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  • オヤジのあくび647

    網野善彦「歴史を考えるヒント」を読む 冒頭に日本という国名がいつ決まったのか? という話が登場します。ボクは手塚治虫の火の鳥で天武天皇が国名を決めた描写が出てくることを当てにしていたので、その頃かな? と漠然と考えていたのですが、689年の飛鳥浄美原令が定説のようでドンピシャですね。ちなみにこの時から天皇という言葉が使われ始めます。 私たちが日常考えなしに使い、知らないうちに偏った見方にとらわれている状況を解きほぐしてくれるのは、網野さんの本のありがたさだと思います。例えば「人民」。中華人民共和国とか朝鮮民主主義人民共和国とか、ものものしいイメージがある。学生の頃食堂周辺で「ピープル」というジ…

  • オヤジのあくび646

    井上ひさし「四千万歩の男 忠敬の生き方」を読む 商家に養子に入り、傾いた店の経営を立て直し、村の政治にも力を発揮した50歳までの前半生。忠敬が江戸に出て天文学を学び、さらには日本全国の地図作成という大事業に挑むのは後半生のこと。定年を迎えたサラリーマン諸氏にとって、これからどう生きるか? お手本を示してくれるようであります。 しかしこの本の面白さは、伊能忠敬の偉さよりもむしろ井上ひさしのオタクっぷりにありそうです。遅筆で有名な著者は、脚本の設定をイメージするために手書きの現地地図を書いていたという。オクラホマ州アナダルコの地図、小林一茶が生活していた頃の江戸市中・・手書きの地図には国境や保護地…

  • オヤジのあくび645

    会津人群像2022no.43より鶴賀イチ「会津藩校日新館」読む 会津藩の教育と言えば、大河ドラマ「八重のの桜」で紹介されていた「ならぬことはならぬものです」の什の掟が有名だ。6歳から9歳までが、什の組織による基礎教育期間で10歳から日新館入学となる。 学習内容が漢書の素読と講釈中心は、時代背景からして合点がいくところですが、天文方では会津暦があり暦学の先端を学んでいた。会津には海がないが池の周囲が153mの水練場を備えていて、日本初のプールと言われている。学習内容ではないが、窮乏時に藩が費用を負担して昼食が提供されたことがある。これまた給食の始まりだろうか? 家老田中玄宰の「教育は百年の計にし…

  • オヤジのあくび644

    佐藤智恵「ハーバードでいちばん人気の国・日本」を斜め読みする。 ボクは本書で金剛組という世界最古の会社を知った。578年に聖徳太子が招聘した宮大工が創業したと言う。何と1446年も続いている! 株価の激しい値動きを眺めていると、その時代時代でニーズや成功のあり方は変化するものと思いがちだが、どっこい飛鳥の世から続いている企業があったのだ。 日本を代表する経営者の名前が、ハーバードで議論の対象になっていることが紹介されているが、会社経営とは少し離れた印象があるアベノミクスの話が登場する。全く予想外の死を迎えた安倍晋三さんの経済政策が歴史に名を刻むことになるのかもしれない。 東日本大震災から13年…

  • オヤジのあくび643

    岡村道雄「縄文の列島文化」を読む 今も昔も日本独自の文化がある。何と三万年も前に日本独自の石器が使われていた。刃部を研磨した石器でナイフのように動物を狩る際に用いたらしい。 ところで私たちが資料で学んだ竪穴式住居のイメージは屋根が茅でふかれている。しかし、それは先入観であって本書を読むと縄文時代の住居の屋根は土でふかれていたらしい。それなら火災にも強いだろう。研究者は知っていても一般の人は誤解したままのことは他にもありそうだ。 遺跡というと、まずは建物群や土器に注目するが、本書はまず松島湾宮戸島の調査を元に、季節ごとにどのような食べ物をどのようにして食べていたのかを、詳しく解説している。今のよ…

  • オヤジのあくび642

    村井康彦「出雲と大和ー古代国家と原像をたずねて」を読む2 本書に吉備国の桃太郎伝説が登場する。桃太郎は大和朝廷から派遣された吉備津彦命のことであり、鬼は吉備国で鉄生産に従事していた百済の人々だというのだ。何とかして吉備国の経済力を弱めたい朝廷側は実力行使に出たのかもしれない。この本には他にも丹波・尾張など大和朝廷にとって目の上のたんこぶ的な豪族を如何にして支配下に収めていったのか、書かれている。 さて出雲国。出雲大社の他に熊野大社という大きなお宮があります。筆者はそれを伊勢神宮の下宮と内宮の関係に例えています。しかるべき内宮造営の前段階として、下宮の役割を果たす熊野大社が必要だったと。出雲大社…

  • オヤジのあくび641

    村井康彦「出雲と大和ー古代国家と原像をたずねて」を読む1 奈良盆地に三輪山という山があり、麓に大神神社がある。御神体が山そのものという古代の自然崇拝を受け継いでいる。ところが祀られている神様は大国主命なのです。なぜ出雲大社の神様が奈良盆地の真ん中に祀られているのか? どうやら日本の統一過程で、初めてまとまった国造りに成功したのは、大国主命らしいのです。大国主命とは、あの因幡の白兎に登場する意地悪なお兄さんたちと好対照のやさしい神様です。本書は、その後どのようにヤマト王権へ移譲されていくか? を推論している。 著者は出雲国の名残を磐座と四方突出墓を頼りに訪ねていく。(四方突出墓とは四隅がヒトデの…

  • オヤジのあくび640

    関裕二「縄文の新常識を知れば日本の謎が解ける」を読む 一般に社会で学ぶ対象を「人・もの・こと」と言うけれど、その中でも歴史は、文書・記録を元にした過去を学ぶことだから、縄文を始め文字を持たなかった文化は、その様子を手繰り寄せることが難しい。 しかし「日本人はいつ頃どこからやって来たのか」という問いについては、ヒトゲノムの解析がヒントを与えてくれている。答えになってないが「北、西、南・・いろいろなところからやって来て、長い期間を経て混じり合った」ということになるだろうか? 元々の文化に積み重なるように新しく移入された文化が取り入れられていく過程は、文字言語の輸入過程に似ている。元々土着の発音=や…

  • オヤジのあくび639

    椎名誠「漂流者は何を食べていたか」を読む この本のネタは、生きて戻った人による漂流記。残念だが帰還を果たせなかった漂流者のことはわからない。それを生きて戻れたのは知恵や技術があったからだと、またはクルーのチームワークがよかったからだと決めつけてはいけないと思う。理由の大半は、やはり幸運だったのだと思う。遭難の理由が不運であるとほぼ同じ割合で。 椎名誠の特徴は、実体験に基づいた文章がデフォルメを軽薄体などと揶揄されながらも、体験と文章のギャップが大きく、その面白さが共感を呼んできたことでしょう。この本においても、漂流記の抜書き的な部分より実体験を踏まえて書いている(本書で言うとアリューシャン列島…

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