忘れられないポエム 『何もない/すべてある』
江戸時代の流星雨(ウィキペディア)記録図よりきのうまで手にしていたものが今朝見るとなにもないなれ親しんだ友だちとの約束も放課後に置いてきた缶蹴りのカンも昼下がりに縁側から見上げた空の青光を満身に浴びた入道雲の輝きつかの間まどろんで目覚めると手品を見るように黒い帳が下りているああ光まで奪おうとするのか失うことに馴らされてはきたが希望までが鈍色にくすみ始めている全身に増殖する倦怠の気配とつじょ中空にとどろく驚愕のオペレッタ黒雲を引き裂く音響装置の痙攣イナヅマが地上に飛び火し少年は縁側にうち伏す冷気を伴って降り注ぐ雹のシンバルがすべての生き物を叱咤するなんという細胞の蘇生力そして快感天啓に見開く少年の虹色の瞳なにもなくなった後にすべてがある失われた記憶の奥にふつふつと沸き立つ命の貯蔵庫がある絶えることなく噴き出...忘れられないポエム『何もない/すべてある』
2024/06/29 03:30