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酔生夢死浪人日記 https://blog.goo.ne.jp/ck1956/

 映画、音楽、書物、スポーツ、政治に至るまで、日々思いついたことを記していきます。

ck1956
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2005/08/24

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  • 初夏の雑感~社会の歪みを抉る韓国映画、福音派とパレスチナ、将棋、ダービー

    この10日余り、映画館には出掛けなかったが、WOWOWで録画した映画を楽しんだ。「ゴールド・ボーイ」、「あの人が消えた」、「朽ちないサクラ」の邦画3本も秀作だったが、ズシリと胸に響いたのはポエトリーアグネスの詩」(2010年、イ・チャンドン監督)と「無垢なる証人」(19年、イ・ハン監督)の韓国映画である。まずは「ポエトリー――」から感想を簡単に記したい。主人公のミジャ(ユン・ジョンヒ)はヘルパーの仕事をしながら、孫チョンウク(イ・ダウィ)を育てているチャーミングな60代の女性だ。病院で初期アルツハイマー型認知症と診断されたミジャは、文化院で詩の講座を受講するようになる。詩心を育もうと自然に親しむミジャに悪い知らせが届いた。溺死体で発見された女子校生(アグネス)について報じられたが、チョンウクら仲間6人に繰...初夏の雑感~社会の歪みを抉る韓国映画、福音派とパレスチナ、将棋、ダービー

  • 「河童・或阿呆の一生」~芥川龍之介に神経を切り刻まれた

    中高生の頃、芥川龍之介の短編を読んだ。「羅生門」、「鼻」、「芋粥」、「蜘蛛の糸」、「杜子春」、「トロツコ」と挙げればきりがなく、教科書に採用されていた作品もある。文学入門編だったが、大学入学後は縁遠くなる。辺見庸が講演会で<芥川は日本軍によるアジア侵略を予見していた>と語っていた「桃太郎」はネット(青空文庫)で読んだ。仕事先の夕刊紙に紹介されていた芥川の<自由は山嶺の空気に似ている。どちらも弱い者には堪えることは出来ない>を、安倍政権下の戦争法案への世紀を超えた警鐘と受け取った。社会主義に傾倒していた芥川は、幸徳秋水に心酔していた石川啄木に便宜を図っていたという。一日数十㌻ずつ読んでいる「神聖喜劇」(全5巻)では、反軍的な思想を隠さなかったことで芥川が軍隊で〝危険文書〟扱いされていたことが綴られている。芥...「河童・或阿呆の一生」~芥川龍之介に神経を切り刻まれた

  • 「サブスタンス」~アンチエイジングから血まみれのホラーへ

    地上波、BS、CSに限らず、テレビショッピング番組が多くの時間を占めている。電器製品、ジュエリー、健康食品、工具と扱うアイテムは様々だが、メインといっていいのが女性を対象にしたアンチエイジング化粧品だ。使用前と使用後の映像を流し、司会者が「この女性、おいくつでしょうか」と問い掛け、「65歳です」と正解を告げるとスタジオから歓声が上がる。〝お約束〟のシーンをご覧になった方は多いと思うが、〝見た目が命〟の落ち目の女優を主人公に据えた「サブスタンス」(2024年、コラリー・ファルジャ監督/仏英米合作)を新宿ピカデリーで見た。オスカー女優エリザベス・スパークル(デミ・ムーア)は現在唯一のレギュラーであるエアロビクス番組でビキニタイプのウエアで躍っている。ムーアは撮影当時61歳で、エリザベスは50歳という設定だった...「サブスタンス」~アンチエイジングから血まみれのホラーへ

  • ミラン・クンデラ著「冗談」~復讐を超えた青春の鎮魂歌

    夢の中で最近、いろいろな人たちと再会する。その都度、彼らとどう接したか振り返り、自分がどういう人間だったか顧みる。結論は<口舌の徒>で一言、いや二言三言多く、過剰な思いに衝き動かされたり、サービス精神を発揮したつもりでいたり、相手の立場を理解していなかったりで、傷つけたことは多かった。地獄で閻魔様に舌を抜かれるのは確実だが、過去を今更消し去ることも出来ない。たった一度の冗談で人生を狂わせた男を描いた小説を読了した。ミラン・クンデラ著「冗談」(西永良成訳/岩波文庫)である。クンデラはチェコスロバキアのモラヴィア生まれで、後にフランスに移住した。30年以上前に読んだ「存在の耐えられない軽さ」を再読して紹介しようと捜したが、見つからない。ならばと1967年発表のデビュー作を購入した。物語のスタートは社会主義政権...ミラン・クンデラ著「冗談」~復讐を超えた青春の鎮魂歌

  • 「新幹線大爆破」~正義と悪を倒立させる健さんの存在感

    名人戦第3局は藤井聡太名人(七冠)が完璧な差し回しで永瀬拓矢九段を破り、防衛に王手を懸けたが、将棋ファンの関心は、伊藤匠叡王に続き誰が藤井からタイトルを奪うかだ。上野裕寿五段(22)、藤本渚六段(19)、炭崎俊毅四段(16)あたりが候補に挙がっているが、超新星が現れた。竜王戦5組ランキング戦で上記の藤本六段、出口若武六段、山本博志五段、高田明浩五段を連破して本戦トーナメントに進んだ奨励会員の山下数毅三段(16)である。今回の活躍で次点1回を授与された。山下は既に次点1回を獲得しており、開催中の三段リーグで降級点(勝率2割五分以下)を取らない限り四段昇級(プロ入り)となるが、現在2勝2敗と苦しんでいる。連破した4人は、A級所属のトップ棋士でさえ簡単に勝てない新進気鋭だ。三段リーグはモンスターの卵がひしめき潰...「新幹線大爆破」~正義と悪を倒立させる健さんの存在感

  • 「異相短篇集」~狂気と倒錯に彩られた川端康成の魔界に足を踏み入れた

    映画「教皇選挙」は衝撃の結末だったが、現実のコンクラーベで選出されたのは前教皇の路線を継承するプレボスト枢機卿で、レオ14世を名乗るという。初のアメリカ出身教皇は人権や貧困、環境問題に関心が強く、トランプに批判的な中道派だ。暴走するトランプの軛になれるだろうか。今回は川端康成著「異相短篇集」(高原英理編/中公文庫)を紹介する。なぜ、唐突に川端康成?きっかけは読み始めたばかりの大西巨人著「神聖喜劇」にある。濃密な全5巻(各巻500㌻以上)で教養小説の要素もあり、主人公が文芸作品やマルクス主義などについてモノローグする。言及されていた川端の「高原」は絶版で、Yahoo!ショッピングで1万4000円以上の値がついていた。ひとまず諦め「異相短篇集」を購入する。川端は10代の頃に読んだ「伊豆の踊り子」や「雪国」以降...「異相短篇集」~狂気と倒錯に彩られた川端康成の魔界に足を踏み入れた

  • 「来し方 行く末」~回り道の人生への温かな眼差し

    世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥が、ラスベガスでラモン・カルデナスを8回TKOで下した。2年前までフードデリバリーで生計を立てていたというカルデナスだが、2回にダウンを奪うなど勇敢なファイトで世界を驚かせた。井上はこの勝利で30勝27KOとし、世界戦のKO勝利は23と〝褐色の爆撃機〟ジョー・ルイスを超えた。友川カズキはMCで「私のような凡人は、藤井聡太、大谷翔平、井上尚弥の天才ぶりを楽しめばいい」と話していた。友川も天才のひとりなのだが、それはともかく、32歳の井上もキャリアの終盤を迎えている。年内にWBA王者との5団体統一戦、5階級王座を目指してWBAフェザー級王者ニック・ボール戦、そして来春には中谷潤人戦が控えている。厳しい戦いをいかに切り抜けていくのか注目している。新宿武蔵野館で中国映...「来し方行く末」~回り道の人生への温かな眼差し

  • GWの雑感~中村敦夫「線量計が鳴る」、「アストリッドとラファエル」、杉本和陽六段、感性がウエットに

    今回はGWの雑感をあれこれ綴りたい。まずは阿佐ヶ谷区民センターで見た朗読劇「線量計が鳴る」(岨裕士監督)から。NONUKES杉並&ソシアルシネマクラブ杉並共催の上映会である。元原発技師の証言を元に、原発の仕組み、福島事故の実態、原発マフィアの正体に言及した朗読劇で、脚本は朗読者の中村敦夫だ。全国で100回近く開催され、徳島・般若院(2021年)でのライブがDVD化される。感銘を覚えたのは中村の不屈の精神だった。<原発マフィアの意のままになってたまるか>と撮影当時81歳だった中村は元技師と自身の思いを重ねて繰り返す。元技師はチェルノブイリを訪ね、事故から30年以上経った現状を調査した。内部被曝の恐ろしさは数字でも明らかだが、日本では改竄され隠蔽されている。子供たちの内部被曝について原発マフィアの責任を問う声...GWの雑感~中村敦夫「線量計が鳴る」、「アストリッドとラファエル」、杉本和陽六段、感性がウエットに

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