茶話125 / 歌は世につれ
戦前から戦後に『支那の夜』『蘇州夜曲』などで活躍した女性歌手に渡辺はま子がいる。昭和11年3月に『忘れちゃいやョ』という曲を発表してヒットするが、三か月後の6月に発売禁止の処分になる。理由は、「あたかも娼婦の嬌態を眼前で見るが如き歌唱。エロを満喫させる」だった。♪月が鏡であったなら恋しあなたの面影を夜毎うつして見ようものこんな気持ちでいるわたしねえ忘れちゃいやヨ忘れないでネゝ(以下繰り返し)♪昼はまぼろし夜は夢あなたばかりにこの胸の熱い血潮がさわぐのよゝ♪風に情(なさけ)があったなら遠いあなたのその胸に燃える想いを送ろものゝ♪淡い夢なら消えましょに焦れ焦れた恋の火がなんで消えましよ消されましょゝ(詞:最上洋・曲:細田義勝)現代だったら、ほとんどの歌が発売禁止になってしまう。歌は世につれ世は歌につれ。黒澤明...茶話125/歌は世につれ
2024/02/29 16:32