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  • 失敗作(6・終)

    とても暗い。時間が流れていない。 体の奥に突き刺さっているかのような悲しみが、ぼくの体を内側から冷たくゆさぶる。 もうさんざん悲しんだっていうのに、考えるこ…

  • 失敗作(5)

    「あ、もしもし。長谷川さんですか。警察のものです。はい。犯人は捕まりました。いえ、無事ではありません。お子様は、ばらばらにされた後、電動の挽肉機にかけられて…

  • 失敗作(4)

    4 この軽い買い物袋は私の体の軽さと同じだ。長谷川友美は買い物袋をテーブルに置くと、イカの切り身を取り出した。大根とともに煮ようと考えていた。家族三人で分けた…

  • 失敗作(3)

    3 太陽が鬱陶しい。 優子は夕日に呪いの目を向けた。世界がもう終わりかけているのに太陽は相変わらずたっぷりと光を差し込んでくる。でも光は食べることができない…

  • 失敗作(2)

    2 夕まぐれの帰り道は少しだけ肌寒かった。ぼくはえみちゃんの笑い声と小さい白い手に引かれながら、小学校から団地に向かう住宅街を歩いていた。まっすぐ伸びた道路…

  • 失敗作(1)

    1 とても暗い。時間が流れていない。 体の奥に突き刺さっているかのような悲しみが、ぼくの体を内側から冷たくゆさぶる。 もうさんざん悲しんだっていうのに、考える…

  • 失った人

    かれが突然に、自然に、その事を分かった時、山手線のその車両の中には男がいて、女がいて、眠っている人がいて、眠っていない人たちがいた。いるようだった。 黒い…

  • しゃべる右手の話

    彼の頭のなかで、何かが抜け落ちた。どこかの餓鬼が夏休みの工作で作った紙粘土の何かの動物の、何かのパーツがもげるように、あさっりと、音も立てないで 。 やつ…

  • 今日、彼女はウイーンに飛び立っていった。出張だ。 昨日の夜は、二人で夕食を食べ、夜の散歩に出かけ、酒を飲み、彼女の部屋に行き、彼女がまたおれの元カノの事に…

  • 童貞の友人

    足を舐める、といえば思い出す事がある。おれは童貞をソープランドで捨てた。二十歳のときだった。ipod nano が買えてしまう金額を払って入った高級風…

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