「マーメイド クロニクルズ〜第三部配信中!」「第一部 神々がダイスを振る刻」幻冬舎より出版中!
マーメイド クロニクルズ 第二部 第9章−4 奇妙な剣舞(再編集版)
はたして恋する乙女の直感は、正しいのだろうか。ナオミは今日のフェスティバルが、何かとてつもないものになるような予感がしていた。コロナ役の男性が、スターの甘い声で歌い出す。青い昼の海は太陽神アポロンが天空を駆けめぐる刻だが我が都には、強い日差しはあっても愛はない麗しき魔女たちよお前たちはどこから来たのか?お前たちはどこへゆくつもりなのか?もしもゆくところがないのならこの都にとどまりその美しさで我らと共に愛の花をさかせてはくれまいか?月の女神ティラミス役ミスティラが、引き取って歌う。可憐な外見からは想像できないほど声量がある。しかも、サラ・ブライトマンばりの高音域である。魔女たちよお前たちがさがす魔神スネールははるかかなた遠いオリエントの国に墜ちていった太陽神コロナはうつくしい声と富を持つ太陽神アストローネは光り輝...マーメイドクロニクルズ第二部第9章−4奇妙な剣舞(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第9章−3 太陽神と月の女神登場!(再編集版)
三人目の魔女役ユリアに取り付いた金髪のメギリヌは、アームバンドまで含めて、純白のフォルターネックの衣装で決めている。大きなベールを持って登場すると、ステージ中央で数回回転する。ベールを投げ捨てると、雪の妖精が地上に舞い降りたような動きで、「エル・バストン」(“ElBaston”)をバックに踊り出す。アサヤと呼ばれるステッキを身体の一部のようにあつかって、観客の目を集める。全身のシルバー・スパンコールが、雪の結晶のように光り輝く。二人を従えて、再びリギスが中央に来て歌い出す。愛、答えは愛愛だけが呪いを解くことができるだが、愛はどこにあるのか?愛は見ることができるのか?愛はさわることはできるのか?たとえ、見つけることができてもたとえ、見ることができてもたとえ、さわることができてもそれはさっきまでと同じ愛なのか?それ...マーメイドクロニクルズ第二部第9章−3太陽神と月の女神登場!(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第9章−2 パフォーマンス・フェスティバル開幕!(再編集版)
小さいトラブルはあったが、パフォーマンス・フェスティバルの準備は着々と整いつつあった。会場右側のバルコニー席には、ドワイトに招待されたマリア、ケネス、ナオミと幼なじみのケイティの四人が座っていた。マクミラが楽屋で竜延香の香りに気がつき、ナオミが客席で麝香の香りに気がつき、同時に言った。「あいつの匂いがする」いやがおうにも緊張感が高まってきていた。ナオミが、パンフレットを開くとキャストの一覧表が目に入った。第一の魔女・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・“ザムザ”第二の魔女・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・“シェラザード”第三の魔女・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・“ユリア”マーメイド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夏海・コパトーン太陽...マーメイドクロニクルズ第二部第9章−2パフォーマンス・フェスティバル開幕!(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第9章−1 パフォーマンス開演迫る(再編集版)
パフォーマンス・フェスティバルの当日の夕方。ニューヨーク社交界の大物や現地在住の芸能人たちが、次々にヌーヴェルヴァーグ・タワーの特設会場に集まってくる。ある一団が、入場口で係員ともめていた。タキシード姿の紳士や社交服で着飾った貴婦人にまざって、きたないジャケットやジーンズ、スニーカー履きのティーンエイジャーたちの姿は、場違いもいいところだった。「おい、ここはお前らのような連中の来るとこじゃない」「なんだと!俺たちは正式に招待されたんだ」トニーに率いられたタイ系ストリート・ギャングと、ロッコに率いられたイタリア系ストリート・ギャングであった。真夏の夜に冥界を抜け出した魔界の住人に襲われたところをマクミラに救われて以来、ファンクラブのように彼女を慕うようになっていた。マクミラに諭されて以来、犯罪に手を染めるよりも生...マーメイドクロニクルズ第二部第9章−1パフォーマンス開演迫る(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部再編集版 序章〜第8章バックナンバー
「第一部神々がダイスを振る刻」をお読みになりたい方へ「第二部序章」「第二部第1章−1ビックアップルの都市伝説」「第二部第1章−2深夜のドライブ」「第二部第1章−3子ども扱い」「第二部第1章−4堕天使ダニエル」「第二部第1章−5マクミラの仲間たち」「第二部第1章−6ケネスからの電話」「第二部第1章−7襲撃の目的」「第二部第1章−8MIA」「第二部第1章−9オン・ザ・ジョブ・トレーニング」「第二部第2章−1神々の議論、再び!」「第二部第2章−2四人の魔女たち」「第二部第2章−3プル−トゥの提案」「第二部第2章−4タンタロス・リデンプション」「第二部第2章−5さらばタンタロス」「第二部第2章−6アストロラーベの回想」「第二部第2章−7裁かれるミスティラ」「第二部第2章−8愛とは何か?」「第二部第3章−1スカルラーベの...マーメイドクロニクルズ第二部再編集版序章〜第8章バックナンバー
マーメイド クロニクルズ 第二部 第8章−10 民主主義という悲劇(再編集版)
「どうした?」「今度は、コミュニケーションとは何だと質問をするかと思ったから・・・・・・」「お前からマーメイドがコミュニケーションを学んでいると聞いていたから、コミュニケーションに関してはもう調べてあるのだ。コミュニケーションが得意であるとは、何も雄弁なことばかりではない。皆が見落としていることを指摘したり、最後にうまく全体の意見をまとめたり、雰囲気作りがうまいとか、あるいはタイミング次第では沈黙することさえ有効なコミュニケーションとなる。つまり、コミュニケーションの神髄とは、時宜(じぎ)に応じた対応ができることであろう。弁論術の始祖アリストテレスとかもうす哲人が、レトリックを『いかなる状況においても説得の方法を見いだす能力』と定義している。これこそ、最古のコミュニケーション的有能さの定義なのだ。この男は公的な...マーメイドクロニクルズ第二部第8章−10民主主義という悲劇(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第8章−9 政治とは何か?(再編集版)
「くだらない政治なんてものは、冥界にはなかったわね。伝統的な定義では、政治は権力に関連するプロセスと考えられている。政治研究では、誰が持つか、どのようにそれが維持されるか、使われるかとかが問題になる。でもこの定義には、最近は批判も多い。なぜなら権力には、物理的なもの、委託されたもの、権威から生じるもの、経済的なもの、象徴的言語によるものなど、政治とは権力に関連するプロセスであるという定義は、多義的すぎて役に立たない」「だが権力者には何が正しいか、何がまちがっているかを決める力があるのではないか?」「絶対君主の場合はね。でも人間たちは、選ばれた代表者たちが議論する民主主義政治というシステムを生み出してからは、国家という目に見えない巨大な権力が何を真実とするかを決定して、国家認定資格、予算配分、さらに法律を駆使して...マーメイドクロニクルズ第二部第8章−9政治とは何か?(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第8章−8 格差社会−−上位1%とその他99%(再編集版)
ある日、アストロラーベがマクミラに尋ねた。「富とは何だ?」「冥界では、お金を使うことはなかったものね。富を持つとは、たくさんのお金やお金に換えられるものを持っていること。人間界では、お金さえあればなんでも手にはいるし、なんでも人に言うことをきかせられる」「お金があるとは、魔法が使えるのと同じようなものか?」「たしかにお金は、人間にとっては魔力があるようね」「そうだな。人間も、心の底ではその魔力をおそれているのではないか?」「そうかも知れないし、そうでないかも知れない。皮肉ね。冥主の本当の名を口に出すことは、何人たりともはばかられる。それゆえ人間共が苦し紛れに、お追従で呼ぶようになったのが『富めるもの』というのは」「プルートゥ様とお呼びするのだ」アストロラーベが、いらついて続ける。「プルートゥ様が宝物殿に人間たち...マーメイドクロニクルズ第二部第8章−8格差社会−−上位1%とその他99%(再編集版)
マーメイド クロニクルズ 第二部 第8章−7 絡み合う運命(再編集版)
マクミラは、リハーサル会場で兄弟妹の雰囲気を感じていた。3ヶ月前に降臨して以来、兄アストロラーベとスカルラーベ、双子の妹ミスティラは、対照的な時間の過ごし方をしていた。アストロラーベは、冥界の軍師だけあって、ひたすら人間界の知識をどん欲に吸収していた。マクミラが長い時をかけて収集した哲学書、歴史書に加えて、文学作品や理系の書物まで一睡もせず読みあさっていた。スカルラーベは、冥界時代は身体が骨作りだったため、生まれて初めて持った「肉体」を鍛えることが面白くて仕方がなかった。「人間たち」と交流させることは不安だったため、ジェフがニューヴェルヴァーグ・タワーの中のアスレチック・ジムでトレーニングをさせるように手配したが杞憂だった。脳みそが筋肉でできているようなボディビルダーたちとは、メンタリーが近いのか会話らしい会話...マーメイドクロニクルズ第二部第8章−7絡み合う運命(再編集版)
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