俺の暮らしているマンションで孤独死があった。 といっても 俺のものではなく 老いた両親の持ち家である。 昨年離婚して以来 両親の家の仏間に居候している。 亡くなったのは老人ということだが 男性なのか女性なのかはわからない。 ところで俺はこの「孤独死」という言葉を聞くたびに 妙な違和感を感じてしまう。 すべての死は「孤独」なものではなかろうか? 四畳半のアパートで死のうと 大病院の個室で死のうと 一人きりで死のうと 大勢の家族に看取られながら死のうと すべての死は孤独なものではなかろうか。 すべての生が孤独なものであるように。 人は心という個室の中で生涯を生き 心という個室の中でひとりきり死んで…