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  • お断り

    あけましておめでとうございます。さて、先の余節で、一月四日から新しいブログをと書きましたが、ついに用意が出来ませんでした。hh実は『蜻蛉日記』を準備しかけたのですが、ちょっと別の用事が出来て、途中断念、今年一年はそちらに集中することにします。折角覗いてい

  • 余節2

    作者は巻頭の「作者の言葉」で、この物語において「小説は二つある」として、これは「第一の小説」であって、「重要な小説は二番目の方」だと語っていました。それに対して、小林秀雄が「今日、僕等が讀む事が出來る『カラマアゾフの兄弟』が、凡そ續編といふ樣なものが全

  • 余節 1

    以前読んだときは、話がこんがらがって、イリューシャたちの話が出て来たあたりから何を読んでいるのか分からなくなってしまったのでしたが、今回、こうして書きながら辿ってきて、やっと話の全貌が見えました。 フョードルは、フェチュコーウィチが「われわれの心に映

  • 3節 イリューシェチカの葬式。石のそばでの演説

       カテリーナを見送って、アリョーシャはイリューシャの家に行きました。彼は亡くなって、今日はその葬儀の日なのです。出迎えたのはコーリャでした。アリョーシャの前では背伸びしたい彼は、ドミートリイの話をします。彼は、ドミートリイが実は無実だと聞いて、「それ

  • 2節 一瞬、嘘が真実になる

    アリョーシャがドミートリイの入っている病院に行き、カテリーナがきっと近いうちに来てくれると伝え、そして彼女が脱走の手助けをしてくれることを話しました。ドミートリイは、その話には乗らないで、流刑になった先での自分の振る舞いに自信が持てないと言い出しまし

  • 1節 ミーチャ救出計画

       カテリーナとアリョーシャが、ドミートリイを護送の途中で脱出させるというイワンが考えていた計画を話し合います。イワンは公判の後、そのままカテリーナのところで介護されています。 そのカテリーナが、法廷での自分の変心を説明しようとしています。 イワン

  • 14節 百姓たちが意地を通す

    陪審員が判決を下しました。それは全面有罪の実刑判決でした。どうしてそういう結果になったのか、その説明はありません。ただ、傍聴人が帰り際に話していた「百姓たちが意地を張ったんだよ」という言葉あるだけです。長い長い検事の論告、そして同じく長い長い弁護人の

  • 13節 思想の姦通者

    フェチュコーウィチは、ドミートリイが父親を殺さなかった可能性が十分にある(前節)ことに加えて、彼が犯人だとする意見の多くが、父親殺しであることを前提に誰かを処罰しなければならないとしていることを指摘して、実はフョードルがドミートリイに対して父親と呼べない

  • 12節 それに殺しもなかった

    これも同じく、私たちの知っている物語です。  ドミートリイがあの晩窓から顔を出したフョードルを見て「個人的な嫌悪」がつのった後、長い「…」があった(第三部第八編4節)のでしたが、そのように、彼は父を殺さなかった可能性が十分にあることを、弁護人が巧みに解き明

  • 11節 金はなかった。盗みもなかった

    彼は、三千ルーブルは実はなかったのかも知れないし、そうだとすれば当然盗みもなかったという点を強調しました。ちょっと気になるのは、彼が、イワンが証言の最後に出した三千ルーブル(5説)に触れていない点です。あの金は、あの後の彼自身の発作と、カテリーナの「手

  • 10節 弁護人の弁論。諸刃の刀

    フェチュコーウィチは、イッポリート検事が絶叫して論告を終えたのに対して、「その声は美しく、声量も豊かで、感じがよく声そのものにさえ何か真剣な率直なものが響いている感じ」で、検事の心理分析を皮肉るところから始めました。「諸刃の刃」は、イッポリートが論じた

  • 9節 全速力の心理分析。ひた走るトロイカ。論告の結語

    ここはモークロエでドミートリイが、グルーシェニカの昔の恋人と向きあうことになった時の分析です。彼の論告は、彼の作った物語であって、私たちがこの物語の語り手から聞いてきた話とは、起こっている出来事は同じでも、意味はまったく異なっています。先日テレビの「

  • 8節 スメルジャコフ論

    イッポリートはスメルジャコフが犯人ではないという説を延々と語ります。私は少し退屈になって来ました。読者はすでにスメルジャコフの自白を知っています。ここの論告は、そのスメルジャコフが人々にこう思わせようと思い描いた筋書きどおりをなぞっています。イッポリ

  • 7節 時間的な経過

    ここの興味深い点は、フョードルがグルーシェニカを家に来させようと用意した三千ルーブルは、ドミートリイにしてみれば自分が母から相続すべき三千ルーブルだと考えられた、という論述です。なるほどそう考えると、その三千ルーブルはドミートリイからすれば最悪の使い方を

  • 6節 検事論告。性格描写

    イッポリートの論告が4節にわたって続きます。それは「少なくとも、わが哀れなイッポリートが抱きうる限りにおいての、市民的感情も、《呪わしい》疑問も心の内に秘めていたことを」立証するものでした。この事件を時代の趨勢を示すものと捉えて、「小さな水滴に映る太

  • 5節 突然の破局

    物語の最初に展開された「恥さらしな騒ぎ」と呼応するように、ここでも「大混乱」(もっともこうした「騒ぎ」はこの物語では枚挙に暇がありませんが)が演じられます。法廷に現れたイワンは「病的」な顔付きで、「土気色のその顔には、どこか死に瀕した人のようなもの」が

  • 4節 幸運がミーチャに微笑む

    アリョーシャは、彼がカテリーナとグルーシェニカの対決を目の当たりにしたあと、修道院へ帰ろうとしてドミートリイに呼び止められたときのことを思い出しました(第一部第三編11節)。あの時、アリョーシャは、ドミートリイがカテリーナを五千ルーブル用立てるからと言

  • 3節 医学鑑定とくるみ四百グラム

    カテリーナがドミートリイの医学鑑定を希望して、三人の医師がそれに当たりました。モスクワから招かれた「有名な博士」とこの町の老医師ヘルツェンシトゥーベ博士、それと若い医師ワルヴィンスキーです。その鑑定はどうも頼りないものでした。この時代、医学は作家たちか

  • 2節 危険な証人たち

    ドミートリイにとっての「危険な証人」や証拠品の多さによって、公判が始まる前から、ドミートリイの犯罪は間違いないものと、だれもが思うようになっていきました。 そのなかでフェチュコーウィチの皮肉な証人質問が展開されて、ドミートリイの有罪を訴えた証人たちは次

  • 1節 宿命の日

    町中が全ロシア的関心に包まれて騒然とした中で、公判の日になりました。傍聴席は超満員、その中で婦人たちはドミートリイの無罪を支持し、その夫たちを初めとして男性群は彼に対して反感や敵意を持って集まっていたと言います。なるほど、ありそうな話です。弁護人は

  • 10節 「あいつがそう言ったんだ」

      アリョーシャが部屋に入ってきて、いろいろ事情を話しますが、イワンの譫妄症状はひどくなるばかりで、とうとうそのまま寝込んでしまいました。 看護しながらアリョーシャは、「傲慢な決心の苦悩なのだ、深い良心の呵責だ」と思い、「兄の信じていなかった神と、真実

  • 9節 悪魔。イワンの悪夢

    椅子に座り込んだイワンの前の「真向かいの壁際にあるソファ」に「ある種のロシア型ジェントルマン」が坐っていました。いや、「譫妄症」のイワンにはそう見えました。そして以下、その紳士とイワンとの会話が繰り広げられます。ちなみに、「譫妄症」とは「ボーッとした

  • 8節 スメルジャコフとの三度目の、そして最後の対面

    何と、スメルジャコフがイワンに全面自供をしました。私は何となく、この殺人事件の真犯人はスメルジャコフではないだろうか、どうやらそういうことらしいというところまで明かされて、読者にとっては確定されないで終わるような気がしていましたので、大変驚きました。

  • 7節 二度目のスメルジャコフ訪問

    スメルジャコフは病院からマリア・コンドラーチェヴナの小屋に帰っていました。彼は「派手な」ガウンや鼻眼鏡で、なにやらキザな姿に変わっていました。変に自信を持ったという感じでしょうか。イワンに対する態度も「無愛想で、傲慢」です。 二週間前の対面ではスメル

  • 6節 スメルジャコフとの最初の対面

    さて、話はしばらく大きく後返りします。イワンがモスクワでフョードルが亡くなったことを知ってこの町に帰ってきたのは、事件から五日目でした。その日からこの二ヵ月で三回、彼はスメルジャコフを訪ねたといいます。まずはその一回目、彼は入院していたスメルジャコフを訪

  • 5節 違う、あなたじゃない!

    アリョーシャはイワンに会いに行こうとして、途中カテリーナの借りている家を通りかかり、寄っていくことにしましたが、行って見いるとそこからイワンが出てきました。そしてその後からカテリーナが現れて、二人はカテリーナに呼ばれていっしょに家に入りました。え?

  • 4節 讃歌と秘密

      アリョーシャは刑務所に行きました。リーズのことは、しばらくお預けのようで、気になることです。 さてドミートリイは、あの取り調べの時とはうって変わって、寛大な扱いを受けているようです。 入れ替わりにラキーチンが帰って行きましたが、彼は、ドミートリイ

  • 3 小悪魔

    リーズはアリョーシャを迎えると、母の夫人と同じように、はじけるように喋りました。 ドミートリイに差し入れをした、家に火をつけたい、聖女なんかになりたくない、悪いことをしたい、夢で悪魔が私を捕らえようとしたので十字を切ったら逃げて行きそうになったので大

  • 2節 痛む足

    アリョーシャは、リーズに呼ばれていたので、ホフラコワ夫人の家に行きました。行くと、夫人の方が先に彼を部屋に呼んで、さまざまなことを脈絡なく延々と喋ります。アリョーシャがリーズとの婚約を取り消してくれてありがたかったこと、明日のドミートリイの公判のこと、

  • 1節 グルーシェニカの家で

    ドミートリイの事件の二ヵ月後で、明日が公判という日です。アリョーシャは、ドミートリイが事件を起こしたあの夜、僧院でゾシマの死を見送り、夢の中でゾシマの励ましを受けて自分の行く道を見定め、目覚めて大地を抱きしめて歓喜の接吻をし、「一生変わらぬ堅固な闘士

  • 7節 イリューシャ

      医者が診察を終えて出てきて、スネリギョフがあとを通って出てきます。医者はイリューシャの余命を告げたようです。そしてスネリギョフの求めで、最後の手段はシシリー島へ転地すれば、あるいはいい方向に向かうことがあるかも知れないと話しますが、彼には経済的に不可

  • 6節 早熟

      医者が来て、一同は席を外します。多くは帰ることにしたのですが、コーリャは、あとでもう一度来ることにして外に出て、そこでアリョーシャに声をかけて、二人の対話が始まりました。 コーリャはアリョーシャに認められようとして、自分の知識と知力を傾けて、しかし

  • 5節 イリューシャの病床で

    コーリャが部屋に入ると、病床を取り巻いてたくさんの少年たちがいましたが、棟梁株の登場に道を開けました。あとはコーリャの、入口に立って見ているアリョーシャの反応をたいそう気にかけながらの、独り舞台です。 彼はことさらにジューチカの話をしてイリューシャを

  • 4節 ジューチカ

    イリューシャの家ではアリョーシャがコーリャを出迎えました。ジューチカというのは犬の名前です。コーリャの話によれば、その犬はイリューシャとスメルジャコフが針の入ったパンを食べさせて行方不明になったのでした。コーリャは、イリューシャがその犬の苦しんだ様子に

  • 3節 中学生

    コーリャは学年が二級下のスムーロフ(石合戦をしていた時に、アリョーシャに事情を話してくれた少年・第二部第四編3節)と待ち合わせていて、いっしょにあのイリューシャ・スネリギョフのところに行こうとしているのでした。スネリギョフはアリョーシャが仲介したカテ

  • 2節 子供たち

    クラソートキン夫人宅には、離れの建物があって、医者(今は行方不明になっています)の夫人が二人の子供とともに借りて住んでいました。そしてそのドクトル夫人宅にはあのカテリーナが、そしてクラソートキン家にはその姉のアガーフィアが、それぞれ召使いとしていっしょ

  • 1節 コーリャ・クラソートキン

    ドミートリイの事件から二ヵ月あまりが経った十一月の初めです。物語は分量的に三分の二を終わって、ドミートリイ事件の終結が語られるはずですが、さし当たっては別の方向に話が進みそうです。 ここにまた新しい、そして個性的な人物が登場しました。父を亡くして母親

  • 9節 ミーチャ連行される

    ドミートリイは町の「さる極めて不愉快な場所」へ連行されることになりました。彼は最後に「部屋にいる全員に向かって、抑えきれぬ感情を込めて」語りました。 「やむをえません! 僕はこれまでの一生を通じて毎日、この胸を打って真人間になることを誓いながら、毎日

  • 8節 証人たちの供述。童。

    証人尋問になりました。そこでも三千ルーブルが問題にされますが、だれもが、その夜の散財が三千ルーブルだったと言います。トリフォンは特に強調して、「ここに六千ルーブル落としていくよと、あんなにはっきり叫んでいらしたし。前回の分と合わせてという意味ですよ」と

  • 7節 ミーチャの大きな秘密―一笑に付される

    さて供述はいよいよ大詰め、彼の持っていた大金の出所について、ドミートリイが語ります。 実はカテリーナから姉のアガーフィアに送ってくれるように頼まれた三千ルーブル(第一部第三編5節)の一部だったようです。その金で彼はグルーシェニカとこのモークロエの町に

  • 6節 検事、ミーチャの尻尾をつかむ

    ドミートリイは身ぐるみ剥がされて取り調べを受けるという、これまでならあり得ない屈辱を受けて、「なんだか自分まで彼らに対して罪があるような気になって」くるほどでした。服は証拠として取り上げられ、カルガーノフがたまたまトランクに入れていた服を借りて着ること

  • 5節 魂の苦難の遍歴―第三の苦難

    ここでは、スメルジャコフとフョードルの間のグルーシェニカが来たときの合図をドミートリイが知っていたことがあきらかにされます。しかも彼は、「あいつ(スメルジャコフ)の仕業じゃありませんよ、みなさん!」と断言してしまいます。そんなことを言ったら、ますます自分

  • 4節 魂の苦難の遍歴―第二の苦難

    尋問が続きます。ドミートリイは「とにかく僕にだけ話をさせてくれませんか、瑣末なことで話の腰を折らないでください」と言って、サムソーノフのところへ金を借りに行った時のことから話し始めました。すると検事が、「なぜそんな急に入用になったんですか」と聞きます。

  • 3節 魂の苦難の遍歴―第一の苦難

    ドミートリイへの尋問が始まりました。嫌疑はやはりフョードルを殺したというものでした。そしてまず、グリゴーリイは死んではおらず、その彼が、フョードルを殺したのはドミートリイだと証言したようです。そう言えば、彼は、あの出来事が起こったとき、ドミートリイの

  • ⒉節 大騒ぎ

    話の舞台はとつぜん「この郡の警察署長」の家になります。そこに検事補と郡会医、予審調査官の三人が来ていました。そこへペルホーチンが入った時には、そこにはすでにフョードルの殺人事件の一報が届いていました。フョードル家の隣の家のマリアがその知らせを持って、

  • 1節 官吏ペルホーチンの出世の糸口

    さて、話は少し後返りして、ドミートリイが立ち去った後のペルホーチンの動きになります。彼はドミートリイの様子に不信を抱いて、まずフェーニャのところに事情を聞きに行き、そこであらましの話を聞くと、今度はホフラコワ夫人を訪ねました。夜の十一時で、ちょうどドミ

  • 8節 悪夢

    どんちゃん騒ぎが始まりました。ドミートリイがここに送りつけるために準備した食べ物や飲み物(5節)が馬車で届き、「何やら滅茶苦茶な、常軌を逸した騒ぎ」です。ジプシーでしょうか「バイオリンやツィターをかかえたユダヤ人たちもやってきたし」、…「もう眠っていた

  • 7節 まぎれもない以前の男

    部屋には、四十近い、肥った、鬘の男(これがグルーシェニカの「昔の将校」のようです)と、その「ボデイガード」らしい長身の男がいました。そして、カルガーノフとマクシーモフもいました。二人は二日前のゾシマとの会合の時にも、修道院にいましたが、今どうしてここに

  • 6節 みずから乗り込むぞ!

    さて、ドミートリイはモークロエへ馬車をとばします。 彼は今、グルーシェニカの相手の将校に対しては、嫉妬も、また憎しみや敵意も感じていなかった、と作者は言います。しかし彼は、「やはり心は乱れ、苦しいほど騒いで」いました。「心にわだかまって苦しめる過去の

  • 5節 突然の決心

    グルーシェニカの家に来たドミートリイは、召使いのフェーニャを相手に、興奮から激怒へ、そしてグルーシェニカが「将校」の所へ行ったと聞いて、急に「物静かな子供さながら」となり、そして「不屈の決意」を見せて「考え深げな微笑」となって、グルーシェニカの家から、

  • 4節 闇の中で

    「下人」と違ってドミートリイの行き先はすぐに知れました。「わかりきったこと」でフョードルのところです。彼はグルーシェニカが彼のところに行ったのだと思って、…しかしどうしようというのでしょうか。 彼は家に着くと裏手の石塀を乗り越えて庭に入り込み、母屋で

  • 3節 金鉱

    ドミートリイがグルーシェニカの家に「おどりこんできた」のは、アリョーシャがラキーチンに誘われて彼女のところに来る少し前(第三部第七編3節)でした。 ドミートリイは、「お金の計算」のためにサムソーノフの家に行きたいという彼女の求め(彼女は昔の将校からの

  • 2節 セッター

    ドミートリイは大喜びでセッターのところに向かいました。しかし、さまざまにトラブルがあって、すでに夜になってやっとセッターに会えた時には、イライラとともに、心身ともにヘトヘトになってしまっていました。しかも会えたセッターは泥酔して目も覚まさず、ついに彼はそ

  • 1節 クジマ・サムソーノフ

    物語は一日目の夕方、アリョーシャがカテリーナの家でカテリーナとグルーシェニカの対決を見ての帰り道(第一部第三編11節)からの続きです。あの時帰り道でアリョーシャはドミートリイに出会って、「自分の明日の計画」を、中身を知らないままに聞いたのでした。 さて

  • 4節 ガリラヤのカナ

    迫真の場面を過ぎて、アリョーシャは修道院に帰り、ゾシマの棺の前に跪き、相変わらず続いているパイーシイ神父の福音書の朗読を聞きながら、うとうとしてしまいました。夢うつつの中で、神父の朗読する「ガリラヤのカナ」の婚礼の場面を聞いています。その物語の中にゾシ

  • 3節 一本の葱

    ラキーチンはアリョーシャを連れてグルーシェニカの家に行きました。 彼女は、明らかに誰か大事な客を待っているような身なりで、しかしソファに寝そべっていましたが、また何かに苛立っているよう(それはドミートリイが来るのを恐れていたのでした)でもありました。

  • 2節 そんな一瞬

    アリョーシャはゾシマが奇蹟を起こさなかったことを悲しんでいたのではなかった、と作者が語ります。彼は、ゾシマを非難する「不信心者」とは違って、ゾシマへの敬愛はまったく失ってはいませんでした。彼の悲しみは「至高の正義」が行われなかったことへの怒りだったのだ

  • 1節 腐臭

    前節の終わりにあった「だれにとっても思いがけぬ事態」というのは、私が予想していたこととは違っていました。 亡くなったゾシマは棺に納められ、早速多くの人々(一般人も神父たちも)が弔問にやって来たのですが、彼らには「何やら異常な、前代未聞の《不謹慎》とさ

  • (I)地獄と地獄の火について。神秘的な考察

    地獄とは、地上で愛を抱かなかったために、「もはや愛することができないという苦しみ」を抱く場所である。地獄で愛に開眼する者もいるが、すでに愛を抱く機会を得られないことに苦しむだろう。しかしその苦しむことで「愛の面影」に触れることになり、その苦しみは軽減さ

  • (F)主人と召使について。主人と召使は精神的に互いに兄弟となりうるか

    ゾシマの「法話と説教」は続きます。 そういう民衆も今は堕落しており、その堕落は子供にまで及んでいる。しかしそこに必要なのは「ほんの一滴なりと注がれる愛情」である。そういう民衆も、自分の罪業を知っている。「それゆえ、わが国の民衆はまだ倦むことなく真理を

  • (H)人は同胞の審判者たりうるか? 最後まで信ずること

    「人は誰の審判者にもなりえぬことを、心に留めておくがよい」。なぜなら、当の審判者自身が「正しかったのであれば、目の前に立っている罪人も存在せずにすんだかもしれないからだ」。 さきほどの「すべては大洋のようなもの」だという考えの延長です。ひとりの罪人が

  • (G)祈りと、愛と、他の世界との接触について

    「主よ、今日御前に召されたすべての人を憐れみたまへ」と祈るがよい。人は「悲しみと憂いのうちにひとり淋しくこの世に別れてゆく」のであり、そんな時「地球の反対の端からお前の祈りが、…その人の安らぎをねがって主の御許にのぼってゆくにちがいない。恐れおののきな

  • (E)ロシアの修道僧と、考えられうるその意義について数言

    「神父諸師よ」とゾシマが呼びかけます。 「ロシアの大地の救い」は「静寂の中で修行を積んでいる」修道僧から生まれる。 現代の世界は、科学が支配し、人々は自由を求めており、人々に「君らはさまざまな欲求を持っているのだから、それを充たすがよい。なぜなら君

  • (D)神秘的な客

    さてその老紳士は「みなに尊敬されている裕福な慈善家だったのですが、その人が突然、話が聞きたいと「若僧の」ゾシマの家を訪ねてきました。そして決闘の時の心境などを聞き、以後、「ほとんど毎晩のように」やって来るようになりました。彼は言います。 人生は楽園で

  • (C)俗界にあったゾシマ長老の青年時代と青春の思い出。決闘

    そういうゾシマでしたが、ペテルブルグの学校時代は、「仕えてくれる従卒のことを…全くの家畜同然と見なし」、「自分の財産ができたことで」(多分一家の財産を受け継いだからでしょう)、「あらゆる欲求もろとも、留まるところを知らず、享楽の生活にのめり込み、帆をいっ

  • (B) ゾシマ長老の人生における聖書

    兄の死後、ゾシマはペテルブルグの士官学校に出され、その在学中に母に死なれたのですが、彼が家庭で得たものは「尊い思い出」と『旧・新約聖書の百四の物語』という本(実在の本で、「ドストエフスキーはこの本で読み方を学んだ」のだそうです・『文庫』注)から得た「あ

  • 2節 今は亡き司祭スヒマ僧ゾシマ長老の生涯より。長老自身の言葉からアレクセイ・カラマーゾフが編纂 伝記的資料 (A)ゾシマ長老の若い兄

    ゾシマの八歳年上で、十七歳で亡くなった兄・マルケルの話です。 十七歳になった頃、彼は「町で孤独な生活を送っている、なんでも自由思想のためにモスクワからこの町に追放された政治犯とかいう、…大学でも有数の学者で、すぐれた哲学者」に眼をかけられて、一冬「毎晩

  • 1節 ゾシマ長老と客人たち

    イワンがフョードルの家の前でスメルジャコフと腹立たしい対話をしている頃でしょうか、アリョーシャはゾシマの元に帰ってきていました。ゾシマはなんと十五分ほど前に起き上がって、椅子に座っており、「いちばん忠実な永年来の友人」四人が彼の周りに座っていました。

  • 7節 「賢い人とはちょっと話してもおもしろい」

    イワンは、広間で出会った父に「無礼な敵意」の籠もった挨拶をして二階の自分の部屋に入りましたが、夜中の二時になっても眠れませんでした。 彼は、スメルジャコフへの憤りやアリョーシャへや自分への「憎悪の塊」を抱きながら、「階下の部屋の様子や、フョードルが下

  • 6節 今のところ、まだきわめて曖昧なものだが

    一方、イワンはその足でフョードルの家に帰り、入口でスメルジャコフを見ました。イワンがこの町に帰ってきてから、二人はさまざまに話をしていたようで、その中でスメルジャコフはイワンに「傷ついた自尊心」と「一種特別ないやらしい狎れなれしさ」を見せるようになり、

  • 5節 大審問官

    「大審問官」とは、キリスト教で異端審問所の最高責任者、ということのようです。ここではイワンの無神論が「大審問官」という架空の人物を通して延々と語られ、神を信じるアリョーシャと向きあうドラマが描かれます。もっとも、さっき、イワンは神の存在は認めると言っ

  • 4節 反逆

    イワンは、人間がいかに邪悪であるかという話を、強盗に斬り殺された子供(以下に列挙される例は、みなあまりに傷ましくてここに例示することが憚られます)を初めとして子供の虐待の例を次々に挙げていき、そして言います、「人間の多くの者は一種特別な素質をそなえて

  • 3節 兄弟、近づきになる

    アリョーシャとイワンの関係については、イワンがこの町に帰ってきた頃、初めにはお互いに相手に関心を持ちながら、アリョーシャはなぜか親しみが感じられず、イワンの方も次第にアリョーシャに対して冷淡になっていった、とありました(第一部第二編5節)が、ここでその壁

  • 2節 ギターを持つスメルジャコフ

    アリョーシャは自分にもよく分からない「恐ろしい悲劇」を避けるために、ドミートリイに会わなくてはならないと考えて、以前、ドミートリイが彼を待ち伏せしていた隣家の東屋(第一部第三編3節)に行ってみました。するとそこにはスメルジャコフと隣家の娘マリアがいて、

  • 1節 密約

    「プロとコントラ」は「ラテン語で肯定と否定、賛否を意味する」のだそうです(『文庫』訳注)。 アリョーシャがカテリーナの家に着くと、カテリーナは寝込んでしまっていて、ホフラコワ夫人は彼を先にリーズのところに連れて行きました。アリョーシャはスネリギョフ

  • 7節 すがすがしい大気の中で

    外に出て歩きながら話し始めると、スネリギョフの話し方は、自分の家を「御殿」と呼ぶことから始めて、丁寧ながら大変皮肉な自虐的な話し方に変わりました。彼は、自分がドミートリイの暴行を受けた時息子(イリューシャ)がどんなにいじらしい振る舞いをしたかを語ります

  • 6節 小屋での病的な興奮

    アリョーシャは、出過ぎたことを言ってしまったと後悔しながら、スネリギョフのところに行きました。思い出しました。「いつぞやお父さまが何かの事件でお使いになったとかいう」「二等大尉」というのは、「フョードルが『代理人をしている例の二等大尉』を使いにしてグル

  • 5節 客間での病的な興奮

    部屋に入った時、アリョーシャはさっきの夫人の言葉で動揺していました。彼は、カテリーナはドミートリイを愛しているのだと思いこんでいたのでしたが、夫人のあの言葉でふいに彼女が愛しているのはイワンではないのか思えてきたのでした。しかしカテリーナはイワンと

  • 4節 ホフラコワ夫人の家で

    ホフラコワ夫人の家は「この町の最高の屋敷」でした。夫人は、アリョーシャを見ると、今カテリーナとイワンが来ていて二人は「病的な興奮」で「恐ろしい物語」になっていると告げ、そして「どうしてリーズはヒステリーを起こしたのでしょう、あなたがいらしたときくやいな

  • 3節 中学生との結びつき

       アリョーシャは次にホフラコワ夫人のところに向かいます。その途中で、ここに来て、また新たに妙な展開になりました。アリョーシャが中学生のいじめ事件に巻き込まれたのです。というより、自分から首を突っ込んでいった格好です。 六人の中学生が「三十歩」ほどの川

  • 2節 父のところで

    アリョーシャがフョードルのところに行くと、彼は額の大きな紫色の痣を赤い布で包帯し、鼻がひどく腫れて痣がシミのように広がった顔で、苛立っていました。彼は「何の用でお見えかね?」と問いかけ、昨日来いと言った(第三編9節)のは口からでまかせだと言い捨てて一人

  • 1節 フェラポント神父

    翌朝、修道院でアリョーシャは重態のゾシマのそばに行きました。ゾシマは「生あるうちにもう一度心情を吐露しておきたいと渇望するかのよう」に「断片的」に説教をしました。いい話です。僧院に入るとは、他の人より劣っていることを認識したことになる、…。僧は一人ひとり

  • 11節 もう一つ、台なしになった評判

    三つの別々のことが語られます。アリョーシャの帰途を、ドミートリイが待ち伏せしていて、カテリーナのところでの様子を問い詰めました。そしてグルーシェニカがカテリーナの手にキスをしなかったことを聞くと、「まさにその手の一件に、あの女の面目が遺憾なく現れている

  • 10節 二人の女が同時に

    ここはよく分からない話が続きます。アリョーシャは、父の家に向かったとき以上に「思考力もなにか粉々に砕けて散逸したかの」に打ちひしがれながら、カテリーナの家に向かいました。父と長兄があまりに不仲で、それも金と女性のことで不仲であることに衝撃を受け、しかも

  • 9節 好色な男たち

    ドミートリイが来たのは、フョードル目当てではなくて、グルーシェニカがこの家に来るのを見かけたと言って、「三千ルーブル」(5節)を受け取られては大変とそれを追いかけて来て、この広間に飛び込んできたのでした。フョードルは、グルーシェニカが来ていると聞いて、

  • 8節 コニャックを飲みながら

    議論は終わりました。グリゴーリイは言い負かされて悔しくて泣いているようです。フョードルは「ふしぎなことに」、「お前らはもう退っとれ、イエズス教徒め」とどなりつけて召使いたちを下がらせると、なおもコニャックを飲みながら、イワンとアリョーシャを相手にしゃべ

  • 7節 論争

    「論争」というか、スメルジャコフのキリスト教不信論です。異教徒の捕虜になって脅迫を受けながら改宗を迫られた兵士がそれを拒否して殺されたという事件を、感動を持って話したグリゴーリイに、スメルジャコフが、そういう場合、改宗してもキリスト教的には罪は受けな

  • 6節 スメルジャコフ

    アリョーシャがフョードルの家に着くと、広間でフョードルとイワンが食卓にいて、グリゴーリイとスメルジャコフが控えていました。そこで、先に出生の秘密が語られた(2節)スメルジャコフの、その後の生い立ちが語られます。 その不幸な出生の影響があってか、いろい

  • 5節 熱烈な心の告白―《まっさかさま》

    冒頭の「この事件」というのが何を指すのかよく分かりませんが、結果的には、ドミートリイとカテリーナの恋の顛末ということになりそうです。そういう言い方で、作者が読者にこれから何かの「事件」が起こることを予告しているということでしょうか。さて、父の死後モスク

  • 4節 熱烈な心の告白―異常な事件に寄せて

    ドミートリイの「告白」が続き、ここはカテリーナとの出会いの経緯が語られます。冒頭の「向こうで」がどこを指すのか分かりにくいのですが、コーカサスで軍務に就いていたとあり(第一編2節)、後に国境守備隊の一員だったとありますから、その頃のことなのでしょう。

  • 3節 熱烈な心の告白―詩によせて

    フョードルの家の説明からカラマーゾフ家の召使いの紹介になりましたが、そこから一転して、修道院での「恥さらしな騒ぎ」の後に取り残された格好のアリョーシャが語り始められます。彼は、父に帰ってこいと言われたことと、カテリーナから手紙で会いたいと言われたこと(

  • 2節 リザヴェータ・スメルジャーシチャヤ

    もう一人の召使い、スメルジャコフの出生の秘密が語られます。リザヴェータ・スメルジャーシチャヤ(訳注・悪臭のひどい女という意味)は、母親は「ずっと以前に他界して」いて、「父親は身代をつぶした宿なしで病人のイリヤという町人」で、リザヴェータを虐待し続けてい

  • 1節 召使い部屋で

     フョードルの家が紹介されます。まずはその建物が克明に描かれます。母屋と離れがあって、「今の五倍(の人数・つまり二十人以上)は楽に収容できる」ような大きな家で、「ふるめかしかったものの、感じのよい外観」で、中二階つきの、灰色のペンキを塗った平屋で」云々

  • 8節 恥さらしな騒ぎ

    院長の部屋では、以下のような事が怒っていたのでした。 ミウーソフは院長室に向かうとき、長老の部屋での自分の興奮を恥ずかしく思って、院長室では「やさしく、愛想よく、いんぎんに」振る舞おうと考え、「修道院相手の訴訟も全部打ち切ろう」とまで決心して、イワン

  • 7節 出世主義者の神学生

    ゾシマを助けて寝室へ連れて行ったアリョーシャは、ゾシマから院長の食事会の席に行くように言います。「お前はむこうで必要な人間だ。向こうには和がないからの。…将来もお前のいるべきところはここではないのだよ。…私が神に召されたら、すぐに修道院をでるのだ」。

  • 6節 こんな男がなぜ生きているんだ!

    ミウーソフが別の角度からイワンを貶めようと、イワンが「この町の主として上流婦人を中心とする集まりで」、話したという話を持ち出しました。イワンは、この地上には人間にその同類への愛を強いるものはない、愛があるとすれば、それは自然の法則によるのではなく、人

  • 5節 アーメンアーメン

    ゾシマが部屋に帰ると、残っていたイワンと二人の修道僧の間で、イワンが発表した論文を巡る、国家と教会の関係についての議論が始まっていました。自由主義者でインテリを自認しているミウーソフが、若僧のイワンに張り合おうと、そこに割って入ります。 議論の前半は

  • 4節 信仰の薄い貴婦人

    ゾシマが前節の初めの二組にやっと声をかけました。前節は、この人たちよりも身分が低く恵まれないように見えた人に先に声をかけたということでしょうか。そこにもゾシマの人柄が、あるいは信念が見られます。 ホフラコワ夫人は娘(リーズ・「リザヴェータの愛称をフラ

  • 3節 信者の農婦たち

    ゾシマ長老が「先に見えた人が、わたしを待っておいでですので」と部屋を出て、渡り廊下の前に集まっていた「農婦二十人ほど」と対面しますが、そのうちの七組が紹介され、長老のそれぞれへの対応が語られます。 車椅子の娘を連れた三十三歳の未亡人・ホフラコワ夫人、

  • 2節 年とった道化

    当てられた部屋にミウーソフとカルガーノフ、フョードルとイワンが入ると、そこには二人の司祭修道士(一人は「たいそうな学舎ともっぱらの評判」のパイーシイ神父)と一人の若者が長老を待っていました。作者はその中ではこの若者について一番多くを語ります。彼は市民の

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『カラマーゾフの兄弟』~その粗筋とつぶやき~
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