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2013/03/18

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  • 欠片を求めて(12)

    勤務を終え、病院のエントランスを出た平木の先に植木の縁に腰掛けこちらに手を振る少女。「平木先生ー」以前と同じ笑顔を見せる。「こんな所でどうしたの?診察は?ちゃんと行ってるの?」平木は、一気に質問をする。少女はめんどくさそうに「そんなことより、ちょと付き合ってよ。」強引に腕を絡ませ引っ張る。「一体どこに行くんだよ。それより腕を放してくれよ。」「恥ずかしがらないの」可笑しくて仕方がない様子だ。少女に連...

  • 欠片を求めて(11)

    「平木先生、大丈夫かい?」中年男性が心配そうに声をかける。「え、ボクがどうかしましたか?」平木は、はっとして返事を返す。「最近、いつも以上にぼけっとしてるけど調子でも悪いの?」「ちょっと忙しくて疲れてるだけなので大丈夫ですよ。」平木は、苦笑いを浮かべる。「医者が、過労で倒れるなんて縁起でもないから頼むよ。」「斎藤さんが、退院してから倒れるんで問題ないです。」「ははは、なら安心して任せられるよ。」「...

  • 欠片を求めて(10)

    平木は、脳外科の沢井を訪ねた。「どうした、こんなところに来て。」沢井は、いつものクールな表情で平木を迎えた。「どうしても知りたいことがありまして。ここでは話せないので場所を変えていいですか?」「コーヒーが飲みたかったからちょうどいい。行こう。」沢井は、すっと席を立つ。自販機で二人はコーヒーを買い、中庭のベンチに腰掛ける。「何が知りたい?」「先生の患者についてです。ボクには何も出来ませんがどうしても...

  • 欠片を求めて(9)

    「また、ぼけっとしてるー。」宮が、うわの空でいる平木にいつもの調子で声をかける。「早く、桜井先生の論文の資料まとめないと大変なことになるわよ。」「ああ。」平木の、いつもとは違う反応に宮が不審がる。「どうしたの?何かいつもと違うんだけど、何かあった?」しばし、沈黙の後「別に、何もないよ。ちょっとコーヒーを買ってくる。」宮は、平木の後姿を心配そうに見続けた。平木は、しばらく少女の姿を見ていない。ただ来...

  • 欠片を4求めて(8)

    平木は、小児病棟にいるあづみの元に向かった。皆、何かしらの病気を抱えているのに子供らしさは失っていない。あづみは、平木に目をやるなり走り寄って抱き着いてきた。平木は、恥ずかしがりながらも嬉しさでいっぱいだった。あづみは、とにかくおしゃべりだった。話したくてうずうずしてるのが手に取るようにわかる。話の内容は、子供らしい取り留めのないものだ。手話が、出来る人間は限られるので、ボクに話せるのが嬉しいのだ...

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