雲照律師求聞持法練行高野山に登山して間もなくに、律師は正智院智光大徳より求聞持法を伝授されており、修行の機会が到来することを願われていた。幸いのこと、隆鎮和上に従い岡山に下山した折にすべての行事を終えて、邑久郡國府村土師の正通寺にて、記念すべき第一回目の求聞持法を修法された。嘉永元年11月15日に開白し、翌年2月1日、日蝕に結願しているから、80日を要している。求聞持法とは、虚空蔵菩薩を本尊に百日ないし五十日の間に百万遍の本尊真言「ノウボウアキャシャキャラバヤオンマリキャマリボリソワカ」を唱える秘法であり、成満すれば一切の教法の文義を暗記することが出来るとする、聡明博聞強記の利益を得るために修されるものである。初めて修された行中において、小さな星が下るなど度々霊夢を見られた律師は、以来この秘法をとて...雲照律師求聞持法練行