越すことになったので、読んだ本を片っ端から段ボールに詰めこんでいるからだ。ちなみにここ1ヶ月で、読んで一番面白かった小説は、ミラン・クンデラ著の『冗談』。処女長編でこんなに面白いのか、と驚いた。好きな作家の本だし、感想を書いておきたい気持ちはあるのだが、『冗談』も今や段ボールの海の中だ。 もうすぐ引っ越しということもあり、新しい本も買わないようにしている。本屋に行くと買いたくなるので、本屋自体に寄らないようにしている。 物体としての本をあまり買えないとなると、頼りになるのは電子書籍である。 …

  • 祝・映画化!『ナイルに死す』【読書感想】

    もうすぐ映画化ということでアガサ・クリスティーの『ナイルに死す』を再読。久しぶりのクリスティーです。ナイル川クルーズで起こる殺人事件をたまたま居合わせた探偵ポアロが捜査し推理し解決するというミステリー。プロットだけを見れば典型的な推理小説の形であるが、そこは流石ミステリーの女王クリスティー、読ませます。 特徴的なのはなかなか殺人事件が起きないこと。それどころか『ナイルに死す』という題名にも関わらず、なかなかエジプトにも行かない(80ページからの第二部でようやく舞台はエジプトへ)。事件が起こる前の部分、登場人物それぞれの姿をじっくりと書き出している。 だからだろうか。今回読んだ早川書房クリスティ…

  • 本棚と読書。

    欲しい本がたくさんある。各出版社の新刊も気になるし、お金に余裕が出来たら是非買いたい全集もある。しかし年末に引っ越す予定があるので、物としての本を買わないようにしている。同時に少しずつ本棚の本も片付けて段ボールに箱詰めしている。 今のアパートに引っ越してきた3年前に買った本棚がある。よくあるスライド式の本棚で、持っていた本をしまうと半分ぐらいの棚が埋まった。意外と収納力があるなあと思っていたが、あっという間に空いていた棚は埋まってしまい、下段のスライド棚は本の重さで動きが悪くなってしまった。あまり読まない漫画などは、随時箱に詰め押入にしまったりはしているのだが、今年に入ってからは諦め気味で、棚…

  • 森博嗣Wシリーズ5作目『私たちは生きているのか?』【読書感想】

    私たちは生きているのか? この問いに、特に悩まずにイエスと答えられる私は幸せである。思考と肉体はイコールであり、肉体の死はすなわち人格の死である。肉体の死の定義は確かに微妙な点はあるが、しかし、それでも分かりやすい世界に住んでいる。 さて。もしもこれから科学技術が発展し、思考と肉体がイコールで結ばれなくなったとしたら。その時、私たちの生と死の在り方はどのように変化するのであろうか。そんな思考実験をエンタメ小説に昇華させたのが森博嗣のWシリーズであり、その中でも特に肉体と思考の関係に焦点を当てたのが、5作目の『私たちは生きているのか?』である。 前作までに、自律型人工有機生命体であるウォーカロン…

  • 北森鴻の異色長編ミステリ『冥府神の産声』【読書感想】

    北森鴻さんの長編ミステリ『冥府神の産声』を読みました。 初読は小学六年生か中学一年生のときだった。「冥府神」と書いて「アヌビス」と読むのがカッコいいという、中二病的感性から手に取った一冊。初めて読んだときは、難しい話だなと思った。挫折したと思う。その後「北森鴻」という作家を意識してからもう一度手に取り完読。成人してからも一度読んだことがあるので、この度の読書は再々々読となる、はず。北森鴻の長編では、一番多く読み返した一冊である。 ではこの長編が著者北森鴻さんの代表作かといえば、そうではない。むしろ『冥府神の産声』は北森鴻さんの作品の中の異色作といっても良い。 本書には料理も骨董品も民俗学も出て…

  • 『迷宮百年の睡魔』(森博嗣著)【読書感想】

    今週のお題「読書感想文」 森博嗣さんの長編SFミステリ、女王シリーズの二作目『迷宮百年の睡魔』を再読しました。 これがなんとも捉えがたい一冊で、うまく感想文が書けそうにない。 前作と同じく人間のミチルと初期型ウォーカロン(ロボット)のロイディのバディが主人公。ジャーナリストのミチルは、長年外部からの取材を断っている自主独立の島イル・サン・ジャックを訪ねる。その島の王宮モン・ロゼで出会った女王メグツシュカは前作『女王の百年密室』で出会ったルナティック・シティの女王デボウの母親であるという。そして起こる殺人事件。ミチルとロイディは否応なく事件に巻き込まれていく。 四季シリーズとWシリーズを繋ぐミッ…

  • 北森鴻のデビュー作を読む。『狂乱廿四孝』【読書感想】

    何度かこのブログにも書いている気がするが、北森鴻というミステリ作家の物語が好きである。初めて北森鴻さんの物語を読んだのは小学六年生のときなので、彼の物語とはかれこれ二十年弱の付き合いである(ちなみに初読は、ミステリアンソロジーに収録されていた短編『バッド・テイスト・トレイン』だった)。 何度も読み返した物語がある一方で、一度も読んだことがないものもある。ある晩、「北森鴻好きを名乗るには、少なくとも文庫化されている本くらいは読むべきなのではないのか」と思い立ち、手に入る文庫本を本屋なりネットの古本ショップなりで買い集めた。デビュー作から順番に読んでいこうと思い、手に取ったのが『狂乱廿四孝』。第四…

  • 『アンナ・カレーニナ』(トルストイ著 望月哲男訳)【読書感想】

    『アンナ・カレーニナ』、読みました。私はヴロンスキーとアンナのカップルが好きで、二人を応援しながら読んでいました。だからこそ後半になるにつれ、ページを捲るのが辛くなっていきました。恋心だけでは「生活」はままならない。文豪トルストイの大長編をひとことで言えば、そんな物語です。 『アンナ・カレーニナ』を読む 『アンナ・カレーニナ』は有名な書き出しから始まる。 幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある。 この物語には完璧に幸福な家族は出てこない。どの家庭も大なり小なり問題を抱えており、それぞれ個別の物語を内包している。現実の生活の写し絵だ。 驚いたのは、全編を…

  • Wシリーズに繋がる物語。『女王の百年密室』(森博嗣著)【読書感想】

    15年ぶりぐらいの再読。森博嗣さんの『女王の百年密室』。我が家には何故か単行本と文庫本の両方がある(『女王の百年睡魔』も二冊ある。『赤目姫の潮解』は単行本だけ。文庫版解説はブログ「基本読書」の方が執筆されているので、文庫でも欲しい気がする)。15年前は単行本で読んだので(意外と覚えているものだ)、今回は文庫本で読んだ。 アンソロジー『日本SFの臨界点』を読みSF熱が高まったので、以前から読み返そうと思っていた本書に手を伸ばした。Wシリーズを読み終えたら、WWシリーズを読み始める前に復習しておこうと思っていたのだ。思っているままに時間が過ぎ、WWシリーズはすでに4冊も刊行されている。私の読書スピ…

  • SFアンソロジー『日本SFの臨界点』[恋愛篇・怪奇篇]伴名練編を読んだ。【読書感想】

    この国に隠された、異形の想像力。 ”世界で最もSFを愛する作家”が 編んだ渾身のアンソロジー 心惹かれるキャッチコピーと共に、この夏発売されたのが、ハヤカワ文庫より出ている伴名練編『日本SFの臨界点[恋愛篇]死んだ恋人からの手紙』と『[怪奇篇]ちまみれ家族』である。ネットでこのコピーを見た瞬間に買うことを決意した。 私は読書が趣味だが、特定のジャンルに詳しいわけではなく、広く浅くでしか読んできていないため、特定のジャンルを偏愛している読書人に憧れがある。またそこまで断言された作家がどのようなアンソロジー編むのか興味もあった。また編者による解説がSF愛に溢れているとの評判も聞き、各作品についてい…

  • 『アリスマ王の愛した魔物』(小川一水著)【読書感想】

    小川一水さんによるSF短編集『アリスマ王が愛した魔物』を読んだ。著者の小川一水の名前は長編SFシリーズ「天冥の標」により知った。シリーズが完結した当時、よくインターネットで名前が挙がっているのを見たものだった。このシリーズが面白いと評判なので読んでみようかと思ったのだが、いきなり長編シリーズを読むのもなと思い、まずは短編集を手にしてみた次第である。とは言いつつ、先の早川書房の電子書籍セールで一巻目『天冥の標Ⅰ:メニー・メニー・シープ』は買ってしまっているのだけれど。 また『アリスマ王が愛した魔物』の説明文、 弱小なディメ王国の醜悪な第六王子アリスマは、その類まれなる計算能力によって頭角を現して…

  • 戦争×女学院×ミステリ『倒立する塔の殺人』(皆川博子著)【読書感想】

    先の4連休は本を読んで過ごしていた。今年の自主課題図書であるトルストイの『アンナ・カレーニナ』と4連休前に買ったばかりのSFアンソロジー『日本SFの臨界点』(恋愛篇・怪奇篇)を併読しつつ、合間の気分転換にミステリやら新書やら(『ペスト大流行:ヨーロッパ中世の崩壊』(村上陽一郎著))を読んでいた。 『アンナ・カレーニナ』と『日本SFの臨界点』は途中までしか読めなかったが、合間に読んだミステリと新書は完読した。そしてそのミステリが期待以上に良かったので記録として書いておこうと思う。 読んだミステリは『倒立する塔の殺人』。著者は皆川博子さん。 インターネットで読書の感想を読み漁っているときに、とある…

  • 『推し、燃ゆ』(宇佐見りん著)【読書感想】

    珍しく文芸誌を買った。河出書房新社の『文藝 2020年秋号』である。河出書房新書のTwitterをフォローしており、そこで今号の特集「覚醒するシスターフッド」を知り興味を持った。「シスターフッド」という言葉は初めて知ったが、惹かれるものがあり買ってしまった。Twitterのタイムラインを眺めていたところ売れ行きも良いらしい。そういえば文藝の特集は2020年春号の『中国・SF・革命』も買おうか迷った。と思っていたら、特集だけ独立して、作品が追加され本になるらしいですね。これもTwitter情報。 シスターフッド特集は対談も収録された小説も面白かった。シスターフッドがフェミニズムの文脈から出てきた…

  • 『感情教育』(中山可穂著)【読書感想】

    『感情教育』、といってもフローベールの著書ではない。中山可穂さんの長編小説で、野間文芸新人賞候補作にあがっていた物語である。 女性同士の恋愛をテーマにした小説という前情報を知り手に取った。少し前に読んだ『キャロル』(パトリシア・ハイスミス著)の影響である。ところでこの『キャロル』が私に与えた影響は大きく、次は昨今流行りの百合SFにでも手を出そうかと思っている。アンソロジー『アステリズムに花束を』は買う予定。それからSFではないが、吉屋信子さんの小説も読んでみたい。読みたい本がいっぱいあって幸せだ。 さて。『感情教育』である。 私はその題名から学生たちの淡い恋愛模様を書いた物語だと思っていたのだ…

  • 非現実系掌編集『非常出口の音楽』(古川日出男著)【読書感想】

    『非常出口の音楽』という掌編集を読んだ。著者は古川日出男さん。古川日出男さんの掌編集といえば『gift』である。あとがきにも書いてあるが、本書は『gift Ⅱ』ともいえるような一冊である。 古川日出男さんの掌編、ショートショートは独特だ。私の中でショートショートという言葉で出てくる作家といえば星新一や筒井康隆なのだが、SFの大作家たちとはまったく違った切れ味を持つ物語を紡ぎだしている。この掌編集に収められた作品の多くは、「日常」のなかの「非現実」を描き出しているように思う。物語に出てくる一つひとつのモチーフはありふれているのにも関わらず、それらが組み合わさって立ち現れる世界は、この私たちが生き…

  • 『刺青』谷崎潤一郎著【読書感想】

    先週末に読了したアメリカ発の恋愛小説『キャロル』(パトリシア・ハイスミス著)の反動で、昔の日本の恋愛小説を読みたくなった。そこで出てきた作家の名前が谷崎潤一郎。だいぶ前に『卍』の読書感想をブログにあげたことがある。調べてみると、多くの作品が青空文庫に収録されているようだ。さっそく気になるタイトルをダウンロードした。青空文庫はもっぱら電子書籍リーダーで読んでいる。リーダーを使えば、普通の本と変わらない読書体験ができる。ありがたい時代である。もっとも新潮文庫の赤い表紙バージョンの谷崎潤一郎の小説たちにも惹かれるものはあるのだけれど。 谷崎潤一郎の本の中で一番気になっている小説は『猫と庄造と二人のを…

  • 至高の百合恋愛小説『キャロル』パトリシア・ハイスミス【読書感想】

    パトリシア・ハイスミスの『キャロル』を読了した。これがすごかった。直球の恋愛小説だった。 本書は1951年、今から70年近くも前にアメリカにて出版された女性同士の恋愛をテーマにした長編小説である。2015年にトッド・ヘインズ監督により映画化もされている。著者は『太陽がいっぱい』や『殺意の迷宮』などのサスペンス・ミステリー小説で有名な女性作家であるパトリシア・ハイスミス。彼女がデビュー作『見知らぬ乗客』の次作として、別名義クレア・モーガンの名で世に出した物語が『キャロル』である。 後年サスペンスを多く描くことになる著者らしく、『キャロル』は恋愛小説にも関わらず、冒頭から終幕までハラハラしっぱなし…

  • 『少女奇譚 あたしたちは無敵』(朝倉かすみ著)【読書感想】

    パトリシア・ハイスミスの『キャロル』を読んでいる。 ご存じ女性同士の恋愛を描いた切ない物語なのだが、結構な序盤から悲劇の予感が満ち満ちていて辛くなってしまい(だって、主人公である19歳のテレーズのキャロルに対する純度100%の恋愛感情が、擦れた読者である私には転落に向かう伏線にしか思えない……)、筆休め的に別の物語を摂取したくなってしまった。そこで手に取ったのが朝倉かすみ著『少女奇譚 あたしたちは無敵』である。いわゆる「少女小説」が読みたいな、という気分だったので、タイトルだけを見て選んだ一冊だ。 少女、しかも12歳前後の年頃の少女を主人公にした物語が5つ収録された短編集である。 一作目の『留…

  • 『朗読演奏実験空間”新言語秩序”』amazarashi

    ディストピアものの物語が好きだ。ディストピア世界は、本や映画、あるいはアニメなどで数多く描かれてきた。それをライブで表現したアーティストがいる。私の大好きなバンド『amazarashi』である。 『amazarashi』は2020年6月9日に、活動10周年を迎えた。10周年に合わせYouTubeに限定公開(6月16日19時30分までの公開とのこと)されたのが、「検閲」をテーマにしたライブ『新言語秩序』である。『新言語秩序』が描き出すディストピア世界は、市民の自主的な検閲により、誰も傷つけない「テンプレート言語」がスタンダードとなり、それ以外の自由な言葉を使う人間は「テンプレート逸脱」として「再…

  • 『浮遊霊ブラジル』津村記久子著【読書感想】

    世界には物語があふれている。読みたい本は尽きることがない。過去の名作はいくらでもあるし、毎月のようにベストセラーは生まれ続ける。それらをすべて読むことは不可能である。私は本が好きだが、別に速読家ではないし、すべての時間を読書に費やせるわけではない。必然的に取捨選択を迫られる。ある本を読むということは、ある本を読まないという選択をすることなのである。そう考えると、現役作家が現代日本を舞台にした小説はもう読まなくていいのではないかという気がしてくる。現代日本については、現実でお腹いっぱいだ。事実、最近は現実逃避するように、SFや海外文学を手にすることが増えている。 もちろん、現役作家が現代日本を舞…

  • 【日記】30歳になってしまった。

    タイトル通り。先日、30歳になってしまった。「なってしまった」と書いているが、このように強調するほど、感慨は深くない。誕生日はただの日常として過ぎていった。お祝いの言葉はもらったが、プレゼントをもらうわけでも、ケーキを食べたわけでもない。別にそれが欲しいとも、淡々と過ぎるその日が寂しいとも思わない。その程度には、大人になったのかもしれない。 29歳の誕生日を迎えたとき、30歳になるのが嫌で嫌で仕方がなかった。昔読んだ保坂和志さんの本のタイトルである『「三十歳まで生きるな」と思っていた』という言葉が、何度も何度も頭をよぎった。衰えていく自分が、未来の可能性が狭まっていく自分という存在が、耐えられ…

  • 『PSYCHO-PASS』にはまった話。あるいはディストピアSFとしての『PSYCHO-PASS』の魅力

    最近ブログの更新をしていない。ブログを書かずに何をしていたのかというと、2012年発表のアニメ『PSYCHO-PASS』にはまっていた。2020年に最新の映画が公開されているとはいえ、今更感がすごい。 きっかけはゴールデンウィークに時間を持て余していたことだった。Amazonプライムビデオに並んでいたそれを、何気なく見てしまった。それで、落ちた。3日で1期3クールを見てしまった。 私はあまり、ひとつの作品にはまるということはない。ひとつの作品にはまらず、いろいろな作品を雑食的に消費するタイプだ。だからこそ、読書ブログなんかをやっている。しかし30歳目前にして、10数年ぶりに一つの作品に「はまる…

  • 2020年ゴールデンウィーク読書計画【読書日記】

    2020年のゴールデンウィークが始まった。とりあえず毛布を仕舞うために洗うべくコインランドリーへと車を走らせる。ここ数日車に乗りこむと暑いと思うことが増えた。すっかり春である。家族とはそろそろ扇風機を出そうかなんて話もしている。今日も天気は良い。出かけるのにはもってこいの陽気である。 もちろんこのコロナウィルスの猛威が吹き荒れるこのご時世、どこかに出かけるということはせず、おとなしく家で過ごしている。ガソリンが安い、100円を切っているとはいうが、家と職場との往復では全然ガソリンが減らない。 このブログを読み返してみると、去年も一昨年もゴールデンウィークは家で本を読んで過ごしていた。引きこもり…

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