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大江戸余話可笑白草紙 https://blog.goo.ne.jp/shortstory_001

新連載「富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜」開始! 美男と謳われた彼らに待ち受ける運命とは。

「ひじ傘雨」「水波の如し〜忠臣蔵余話〜」「百花繚乱 夢の後 〜奥女中の日記〜」「縁と浮き世の通り雨〜お気楽ひってん弥太郎〜」「一樹の陰一河の流れ〜新撰組最後の局長」「月に叢雲花に風〜吉良義周の生涯」「幕末 閑花素琴〜新撰組はかく闘いし」「ついた餅も心持ち〜寛永寺普請のお江戸草紙」掲載中。

ハナタレナソクス
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2011/03/26

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  • お久し振りです

    気が付けば、ずっと更新を休んでおりました。それでも訪問くださり、読んで頂いている皆様ありがとうございます。本人、闘病中につき、もう暫く休ませて頂いておりますが、新連載の原案は固まりつつありますので、もう暫くお待ちいただけますよう、お願い申し上げます。お久し振りです

  • 宇江佐真理先生訃報

    大好きな作家の宇江佐真理先生が、7日、乳癌のため北海道函館市内の病院で亡くなられました。その訃報に、呆然としております。先生の作品は全て読ませて頂いており、最近では、新刊本発売を待ち切れず、雑誌掲載文を読んでおりました。私を時代小説に引き付けてくれたのも宇江佐先生でした。最初に読ませて頂いたのは「卵のふわふわ八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし」でした。女性の心理、男性の心理、子どもの…老若男女を問わず、その人間のバックボーンに相応しい描写。何より、文章から伝わる江戸の情景に魅せられ、以後、読みあさりました。そして、日本語の美しさを教えてくれたのも宇江佐先生の文章でした。「髪結い伊三次」シリーズも、未だ未だ終焉をみておらず、いち読者として、先が気になるところではあります。闘病を告白なさった折り、「書きたいものは大体...宇江佐真理先生訃報

  • 富貴天に在り ~新選組美男五人衆~ 73

    第五章疾風~山野八十八~明治二十九年(1896年)三月下京区。尊王攘夷や天誅騒ぎが嘘のように、壬生村は静まり返っていた。そして時代は、目まぐるしく変わり、二本差しが町を闊歩していた頃などなかったかのようであった。老齢に差し掛かった男は、武士の時代の終焉と共に、時代の推移を肌で感じていた。なぜ郷里の加賀ではなく、京に舞い戻ったかと言えば、己の人生で一番良い時期を過ごしたこの町を忘れ難かったためであったが、再びの京は、決して男に優しくはなかった。戻って直ぐに足を向けたやまと屋も既になく、お栄の消息を探る術は途絶え、ただ、元新選組という不名誉な過去を斯くしてありつけた職は、菊浜小学校での用務員であった。小間使いをしながら、夏には汗を流し、冬は鼻を啜り。それだけで月日が老いを男にもたらすのみ。それでも生き残れたことは良...富貴天に在り~新選組美男五人衆~73

  • 富貴天に在り ~新選組美男五人衆~ 72

    第五章疾風~山野八十八~「俺は六年振りだ。随分と変わったんだろうなあ」。「そうか、左之助(原田・十番組組長)は、(江戸へ)戻ったことがなかったか」。「こんな形で戻ることになろうとはなあ」。「言うな。これから江戸で敵を迎え撃つ。そのために戻るのだ。未だ負けた訳じゃないさ」。永倉新八(二十番組組長)の太い声が重々しい。「ああ。そうだな。江戸で勝って、子が産まれる前には京に戻りたいものだ」。原田は、新選組で唯一、京で祝言を挙げて所帯を構えていた。「なあ、山野君。君もそうだろう」。「えっ、私ですか」。「ああ、やまと屋のお栄ちゃんには、別れは言ったのか」。原田と違い平隊士の八十八は、所帯こそ構えてはいないが、壬生寺の裏手の水茶屋・やまと屋のお栄とは、夫婦同然の仲であった。八十八の京への未練とは、即ちお栄であった。戦場を離...富貴天に在り~新選組美男五人衆~72

  • 富貴天に在り ~新選組美男五人衆~ 71

    第五章疾風~山野八十八~さて、長くなったのう。すまぬが茶を貰えぬか。なに、酒とな。酒ならなをありがたい。後は、誰じゃったかのう。山野、そう山野八十八君か。山野君は、愛嬌があったのう。いつもにこにことして気質も穏やかだったので、皆に可愛がられとった。そうじゃった。黒い薩摩絣と白い小倉袴を好んで、これに高下駄を履くなど大層な洒落者じゃった。皆、同じ頃に入隊したもんじゃが、思えば、五人の中で山野君だけだったのう。新選組の良い時期も悪い時期も知っておるのは。慶応四年(1868年)一月十一日順動丸船内。新選組を乗せた富士山丸と順動丸は播磨沖を出航した。「私は江戸は初めてです。どのような所なのでしょう」。山野八十八は、京への未練が相互する心中を、未だ見ぬ江戸に思いを馳せるかのように、明るい声を出していた。「山野君は、加賀の...富貴天に在り~新選組美男五人衆~71

  • 富貴天に在り ~新選組美男五人衆~ 70

    第四章日和見~馬詰柳太郎~「それにしてもよ、何も屯所が手薄な時を狙って出て行かなくても良いじゃねえか」。「土方さんが怖かったのですよ」。「怖いって、俺は、隊を脱したらどうだと勧めたんだぜ」。「だ、か、ら。そうしておいて、斬られるとでも思ったのでしょう」。「馬鹿な」。「佐々木君の例もありますしね」。「総司ーっ。俺は佐々木の件に身に覚えはねえ」。「ははは。でも良かったじゃないですか。馬詰君も無駄に命を落とさずに済んだし、隊も厄介払いが出来た」。「総司、言い過ぎだ」。「でも、あの子守女の件は真だったのでしょうか」。「さてな、どうでも良いことだ」。元治元(1864)年六月五日。新選組が不逞浪士の探索、捕縛の為、ちりじりに集合場所の祇園会所へ向かった後、手薄になった屯所から、馬詰父子は忽然と姿を消した。はて、あの父子の行...富貴天に在り~新選組美男五人衆~70

  • 富貴天に在り ~新選組美男五人衆~ 69

    第四章日和見~馬詰柳太郎~うかつに近付いて斬られたらと、不安で仕方ないのだ。土方の背の奥には、朱鞘の兼光が刀掛けに掛っている。「馬詰、将軍警護ご苦労」。「はい…」。「新選組はどうだ」。「は…」。何を聞いても蚊の鳴くような声、いや、蚊の方がよっぽどしっかりと羽を鳴らしている。柳太郎にしてみれば、何時、士道不覚悟を言い渡されるか気が気ではない。お米のことを言われたら、懸想されて迷惑していると一切関係ないとはっきり言えば良いのだが、それを巧く話せるかも気掛かりなのだ。そして、土方の声が優しいのも不気味であった。「なあ、馬詰。お前、隊を脱したらどうだ」。「えっ」。思いも掛けない言葉だった。柳太郎は思わず前のめりに土方を見る。その視線を反らすかのように土方は庭に目を送るのだった。「馬詰、人には向き不向きがある。お前は、書...富貴天に在り~新選組美男五人衆~69

  • 富貴天に在り ~新選組美男五人衆~ 68

    第四章日和見~馬詰柳太郎~隊を無断で脱したのが分かり、追っ手が掛けられたら、馬詰父子では成す術が無い。信十郎は流石に年の功で、その辺りも慎重に考えていた。が、そうするうちにも、お米が八木家に姿を現す回数が増え、柳太郎を冷やかす声は日増しに大きくなる。こうなっては、幹部に知れるのも時間の問題。いや、既に知られているのかも知れない。その日は、程なくしてやってきた。文久四(1984)年一月十五日、将軍・家茂の上洛に伴い、下坂していた新選組も帰陣を待っていたかのように、南部家当主の亀二郎が、八木家当主の源之丞を訪ったのである。隊士たちは、すわ縁組かと浮き足立って、二人が向かい合う座敷の障子越しに聞き耳を立てていた。そんな様子を、胸につかえを漢字ながら所在なく、前川家の門前に立ち尽くす柳太郎。案ずる様に、南部亀二郎は、お...富貴天に在り~新選組美男五人衆~68

  • 富貴天に在り ~新選組美男五人衆~ 67

    第四章日和見~馬詰柳太郎~「父上、もはや一刻の猶予もありません。このままでは私は…私は…罰せられます」。涙声である。「しかし、身に覚えはないのだろう。だったら…」。その言葉を遮るように柳太郎が詰め寄る。「覚えなどありません。第一、あの局長たちが斬られた晩に口を利いたのが最初で最後です。ですが、このまま真であるかのように話されたら、私はあの女子に適いません。野口さんのように切腹などさせられたら…私は死にたくありません」。「まさか、切腹はあるまい」。「分かりませんよ。切腹させようとしたら、どのようなことでも理由にします」。「馬鹿な、そのようなこと、大声で言うではない」。楠小十郎が殺された晩、哀れさと恐怖が身体を幕のように包み込み、到底ひとりでは耐え難い重みを感じていたが、ほかの隊士のように島原や祇園に出掛ける覇気も...富貴天に在り~新選組美男五人衆~67

  • 富貴天に在り ~新選組美男五人衆~ 66

    第四章日和見~馬詰柳太郎~正月の餅搗きに沸く、八木家の面々さえも、今さっき野口が前川家で腹を切ったのを知らず、それを知らされると露骨に嫌な顔をしていた。「じきに正月やいうのに、縁起でもあらへん。それにしても新選組はんは荒々しくていけまへんなあ」。当主の源之丞は、そう言い捨てると口を真一文字に結んだのを柳太郎は、八木家の門に身体を預けながらぼんやりと聞いていた。そこに、お米がふいに姿を現したからたまらない。餅搗きに加わっていた沖田や副長助勤の安藤早太郎、山野といった面々が冷やかし出した。「おっ、お米ちゃん。柳太郎に会いに来たのかい」。「いややわあ、そんなんちゃいます。旦那はんのご用どす」。ちらりと上目遣いに柳太郎を見上げる。こうなると柳太郎は臍を噛む思いである。あの晩、送って行ったのが仇となったのだ。いつの間にか...富貴天に在り~新選組美男五人衆~66

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