4.いくつかの補足・確認 �「自閉症」への《挑戦》とは? 「自閉症」への《挑戦》とは、「自閉症は治らない」という通説に挑戦するという意味である。「自閉症」の原因が何であれ、それが発達の障害だと考えられている以上、その発達を促進することは
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・27
《延滞模倣・観察学習》【要約】 人間行動における模倣の実用的価値は、延滞模倣に最もいちじるしくみとめられるが、それはどのような性質のものであろうか。 近年、“代理経験”あるいは“観察学習”として研究されている問題がこれに密接に関連している。
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・26
【要約】(ピアジェ・模倣の発達段階論)《第1段階》(0歳0ヶ月〜0歳1ヶ月) “反射を通じての模倣準備期”として特徴づけられる。他児の叫喚によって叫喚が生じるという一見模倣的な傾向は、�他児叫喚によって生じた不快が原因であると解釈するか、�
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・25
■模倣《ピアジェの模倣の発達段階論》【要約】 一口に“模倣”というが、そこには種々の次元、あるいは型の模倣が考えられる。そのおもなものはつぎの五つであろう。⑴ 即時模倣(直接模倣)と延滞模倣。前者は与えられた手本を即時模倣する場
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・24
4 模倣と遊び【要約】 ここでは、初期表象機能の最も活発で顕著な現れとしての、模倣と遊びについて考察し、それらが言語発達の過程とどのように関連するかを示唆したいと思う。 模倣と遊びとは同じ時期に発生し、平行して発達変化するものでありながら、
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・23
■初期の象徴活動【要約】 象徴機能の特性として、つぎの諸点が注目される。⑴ 必ずしも音声的に発現されず、しばしば非音声的行動に現れる。⑵ 欲求の充足に動機づけられていない。⑶ 対人的・社会的な性質がない。
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・22
■代表機能と象徴機能《“代表機能”と“象徴機能”の定義》【要約】 バーラインは、“象徴反応”についてつぎのように述べている。“行動主義的観点からすれば、記号と象徴とは二重の側面をもつ。それらは生活体によって作られた反応の産物であるとともに、
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・21
2 象徴機能の発生【要約】 言語行動を最も外見的にとらえるならば、それは一種の筋の運動である。きわめて複雑にはちがいないが、結局はそうである。しかし言語行動が高次の精神過程にその基礎をもち、それに規定された行動であるという面に注目しないかぎ
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・20
■喃語と談話【要約】 音声言語の種類を異にする社会に生まれた子どもの間で、最初のうちは、発する音声に差がない。この差が生じてくるのはいつごろからであろうか。また、このような発達的変化は連続的に移行するのか、それとも非連続であろうか。《喃語音
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・19
《外的強化と自閉的強化の共存》【要約】 ごく大まかにいえば、外的強化は対人場面で、内的強化はひとり場面で、主として作用すると考えられる。チャーチは、“幼児は他者に対すると同じ程度に自分に向かって話す。反応する聞き手が存在することを知って驚き
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・18
《自閉的強化説》【要約】 喃語活動は、子どもがひとりでいるときにも生じる。喃語活動が維持され、活発化する原因を、人から与えられる即応的強化にだけ求めるわけにはいかない。他の原因の一つとして、マウラー(Mowrer,1952,1954,196
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・17
■喃語活動の活発化【要約】 喃語活動は、談話活動の一般的な特性の発達的基礎と考えられるので、つぎの二つの問題を検討しておく必要があると思う。⑴ 喃語活動の活発化、あるいは生起頻度の増大⑵ 喃語にふくまれる音声の明瞭化
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・16
■喃語の反復性【要約】 喃語の反復性は、心理学的にはどのように説明されてきただろうか。《循環反応仮説》・ハートレー(Hartley,1810)、オールポート(Allp0rt,1924)、ホルト(Holt,1931)。“いま発声のための筋が活
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・15
■喃語の形式【要約】《喃語の音声面》 初期にはbaba....のような1音節単位の反復が多く、その後にbaba,baba,....のような反復性の多音節単位の反復が生じ、さらに、その後bama,bama,....のような非反復性の多音節を単
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・14
《非叫喚音の発生時期》【要約】 非叫喚発声ははじめから言語的特性を十分にそなえているわけではない。最も初期の非叫喚発声は呼吸運動によって大きな拘束を受けており、その音声の調音化は漸次的である。呼吸活動のもとで音声が多様化してくるということは
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・13
■非叫喚発声《非叫喚発声の発達的意義》【要約】 非叫喚発声は叫喚よりもよく統制された呼吸活動と調音活動のもとで生じる。叫喚よりも変化に富んだ発声である。叫喚が強力な発声であるため母親の注意をひきつけ、その結果として自己の欲求をみたすのに役立
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・12
2 喃語【要約】 喃語(babbling)は非叫喚音から成る一連の音声パターンをいう。それが談話と区別される点は、調音化がきわめて不十分であり、かつ意味が不明であり、伝達的意図に動機づけられていないということである。それは“意味のわからない
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・11
《育児者の役割・意味形成》【要約】 現実に対する子どもの認知は、成人(多くは母親)との接触を通じて形成されていく。それは成人の側からの積極的な働きを契機としている。成人が子どもの行為を子どもにとって興味のあるものにするための手段として、成人
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・10
《発声行動の手段化とその要因》【要約】 子どもはいつごろから外界刺激の特性に対応するような行為をするようになるのか。また、このことはどのように確証されるのか。 “(新生児は)手足をランダムに屈伸し、特殊な、つまり特性記述可能な行為をしない。
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・9
■初期音声における意味《叫喚の発達》【要約】 言語学者サーピアは、初期叫喚の“意味”に関連して「・・本能的な叫喚はどんな厳密な意味でも伝達(communicationn)とはならない。」(Sapia,1921)と述べている。初期の本能的叫喚
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・8
《音素型の測定と記述》【要約】 初期音声発達の解明に大きな貢献をしてきたのがアーウィンである。アーウィンを中心とする研究者の業績をアーウィン自身(Irwin,1952)がまとめたところによると、0歳2ヶ月〜2歳6ヶ月の間では次のような発達傾
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・7
【要約】 予期吸啜反応はいっそう直接的な、一部の子音生産の下準備となりうる。予期的に吸啜反応をしているときに呼気が生じると、これが唇音[p][b]、鼻唇音[m]、鼻歯音[n]を作り出す。歯舌音[t]の生じる可能性もある。このように吸啜反応は
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・6
《摂食運動と調音活動》 言語音声(母音・子音)を出すためには、呼吸活動と声帯の開閉との間の協応だけでなく、口腔の姿勢や運動を伴うことが必要であり、特定の言語音声を発するための特定の姿勢や運動は、“調音”(articulation)とよばれる
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・5
■その後の音声の変化《叫喚音声の変化》【要約】 単調だった初期叫喚は、まもなく変化を示しはじめる。それは発声の持続時間・リズム・強さ・高さ・音色などの上にあらわれる。ビューラー(Buher,C,1930)によると、少なくとも0歳3ヶ月にはこ
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・4
《叫喚と非叫喚との識別》【要約】 0歳1ヶ月ごろになると、叫喚よりおだやかで静かな音声がときおり生じはじめる。これは“cooing”とか“whining”とかいわれる非叫喚音である。それまでは声量の調節ということはできなかった子どもが、0歳
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・3
《新生児の叫喚》【要約】 新生児(生後1ヶ月間)が叫喚に費やす時間は全生活時間の5〜6%といわれている。これは、睡眠時間の70%と摂食時間の15%を考えるとき、おきていて吸乳していないときには、叫喚していることが非常に多いことを物語っている
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・2
1 乳児初期の発声【要約】 ‘うぶ声’にはじまる人間の発声は日々急速に変容して、まもなく明白な技能的統制が生じてくる。これと平行して、音声に‘意味’も感じられるようになる。これらの変化は明らかに人間の高次神経機構の整備によるものである。しか
「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・1
【序】 私は今、自閉症児の「言語発達」について考えている。「言語発達」の遅れは、自閉症児の行動特徴(症状)の一つに挙げられているが、助詞、助動詞、人称代名詞の誤用、紋切型で抑揚のない語調(口調)などが指摘されているだけで、その実相や原因はそ
2 いかに克服していくか⑴安全基地となる存在・愛着の原点は、親との関係で育まれる。愛着障害は、そのプロセスで躓いている。それを修復するには、親との関係を改善していくことが、もっとも望ましい。・しかし、親の方も不安定な愛着の問題を
《第6章 愛着障害の克服》1 なぜ従来型の治療は効果がないのか【難しいケースほど、心理療法や認知行動療法が効かない理由】・「心理療法」「認知行動療法」で効果が得られにくいのは、「愛着障害」という観点が導入されていないからである。・愛着障害や
《第5章 愛着スタイルと対人関係、仕事、愛情》1 安定型愛着スタイル【安定型の特徴】・安定型の第一の特徴は、対人関係における絆の安定性である。自分が愛着し信頼している人が、自分をいつまでも愛し続けてくれることを確信している。自分が困ったとき
《第4章 愛着スタイルを見分ける》【愛着スタイルが対人関係から健康まで左右する】・それぞれの愛着スタイルは、「作業モデル」と呼ばれる行動のプログラムをもっている。それは、幼いころからこれまでの人生のなかで作り上げられてきた、行動や反応の鋳型
【自分を活かすのが苦手】・不安定愛着型の子どもは、自分の可能性を試すことについて、過度の不安を感じたり、投げやりで無気力になったり、最初から諦めていたりしがちである。その結果、自分の可能性の芽を摘んでしまうことも多い。・愛着障害の人は、自分
【発達の問題を生じやすい】・子どもは愛着という安全基地があることで、安心して探索活動を行い、認知的、行動的、社会的発達を遂げていく。愛着は、あらゆる発達の土台でもあるのだ。愛着障害があると。発達の問題を生じやすい。・安定した愛着の子どもは、
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4.いくつかの補足・確認 �「自閉症」への《挑戦》とは? 「自閉症」への《挑戦》とは、「自閉症は治らない」という通説に挑戦するという意味である。「自閉症」の原因が何であれ、それが発達の障害だと考えられている以上、その発達を促進することは
�「対話」(言葉のやりとり)をする。 「自閉症」の定義の中に、第二の特徴として「言葉の発達の遅れ」が挙げられている。かつては、それをまず一次的な障害として考えられたこともあるほど、周囲には目立つ(気になる)特徴である。それは、要するに「
� スキンシップでかかわる 「スキンシップ(和製英語: skin-ship)は、母親と子供を始めとする家族関係にある者や、ごく親しい友人同士が抱きしめ合ったり手を握り合う、あるいは頬ずりするなど身体や肌の一部を触れ合わせることにより互い
� 「物のやりとり」をする。 乳児期、辺りにある物を手にとって渡す、「ありがとう」とこちらが喜ぶと、また手渡す。こちらが「もういいよ」と言っても、さらに手渡す。今度は、こちらがお菓子を手渡すと「アンガト」などと言って受け取る。「モット」「チ
⑷ 相手との「接し方」・� これからが、いよいよ正念場である。 まず初めに、相手とこちらの関係を見直し(振り返り)、《機は熟しているか》を判断することが大切である。�相手はこちらを見るか、�近づいて来るか、�視線を合わせる
�相手からの「働きかけ」に応える 子どもが激しく泣いている。そんな場面はどこでも見られるが、親にとってはあまり嬉しくない出来事かもしれない。何か異変が起きたのかと心配することは当然である。しかし、思いあたることがないのに泣いている。しか
�相手のマネをする。 マネをすることは、古くは「まねぶ」であり「まなぶ(学ぶ)」の語源であるとも言われている。したがって学習は《マネをする》ことから始まる。親と子ども、教員と子ども、という関係の中で《マネをする》のは子どもの側である、と
⑶ 相手との「接し方」・� �相手に働きかけない まず、相手と「同じ場所」「同じ時間」を共にする。つまり「相手と一緒にいる」ことから始める。「できるだけ長い時間、一緒にいる」ことが大切である。そのためには「寝食を共にする」こ
3.方法 ⑴ 調べる まず相手の「出生から現在まで」の《生育史》を「知る」必要がある。こちらの立場が「親」ならば、調べるまでもなく熟知している事柄であろう。・胎生期の状態・出生時の状態(時期、分娩の様子、産声の有無)・新生児期
2.こちらの心構え 「自閉症(スペクトラム)」と呼ばれる子どもや成人たちと「接し」、「かかわる」際の《心構え》について、いくつか述べたい。 ⑴ 相手を「自閉症」だと思わない。 相手を理解することは、「接し」「かかわる」際に、
◆はじめに 現状では「自閉症は治らない」ということが通説になっている。自閉症の原因は「脳の機能障害」だと《推定》されている。「親の育て方」が原因だと思われた時期もあったが、今、はっきり「それは誤りだ」と《断定》されている。 私自身も35
【あとがき】 現代では「哺乳びん」「紙オムツ」「ベビーカー」が育児の《三点セット》になっているようである。親にとっては、甚だ「都合のよい」便利で合理的な用品に違いない。しかし、育児は、それらに頼れるほど《便利》《安直》にできるものではない
⑷ 「自閉症児」(と呼ばれる子ども)の育児は、まず何を措いても、この「対人関係」に注目し、いつでも、どこでも、完全に「できる」ようになるまで、繰り返し「続ける」ことが肝要である。その具体的方法について、『言語発達の臨床第1集』(
⑶ (5歳頃までの)「自閉症児」(と呼ばれている子ども)の実態を「遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表」(九州大学小児科改訂版)」(遠城寺宗徳・慶應義塾大学出版会・1977年)で評価すると、子どもによって千差万別の違いがあるが、《「
⑵ 子どもは、「学習」を通して成長・発達する。「学習」とは「学ぶ」ことであり、「学ぶ」とは「真似る」ことから始まる。子どもは生後間もなく《親》と出会い、その《親》とのかかわりを通して、《親》の言動を「真似る」ことによって、成長・
4 いくつかの留意点・(1) 子どもが「自閉症児と呼ばれる」ようになるのは、通説では「自閉性障害のの基本的特徴は3歳位までに表れる」とあるので、早くて1歳半健診時、遅くて3歳児健診の頃であろう。したがって、その「疑い」もしくは「断定」を受
12 「自閉症児」の育て方・10・《まとめ》 「2 基本的な考え方」で述べたように、「自閉症」の《本態》は「人に関する関心・反応が乏しい」という一点に絞られる。したがって、「自閉症児」の《育て方》も、その一点、すなわち「人に対する関心・反
11 「自閉症児」の育て方・9・《「動作」のやりとり》 乳幼児は、これまでに述べた「泣くことによって人を呼ぶ」「笑顔のやりとり」「表情のやりとり」「声のやりとり」などを土台として、あるいは《それに伴って》「動作」のやりとりができるようにな
10 「自閉症児」の育て方・8・《「物」のやりとり》 「物」のやりとりをするためには、以下のようなレディネス(土台)が必要条件である。�触れた物を握っている(1か月)、�手を開いたり閉じたりする(1か月)、�手を口のもっていってしゃぶる(
9 「自閉症児」の育て方・7・《「声」のやりとり》 生後1か月頃になると、乳児は「泣く」とき以外にも「声」を出すようになる。授乳後、満足して、気分がいいときなど、「アー、ウー」「オックン」など、いかにも「話をしている」様子に見受けられる。
《二 登校拒否》【要約】・「登校拒否」は、最近わが国に多発している問題である。その特徴は「怠学」と対照的な傾向をもっている。�登校拒否は、家の中に閉じこもっているが、怠学は家の外を出歩く。�登校拒否児は知的に高く性格的にもよい子が多いが、怠
《第十一章 情緒障害各論》【要約】《一 日常生活と情緒障害 ・・諺を中心として・・》・われわれは、日常生活において、一過性ではあるが情緒障害を起こすことがよくある。・自分の心の中で、もっともコントロールしにくいのが情緒である。だから、情緒を
《第十章 教育と情緒障害》【要約】・ここでは、教育と情緒障害の問題を要約し、学業不振の問題について考えたい。・現在の教育を成立させている基本的な理念、考え方の誤謬を情緒障害の立場から論じる。一教師、一学校の問題ではない。教育行政の問題でもな
《二 情緒の変容を利用する》【要約】⑴自消作用を利用すること・情緒の変容は、ある種の情緒の発動を自ら消す効果をもっている。◎ぐち:ぐちは一種の甘えであって退行の一種と考えられるが、一種のカタルシスが起こって、ある程度の不愉快な感
《第九章 情緒障害の予防(精神衛生)》【要約】・要するに、C領域を成長することに成功すれば、かなりの情緒障害は防げるはずである。《一 C領域を成長させる》⑴経験を豊富にすることである。・C領域を育てるということは、情緒的な体験を
《三 情緒障害のメカニズム》・「情緒をとりまく心の構造図」(A領域=生理・心理的な領域、B領域=欲求・情緒、C領域=意欲・情操、D領域=知識・「情緒障害」のメカニズムを一言でいうなら「C領域が十分に成長していない状態である」といえる。・C領
《二 情緒障害の定義》◎情緒障害とは「情緒の現れ方の歪曲」である。・「現れ方」は、厳密には「情緒の動き方」「発動のしかた」という表現の方がよいかもしれない。・「歪曲」とは、次のような「動き方」を代表させた表現である。⑴普通一般の
《第八章 情緒障害の構造》《一 情緒障害はふえてゆく》【要約】・現代人のD領域は、社外の渉外的なことにのみ専念している社長のようなものである。自分の本来の仕事である部下や社員を調整したり指導したり、リードしたりする役割を捨ててしまった。した
《七 攻撃》【要約】・外からの刺激を受けて、自らの心情の中に、ある種の曲折が起こり、その結果としてそれらのものが表出される。そのことによって、自らの情緒的な不安定感・不快をいやそうとするメカニズムである。代償行為と合理化は、その表出される段
《四 合理化》【要約】・代償行動のかわりに、いかにも合理的・論理的な言葉で、自分の不愉快さを避けようとし、自分の行動を正統化しようとする心の動きを合理化と呼ぶ。・合理的な見せかけであり、「屁理屈」「いいわけ」「責任転嫁」が相当する。・情緒的
《第七章 情緒の変容様態》【要約】・情緒は、周辺にある要素との関係の中でどのような動きをするか。本項では、危機場面における「働き方」の特性について述べる。・情緒の動きが、もっともよく観察されるのは、その人間が困った場面に出会った時である。困
《二 教えることと育てること》【要約】・「教える」という働きと「育てる」という働きは、基本的に違った働きをもっている。・「教える」という働きは、ほとんど知識と技術を伝達することと解してよい。この働きを営むには、第三者の関係が、もっとも能率的
《第六章 情緒の力動》《一 情緒をとりまく心の構造》【要約】・心の中心部に、分析することの不可能な領域がある。心理的にコントロールすることもできない。「生理的・心理的な領域」(A領域と名づける)自律神経系と深い関係がある。夢の世界でこの領域
《第五章 欲求と意欲》《一 欲求と意欲の違い》【要約】・食欲・性欲・睡眠の欲求といった生理的な欲求と、獲得欲求(プラモデルが欲しい、100点が欲しい)、愛情欲求(かわいがられたい)は、基本的欲求と呼ばれ、人間の生得的にもっている欲求である・
《第四章 欲求と情緒》《一 盾の両面》【要約】・欲求と情緒は、盾の両面である。・情緒が現れるためには、そのベースに欲求がある。母親に家に「いてほしい」という欲求があって、それが阻止される(母親が家にいない)と、そこに「淋しさ」が生ずる。宿題
《二 感情の系列》【要約】・もっともプリミティブなものは原情である。感覚をベースにして、物象の触発によって生ずる感情である。「人」とは無関係、欲求もきわめて希薄という点で、情緒とは違う。「人」による欲求阻止もないし、衝動的な行動が「他人」に
《第三章 情緒と情操》《一 情操の特性》【要約】・感情の中には、情緒・原情のほかに、情操といわれるものが含まれている。ドラマに感動したり、文学や音楽に感動したりする心をいう。情緒のレベルより、いちだんと成長した感情であるといえる。◎情操の特
《第二章 情緒と風土》【要約】・情緒は、民族や文化によって根本的な規制を受けるものではなく、人類に共通のものである。しかし、ある種の情緒が風土の影響で、濃淡をもっているという事実はある。(暑いインドでは太陽が憎しみの対象になっているが、日本
《七 情緒のない世界》【要約】◎人間から情緒というものがなくなれば・・・・。・他人をうらんだり、憎んだり、怒ったりすることがなくなれば「傷害事件」は起こらなくなる。・ねたましい、のろわしい、うらやましい、うらめしいといった情緒がなくなれば、
《六 情緒と生理現象》【要約】・「病は気から」という考え方は、近代医学によって一度は否定されたが、病原菌による病気のほとんどが征服されるようになって、再び見なおされてきたようである・ヒステリーは、少なくとも精神的な原因によって一時的な身体症