「貧道」という自称
僧侶には様々な自称があるのだが、その1つに「貧道」がある。一見すると、「貧しい道」となって、何やら不穏当な印象を持ってしまうかもしれないが、これについてその真意を問うた事例があるので、見ておきたい。貧道問、運敞の性霊集便蒙に、貧道を註して曰く、要覧に曰く、指帰曰く、道則ち物に通ずるの称なり。三乗の聖人の所証の道に属するなり。謂わく、我れ此の道、寡少なり。故に貧道と曰う。僧史略に曰く、漢魏両晋の沙門、君王に対して亦、但だ貧道とのみ称す〈已上〉。若し爾らば、支那に始れる語なりや。答、爾らず。仏在世より言来る語なり。便蒙未だ詳に考へざるのみ。善見毘婆沙律巻の十五に曰く、若し衣鉢を売る人有らば、比丘喚び来りて、金銀を示して衣鉢を売る人に語りて言わく、貧道須く此の衣鉢を須うべし。此の金銀有らば、居士自ら知る〈已上〉...「貧道」という自称
2023/01/23 08:28