ヨージの妻・キョーコは、沖縄県立博物館でボランティア活動をしている。 歴史や文化に興味を持ち、生徒相手に展示の案内や体験学習の手助けをするのが彼女の楽しみだ。 読谷の自宅から那覇にある博物館までは片道およそ一時間。だが、遠い道のりも、彼女にとっては心弾む小旅行のようなものだった。 「今日も楽しんでおいで」とヨージはいつも笑顔で送り出す。 自分の好きなことに熱中するキョーコを、心から応援した...
セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。
行動分析学のスキナーが開発したプログラム学習に興味があり,独学できる教材を作っています。 さんすう,数学では,理解を重視する「水道方式」に興味があります。 自分で学べる,それも理解を重視しながらにこだわっています。 著書「プログラム学習英語中1レベル」 「同中2」「同中3」(東銀座出版社) 「わかるできる解ける中学数学1年」 「同2年」「同3年」(以上民衆社)
ヨージはパソコンの前に座り、深く息をすった。 彼の目の前には『ひとりで学べる高校数学 A』の原稿が開かれている。 高校一年生向けの数学学習書を作るために、彼は教科書を丁寧に読み込み、その内容をより細かく分解し、ステップバイステップで学べるよう工夫していた。 教科書の問題をそのまま使うことはできない。 それでは著作権の問題もあるし、生徒が本当に理解できるような構成にするには、オリジナルの問題を...
ヨージは日常的に生成AIを活用している。 しかし、AIにはしばしば事実とは異なる情報をもっともらしく提示する癖がある。 それを「ハルシネーション」と呼ぶのだ。 ある日、ヨージはMicrosoft Copilotを開いた。 画面には「Copilotは間違える可能性があります」という注意書きが表示される。 まるで、これから語られる物語の前置きのように。 しかし、この警告は決して誇張ではない。ヨージは過去に何度もAIのハ...
いとこのIさんは、ヨージのブログをよく読んでいるらしい。 行事や法事の席で顔を合わせると、ブログの内容について話してくれることも多い。 ヨージにとって、それはとても嬉しいことだった。 ある日、Iさんがヨージの家を訪れることになった。 彼女は、ブログに書かれていた「枝木の枝にぶら下げたペットボトル」をぜひ見たいと言う。 そんなやりとりがあって迎えた当日、ヨージは彼女を案内することにした。 ...
ヨージはミステリー番組を観るのが好きだ。 先日も、TVerで『ヒガンバナ~警視庁捜査7課~』を楽しんでいた。主演は堀北真希。 特殊能力を持つ刑事・来宮渚が、女性犯罪に特化した警視庁捜査七課のメンバーと共に事件を解決していく物語だ。 画面に映ったのは、花嫁に付き添う父親らしき男性。 セリフも少なく、ほんの脇役といった風情だった。 だが、ヨージはすぐに気づいた。この男、見たことがある。名前は思...
「最近、三角の冷凍ライスが増えたわね」 キョーコがぽつりと呟いた。 彼女はいつも四合の米を炊き、タッパーに小分けして冷凍する。 一つは100gの三角形、もう一つは200gの丸型。ふたりで食べるときは、丸い200gのタッパーを電子レンジで温め、100gずつ分け合う。それが習慣だった。 本当は丸型のほうが冷凍庫に収まりがいい。だからできれば全部丸型にしたい。 しかし、それができないのはヨージのせいだった。 ...
ヨージの住む場所は、美しい自然に囲まれているが、公共交通機関は決して便利とは言えない。 目の前にはバス停があるものの、バスの運行は通勤・通学時間に集中し、それ以外の時間はほとんど来ない。 彼はAirbnbを通じて民泊を運営しており、宿泊リクエストが届くと必ずこう確認することにしている。 「ここは車がないと不便な場所ですが、大丈夫ですか?」 この問いかけに、「それならやめておきます」とリクエストを...
ヨージの庭にそびえるビワの木。今年は例年になく、たわわに実をつけ、庭はまるで実りの宝庫のようだ。 農業をしている友人は「去年は台風が来なかったからだろう」と笑いながら話していた。 花が咲き、小さな実が顔を出した頃から、ヨージは摘果に励んだ。 すべての実に均等に栄養が分散すれば、一つ一つが小さくなってしまうという考えのもと、YouTubeで見た通り、一房に三つまで残すように作業を進めた。 以前は...
Google Geminiも人物入り イラストができるように
Google Geminiも人物入り イラストができるように ヨージは生成AIを三つ使っている。Google Gemini、Microsoft Copilot、そしてChatGPTだ。 無料の範囲で使っているが、それぞれに特徴があり、用途に応じて適当に使い分けている。 三つのAIはいずれもイラストを描けるが、微妙な違いがある。 Microsoft CopilotとChatGPTは人物入りのイラストも難なく描ける。しかし、Google Geminiだけはなぜか人物を含むイラストが...
ヨージは昨日のブログに、「指でピンホールを作って小さい文字を読む方法」を書いた。 どんな文章にしようかと頭の中で構想を練り、それをいくつも組み立てながら、スマートフォンに向かって話しかけて音声入力で文章を作り上げた。 推敲もしないまま、Chat GPTに「小説風に書き換えてください」と頼んでみた。 すると、見事な文章が出来上がった。ヨージは画面を眺め、満足げに頷いた。 しかし、しばらくして思い出し...
指でピンホールを作り 小さい文字を読む ヨージは、毎朝新聞を広げるとき、100円均一の店で買ったピンホールメガネを手に取る。 黒いフレームに無数の小さな穴が並んだそのメガネは、一見すると玩具のようだが、これが意外によく見えるのだ。 小さな文字が滲まず、くっきりと浮かび上がる。 歳を重ねた目には、ありがたい道具だった。 ある日のこと、兄と話しているときに、そのピンホールメガネの話題になった。 ...
スマートフォンを手に取り、トークバック機能を使って本を聞き始めた。齋藤孝の新しい本だ。 これまでにも彼の本はいくつも読んできたが、今回も期待を裏切らない面白さだ。 ページをめくる代わりに、耳に流れ込む言葉を静かにかみしめた。 本のタイトルは「心が強い人はみな、『支える言葉』をもっている」。 その名の通り、心が折れそうなときや困難に直面したとき、自分を励まし支える言葉を持つことの大切さを説い...
ヨージは朝食の準備を始める前に、キッチンの隅に置かれたGoogleのスマートスピーカー、Nest Miniに声をかけた。 「ねえ、Google、おはよう」 すると、スピーカーが反応し、軽やかな声で答える。 「こんにちは。」 時には「おはようございます」とも言うが、今日は「こんにちは」だった。 続けて、その日の日付や曜日、天気予報を読み上げてくれる。 ふと、スピーカーが少しトーンを変えて注意を促した。 「スマー...
ヨージは大相撲のテレビ観戦が大好きだ。 相撲が始まると、番組を録画して踏み台昇降運動をしながら再生するのが日課になっている。 今場所は大阪で行われている春場所。郷土の沖縄出身、美ノ海が好調だ。七日目を終えた時点で六勝一敗。トップ争いに顔を連ねている。 八日目の相手は元大関の御嶽海。取り組みが始まると、御嶽海の巨体に押し込まれ、美ノ海は土俵際に追い詰められた。 体が傾き、もうだめかと思われた...
去年の10月24日、Airbnbを通じてヨージのもとに一件の宿泊予約リクエストが届いた。 宿泊期間は2月6日から3月10日まで、約1ヶ月あまり。 メッセージには「パートナーと一緒に沖縄で陸上のトレーニングキャンプを行う」と書かれていた。 運動選手がトレーニングキャンプで宿泊するのは初めてだったが、交通手段はレンタカーとのことで、特に問題はなさそうだ。 ヨージの宿泊所から歩いて行ける距離に陸上競技場があるの...
ヨージは今日もパソコンに向かっていた。 高校数学の学習書『ひとりで学べる高校数学A』を作っている。 教える内容を細かく分け、スモールステップで一段一段学習できる仕組みだ。 ある日、ユークリッドの互除法にたどり着いた。 ヨージが高校生だった頃には教科書に載っていなかった内容だ。 「なるほど、今はこれも必修なのか」とつぶやきながら、教科書をじっくりと読み始めた。 互除法は、割り算のあまりと最...
肥満症は自己責任ではない 録画していた「漫画家イエナガの複雑社会を超定義」を再生すると、画面には肥満症治療で話題のGLP-1受容体作動薬が映し出されていた。 専門家が語る。「肥満症は自己責任ではない」と。その言葉が胸に響いた。 「そうだよな…」ヨージはつぶやいた。 興味を持ったヨージは、生成AIのGoogleGeminiに問いかけてみた。「肥満症は自己責任ではないって本当か?」 AIの回答は、肥満症が...
ヨージは庭をゆっくり歩いていた。ふと足を止め、目の前の木に目を凝らす。 そこには、小さくて白い可憐な花が咲いていた。 幹に直接張り付くように咲くその花に、ヨージは思わず声を上げた。 「ジャボチカバの花が咲いてる!」 彼は慌ててスマホを取り出し、写真を撮った。 初めて見る花だった。それが咲くのを待ち続けていたのだ。 玄関に向かい、声を張り上げる。 「グッドニュースだ! ジャボチカバの花が...
ヨージの妻は、よく「若いですね」と言われるそうだ。 もう70代だと告げると、相手は決まって目を見開き、「そうは見えない!」と驚くという。 ぼくも同感だ。彼女は確かに若々しい。見た目もそうだが、それ以上に動きが機敏なのだ。 ぼくが部屋の中で動いていると、するりとぼくを追い越して歩いていくこともしばしばだ。 それに比べて、ぼくが「若い」と言われることはない。 ぼくだって健康には気をつけている。...
ヨージは高校数学の教材『ひとりで学べる高校数学A』を作っている。 教える内容を細かくして、ステップバイステップで学べるよう工夫を凝らしている。 最近では、教材作りのために生成AIをよく利用するようになった。 だが、生成AIは数学が苦手だ。間違いが多く、そのまま鵜呑みにはできない。 だから、必ずきちんと確認してから使うようにしている。 中でもGoogle Geminiは特に間違いが多く、ChatGPTはまだ優秀だ...
ヨージの家の庭には、いくつもの果物の木が植わっている。 妻の意向でもあり、ヨージもそれに賛成している。 ピタンガ、バナナ、カニステル、パパイヤ、シークヮーサー、バンシルー(グヮバ)、金柑、モンステラ、そしてビワや毛桃も。柿の木、ジャボチカバ も 1本ずつあるが、まだ実をつけたことはない。 それでも、これらの木々が実を結び、その果実を収穫して食べる瞬間は、格別の喜びだ。 自分の庭で育ったものを...
紙の通知からでもすぐに Geminiで カレンダー 予定 作成
ヨージは数日前、Google Geminiを使ってGoogleカレンダーに簡単に予定を作成できる方法を発見した。 その便利さに感動し、さっそく様々な予定で活用していた。 そんなある日、〇〇組合から一通の封書が届いた。総会を行うという通知だ。 「第23回 総会開催について」 早春の候、暖かい春の日差しを感じる頃になりました。組合員の皆様には益々ご壮健のこととお慶び申し上げます。 封書を手に取りながら、ヨージはふと...
ヨージはニュース番組をぼんやりと眺めていた。 テレビ画面には、アメリカ合衆国の大統領となったトランプの姿が映っている。 「あいつが大統領か…」ヨージはつぶやいた。 トランプ大統領は就任以来、数々の物議を醸す政策を次々と打ち出していた。 グリーンランドをアメリカ領にしようとし、パナマ運河さえも自国のものにしようとしている。 さらにガザ地区の住民を強制的に追い出す計画を口にし、ウクライ...
ヨージの朝は、NHKの連続テレビ小説とともに始まる。 毎朝、ヨーグルトをスプーンですくい、ミルクコーヒーをすすりながら、ドラマの展開を楽しむのが日課だった。 その日もいつものようにテレビを見た。金曜日の連続テレビ小説『おむすび』の最後に テレビからコロナ 感染者のニュースが流れ、そして次の週の予告編が流れ始めた。 画面に映し出されたのは、街を歩く人々 ——皆、一様にマスクをつけている。 ...
Google Geminiで Google カレンダーに予定作成
Google Geminiで Google カレンダーに予定作成 ヨージは昔から面倒くさがりだった。 ちょっとしたことでも億劫に感じる性分で、何かもっと楽な方法はないかと常に考えていた。 そんな彼にとって、スマートフォンのGoogleカレンダーはまさに理想のツールだった。 過去の出来事を検索するのも簡単だし、繰り返し予定を登録すれば、一度入力するだけで命日や誕生日などを毎年忘れずに済む。 予定の複製もできるから、...
ヨージは、社会派ミステリー小説『震える天秤』(角川文庫・染井為人)を読んでいた。 いや、正確には、スマートフォンのトークバック機能を使い、読み上げてもらったものを耳で聞いていたのだ。 物語の舞台は福井県。認知症の高齢者が運転する軽トラックがコンビニに突っ込み、死者を出した事件をきっかけに、ライターの俊藤律が地元の人々を取材する。 作中、地元の人々は福井の方言で語る。 「わかってるって。ほや...
ヨージの庭のシークヮーサーの木に、小さな白い花が咲き始めた。風に乗ってほのかに香るその匂いを胸いっぱいに吸い込みながら、ヨージは目を細める。今年の開花は、これまでになく嬉しい。 昨年の春過ぎ、この木にカミキリムシが卵を産みつけた。やがて幼虫が生まれ、幹の中を食い荒らしたのだろう。白い粉が噴き出しているのを見つけたとき、ヨージは背筋が寒くなった。このまま放っておけば、木は枯れてしまう。それまでにも...
ヨージは、映画化された『正体』(光文社文庫)を手に取った。 著者は染井為人。読み進めるうちに引き込まれ、次に彼の『悪い夏』を読んだ。 これもまた面白い。どうやら第37回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作らしい。納得の出来栄えだった。 さらに染井為人の作品を探すと、『震える天秤』(角川文庫)を見つけた。 それも Kindle Unlimited の対象で、追加料金なしで読める。ヨージはスマートフォンの TalkBack 機能を...
テレビ体操、朝ドラは NHK プラスで ヨージは半年ほど前、新しいテレビを買った。 以前のものとは違うメーカーだったため、ビデオデッキのリモコンと互換性がなくなり、二つのリモコンを使い分けなければならなくなった。 録画したビデオを見るには、まずテレビの電源を入れ、入力を外部に切り替え、さらにビデオデッキの電源を入れて再生を押す――これが実に面倒だった。 そこで、ヨージはディスカウントストアでAV学...
K先生からのLINEメッセージが飛び込んできたのは、昼下がりのことだった。 > ヨージさん!本日(日)のタイムス論壇を読みました🎶 文明の発達により失っていく人間力!・・・その通りですね! ヨージはスマホの画面を見つめ、少し口元をほころばせた。思わず、掲載された新聞を手に取る。自分の投稿が、しっかりと紙面に載っているのを確認した。 実は、この文章は最初、別の新聞に投稿したものだった。それが二ヶ月...
ヨージのジャパニーズイングリッシュも 可愛く聞こえるだろうか
ヨージがテレビをつけると、画面に白人の男性が映し出された。 彼は驚くほど流暢な日本語を話している。しかし、どこか日本人とは違う。 発音に微かな外国の訛りがあり、イントネーションもわずかに異なっていた。 それでも、ヨージは彼の日本語を下手だとは思わなかった。 むしろ、一生懸命に学び、話している姿が微笑ましく、可愛らしいとさえ感じられた。 ふと、自分のことを思う。 ヨージは民泊を営んでおり...
ヨージは、高校1年生向けの数学教材を作っている。 高校数学 1は去年6月に出版し、 現在 数学 A を作っていてもう最後のところだ。 ひとりで学べる高校数学1 教材の特徴は、学ぶ内容を細かく分け、一段ずつ階段を上るように理解を深められる点だ。 最近では生成AIを活用しながら作成を進めているが、AIは数学が苦手らしく、間違いが多い。 そのため、ヨージはAIの出力を鵜呑みにせず、一つ一つ慎重に確認している。...
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ヨージの妻・キョーコは、沖縄県立博物館でボランティア活動をしている。 歴史や文化に興味を持ち、生徒相手に展示の案内や体験学習の手助けをするのが彼女の楽しみだ。 読谷の自宅から那覇にある博物館までは片道およそ一時間。だが、遠い道のりも、彼女にとっては心弾む小旅行のようなものだった。 「今日も楽しんでおいで」とヨージはいつも笑顔で送り出す。 自分の好きなことに熱中するキョーコを、心から応援した...
昼下がりの台所。 ヨージは、テーブルに並べられた皿を前に、妻のスマートフォンを手にしていた。 自分のスマホは今、充電中。残り少ない電池残量が気になって、しばらく使うのをやめている。 「ちょっと、スマホ貸して」 そう言って、妻のスマホを借りた。 野菜からゆっくり食べる、昼食の小さな習慣。 最初の5分間は、野菜だけを噛み締める時間。スマホのタイマーは、そのための大切な道具だった。 けれど、使...
ヨージは最近、生成AIという不思議な存在と、少しずつ距離を縮めていた。 日々使いながら、その底知れぬ力に驚かされることも多い。 けれど、まだ「使いこなしている」と胸を張って言えるほどではない。 まるで海辺で波の動きを観察しているだけのような、そんな手応えだった。 「どう使えば、もっと深く潜れるのか…」 そんな問いを胸に抱きながら、昨日もブログを書いた。 「沖縄平和の礎」の名を読み上...
「沖縄平和の礎」名前を読み上げる集いに参加 3週間ほど前の5月21日、午後1時過ぎ自宅のチャイムが鳴った。 運動中だったヨージは上半身裸だったので、対応に出たのは妻のキョーコだった。 リビングまで届く声が聞こえた瞬間、ヨージは誰が来たのかを察した。 慌ててシャツを着込み、玄関へ向かう。 そこに立っていたのは、彼の知人であり、平和運動の先輩でもあるTさんとIさんだった。 辺野古の新基地建設...
ヨージは机に向かい、静かにパソコンのキーボードを叩いていた。 彼の前には、高校1年生向けに作成中の数学教材『ひとりで学べる高校数学A』の原稿が広がっている。 誰にも頼らず、ひとりで学び進められるように——それが、ヨージの目指す教材のかたちだった。 だからこそ、彼は内容を細かく階段のように刻み、一歩一歩確実に登れる構成に仕立てた。 すでに最後まで書き上げ、第1回目の推敲も終えていた。 ...
ヨージの家には、テレビが二台ある。 ひとつはリビングルームに、もうひとつはベッドルームに置かれている。 ベッドルームのテレビは、ほとんど妻専用だ。ヨージはそこでは見ない。 妻は、洗濯物をたたみながら、あるいは朝食のパンをかじりながら、録画した番組をのんびりと楽しんでいる。 一方、リビングルームのテレビは、二人で並んで見ることも多い。 けれども操作が少し複雑なため、妻は自分ひとりではうまく...
ヨージは、文章を書くのが嫌いではなかった。いや、むしろ、少し自信があったと言ってもいい。 「ヨージくんの文章は、わかりやすいな」 かつて、新聞に投稿した文章を読んだ叔父が、そう言ってくれたのだ。 「難しいことを、私たちにもわかるように書いてくれる」 そう評価されたときの喜びは、今でも胸に残っている。 彼は学生の頃から数学が得意だった。 答えにたどりつくまでの筋道を、理路整然と積み上げる作業...
ヨージは沖縄・読谷村で民宿を営んでいる。 ある晩、宿に滞在しているスペインからの若いカップルとその友人と一緒に、ヨージたちは食卓を囲んだ。 料理は持ち寄りだった。彼らはスペイン風のトルティージャを焼いてきてくれた。 妻はゴーヤーチャンプルーとそうめんチャンプルー、もずくの酢の物を作った。 異国の味と島の味が、ひとつのテーブルの上で仲良く並んだ。 食事をしながら、いろんな話をした。 スペ...
ヨージは、例の原稿を整えていた。「ピアノが空を飛んだ日」——その思い出を綴った一篇だ。 ブログに載せるために音声入力で 羅列的に内容を入力し、 全く 整えることもなく、いつものようにChatGPTに依頼する。「小説風に書き換えてください」 すると、まるでプロの作家が書いたかのように、美しくまとまった文章が返ってきた。 一息ついたそのとき、ふと一つの記憶が顔を出した。 ——そういえば...
ピアノを運び出しの日が近づくにつれ、ヨージはふと昔のことを思い出した。 このピアノ―― ぼくが「保母免許」を取るために練習した、あのピアノだった。 まだ「保育者」なんて言葉が一般的じゃなかった頃、男性でも「保母」と呼ばれていた時代。自分で保育園を開きたいという夢が芽生え、その第一歩として免許を取ろうと決めた。 試験には筆記と実技の両方があった。 筆記試験では、教育原理や児童心理学、衛生学や栄...
ヨージの妻は決断を下した。 もう四十年以上も前に手に入れたピアノを、ついに手放すことにしたのだ。 電話で買取業者に連絡を入れると、数日後、査定に来たスタッフは「無料で引き取ります」と穏やかに告げた。 かつては高価だったピアノも、いまでは値段もつかない。 けれど、運搬費がかからないだけでも有難いと思えた。 もう何十年も動かすことのなかった黒いピアノが、ある日、静かに家を出ていった。 引き...
読み終えた、というより──聞き終えた、と言うべきだろうか。ヨージはスマートフォンのアシストリーダーを使って、『ネメシスの使者』を耳で読んだのだった。 中山七里による社会派ミステリーで、文春文庫から刊行されたこの作品は、彼の心に重たい問いを残していった。 内容はこうだ。 死刑判決が確実視された殺人犯が、予想外にも温情判決によって無期懲役となった。 しかしその後、加害者の家族が次々と何者かに...
ヨージは、ひと月ほど前に観たNHKの『明日が変わる トリセツショー』をきっかけに、階段を二段ずつ上がるという健康法を始めた。 始めてみると、それは思ったほどきつくはない。 ただ、楽々というわけでもなく、少しだけ気持ちを奮い立たせて一歩を踏み出す、そんなちょうどいい負荷だった。 「これなら続けられそうだな」と、今日もヨージは階段を二段ずつ上っていた。 ヨージは民泊を営んでいる。 ある日の午後、...
沖縄・読谷村の静かな一角に、「セルフ宿」と名づけられた小さな宿泊所がある。 看板も目立たないその宿は、一組限定。けれど、その自由さと落ち着いた空気に惹かれて、長期滞在を希望する旅人たちが後を絶たない。 「セルフ宿」――そう名づけたのには理由がある。 調理器具から食器、冷蔵庫、炊飯器、洗濯機、シャワー、トイレに至るまで、生活に必要なものはすべて揃っており、自分で生活を組み立てられるようにしている...
夜の静けさのなか、ヨージはひとつの「警告」と向き合っていた。 スマートフォンの画面に表示されたのは、SDカードの容量不足を知らせる無機質なメッセージ。 「そろそろ限界か……」 長年使ってきたカードを新しいものと交換することに決めたのだった。 作業は色々 苦労したが なんとかできた。 着信音にはモーツァルトの「トルコ行進曲」、目覚ましにはグリーグの「朝」。 そして、毎朝欠かさず聴いて...
ヨージは、午後のやわらかな光が差し込む書斎で、ふとスマートフォンの画面に目をやった。そこには見慣れぬ警告が表示されていた。 「SDカードの空き容量が少なくなっています」——見て見ぬふりをしていた問題が、ついに正面から立ちはだかった。 「面倒だな……」と、ヨージは小さくつぶやいた。 それでも放っておくわけにはいかない。 覚悟を決めると、引き出しの奥からマイクロSDカードを取...
ヨージは、ふと思いついた疑問をスマホのマイクに向かってつぶやいた。 「ねえ、チャットGPT。『自分史』ってあるよね? ぼく自身はまだ書くつもりはないけど、そういうのを誰かが書く手助け、君ならできるんじゃないかな?」 AIの画面には、すぐに丁寧な返事が表示された。 「はい、それは私の得意分野です。話し言葉のまま送っていただければ、それを整理して文章に整えることができますし、足りない部分があれば質問...
ヨージは、ある日ふとしたきっかけで一冊の本を手に取った。 タイトルは『道をひらく』。著者は松下幸之助——あの「経営の神様」とまで呼ばれた男だ。 パナソニック(旧・松下電器産業)の創業者として、日本の家電産業を世界に押し上げた立役者。テレビのドキュメンタリー番組などで、その温厚で深みのある人柄を紹介されているのを何度も見たことがある。 そんな人物の書いた本なら、きっと何か得るものがあ...
ヨージは、日々の暮らしの中で生成AIをよく使っている。 とはいえ、そのAIがどこまでのことができるのか、実はまだよく知らない。 けれど、
かかってくるのは迷惑電話 ヨージのスマートフォンから、不意にモーツァルトのトルコ行進曲が流れた。 電話の着信音だ。珍しいことだった。 彼はかねてから「電話は嫌いだ」と公言していたし、そもそも彼に電話をかけてくるような友人や知人は数えるほどしかいなかった。 だからこそ、その音は彼の日常にとって、どこか異物のように響いた。 画面を見ると、見覚えのない番号が表示されていた。 番号の下には「迷惑...
ドイツ周遊旅行10日間の4日目、5月31日はポツダムのツェツィーリエンホフ宮殿に行きました。 ツェツィーリエンホフ宮殿は、ポツダム会談が行われたことで有名な宮殿です。 ポツダム会談では、ポツダム宣言が発表され、第二次世界大戦後の戦後処理の方向性が示されました。アメリカのトルーマン、イギリスのチャーチル、ソ連のスターリンによって行われたこの会談により、日本はポツダム宣言を受諾し、無条件降伏しました。 ...
ドイツ周遊10日間の旅の7日目、6月2日にケルン大聖堂に行きました。 以下はAIによる説明です。 ケルン大聖堂は、ドイツのケルンにあるゴシック様式の大聖堂です。正式名称はザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂 (Dom St. Peter und Maria) です。ゴシック様式の建築物としては世界最大であり、ローマ・カトリック教会のミサが行われています。 ケルン大聖堂の南塔展望台までの階段は533段あります。高さは約100メー...
昨日のブログでは、ベルリンでの自由行動の時間にマルクス・エンゲルス像、森鴎外記念館、ヘーゲルの墓のある墓地に行ったことを書きました。 ヨーロッパやアメリカで街を自由に歩いていると感じるのは、通りの名前がきちんと表示されており、角ごとにその表示があることです。これはとても助かります。 マルクス・エンゲルス像のある公園から森鴎外記念館まで歩いて行くには、ウンター・デン・リンデン(Unter den Linden)...
ドイツ周遊10日間の5日目、6月1日は午前中にベルリン市内を観光し、その後は自由行動となりました。 ベルリン大聖堂の前で、僕たちはグループの皆さんと別れました。 その後、妻と二人でベルリン市内の公園、「マルクス・エンゲルス・フォーラム」に行きました。 マルクスとベルリンの関係は深く、1848年にはベルリン革命に参加するためにベルリンに移住しました。 1849年には共産主義者同盟の指導者として活動し、「...
ドイツ周遊旅行10日間の8日目、5月3日にはライン川クルーズが予定されていました。 ローレライの観光をしたり、ランチを楽しんだりするとのことでした。 ホテルを出て、バスはライン川に向かいました。 バスの中で添乗員が悪いニュースがあると言いました。 ライン川の支流であるネッカー川が氾濫しており、ライン川も水位が上昇しているため、クルーズがどうなるかわからなくなったとのことです。 バスはしばらく...
ドイツ周遊の旅に行ってきました。 各地でドイツ料理を食べました。 名物のソーセージの他に、ポークやビーフ料理、ポテト料理、そしてパスタ料理などもありました。 妻は最初の頃から塩辛くて食べられないと言って、かなりの量を残していました。 同じグループの人たちも同じように、塩辛いと言って残す人が多かったです。 妻の薄味にだいぶ慣らされてきた僕ですが、もともとは塩辛いものが大好きなので、特に塩辛...
ドイツ周遊10日間旅行の2日目、5月28日に白亜の名城ノイシュバンシュタイン城を観光しました。 グループのメンバーがトイレに行っている間、手持ち無沙汰で立っていました。 すると、30代くらいの男性が僕に話しかけてきました。 「英語が話せますか?」と聞かれたので、「少しは話せます」と答えると、 「息子があなたのことをヒーローに似ていると言っています。一緒に写真を撮ってもらえませんか」と言われました。 ...
昨日はドイツ旅行の5日目、5月31日にベルリンの壁を見るためにチェックポイント・チャーリーに行ったことを書きました。 そこで、ベルリンの壁を越えるために東ドイツの人々がどのように工夫していたかについて書きました。 それほど東ドイツの人々は国を脱出したかったのです。 経済的にも政治的にも不自由な状態にあったからです。 さて、東ドイツは社会主義の国と言われていました。 社会主義の国といえば、マル...
10月26日からドイツ周遊旅行に10日間行ってきました。 5日目の10月31日、ベルリンの壁を見るためにチェックポイント・チャーリーに行きました。 以下は、生成AI Google Geminiによる説明です。 チェックポイント・チャーリーは、第二次世界大戦後の冷戦期に、ベルリンが東西に分断されていた時代に、東ベルリンと西ベルリンの境界線上に置かれていた国境検問所です。 現在は、チェックポイント・チャーリー跡地が観光...
5月27日から今日6月5日まで、ドイツ周遊の10日間旅行に行っていました。5月26日に東京で前泊し、出発しました。 しかし、この間、このブログではそのことに触れませんでした。 最近のニュースなどによると、SNSなどで旅行に行ったことが知られてしまい、空き巣に入られる被害があるとのこと。それでそうなったら大変だと思い、書かなかったのです。 旅の中では、いろいろブログに書いておきたい話題があります。旅に関係...
生成AIは非常に高い能力を持っています。その利用価値は非常に高いです。 しかし、僕の感覚では、ほとんどの人が使っていません。なぜでしょうか。 1つの理由として考えられるのは現状維持バイアスです。 現状維持バイアスについて、生成AIのGoogle Geminiに説明してもらいました。 現状維持バイアスとは、「変化を避け、現状を維持したい」という心理傾向です。具体的には、以下のような状況で起こります。 * 新しい...
最近、何かわからないことがあると、Google検索で調べるよりもGoogle Geminiに尋ねることが多くなっています。 Google Geminiは僕の質問に直接答えてくれるからです。 Google検索で調べると、直接答えが出ることもありますが、参考になるサイトがたくさん並び、その中から自分で答えを探さなければならないことが多いです。 それは面倒なので、Google Geminiに尋ねるのです。 Google Geminiには、人間に話しかけるよう...
少し前に、中学生や高校生には読ませたくないという前置きをした上で、方程式や因数分解を解いてくれるサイトがあることを紹介しました。 しかし、最近もっとすごいことが分かりました。 方程式や因数分解をそのまま入力して、AIであるGoogle Geminiに尋ねるだけで解いてくれるのです。 次の質問をしました。 「次の方程式を解いてください X 3乗マイナス9x2乗プラス27x マイナス27イコール0 するとすぐに回答があ...
「ひとりで学べる高校数学1」を作っています。現在、3回目の推敲作業を行っているところです。 ここで、なぜ僕がこの教材を作ろうと思ったのかについてお話しします。 これまで、小学2年生から6年生までの算数、中学1年生から3年生までの数学の教材を作ってきました。中学理科や 英語の教材も作りました。おかげさまで、どれも好評をいただいています。 その理由は、学ぶ内容を細かく分けて階段状にし、上りやすくしたか...
ひとりで学べる高校数学Iを作っています。 現在、3回目の推敲作業を行っており、もうすぐ終わります。 3回目の推敲作業を始めるとき、これが最後で、終わったら出版に向けた作業をしようと考えていました。 ところが、間違いがまだ見つかるのです。 解答に間違いがあったら学習に支障をきたします。そういうミスは極力無くさなければいけません。 まだ間違いがあるかもしれないので、もう1回、4回目の推敲作業を行...
京都に住んでいる 妻の弟夫婦がやってきました。 いろいろ おしゃべりをし そして僕がこのテレビはインターネットだけどあなたのところはどうかと尋ねました。 インターネットテレビではない どの返事です。 それで僕はインターネットの TVer で色々 番組が見られるから便利だよと勧めようと考えました。 沖縄では NHK の他に 民放テレビが3局あります。TBS 系 フジテレビ系 朝日放送系です。それ以外の日本テレビ ...
昨日、妻が老人会の班長になり、会員であるお年寄りたちを訪ねると、とても喜ばれたことを書きました。 話相手を求めているお年寄りは多いのでしょうね。 家庭の環境にもよるでしょう。大家族のところではそれほどでもないかもしれませんが、一人暮らしのお年寄りにとっては、誰かが訪ねてくることはとても嬉しいことだと思います。 そういうお年寄りにはヤクルトを取るのも良いのではないかという考えが浮かびました。 ...
妻は今年度、読谷村座喜味老人会の班長になりました。以前も担当したことがありますが、他にやる人がいないとのことです。 先日は老人会の年会費を集めに行きました。そこでは「待っていたよ」と言って、前もって準備をしていたお年寄りもいました。 90歳以上は会費が無料ですが、今回は総会資料があったのでそれを配りに行きました。 それはポストなどに入れるだけでもいいのですがチャイムを鳴らしたり 呼びかけをした...
僕の左目は網膜動脈閉塞症を患っています。それは目の動脈硬化のようなものです。 そのため、眼科に通院しています。目の状態が悪化している時には、注射することになります。 何度も麻酔の点眼をしてもらった後、器具で目を閉じないように大きく開いて注射をします。 そんなことを他人に話すと、「目に注射をするのか」と言って怖がります。 妻の甥に話すと、彼も目に注射をされたことがあるので、とても怖かったと言...
沖縄県立博物館で「新収蔵品展 令和5年度 収蔵資料」が行われています。 期間は、2024年5月21日(火)から2024年6月23日(日)までです。 以下は沖縄県立博物館のサイトからの引用です。 「新収蔵品展」は、前年度に寄贈・収集・購入・移管・修理された資料を一堂に集め、広く一般に公開することを目的として開催します。今後の展示や研究活動で活躍する多岐にわたる分野の資料が展示されており、見ごたえがあります...