完結から、だいぶ過ぎましたけど、色々書きたくなりました。まず、この作品の最大の特徴ともいえるドラゴン。この作品の場合、抗体竜種と真のドラゴンが基幹設定です。ただ、物語の序盤でドラゴンと呼ばれているのは抗体竜種のことで、真のドラゴンが姿を見せるのは物語の後半を過ぎてからです。 大まかな関係性を言えば、世界を"特に"その世界にある生命種に滅びをまき散らす存在が真のドラゴンでそれに対して、世界が産み出した抗体としての存在が抗体竜種です。しかし、抗体竜種はその標的である真のドラゴンに対処しても消え去ることはなく、結果的に免疫疾患のように世界の生命を傷つけることもある。これが序盤でのドラゴンの位置づけです。つまり、序盤において、ドラゴンとされる超常生物は実際には役目を終えた抗体竜種のことです。 そして、抗体竜種と言っている関係上、各々の抗体竜種にはターゲットになっている真のドラゴンが存在します。 番号 抗体竜種 真のドラゴン 1 アイン 〝死界〟のゲヘナ 2 トゥーエ 〝究慧〟のアトランティス 3 ドライ 〝真滅〟のラグナロック 4 フィーア 〝重震〟のノヴァ 5 フュンフ 〝恒生〟のバハムート 6 ゼクス 〝異暁〟のナイアラトテップ 7 ズィーベン 〝災化〟のアポカリプス 8 アハト 〝霊超〟のヒューマノイド そして、作品の中盤でヴリトラと物部悠というか人類との間に生じた対立と言うか緊張は、ジーベンにあたるウロボロスとその残滓というか後継のヴリトラとの間で遺志の伝達が上手くいかなかったためです。なぜなら、ウロボロスは世界を再生したがその中で、アポカリプスの因子を混ぜ込むことで、九番目の災厄、〝終焉〟のアンゴルモアへの対処が可能になるということはヴリトラには引き継がれなかったためです。 故にヴリトラは九番目の災厄、〝終焉〟のアンゴルモアに退行するために、生命種の強度を挙げなければと考えて、強引に抗体竜種と人類種のハイブリッドを作ろうとして、Dを産み出す挙に出たわけです。ただ、問題はDが全て女性であり、そして、関係性を全く無視して番にしようとしたことです。 そして、ヴリトラの計画は特にトゥーエ、キスカヌ、ユグドラシルからも情報の連携に失敗しており、これは滅びを実際に味わったキスカヌの後継たるユグドラシルが自己保存に走ったことも大きいですが。結果的にヴリトラの計画は実は〝終焉〟のアンゴルモアへの対処という点では穴だらけであり、
『知性とはなにか ヒトとAIのあいだ』を読みました。ディテールには甘い所はあるが、面白いとは思う。ディテールの甘い所は多々ある。まず、気になったのはGPUとCPUの比較をしたコラム。基本的に整数の演算しかできない。というのは恐らく、浮動小数点の説明を初学者向けに省略したから起きている。 基本的に、多くのCPUでは多くの科学技術演算に必要な倍精度浮動小数点あたりをターゲットに、比較的少数の演算器を実装している。ここからはみ出すのはベクトル計算機であり、現在、商業的には殆ど成功していない。従って、ベクトル計算機に対比して、現在の多くのコンピュータをスカラ計算機と呼ぶこともある。 従って、コラムで言う以下の項目は実は統合して一つの事実をさしている。 小数の演算が速い 並列計算で加速できる つまり、通常のCPUは少数の浮動小数点演算器による処理が行われており、深層学習モデルのモデリングの際に必要とする多数の演算には最適化されていない。そして、深層学習モデルの演算においては実は高精度の演算は必ずしも必要ではないので、GPUの実装している半精度などの浮動小数点処理の並列計算がよくフィットする。 もう一つの、ディテールの甘さは、2章の深層学習から生成AIへで発生している。恐らく、データリッチなことが深層学習の性能に影響を与えたのは確かだろう。この辺は実際に、スケーリング則のような経験則と符合している。しかし、過去において、データが少なかったことだけが深層学習を妨げていたわけではない。 それには、過去2回のニューラルネットワークブームとその終焉を探る必要がある。ニューラルネットワークモデルの嚆矢となったのは1943年のウォーレン・マカロックとウォルター・ピッツの研究と思われるがここから続く最初のニューラルネットワークブームにとどめをさしたのがS・パパートやマービン・ミンスキーのパーセプトロン限界説だ。 その後、福島邦彦のネオコグニトロンなどを経て、バックプロパゲーションが再発見され、再度のニューラルネットワークブームがやってくる。しかし、それはこの本でも書かれている通り、オーバーフィッティングという壁にぶつかり、表舞台では殆ど見かけなくなる。しかし、その時にはオーバーフィッティングともう一つの壁があった、それが勾配消失問題である。 初期の、ニュータルネットワークでは多くの場合、活性化関数としてシグモイド関数を使用していた。 シグ
WOKE CAPITALISM 意識高い系資本主義が 民主主義を滅ぼす
『意識高い系資本主義が 民主主義を滅ぼす』を読みました。この本もその後の状況でかなり変わってしまっている。まず、意識高い系資本主義はWOKE CAPITALISMというよりも、FIERCE CAPITALISMになっている。言うまでも啼く、第二次トランプ政権が多様性を敵視したむき出しの金権主義を打ち出しているためだ。 TINSEL CAPITALISMはFIERCE CAPITALISMになり果てた。多様性という文字ごと歴史を書き換えるかのように抹殺し始めた、第二次トランプ政権は完全に制御不能になっている。特に日本は多様性において、かなり諸外国の後塵を拝しているため、多様性を否定するのは危険極まる。 結局、「意識高い系」資本主義はただの新自由主義であったため、第二次トランプ政権と共に「獰猛な」金権主義に変貌した。テクノオリガルヒは論理も理性もかなぐり捨てて、ただ、忖度に励む状態だ。米国では司法が機能停止し死法に見える。 このような無残な状態に陥るとは誰も思っていなかったはずだ。新自由主義のまま、ただ、獰猛さをましただけ。WOKEという仮面すらかなぐり捨てた。従って、この本は表層ではなくその内部を読み解く必要がある。なぜなら、WOKEという言葉はその内実を喪失し、ただ、相手を罵るための言葉と化したからだ。 つまり、WOKEという言葉は日本で自称 保守層が用いるサヨクと同じで、ただ、相手を侮辱するための言葉になり果てた。しかも、多くの場合、中身すら見ていない。同じ言葉でも綴る者が違うだけで、違う論評が出てくる。これは、言葉がただ相手を侮辱するための棍棒となり果てたことを意味する。
この本は、みずほ銀行の2021/2/28からの大規模なシステム障害についてまとめた書籍です。みずほ、迷走の20年があくまで俯瞰的にみずほ銀行の20年を追っているのに大して、この本はあくまで、2021/2/28からの大規模なシステム障害に割かれている。 答えられる15個の疑問 なぜデータベースは更新不能になったのか なぜDBの更新不能がATMのカード取り込みにつながったのか なぜ「二重エラー」が発生したのか なぜ一度減ったATMのカード取り込みが急増したのか なぜ警告やエラーは見逃されたのか なぜ障害の規模や原因を見誤ったのか なぜ頭取に情報が届かなかったのか なぜ営業店での顧客対応が遅れたのか なぜe-口座への一括切り替え処理を2~3月に実施したのか なぜインデックスファイルをメモリーにおいたのか なぜインデックスファイルのリスクを見逃したのか なぜSOAなのに被害が拡大したのか 2月28日はどの不手際が致命傷となったのか なぜ8月20日はDBをすぐに復旧できなかったのか なぜハードウェア障害が頻発したのか 2021年2月28日の障害 2021年2月から2022年2月までの間に発生した11件のシステム障害のうち、7件がハードウェア障害です。特に2021年2月28日の障害が最も深刻であり、15個の疑問のうち13個がこの日に関連しています。 障害の原因特定 障害の原因が特定されたのは、障害発生から7時間が経過した17時10分でした。この障害はe-口座への一括切り替え処理を月末の繁忙期に行ったために発生しました。富士通のSymfowareの特性上、自動拡張を設定しても、インメモリの使用率が100%に達した場合、その設定は無効になり更新が不可能になりました。また、プログラムのバグも絡んで二重エラーを引き起こしました。 組織的な問題 金融庁の調査では、以下の点が真因として挙げられています: システムに係るリスクと専門性の軽視 IT現場の実態軽視 顧客影響に対する感度の欠如、営業現場の実態軽視 言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢 特に、「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」が問題を拡大しました。 しかし、実のところ、このような話はアルアルとも言える。その意味で、本書は適切な警鐘となるであろう。
『新しい封建制がやってくる』を読みました。本書で特に大事なのは冒頭に挿入された日本語版解説であるかと思います。特に「新しい封建制」の最先端は「シリコンバレー」だったは特に重要です。ビル・ゲイツは、シリコンバレーの右傾化と、SNS上の偽情報・憎悪言説の増加の2点は想定外だったと語るように、シリコンバレー特にテクノオリガルヒの右傾化は重要です。「社会と協調する倫理的な資本主義」という考え方を受け入れることができず、ただ、フリードマン的に利益に邁進する様は悲惨です。フリードマンの「自由主義者は無政府主義者ではない」をすら没却しているかのようです。 実際、この本が書いている以上に、状態は悪化しているかと思います。この本の時点では寡頭支配者の多くは、進歩主義者と手を組んでいるですが、現状のイーロン・マスクやマーク・アンドリーセンは進歩主義から完全に外れ、フリードマンの「自由主義者は無政府主義者ではない」をすら没却し剝き出しの資本主義と加速主義、長期主義の権化の保守主義となり果てています。 例えば、イーロン・マスクなどは最たるものでしょう、トランプ政権の元でアメリカ国際開発局の解体を進めていることなど、もはや、合理主義ですかと問いたくなります。「左翼組織への資金洗浄」「海外メディアの報道操作」といった主張がイーロン・マスクやドナルド・トランプ元大統領によって拡散されています。これは、そもそも、イーロン・マスクのイーロン・マスクがXで「USAIDは左翼組織への税金のマネーロンダリング装置だ」と断言した投稿に賛同したところから始まっています。 その意味では、この本は既に、現状の状態から逸脱し始めています。その意味ではより新しい状況に即している、日本語版解説は重要です。ここで今の問題を説明するために『シリコンバレーのIT長者が信奉する「TESCREAL(テスクリアル)」の正体…それはもはや「SF脳」の産物だ』をひいてきます。TESCREALとは以下のものの総称であり略です。 Transhumanism:トランスヒューマニズム Extropianism:エクストロピアニズム Singularitarianis:シンギュラリタリアニズム Cosmism:コスミズム/宇宙主義 Rationalism:合理主義 Effective Altruism:効果的利他主義 Longtermism:ロングターミズム/長期主義 特に、この場合の「長期
さて、完結からだいぶ時間は経っていますが、『銃凰無尽のファフニール』の小説1巻です、完結まで見てから読み替えると色々と発見があります。まず、この作品の肝であるドラゴンは別途記事にまとめました。 まず、この1巻での、隠れた重要点は目立たない言葉"──ノイン、要求、確認──“です。これは、この時点から、ユグドラシルは物部悠を九番目の抗体竜種と認識していたことを示しています。この時点では抗体竜種と真のドラゴンとの関係は全く語られておらず、作品を最後まで読み切って始めて意味の分かる言葉です。 基本的な、物語の作りとしては、主人公 物部悠がミッドガルにやってきて、メイン・ヒロインであるイリス・フレイアと出会い、妹である、物部深月と再開し、イリス・フレイア、物部深月らが所属し、物部悠も所属することになるブリュンヒルデ教室の同級生と出会いと基本的には物語の序盤の作りです。 そして、最初の敵手として、抗体竜種、もっとも、この時点では抗体竜種という単語自体導入されておらず、単にドラゴンと認識されている〝白〟のリヴァイアサンが来襲するという流れです。そして、物部悠の切り札とも言える、対竜兵装マルドゥーク、特に主砲、天を閉ざす塔バベルとヒロイン 物部深月の切り札 終の矢 ラストクォークでどうにか、〝白〟のリヴァイアサンを撃退する流れです。 物語としては序盤も序盤であり、これからという形ですね。とは言え、実は見逃せない情報がいくつも隠れています。まず、メイン・ヒロインのドジな一面、水着を流される、パンツを忘れるという煙幕でカモフラージュしていますが、何を作っても爆発させてしまうというのは終盤への重大な伏線なのは最後まで読まないと判りません。これはイリス・フレイアの大きな特異性です。 あと、ヒロイン陣の多くも、この1巻で殆ど登場しています。登場していないのは、ヴリトラ、キーリ・スルト・ムスペルヘイム、ティア、ツヴァイ、ジャンあたりでしょう。地味に故人としてではあっても、実は重要な存在の篠宮都もこの巻で登場しています。篠宮都が真の意味で絡んでくるのは最終盤ですが。
なんだかんだで、同人誌とかも書いてますし、参考になればと思って借りてきました。 アウトプットに焦点をあてているので、少し参考になったかなというところはありますが、 正直、商業出版は全くと言っていいほど考えていないのでこの辺は方向性が全く違うかなという、気はしました。 とは言え、整理法とかは私は、Obsidianとかを使っているので別のものを当たった方がいいかなと思いました。そういう意味では、少なからず、Not for meなところはありましたが、 考え方としては面白い所もありましたね。 本との出会い 偶然この本を手に取り、アウトプットの方法や整理法についてのアイデアを得ました。ただし、商業出版にはあまり興味がないため、本の方向性とは少し異なる部分もありました。 整理法のポイント 私はObsidianというツールを使って情報を整理しています。この本では別のツールや方法が紹介されていましたが、自分に合った方法を見つけることが大切だと思います。 考え方の魅力 一部の考え方は非常に参考になり、自分の執筆スタイルにも影響を与えました。特に、アウトプットの重要性については深く共感しました。 まとめ 商業出版を目指す方には非常に有用な本ですが、自分のように同人誌を中心に活動している場合は、全てをそのまま取り入れるのではなく、自分に合った部分だけを取り入れることが大切です。
はじめに 『みずほ、迷走の20年』は、みずほ銀行の20年間の軌跡とその間に発生した三度にわたる大規模障害を詳細に追った一冊です。小泉政権期の不良債権処理から始まり、統合、そして震災後の混乱期に至るまで、みずほ銀行が直面した課題とその背後にある要因が明らかにされています。 この本は、表題の通り、みずほ銀行の誕生から、迷走の20年を追ったものです。従って、障害の詳細については、以下のものの方が詳しいです。 システム障害はなぜ起きたか みずほの教訓 システム障害はなぜ二度起きたか ポストモーテム みずほ銀行システム障害事後検証報告 それぞれ、2002/4/1の時、2011/3/15の時、2021/2/28についてのものです、中でもシステム障害はなぜ二度起きたかは帯でこのままでは三度目が起きるとしていましたが、実際に2021/2/28に三度目が起きました。 みずほ銀行の誕生とその背景 みずほ銀行誕生の背景は小泉政権期の不良債権の処理に尽きます。これは1990年代のバブル崩壊からの暗いトンネルからの脱出を企図していました。1997年の北海道拓殖銀行の破綻、山一証券の破綻が金融危機となりました。そして、ブッシュ政権の意向下に銀行の統合と大規模化が企図されたわけです。 その中で、第一勧業銀行、富士銀行、日本勧業銀行が統合してできたのがみずほ銀行です。しかし、その中の第一勧業銀行自体が第一銀行と勧業銀行が合併した銀行で、襷掛け人事のように旧行意識がそのまま残っているために4行統合と揶揄されました。結果、みずほ銀行もみずほ銀行、みずほコーポレート銀行と社長の椅子を守るための構造のようでした。 三度にわたる大規模障害 最初の一撃 (2002/4/1) 最初の障害は2002/4/1、みずほ銀行の誕生の直後に起きています。これは、『システム障害はなぜ起きたか みずほの教訓』で語られていますが、統合時の構造に起因します。みずほ銀行への統合時、大規模な変更を嫌って3行のシステムをリレーコンピュータで繋いだ構成にしますが、リレーコンピュータのバグによって大規模障害が発生しました。しかも、この時の改修は4/1に間に合わせるために過酷を極め、コンピュータシステムの改修に関わっていた富士通ターミナルシステムズ(ATMベンダー)のシステムエンジニアが、過労自殺をするなど、システム障害以外でも大きな問題を起こしています。 二度目 (2011/3/15)
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