永井荷風訳。 岩波文庫。 「アルチユウル・ランボオ」の、 そゞろあるき 蒼き夏の夜や 麦の香に酔ひ野草をふみて 小みちを行かば 心はゆめみ、我足さはやかに わがあらはなる額、 吹く風に浴みすべし。 われ語らず、われ思はず、 われたゞ限りなき愛 魂の底に湧出るを覚ゆべし。 宿なき人の如く いや遠くわれは歩まん。 恋人と行く如く心うれしく 「自然」と共にわれは歩まん。 は大好きな詩だが、 最初に読んだのは堀口大學訳だった。 大學訳の歯切れよさも、 もちろん魅力的だが、 荷風訳は流麗で美しく典雅で、 ..
工藤重矩校注。 岩波文庫。 思はじと思へばいとゞ恋しきは いづれか我がこゝろなるらん(読人不知) 「否定的評価が定着し」ている『詞花』にあって、 その中でも評価の高い歌ではないだろうなと思う。 しかし似た趣向の歌はいくつかあるものの、 精神医学や心理学のなかった時代によくぞと感心した。 和泉式部や崇徳院や花山院の歌群など、 素晴らしい歌も集中には含まれている。 『詞花』は現在の目から見て拙さの感じられる歌と、 そうでない歌との混じり具合が妙に楽しい。
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