オリジナル学園伝奇小説連載中
高校生の少女那須野結繪と化野音音(あだしのねね)。狐の化精・葛葉と静葉の力を借りた少女ふたりと、唯一の神を信奉する第2契約者たちとの戦いをえがいた伝奇小説。
「悪い冗談はおよしなさい!」 と音音が言うやいなや、 ボディーガードの河童たちの指先から、 アーモンドやピスタチオ、落花生なとが メイドに向かって一斉に飛んでいき、 ビシビシと命中する。 「痛っ! 痛たたっ!」 ボンっと煙ったかと思うと、 そこにはメイドの姿は無く、うっそりと狢(ムジナ)が立っていた。 「ひでえな、かわいい冗談じゃないですか? だいたいそれが危険な潜入捜査に挑む俺様に対する仕打ちですかい?」 「やかましいっ! とっとと報告しないと、狢汁にしちまうぞ!」 普段から折り合いの悪いキザクラが、 ペティナイフに手を伸ばすのを見て貉が勢いよくしゃべり始めた。 「わわっ、今回の件、 禁断バナナは関わってないと思いやす。 今は儲かってますけど、 借金がすごくて、 クラークは返済にキューキューしてやすから」 「新宿辺りのいい借金弁護士を紹介してや..
「マイナス4℃で細胞膜に傷をつけるとは 考えましたわね」 苦し紛れに当てずっぽうに言ったものの、 その一言でクラークの顔色が変わったのを音音は見逃さなかった。 「そこはそれ、企業努力の結晶ですから、 おいそれとは教えられることではありませんな」 「じゃあ、御社の細胞膜破壊製法と 私どもの『鎌倉バナナ道楽』の営業権をかけて バナナデザート勝負をしませんこと?」 「いいでしょう。 それでは1週間後ではどうでしょう? 場所は…」 「江の島に魯山人星岡窯を復元した 飛鳥グループの料理研究施設がありますの。 そのキッチンスタジアムではいかがかしら?」 「結構。では詳細はのちほど。 今日は存分に楽しんで行かれよ」 そう言うとクラークは店の奥に消えた。 お互いの利権をかけての バナナデザート勝負は 一週間後の土曜の13時から行うことがきまり、 鎌倉ばなな..
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