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  • 怪談

    夏は怪談話のシーズンあちらこちらで恐ろしいとされる話が湧いてくる。でも、所詮はフィクションがほとんど。本当に怖いのはこの世の現実かもしれない。世間にとって腐乱死体は、突然現れるやっかい者。本人はしばらく前から時間をかけて腐っているのに、発見されるのが急なものだから、世間的には降って湧いたような印象を受けるのだろう。キチンとしたデータをとっている訳ではないが、腐乱死体がでる住宅は、自己所有より賃貸の方が多いように思う。そして、経済力も低レベル。そんな腐乱死体は、残された人々に多大な迷惑を掛けることになる。その中でも絶大な損害を被るのは、家族(保証人)、大家、近隣住民。家族、特に賃貸契約の保証人になっている人は、社会的にはもちろん法的にも責任が発生する。部屋の清掃費用からリフォーム費用、ヒドイ現場になると上下...怪談

  • ビーフシチュー(後編)

    書いているうちに気持ち悪くなってきたので、前編と後編に分けさせてもらった。今回はその後編。しかし、現場の悲惨さを読者に伝えきれないのが非常に残念!でも、臨場感があり過ぎると誰も読んでくれなくなるかもね(笑)。さて、本題のつづき。思わず悲鳴を上げた私。なんと、腐敗した肉塊の中に体調10cm・直径3cmくらいの巨ウジがいたのである!私は悲鳴を上げながら浴室を飛び出した!全身に鳥肌が立ちまくり、しばらくの間、全身が痒くなるような悪寒が続いた。「ウジってあんなに大きくなるものか?」「その前にハエになるはずじゃないのか?」「仮にウジじゃないとしたら何?」もう、頭はパニック状態、仕事なんか放り投げてとっとと帰りたくなった。しばらくブツブツと独り言をいいながら、「これからどうしようか・・・」と考えた。引き受けた仕事は途...ビーフシチュー(後編)

  • ビーフシチュー(前編)

    嫌いな訳ではないけど、ビーフシチューなんて滅多に食べない。しかも、この暑い季節には。そんな私は、ビーフシチューを目にすると思い出すことがある。自分の中では伝説になっている現場のことを。現場はマンションのユニットバス。狭いスペースに風呂とトイレが一体型で設置されている密閉された空間。その光景は、「なんでここまでになるまで発見されなかったんだ?」と場慣れしている私でも驚嘆するくらいに衝撃を受けるものだった。溶けかかった人肉が床一面に広がり、5cmくらいの厚みがある腐敗粘土層を形成していた。それ自体が床のようにも見えるくらいに、床一面がきれいに腐敗粘土に覆われていたのだ。そして、その粘土層の数箇所にこんもりと盛り上がった部分があった。そう、解けるスピードが遅い部位が半固体のまま残っていたのである。熟成された腐敗...ビーフシチュー(前編)

  • 身を焦がして

    夏の風物詩のひとつに土用の丑の日がある。その日に鰻を食べる風習は、全国的なものだと思う。先日も、スーパーの屋外で鰻を焼く煙が香ばしく、食欲をそそられた。焼肉屋や焼鳥屋の前を通りかかっても、同じように香ばしいニオイがして、空腹時にはたまらなくいいニオイに感じるものである。肉を焼くニオイって、どうしてこうも食欲をそそるのだろうか、不思議である。野菜を焼いたって、こうまでは魅了されないのに。焼身自殺で人が死んだ。自殺体は珍しくない中でも、焼身自殺体は少ない。「何とかなるものなら何とかしてほしい」と依頼され、とりあえず現場へ。警察の検死が終わって、遺体は納体袋に入れられていた。この納体袋というヤツは通常の遺体が納められることはほとんどなく、変死体専用の寝袋と言ってもいいほどの不気味な代物である。したがって、何の説...身を焦がして

  • 犬と柿と別れの宴

    日本人の平均寿命は男性が77.64歳、女性が84.62歳らしい。世界的にも長寿国。現実を見ても、80歳を越えても元気なお年寄りが多く、そんなに長寿というイメージはない。90歳を越えると長寿という印象がでてきて、100歳を越えると「長生き!」になるのではないだろうか。実際にも、100歳を超えた故人に合うことはあまり多くない。葬式というものは普段は顔を合わさない遠い親戚や、疎遠になっていた友人・知人と再会する社交場としての役割もある。そして、多くの人達が故人の死を忘れて久し振りに会う人との交流に没頭したりするのである。そんな光景は、故人にとっても不快なものでもないと思うし、私的には悪くないことだと思っている。葬式だからと言って意識して辛気臭くしているよりも、自然体で人と関わり、時には笑顔を浮かべたり笑い声を上...犬と柿と別れの宴

  • パートナー

    ある老年男性。妻の葬儀のため一時退院してきた夫は、何も言われなくても病弱ということが明らかだった。痩せ細った身体は、誰かの介助がないと部屋を移動することもままならない様子。本来なら、一時退院できるような身体ではなかったのに、無理を言って一時帰宅したとのこと。「長年連れ添った妻の葬儀」と言えば病院側も承諾せざるを得なかったのだろう。夫は弱々しい中にも力のこもった言葉で、妻の亡骸に向かって何度も「ありがとう」「ありがとう」と声を掛けていた。そして、「もうじきそっちに行くから待っていてくれ」とも。作為的な脚色だけど、その別れのひと時は、老夫婦が最期の輝きをみせた瞬間に見えて神妙な気分になった。その一週間後、私は同じ家に行くことになった。現場に到着するまで同じ家だとは気づかないでいた。その家の玄関に到着して、「ん...パートナー

  • 皮の流れのように

    「皮」と言えば何を想像するだろう。値段は高いけど、皮製品には味わいがある。身体には悪いらしいけど、焼き鳥の皮は美味い。面倒臭いけど、果物は皮を剥いた方が甘露。前フリはこのくらいにしておいて、そろそろ本題。私が何の皮について書こうとしているのか・・・そう、既にお見通しの人間の皮。人の皮は薄いけど意外に丈夫。梅雨が明けたら海水浴に逝く・・・もとい、海水浴に行く人が多いと思う。本題が始まったばかりなのに早速脱線。私のwordは「いく」と打てば「行く」じゃなく「逝く」が、「いたい」と打てば「痛い」じゃなく「遺体」が一番に出る。そんな語句ばかりを毎日当り前のように打っている自分自身が笑える(笑)。本題に戻る。日光に弱い人は日焼けの後に水膨れができ、そのうち痒くなってきて皮が破れ剥がれる。死体が残す皮は、その皮をもっ...皮の流れのように

  • 「悪夢にうなされるようなことはないのか?」という類の質問が読者から寄せられることがチラホラある。そういう質問を受けてあらためて思い出してみると、私は仕事がらみの夢はあまり・・・と言うかほとんど見ていないことに気づいた。ただ、そんな夢も皆無ではない。かなり前にみた夢だが、覚醒してからもしばらく後味の悪い思いをした夢を紹介したいと思う。遺体処置業務のこと。古めの一戸建、私は死んだ老婆に死後処置を施していた。遺族も一緒に立ち会い、ほとんどの遺族に共通して見られるように、その雰囲気と振舞いは悲しみに包まれていた。昨日のブログ記事にも通じる部分がある、何となく身体の温かさが残っている、まだ生死の間にいるのではないかと思えるような遺体だった。作業を進めているうちに、何となく遺体が動いたように感じた。「気のせいか?」と...夢

  • ちょっとドキッ!

    遺体の眼がパッチリ開いていたとき。薄目を開けている遺体は珍しくはないし、完全に目蓋を開けている遺体も少なくない。その多くは、筋肉の緊張がなくなったり、腐敗が進行することが原因で眼球が下がることによって起こる現象。この状態の目蓋を閉じるにはちょっとした技術が必要。薄目ならともかく、パッチリと眼が開いた状態はさすがの遺族も気味悪がる人が多い。そう言う私も面布(遺体の顔に掛ける白い布)を取った瞬間、ちょっとドキッ!とする。そして、私の経験では100%の遺族が「閉じてくれ」と依頼してくる。やはり、「遺体は眼を閉じているべき」という先入観があるのかな?ロープがぶら下がっていたとき。遺族もなかなか言い出せないのだろう、自殺現場だと知らされずに現場に出向くことがある。床などの汚染部分に目を奪われていて、突然、ぶら下がっ...ちょっとドキッ!

  • 酒と遺書

    私の仕事においては、自殺遺体や自殺現場に遭遇することは珍しいことではない。昔は、自殺には通常死とは違った感覚を覚えていた。変な言い方になるかもしれないが、時に新鮮だったり、時に不気味だったり、時に憤ったり、時に同情したり、時に緊張したり、時に興奮したり。いいのか悪いのか分からないが、今は、自殺遺体や自殺現場に慣れてしまった自分がいる。自殺現場となると遺族からの依存度も高いので、それに応えようと妙に張り切ってテンションを上げてしまう自分がいる。職業柄から仕方のないことかもしれないけど、明らかに一般の人と比べ死に対する感覚が異なっている自分がいる。自殺を大きく分類すると、衝動的なものと計画的なもの、そしてその両方を兼ね備えたものに分かれると思う。衝動的な自殺と計画的な自殺を判別する材料は色々あるだろうが、身辺...酒と遺書

  • ある日突然

    自殺者数に比べれば少ないものの、交通事故で死ぬ人も決して少なくはない。私の知り合いでも、過去に交通事故死した人が何人かいる。交通事故死にも色々なドラマがある。私が初めて遭遇した交通事故死は20歳前の女性だった。まだ、死体業を始めて間もない頃で、見習として先輩スタッフに着いて回っていた頃だ。何もかもが初めてのこと、雰囲気的に自分の居場所さえ自分で確保できないような有り様だったので細かいことはよく覚えていないが、遺族が号泣していたことと、成人式に着る予定だったという振袖の着物を着せていたことを憶えている。そして、何故か、その女性の姓名も今も憶えてしまっている(別に憶えておきたくないのに、忘れることができない)。そして、この仕事をしばらく続けていると、若くして事故死する人にはある共通点があることを偶然に発見して...ある日突然

  • ウ○コ男

    容易に想像してもらえると思うが、夏場の特掃業務は過酷さを極める。更に、夏場は特掃依頼の数でいうと、一年を通した山場でもある。その理由も想像は説明するまでもなく、気温・湿度の高い夏は遺体の腐敗スピードも早いからである。しかも、一件の現場のみならず、そんな現場を複数抱えなければならないことも、過酷さを増す要因になる。逆に、気温・湿度の低い冬場は遺体の腐敗スピードもかなり遅く、不幸中の幸いに、ある程度の腐敗が進行する前に家族や関係者に発見されるケースが多い。「無断欠勤が続いている」「ここ何日か電話にでない」「新聞がたまっている」等の生活異変で。もちろん、真冬でも遺体は少しづつ腐っていくが、ミイラ化現象も並行していくので絵に描いたような腐乱死体になるには、結構な時間を要するのである。(「絵に描いたような腐乱死体」...ウ○コ男

  • 愕然!

    ある不動産管理会社から自殺腐乱現場の見積依頼がきた。場所は、一般には高級住宅街と言われる地域。中年男性の首吊り自殺だった。自殺の理由は借金苦。管理会社の担当者に聞くまでもなく、部屋に散乱していたクレジット会社や消費者金融からの請求書で、それは容易に察することができた。マンションの築年数はそれなりに経過しているものの、その立地もよく高級感のあるたたずまいで、いかにも「買うと高そうだな」と思われるような建物だった。管理会社立ち会いのもと、いつもの調子で現場の部屋へ。管理会社の担当者は玄関の外で待っていた。腐乱痕と腐敗臭以外は、特に変わった雰囲気もなく、多少散らかっている程度の部屋だった。もちろん、毎度のウジ・ハエもたくさんいた(彼等の存在は当り前過ぎて、いちいち書くのも面倒になってきた)。見積作業では、色々な...愕然!

  • 暑中お見舞い申し上げます

    私のブログも何のお陰か二ヶ月続けることができた。訳あって現在は非公開にしている読者からの書き込みは、それがどんなに短い文章でも、学ぶこと、感じることがある。精神的にも支えられている部分がある。感謝である。過ぎていく時間のスピード感は、その時々によって違う。辛く苦しい時は長く感じ、楽しく幸せな時は短く感じる・・・そう感じる人も少なくないのではないだろうか。かく言う私もその一人。特に、最近は時間の経過を早く感じる。・・・と言う事は、今の私は幸せなのだろうか(?)。時に、「長生きしたい」と思ったり「長生きしたくない」と思ったり、また、「死にたくない」と思ったり「死にたい」と思ったり。少しでも命を永らえようと重い病気と必死に闘っている人もいれば、自ら死を選ぶ人もいる。こんな仕事をやっていると、いやでも自分なりの死...暑中お見舞い申し上げます

  • 冷暗室

    「霊安室」と聞いて何を思いつくだろうか。言うまでもなく、そこは遺体を安置する場所。そして、霊安室という名前がつけられた部屋がある施設と言えば、ますは火葬場が挙がる。葬儀専用式場もある。あとは、病院。一口に霊安室と言っても、部屋の模様は各種バラバラ。ホテルのラウンジのような豪華な所もあれば、倉庫のような御粗末な所もある。遺体保管用の保冷庫を設置してある所もあれば、ただのテーブルをベッド代わりにしているような所もある。これは、とある老人病院の霊安室でのこと。「老人病院」と言われるだけあって入院患者のほとんどが高齢者。死人がでない月はないだろう。俗に言う、「アノ病院に入ったら、生きては出られない」と揶揄される病院の一つかもしれない。私の仕事は、故人に死後処置を施し、自宅まで送り届けること。病院の指示によると、「...冷暗室

  • 女心

    女性は、「常にきれいでありたい」と思う生き物だろうと思う(男の偏見?)。私は、遺体がどんなに年少でも高齢でも、原則として、女性遺体の服を着せ替えたりはしない。私にとっては、ただの「死体」でも、遺族にとっては、それは愛する母・姉妹・娘だったりするのだ。死体とはいえ、どこの馬の骨とも知れない男が女性の服を着せ替えることは、遺族にとってもあまり心地いいこととは思えないからである。しかし、遺族も私もそんなことを言っていられない切迫した現場もある。「敗血症」という病気がある。調べたものを簡単に転記すると「連鎖球菌などの病原菌が体内の病巣から絶えず血中に送り出され全身的な感染を起した状態の重症感染症」とある。私は医者でも科学者でもないので敗血症について直接的な理屈は吐けないのだが、専門家から学んだりして少しは知識も備...女心

  • ま、間違えたーッ!

    遺体搬送業務の話。もう随分と前のこと、遺体を自宅から葬儀式場へ搬送する依頼が入った。病院へのお迎えは「今すぐ」という依頼がほとんどだが、自宅へのお迎えは事前に時間を決められているケースがほとんど。時間厳守も礼儀のひとつ。到着時間に余裕を持って連絡された住所へ車を走らせた。当時はまだカーナビはほとんど普及しておらず、いつも縮尺一万分の一地図を使用して目的地に行っていた。それで、大きな支障はなかった。指定された地番に依頼者名の入った表札を見つけるのは容易だった。インターフォンを鳴らすと、家の中から初老の女性が出てきた。少し疲れた様子だった。「故人を迎えにきた」旨を伝えると、少々怪訝そうな表情で私を家の中に通してくれた。話がスムーズに通らないので、ちょっと変に思いながらも私は家の中に入った。そして、仏間に通され...ま、間違えたーッ!

  • 液体人間

    今回の表題を見て、これ以降にどんな文章が続いていくのかは容易に想像できると思う。食事中の方、そしてこれから食事をしようと思っている方は、一旦このページを閉じて食事を済ませ、一息ついてからあらためて読んだ方がいいかもしれない・・・イヤ、読まない方がいかもしれない(うまい誘い方でしょ?)読者に避難するチャンスを与えるために、少し行間を空けておこう↓期待通り?今回は腐敗液のお話。人間が腐乱していく過程で液状のなることはご存知の通り(残念ながら、知ってしまったね)(6月30日掲載「お菓子な奴」その他参照)。この腐敗液が放つ悪臭にはモノ凄いパワーがある(6月15日掲載「臭いなぁ」その他参照)。そのパンチは鼻にくるのは当然、それ以上に腹をえぐってくる。一般の人には「臭い」ということは分かっても、「腐乱死体の臭い」とい...液体人間

  • 最期の晩餐

    ある男性が自殺した。中年というにはまだ若い年齢。例によって、腐敗した状態で発見。高級とまではいかないが、新築の賃貸マンションの一室だった。今は亡きこの部屋の主人は、まだそこへ入居して2~3ヶ月しか経ってないらしく、部屋の荷物は全体的に少なく、最低限の生活必需品があるだけ。しかも家具や家電製品はほとんど新品状態で、捨てるのはもったいないくらいだった。裕福そうな暮らしぶりが想像でき、「なんで自殺なんかしたんだろう」と、いつも通り溜息まじりに思った。内心では、その疑問を故人に投げかけながら。どうしてか、自殺現場に入ると、知らず知らずのうちに溜息がでる。その溜息には色々な意味が混ざっている・・・悪臭、おぞましい光景、それを片付ける作業、そして自殺という事実。離婚した元妻との間には子供もおらず、血縁者といえば遠い親...最期の晩餐

  • How much?

    「死体業っていくらくらい稼げるんだろうか」と興味を持っている人は多いと思う。ブログ開設当初、読者からの質問にもこの類の質問は少なくなかった。ほとんどの人が、「結構な額を稼げるんだろう」と思っているのではないだろうか。その様に勝手に勘違いして、闇雲にこの仕事に応募してくる人が後を絶たない。応募の第一歩として、まずは履歴書・職務経歴書を郵送してもらうのだが、「高額を稼げる」と早合点しているような人に限って、志望動機欄にきれいなことを書いてくる。もちろん、何を書こうが応募者の勝手。だけど、歓迎はできない。必要な資格と言えば、車の運転免許だけ。学歴も職歴も問わない(年齢は問う)。ただし、独断も偏見も関係なく採否の決定権はこちら側にある。もちろん、私一人に決定権があるわけではないが、私の採否判断の一員に加わる。私が...Howmuch?

  • そこのけ、そこのけ、死体が通る

    死体業には色んな仕事がある。私は、一応、特掃隊の一員として死体と格闘する日々だが、時にはそれ以外の仕事にも出る。遺品回収・遺体処置・遺体搬送などなど。その遺体搬送業務のことを「死体とドライブ」と表現したことがあった。それを聞いて(見て)、もしも、死体を自家用車の助手席にでも乗せて、気ままにドライブしていると想像された方がいるとしたら、かなり可笑しい。そんなことしたら、さすがにヤバイでしょ(笑)。でも、業界外の人が想像できないにも当然と言えば当然か。遺体搬送には遺体搬送用の専用車両がちゃんとある(霊柩車とは違う)。車体は1Boxタイプがほとんどだが、まれにステーションワゴンタイプもある。車内後部が荷台になっており、ストレッチャーという折りたたみ式の車輪付担架を搭載している。分かり易く言うと、救急車をものすご...そこのけ、そこのけ、死体が通る

  • ビジネスマンと主婦

    中年ビジネスマンが急死した。勤務先の会社で突然倒れ、救急車で運ばれたものの、そのまま逝ってしまった。私が出向いたときは、故人は既に自宅の一室の布団に横たわっていた。検死をしたせいだろう、身体にはサイズの合わない浴衣が適当に着せられていた。妻はあまりに突然のことで、6月27日掲載「明日があるさ」で書いた母親に似たような状態だった。余程の猛烈ビジネスマンだったのか、故人にビジネススーツを着せてやってほしいと頼まれた。捻くれた見方をすると、一人のビジネスマンは、会社を支える歯車の一つ、単なる機械の部品・消耗品と言えるかもしれない。それでも、その中で一人一人のビジネスマンがそれぞれの夢と目標を持ち、仕事にやりがいを見出している。家族を守り家族の笑顔を支えに頑張っている人も少なくないのではないだろうか。肌の合わない...ビジネスマンと主婦

  • 敵は強者

    特殊清掃の仕事を遂行する上で立ちはだかる壁としての代表格は、悪臭・腐敗液、そしてウジ・ハエ。常連の読者に今更言うまでもないことだろう。悪臭は忍耐力と薬剤を駆使して、なんとか押さえ込む。腐敗液は、脳の思考を停止させて、なんとかきれいにする。生きたハエは外へ追い出し、死んだハエは塵として処分する(死んだウジも同様)。問題は生きたウジ!彼等は一体どこからどうやって発生してくるのか不思議で仕方がない。一見、密室に見えるような部屋でも、遺体にはウジが湧く。特に、腐乱死体にはほぼ100%の確立でウジがついている。彼等はどこからやって来て、どうやって死体に湧いてくるのか・・・。そして、その生命力と繁殖力には凄まじいものがある。「敵ながら、アッパレ!」だ。ウジに関する思い出は尽きないくらいあるが、その中でも強烈だった一事...敵は強者

  • Go to heaven

    誰も死も、どのような死も、ある人にとっては辛く悲しいもので、ある人にとってはそうとは限らないものでもある。大方の人はそうであろうと思うが、私にとって若者や子供の死は特に重い!ちょっと注意。「老人や中高齢者は、若者や子供と比べると命が軽い」とか「価値がない」と思っている訳ではないので、その辺はくれぐれも誤解のないように。さすがに、経験豊富?な私でも、子供の腐乱死体にはお目にかかったことはない。当然、お目にかかりたくもない!!ただ、そうではない遺体には何度も遭ってきた。当然のことながら、子供用の布団は大人のものに比べて小さい。身体が直接見えなくても、小さな布団を見ただけで、気持ちにズシリ!とくるものがある。そして、掛布団をめくると、小さな子供が眠るように目を閉じている。死因は、病死・事故死・突然死など色々。顔...Gotoheaven

  • 金魚すくい

    腐乱現場でやる仕事は色々ある。除菌消臭から家一軒丸ごとの解体処分まで、依頼される内容な多様である。その中でも最も多いのが、家財道具・生活用品の全て一式を撤去し除菌消臭する作業。ついでに内装工事まで依頼されることも多い。撤去する中身の主役は、もちろん腐乱死体に汚染されたモノである。今回も、その様な依頼だった。独り暮らしの故人は普段から病気がちで、一人で家にこもっていることが多かったという。フローロングのリビングで倒れ、そのまま腐ってしまっていた。汚染家財をはじめ、部屋にあるものは全て回収撤去した。作業中は作業に集中して、黙々とやることが多い。ほとんどの物を撤収してから、ふと気がついた。リビングには水槽が3つあり、中には色違いの金魚が数匹づつ泳いでいる。何日も前から(故人が死んでから)、餌も与えられてなかった...金魚すくい

  • 人は必ず誰かの子であり、親がいる。また、とある腐乱現場。亡くなったのは独居の中年男性。死後、かなりの時間が経過しているようだった。例によって、遺体は警察が持って言った後で、腐乱痕と異臭が残されていた。もちろん、私とは旧来の喧嘩友達であるハエ君とウジちゃん達もたくさん集まっていてくれた(笑)。遺族は、故人の両親と故人の姉妹らしき二人の4名。見積時も作業時も4人とも現場に来た。両親はもうかなりの年配で「おじいさん、おばあさん」という感じ。姉妹達(中年女性)は見積時も作業時も玄関から中に入ることはなく、ハンカチでずっと鼻口を押さえ、嫌悪感丸出しの表情で、私の作業を遠めに眺めていた。それは、どう見ても、「最初から来たくなかった!」という感じ。明らかに、現場に居たくないという雰囲気をひしひしと感じ、気のせいか、やり...親

  • 別れの時

    私は、もともと「熱しにくく冷めやすい」性格の持ち主だった。乾いたクールさを格好いいと思っていた(勘違いしていた?)年頃でもあったのだろうか。それが歳を重ねるごとに変化している。妙に、「情に脆くなった」というか、「涙もろくなってきた」というか・・・。そんな私であったから、若い頃は極めてクールにこの仕事をこなしてきた。割り切る所は割り切って(仕事でやっている以上は、今でもそういう時はあるが)。そういう具合だから、20代の頃は、現場で涙を流すようなこともほとんどなかった。しかし、そんな私でも、感極まった覚えが何度かある。そのうちの一件。それは遺体処置の仕事だった。亡くなったのは、当時の私と同年代の男性。業務上の事故死だった。「事故死」と言っても、特に目立った外傷はなく、まるで眠っているかのように健康的に見える故...別れの時

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芳田一弥さん
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特殊清掃「戦う男たち」
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