——遠くの方から、話し声が聞こえて来ていた。 目を開けると、そこには見覚えのあるような、ないような天井があった。 ここはどこだろう…… 奈々子が辺りを見回そうとすると、首に鈍い痛みが走った。 思わず、声を出してしまう。「あら、気が付いたみ
二月十四日。それは女の子にとっても、男の子にとっても、特別な日。 放課後の教室は、いつもとは違う空気が漂っていた。 学校へチョコレートなどのお菓子を持ってくるのは、もちろん校則違反。 だけど、抜き打ちの持ち物検査が行なわれるわけではない。
日曜日だというのに学校へ行かなければならないということが、憂鬱だと感じるようになったのは、いつの頃からだろう。 スポーツバッグを片手に家を飛び出したのは、午前七時。 普段、学校へ行くよりも早い登校だった。 冬の新人戦。一年生部員が出ること
放課後、部活に出るため、奈々子は女子更衣室で制服からジャージに着替えていた。 ジャージに着替え終わると、ラケットを持って校庭に出る。 校庭の半分は野球部が使っており、残った半分をサッカー部が使っているという状態で、軟式テニス部の練習場所と
下駄箱で靴を履き代えた奈々子は、教室へと向かった。 ひさしぶりに会うクラスメイトたち。休みのあいだ、みんなは何をしていたのだろう。 休み明けの教室というのは、何処か新鮮な感じがするから、奈々子は好きだった。「おはよー」 元気のいい挨拶をし
まるで風のようだった。 地面を蹴る白いスニーカー。そのスニーカーから伸びる紺色のソックスを履いた細い足。 膝よりも少しだけ短いスカートをはためかせながら、少女は坂道を駆け上る。 心臓破りの坂。 だれが読んだかは知らないけれど、みんながそう
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