竹の秋失語の父に問へる母 父のベッドの端にちょこんと母が腰掛けている。「おとちゃん、和子やで」「
木枯やこころの家をさがす母 「帰りたいよぉ」泣きそうな声で母が言う。「ここがお母さんの家やで」と
台風の備へいつしか父に似る 父はかなり慎重で周到な人であった。台風が近づいてくるとの予報があれば
筍の季ごとに母を見舞ふ叔母 母は四人姉妹の次女だ。一つ上の姉も、二つか三つ下の妹ももういないので
人のほか老いを労る生き物を知らざるわれは人でありたし どんな生き物も子どもは大切にする。では、老
桜餅母ひと口に食へるかな 動きはスローモーだが、食べ方は腕白だ。今日はコントロールよろしく、桜餅
姉焼けるパンやはらかく冬に入る 姉はパン作りが趣味だ。毎週2回、パンを焼いて持ってきてくれたので
るる、らるる、老母の見ゐる小鳥かな 「る」「らる」は受身の文語助動詞である。口語の「れる」「られ
夕暮に庭掃く父や蟇の声 父の仕事を私が取り上げてしまった。父の負担を減らそうという考えからだった
はつなつの苺香れるわが家のくさかんむりは今も父なり 母が話しかけたり、呼んだりする相手は、断トツ
葱坊主病めるものみな一括り 認知症とのつき合いも長くなった。母があと何年生きるかは分からないが、
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