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2007/12/11

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  • 羅刹 -193-

    長かったこの物語の連載もようやく終わりました! それにしても、更新が遅い!!! スマホにしてから、すっかりPCはご無沙汰になってしまい、なかなか更新ができずにいました。 まあ、スマホから更新できるよう

  • 羅刹 -192-

    いつの間にか、兵藤太は握り締めていた能季の手を離し、その顔を心配げに見守っている。 その目には、まことの父のような慈愛の心が映っていた。 そこにも、あの餓えと渇きを満たす方法が記されているよ

  • 羅刹 -191-

    能季はその恐ろしさにぞっとした。 今のこの苦痛がずっと続くとしたら。 自分もまた、道雅のように人を喰わずにはおれなくなるのではないか。 その時、能季はふっと、あの老尼の手文庫にしまわれて

  • 羅刹 -190-

    月光に浮かぶ兵藤太の顔を眺めながら、能季はふと真砂(まさご)のことを思った。 どれほど思っても、真砂の想いが兵藤太へ受け入れられることはないのだろう。 能季は真砂が哀れになった。 だが、

  • 羅刹 -189-

    兵藤太は欄干を離れて、能季の前へ腰を下ろし、能季の手を取りながら言った。 「そして、傍らに寝かせていたあなた様を私に抱かせ、こう言われたのです。わたくしはもう逝かなければならない。わたくしの代わり

  • 羅刹 -188-

    兵藤太は俄かに能季の方へ向き直った。 真っ直ぐな瞳が、能季の瞳を見つめている。 「私が枕辺に行くと、あの方は私におっしゃいました。わたくしの命は、もうそれほど長くはないと思う。だから、せめて最

  • 羅刹 -187-

    「私は……そなたにとっては、憎い男の息子だったというわけか」 「はじめはそうでした。私は頼宗様が憎かった。そして、二人の間に生まれたあなた様のことも。権力のある者が、私が心から大切にしているものを、い

  • 羅刹 -186-

    月を見上げていた兵藤太は俄(にわ)かに視線を下ろし、自分の拳(こぶし)を強く握り締めた。 「いや、そうではない。私はただ単に勇気がなかっただけだ。世の非難を浴び、厳罰を受けてこの命を絶たれるかもし

  • 羅刹 -185-

    能季は驚いて兵藤太の顔を見上げた。 兵藤太が母の話をするのは初めてだった。 それまでは能季が何を聞いても、美しい人だったとか、優しい方だったとか、ただ通り一遍のことを言うだけだったから。

  • 羅刹 -184-

    兵藤太は夜風に揺れる灯火を見つめながら呟いた。 「道雅の言ったことも、道雅の本心ではございますまい。あの男がそれに気づいていたのかいなかったのかは知りませぬが。当子内親王様が亡くなってこの世からい

  • 羅刹 -183-

    「だが、あの怨霊はあれほどの悲惨な目に合い、ひどく道雅を恨んでいたではないか。その憎しみが錘(おもり)となって、何十年もあの大宮川に縛り付けられてしまうほどに。それでも、道雅を愛していたと?」 「憎

  • 羅刹 -182-

    そう思った瞬間、能季は己の浅ましさに、思わず両手で顔を覆ってしまった。 この私も、所詮はあの食人鬼……羅刹と同じではないか。 「若君、いかがなさいました」 気がつくと、すぐ傍らの几帳の上に、

  • 羅刹 -181-

    能季には、斉子女王の心の奥底はわからなかった。 だが、斉子女王の決意は能季を打ちのめした。 もう二度と、斉子女王に会うことはできない。 堀河殿の釣殿の上で中秋の月光を浴びながら、能季は息

  • 羅刹 -180-

    あの夜、三条の師実の屋敷を辞した能季は、その足ですぐに斉子女王を預けていた高陽院へと向かった。 ところが、高陽院に着いてみると、斉子女王は先ほど強いて願い出て、小一条院へ帰ってしまったという。

  • 羅刹 -179-

    釣殿の上を吹きぬける夜風が少し冷たい。 能季は袖を掻き合わせて腕組みしながら、欄干にもたれて遠くの寝殿に目をやった。 父が外出しているせいで、父付きの女房たちも自分の局に下がっているのだろう

  • 羅刹 -178-

    父は何か知っているのだろうか。 結局、能季は父には何も打ち明けなかった。 年老いた父にはできるだけ迷惑は掛けたくなかったし、それにもう済んでしまったことだ。 ただ、数日前、父はふと思いつ

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