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白い花の唄 https://blog.goo.ne.jp/aquamarine_2007

銀河連邦だのワームホールだののある遠未来の宇宙時代。辺境の惑星イドラで生きる人々の物語。

オリジナルSF小説『神隠しの惑星』第一部です。

karicobo
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2009/08/10

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  • 名残の花の

    『このうちは何かとちょっと変わっているの』葵さんにそう説明された住吉神社での暮らしは、ちょっとどころでなく変わったことの連続だった。でもまあ、概ね神社での経験は楽しいことの方が多い。楽しい、というのとは違うか。悲しいこととかつらい事情も多いおうちなのだ。でも知れば知るほどイヤだな、と思うよりも私にできることをしたいと思う。風変わりだけど、魅力的な人ばかりだからだ。むしろ面倒なのは神社の外の世界だったりする。予想通り、小学校ではいい感じに浮いてしまったし、ご近所でも陰口を叩かれる。よくわからない言いがかりをつけて来る人もいる。でも平気。イヤなことと割り引いてもお釣りが来るぐらい神社の人々が可愛がってくれるからだ。神社の参道沿いの商店街でも、イジメられている事情を知ってて味方になってくれる人も多い。とはいえ、面倒な...名残の花の

  • 月夜のピアノ・マン (その8)

    新幹線の駅はいつも緊張する。天井が高くて建物が大きいし、とにかく人通りが多い。お店が多くて目が回る。でも王子様の護衛が3人も一緒なので大丈夫。ノン太と鷹史さんと先生。実はあの夜以来、鷹史さんと話すのを避けていた。何と言っていいかわからなくて、できるだけ考えないようにしていた。だいたいノン太とセットなので、鷹史さんと2人で話す機会などないから、避けていてもなんとかなったのだ。今日は人混みの中で先生が大丈夫かという方が気になって、鷹史さんと気まずいのを忘れていた。面白いことに、先生にぶつかる人は誰もいなかった。すり抜けるというわけでもなく、人の方がスルリと避けて通って行くのだ。「到着ホームまで迎えに行って来るから、先に店に入って席取っておいて」とノン太が言って、構内に消えて行った。どうやらお母さんがちょっとのんびり...月夜のピアノ・マン(その8)

  • ピアノ図書館 (その5)

    トン介は怒っていた。「どうして人のおらんとこでそんなん勝手に決めとるんや」トン介は自分が住吉の長男だという責任感が強いので、館長にきちんと挨拶して、右近を収蔵してもらえる件の御礼もちゃんと言った上で、礼儀正しく館長と岩井さん、葵さんの雑談にも付き合っていたのである。そしてどうやら今回、トン介は留守番の流れなのだ。サクヤがだいたい住吉神社の半径5キロからせいぜい10キロぐらいまでしか離れられない。サクヤのボディーガードを自認しているトン介は、家族が遠出する時も常にサクヤの傍にいるのだ。しかし今回は桐花が初めて神社から500キロばかり旅するのである。それにメノウを召喚するとなれば住吉の一大事。長男としてその場に立ち会いたい。とはいえ咲さんが留守の間、サクヤをひとり置いておくわけにもいかない。トン介の男心は2つに引き...ピアノ図書館(その5)

  • ピアノ図書館 (その4)

    演奏中に踊り場ホールからウルマスとリューカの姿が消えたのも気がついた。楽器の片付けなどをキジローに頼んで探しに出ると、村主に親指で”来い”と合図された。多分ここだろうなと予想つけた場所にいた。裏手の池の傍でリューカがベンチに伸びていた。「だから言っといただろう」村主がペットボトルの水を差し出しつつ言う。ヤツは何だかんだ言いつつも面倒見がいいような気がする。リューカとの付き合いは俺より長そうだ。「わいも、アルモニカは大丈夫やったんですよ。ピアノも慣れたし」「まあ、今日は右近が調子に乗って増幅してたからな。ムリせずこれを使えばよかったのに」ウルマスは自分の耳から何か柔らかい素材らしい耳栓を取り出した。俺の視線に気づくと「チビさん達には内緒にしてくれ」とウインクした。この2人の視聴覚範囲が他の人間と違うことには気づい...ピアノ図書館(その4)

  • ピアノ図書館 (その3)

    前段はこちら。(その1)、(その2)ーーーーー○ーーーーー○ーーーーー○ーーーーー○少し遅い昼食は手打ちうどん屋でとった。桐花のリクエストだ。最近父親のキジローが手打ちうどんに凝っていて、少しお手伝いなどしたものだから、家でも外でも桐花はうどんに夢中なのである。お店の人が足でぐっぐっと踏んでいるのを、トン介に抱っこしてもらって一生懸命見学していた。運ばれて来たかけうどんを、トン介に少しずつお椀に取ってもらって上手に食べてご満悦である。桐花の世話をトン介に任せて、葵さんと俺はそれぞれ電話を何件かかけていた。葵さんは、まずは本丸のピアノ図書館に。それからウルマスや唐牛先生とも何か相談していた。俺は瑠那の自宅に。簡単な用事だったら直接瑠那の携帯電話にかけるかメールするところなのだが、今回はたまたま”あいつ”が帰宅して...ピアノ図書館(その3)

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