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小説 「風騒ぐ街」 https://blog.goo.ne.jp/kurohige-santa

バスケット好きの大学生の青春小説 1にバスケ、2に友情、3、4で恋愛、5に勉強?

青空バスケットから2年後。岳実は、北海道の都、札幌で新たな大学生活を始めようとしていた。大学の仲間たちとの青春物語。

HOSHITAKE
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2012/02/11

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  • 第20章 交流なき英語

    目が覚めた。誰かに呼び起こされたような気がしたが、周りには誰もいなかった。錯覚だろうか?それとも、本当に天使が現れて、僕を、現の世界に、連れ戻してくれたのだろうか?時計を見ると、夜中の2時を過ぎていた。つけっ放しにしていたブラウン管には、街灯が頼り気なく灯っている深夜の大通公園が映し出されてた。喉の奥が、少し痛んだ。洋子のアドバイスを聞き流して、炬燵で寝てしまったせいだ。寝惚けながら、炬燵から抜け出し、布団を敷いた。着ていた上着やズボンを脱ぎ捨てて、Tシャツとパンツだけになった。部屋の電気を消し、すぐさま、布団の中に潜り込みんだ。夢現の心持になり、意識が薄らいだ頃、付けっ放しの炬燵と石油ストーブの事を思い出した。むっくりと起き上がって、部屋の電気を点けてか、炬燵とストーブの火を消した。魂を眠りの世界に誘う天使は...第20章交流なき英語

  • 第19章 雪と桜

    アパートの階段を上り、部屋のドアの前に立った。ごわごわとした厚手の手袋をしていたので、ポケットからスムーズに鍵を取り出すことができなかった。右手を左脇に突っ込んで、脇と腕で挟んで、手袋から手を引っこ抜いた。取り出した鍵で開錠してから、素手でドアノブを握った。その刹那、凍りつくような冷気が、掌を突き刺した。「しゃっけぇー」と叫んで、反射的に引っ込めた。誰もいないアパートの廊下に、落とした鍵の音が響いた。鍵を拾い上げてから、手袋を嵌め直した。氷のようなドアノブも、厚い手袋には、太刀打ち出来なかった。しばれる夜気が部屋の中にも忍び込んでいて、テレビなどの家財道具も凍えていた。真っ先に電気ストーブを付けて、炬燵にスイッチをつけた寝そべりながら、床に転がっているリモコンを手に取り、テレビを点けた。チャンネルを回してみたが...第19章雪と桜

  • 第18章 なまらザンギ

    練習が終わってから、新入部員同士で晩飯を食いに行こう、と誘われた。晩飯を皆で食いに行こうと誘ったのは、露渕という奴だった。彼だけは、新入部員の中で唯一、その日の練習を最後まで、まで脱落せずにやり通した。実は、練習が終わるまで、僕は彼が先輩だと思っていた。彼のプレーが、群を抜いているのは、一目瞭然だった。新入部員という水準を超越し、既にチームのエースのよだった。さらに、彼のバスケットには華があった。彼のバスケットに、僕の心は、完璧に魅了されてしまっていた。食事を誘われた時、正直言って、晩飯を直ぐに胃袋に入れたくなかった。久々の激しい運動がもよおした嘔吐の為で、何も胃袋に入れたくはなかった。だが、先輩と思い込んでいたので、奢って貰えると勘違いし、これが、所謂、「ごっつぁん」と言う物かと、内心、喜んだ。しかも、物凄く...第18章なまらザンギ

  • 第17章 地獄のフットワーク

    受験勉強による運動不足で、僕の体重は、高校の現役時よりも、3キロ程増えていた。所謂、受験太りだ。友達の中では、受験太りで、体重が5キロ以上増えた人はざらにいたし、10キロ以上増えた人も珍しくなかった。それに比べれば大した事はないと思っていたが、如何せん、筋肉が落ちて、脂肪が付いた。車に喩えれば、馬力を落として、荷物を乗っけたようなものだ。案の定、練習が始まると、最初のコート10週のジョギングで息が上がった。ジョギングが終わって直ぐに、フットワークが始まった。フットワークというのは、ボールを使わないで、バスケットの基本的な動作であるダッシュ、ストップ、ターン、ステップ、ジャンプなどを、組み合わせて行う反復運動の事である。地獄のフットワークを、この時、初めて味わう事になった。高校の練習では無かった動作がたくさんあり...第17章地獄のフットワーク

  • 第16章 ダスって喋れば駄目ダスか?

    最終コマの東洋史の講義が終わってから、バスケット部の練習に参加する為に、体育館に向かった。大学のバスケット部に顔を出すのは初めてだった。教養部北棟の正面玄関を出ると、キャンパスのメインストリート越しに、体育館が見えた。体育館の壁は白亜色で、屋根は空に向かってゆったりしたと弓弧を描いていた。その外観は、蒲鉾のような形をしていた。体育館の周りには、屋根よりも高い木々が生えていて、寒空に向かって、枝梢を広げていた。体育館の屋根には、春陽の攻撃に晒されながらも、雪が冬を名残惜しんでいるかのように残っていた。僕の目には、疎らに屋根にしがみ付く雪の姿が、春の訪れに抗う意固地な存在に映った。自動車の往来に気を付けながら、メインストリートを横切った。そこから体育館入口までは、雪と泥が格闘する未舗装の道が伸びていた。道を歩きなが...第16章ダスって喋れば駄目ダスか?

  • 第15章 敦煌への道

    残っていた紅茶を飲もうと、コップに手を伸ばすと、腕が痺れていた。腕枕をして寝ていたからだ。痺れている腕を無理やり伸ばし、コップを引き摺り寄せた。口を付けて啜ると、紅茶は、既に冷めてしまっていて、渋みが舌に絡みついた。しかし、残すのも勿体なかったので、コップを傾けて一気に飲み干した。急いでお膳を下げて、東洋史の講義室に急いだ。食堂の建物から外に出ると、小雨がぱらついていた。見上げると、濃淡のない鉛雲が、蓋を被せたように、空一面を覆っていた。白樺林の道を抜けて、教養部北棟の南口から館内に入った。東洋史の講義室は、北棟の中でも一番北側の3階だった。僕は、廊下を一直線に走ってから、3階まで駆け上がった。講義室に入ると、右手に教壇があり、講師がマイクを持って話をしていた。入口の近くの机に、プリントの束が並べられていた。僕...第15章敦煌への道

  • 第14章 夢と現実

    クラスメートと別れてから、僕は一人で、本屋に行った。バスケットの雑誌を手に取り、30分ばかり立ち読みした。時間が経つに連れて、徐々に足やら腕が硬直して疲れてきたので、喫茶店に行く事にした。喫茶店と云っても、本屋と同じく生協会館の2階に入っている「カロリナ」という、小さな食堂と喫茶店を足して二で割ったような所だ。入口付近の券売機で紅茶の食券を買った。配膳口は、店内の奥の方にあったので、そこまで歩いて行ってから、カウンターの上に食券を出した。商品を受け取るのに店内の一番奥まで来なければならないなんて、面倒だ。店の構造が良くないなと思いながら、紅茶が運ばれてくるのを待った。紅茶を受け取ってから、再度、入口付近まで戻り、見晴らしの良い窓際の席に座った。湯気上がる紅茶を、何度か息を吹き付けてから、口を付けた。一口飲んだ後...第14章夢と現実

  • 第13章 大仏の念仏

    講義室に入った。教壇が一番下にあり、受講席が下から上へ扇状に広がり、段々に高くなっている擂鉢状の講義室だった。僕ら4人は、最後方の席に、横一列になって座った。早速、鬼仏表を捲って、物理学の担当の講師を探した。「あった。この講師は、大仏だぞ」と、最初に見つけた筑紫が言った。「どこ、何ページだい?」と、シュウが聞いた。「えーと、15ページだね」僕も、15ページを開いた。担当の講師の欄には、こう書かれていた。〈大仏…しっかり出席し、試験を受ければ殆どが『優』の成績で通る。ただし、評価も大雑把であるが、講義も大雑把である〉大仏様とは有難い話だ。大仏の評価を得るくらいだから、余程、評判の良い先生なのだろうと思った。講義が始まると、講師は、聞き取り難いボソボソした声で言った。「前の席から出席カードを配布しますので、今日の日...第13章大仏の念仏

  • 第12章 鬼仏表

    昼の食堂は、立錐の余地がないほどの激込みであった。お膳を持ったままうろついて、椅子取りゲームをするのは嫌だったので、注文する前に、席を確保する事にした。込み合う食堂を歩き回って、4人が固まって座れる空席を、ようやく見つけることができた。鞄を見張り番代わりに席に置いて、場所取をしてから、注文に向かった。食堂は、カフェテリア方式だった。配膳カウンターで、料理を貰う時に並び、その後さらに、会計レジの前でも並んだ。混雑した中で、二度も長蛇の列に並ぶことは、甚だしく疲れた。学生達は、腹を空かせながらも、皆、律儀に列を守っていた。長く連なる人々を眺めていると、自分自身が、食べ物に向かって連なる蟻ように思えてきた。列を守って餌を運ぶという習性は、蟻にとっては、至極、当然な事と思っていた。しかし、自分が蟻のように列の中に身を置...第12章鬼仏表

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