「僕自身がどうしたいのか、か」考えても答えは全く見えなかった。いい感じで上手くバランスを取りながらどちらも上手くこなしている、と自分では思っていたからだ。先生と出会って私生活も充実して、生活に張りが出た。忙しいながらも楽しくて、僕は満足だった。 先生の事務所で働くのは嫌ではない。いや、むしろ楽しい。作家としての活動をサポートし、時にはマスコミへの対応もする。今までにない活動で物珍しさもあると思う。...
「全く、何をやってんですか?
★皆さま、こんばんは~!!サボリ癖の付いた日高でーす♪先日合縁奇縁・79話で改装された黒川の役員室の話題が出ました。それを読まれたRさまから『黒川の部屋もはや役員室のカケラもないなw』と突っ込まれまして(笑)そりゃそうだよな。そう思うよな。それは部屋を見た全員が思っているに違いない。ふと、降りてきました~♪✨✨✨というわけで、SSを一本挟みます。久しぶりに怜二くんがやってきました~どうぞ!!「大丈夫だっ...
清家先生は出版社のお偉いさんたちと会食があり今夜は遅くなる。一人の食事がつまらなくなり、先生と会わない日は服部くんと一緒に食べる事が多くなった。今夜は服部くんと食事に行く約束だったのだが、旅行の準備をする為にキャンセルして退社しコンビニから真っ直ぐに部屋に戻った。コンビニの袋をブラブラさせながら部屋に戻るのが寂しくて、今まで会社と部屋の往復に明け暮れていた自分に呆れてしまう。 『S-five』は泊り...
「山下常務、おはようございます」「おはようございます」出勤して来られた山下常務を迎え、荷物を受け取ってエレベーターにお乗せする為に一歩先を歩く。「常務、昨夜、清家先生から聞いたのですが」「ああ、冬休みの事?」昨日一日一緒に行動していたのに、僕には沖縄行きの事などおくびにも出さずに過ごしておられた。いつからそれを考え、いつから手配されていたのだろう。信吾社長に三木社長、橋本専務、それから山下常務と綱...
先生は明後日から沖縄へ取材旅行に出発する。それは先月から決まっていた。冬の沖縄は初めてだというので、現地のコーディネーターに気温や天候を聞いて荷物を準備していた。「それは・・・。山下常務が良いとおっしゃったのですか?」「そうだよ」「本当に?」「本当だよ。ここで嘘吐いてどうすんの?」「それはそうですが」飛行機のチケットもホテルも僕が予約した。もちろん先生一人分だ。「でも、チケットもホテルも一人分し...
《銀香》の服部くんとは週に1、2回夕飯を一緒に食べるようになった。おかげで僕のコンビニ弁当率は大幅にダウンした。最初は駐車場で待つ先生の車に乗る前に服部くんに挨拶するのが面映ゆかったが、最近ではそういうのも無くなった。先生のお迎えがあまりにも頻繁なので、いちいち恥ずかしがるのも大人げない。 12月ともなれば定時に退社してもすでに日が暮れていて、歩道には街灯が灯り、『S-five』ビルの看板灯も煌々と...
「えっ、ここへ彼女が来たのか?」「はい。これが先生から預かっていた鍵だそうです」彼女が勝手に部屋の鍵を開けて入ってきた所は端折って報告した。鍵を見ればわかるはずだから。「ふうん。俺は事務所の鍵しか預けた覚えはないんだが」清家先生は正午過ぎには《兼牛》の牛丼弁当を提げて帰宅した。午前中に彼女が置いていったキーホルダーを見ながら、先生は呆れたように言った。「事務所が玄関と裏口。マンションに俺の車のキー...
《シェーナ》の駐車場に車を停め、《BlauGarten》(ブラウガルテン)の事務所に入った。「お疲れさま~!」「・・・」「あれ?誰もいないの?」休憩時間のはずなんだけど、事務所には誰もいない。「テル、いないの?」声を掛けたのに輝也どころか《BlauGarten》の他のスタッフすら出て来ない。シンと静まり返った事務所。厨房の方にも人気はない。店の方も人気がないが、事務所のエアコンは付いたままだ。じ...
指一本動かせないくらいまで愛されて、僕は目を瞑った。微睡の中で、時々先生の温もりを感じて安堵する。今、自分がどこにいるのかさえも考えられなくなって、ただ彼の成すがまま。ゆさゆさと身体が揺れる。「落とさないから、大丈夫」と言う声が聞こえた。ああ、僕は彼に抱かれてどこかに運ばれているのだ。誰かに大切にされるというのは、何と気持ちが良いのだろう。 重い瞼を僅かに開くと、隣で寝ている清家先生が見えた。僕...
★今回も18歳未満閲覧禁止です。年齢に達しない方は回れ右でお願いします♪ 僕は腕を真っ直ぐに上げた。上に伸ばせば先生の顔に触れられる。そう思ったが目測を誤ったのか先生には届かなかった。「ああっ」先生の顔に触れようとした腕が空を切る。もう力が入らない。僕の全身は余す所なく先生に愛撫されて溶けてしまったようだ。もう声も出ない。「どうした?痛いのか?」「痛く、ない」もう一度、僕は腕を伸ばした。先生の身...
★今回18歳未満は閲覧禁止です。年齢に達しない方は回れ右♪ ジジジッとファスナーを下ろす音が聞こえた。心臓がドキドキドキと早鐘のように打つ。「ちょっと待ってください」と言いたいんだけど、僕はその言葉が出なかった。どうしてかな。僕もそうしたいと思っているから、それが「ちょっと待ってください」を引き留めている。 目を開けると、先生の顔がある。その瞳は僕を求めていた。これこそが僕が欲しかったものなのかな?...
「好きだよ」「ええ、僕もあなたを好きになってしまいました」「ははっ。こんな場面でもそういうお堅い言い方する所も、全部、好きだ」「お堅い」か。それに僕はどう答えればいいんだろう。お堅くはございませんよ、と言えば良いのかな。先生の腰に回した腕の力を強くしてみる。こんなふうに抱き合っているだけでも、僕は満足だった。石場とは、こんなふうに抱き合って気持ちを確かめ合った事などなかったから。先生を僕だけの人と...
17時ちょうどに退社して下に降りると、先生の赤いスポーツカーが停まっていた。さすがに《銀香》へ入るのは遠慮したのか、空いている駐車スペースに停車していた。僕がエレベーターから降りると、こちらを見ていた先生が僕に向かって手を振る。まるで飼い主を待つ大型犬だ。その様子に気が付いたのか《銀香》にいる服部くんの視線が僕に向かってきた。つい先日まで毎日立ち寄っていたのに今日になって立ち寄らないわけにはいか...
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