2023年11月
兄二人が難しい話をしている間、居間に残されたセシルもまた難しい顔をしていた。 「はぁ……」ため息がこぼれたのは何度目か。 あの日、リックと慌ただしく列車に乗ってフェルリッジに舞い戻ってから、数日の間は気にしていなかったけど、もう一週間だ。いくらなんでも手紙のひとつも寄越さないなんてひどすぎる。今日の午後に出掛けたついでに郵便局で確認してみたけど、僕宛の手紙が届いている様子もどこかにまぎれてい…
一人で何もかも決めてしまうくせに、話し合おうなどとよくも言えたものだ。 サミーはエリックの言う通りに向かいの椅子に座った。嘘や誤魔化しがないように、しっかり顔の見える場所がいい。 「話し合いは済んだと思っていたけど?」まだ隠していることは大いにありそうだが、サミーは素知らぬふりで尋ねた。話したいことがあるなら聞く耳はある。 「さっきのは報告だ」 「報告ねえ……ずいぶんとざっくりした報告だ…
話すべきことは話した。すべてではないが。 エリックは尻に根の生えた二人を残して地階へ行き、グラントにひとつ用事を頼んだ。まずはサミーのためにブラックを呼び戻すことが先決だ。それと、自分のため――突き詰めればサミーのためだが――にカインを呼ぶ。プラットはいい顔をしないだろうが、どうせしばらく屋敷は空いた状態でやることもないなら、こっちで仕事をさせるまでだ。サミーの許可はあるとか何とか言っておけば…
2023年11月
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