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氷上の本棚 https://nikuatsubooks.hatenablog.jp/

鬼滅の刃二次創作。パロディばかり書いています。原作のキャラクターの性格、心の性質などを壊さぬように、丁寧に話を作りたいと思っています。お付き合いくださればとても幸せに思います。

にゃりつぃん
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2022/02/05

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  • ポッキーの日はもうこよみに載っている

    継国兄弟の後輩である冨岡義勇はポッキーの日に行われる宴会が嫌でたまらないのだが、買い出しのために出かけたスーパーで大量のポッキーを買っている縁壱とでくわす。

  • てとりす

    とっても短い話。 風呂から上がってみると、縁壱がスマホでテトリスをしていた。その下手くそさに苛々してしまう巌縁。

  • きらっと光る笹舟

    自分を犠牲にしても人に優しくする縁壱に時々苛々してしまう巌勝。喧嘩をしたという後輩さねぎゆを仲直りさせようと一肌脱ぐ決意をする。

  • 巌縁は晴れ間を逃す

    梅雨、長雨にふりこめられる継国兄弟。それぞれ好きな所を挙げる作文を書いて暇をつぶす。

  • 青天をつかまえる

    高校生になった縁壱たち。巌勝の態度はまだ冷たい。杏寿郎の勧めで縁壱は、彼と小芭内と共に、巌勝の心を動かす作戦を決行する。

  • 墨絵の春

    中二の双子。どんどん縁壱を好きになってしまう巌勝は、気持ちを抹殺しようと縁壱と距離を置き、彼女を作る。

  • 咲かない双子

    二人の関係に花を咲かせる準備をしようと、巌勝はデートを計画する。しかし予定の日には縁壱は集落の小鉄少年の所へ相談事を聞きに行くと言う。

  • 雪どけをすぎても俺たちの二月は

    小学校卒業前。六年間離れ離れになっていた縁壱が帰ってきて、双子は再会する。二人で観た映画のディスクは記念の物になるが、それは巌勝が友達に借りたものだった。

  • 照らされて 泣きたい気持ち 初日の出

    仲良しカップル継国ツインズだが、大晦日、巌勝が起こって出て行ってしまう。ひとりで年を越す事になった縁壱は別れる決心をする。

  • アニメを見たふたり【会話】

    鬼滅のアニメをみたほのぼの巌縁。その感想を語ってもらおうと思ったが、ただのほのぼのした会話に終わってしまった小説ではない何か。

  • エロくて純真(本文サンプル)

    晴れて恋人同士となった二人。キスの先へ行きたい巌勝だが、縁壱の澄み切った瞳を見ると、自分の愛情が汚いもののように思え、どうしても先へ進めない。

  • アニメを見たふたり【会話】

    ほのぼの巌縁、鬼滅のアニメを見る。 その感想をと思ったけどわりと脱線したりなんかしてやはりほのぼのした(?)。

  • 黒いサンタのプレゼント

    あかつき荘は皆出払って、巌縁だけのクリスマスイブに。巌勝なりにできる範囲で素敵なイブを演出しようと頑張るが、寒空の下、双子は家から閉め出されてしまう。

  • あどけない酷道(本文サンプル)

    夏休み縁壱への気持ちを捨てようと、恋人岬へひとり旅へ行った巌勝だが、帰ってくると今度は縁壱がひとり旅に出ると言い出す。

  • 君はガナッシュ、俺はチョコ

    バレンタインチョコを買うのでデパートへ付き合ってくれないかと、縁壱。誰か本命がいるのかと巌勝は悩む。

  • 五人善哉

    めでたく年明けを迎えたあかつき荘だが、さねぎゆはクリスマスにケンカをしたと言う。仲直りさせようと骨を折る面々。

  • 痣者の死にかた

    村に伝わる伝説は、原作と同じお話。痣が出現した巌勝は大いに慌てる。

  • 虫かごの双子

    里山暮らしの継国兄弟、古い農家で二人暮らし。長雨にふりこめられて洗濯物が乾かないと嘆く縁壱は、雨を止ませる妙案を思い付く。

  • コーヒーと牛乳(本文サンプル)

    (web未公開、サンプルのみ。同人誌『コーヒーと牛乳』に収録)あかつき寮で、小芭内のマスクが盗まれた。縁壱と一緒にマスクを探せと小芭内から命令されてしまう巌勝。

  • まかろん

    巌勝の縁壱への気持ちははっきりしてくる。

  • パイシート

    巌勝が縁壱への気持ちに気づいてゆくとても短いお話。

  • はじめてのクリスマス

    縁壱とコンビニへ買い出しに出かけた小芭内は、思いがけず彼からクリスマスプレゼントをもらう。

  • さよなら銀河

    自分が生まれて直ぐ捨てられた事を知った時から、どこか一部を失い、それが宇宙のどこかにあるという感じを捨てられずにいる小芭内。あかつき寮で仲のよい友達ができてもそれは同じだった。

  • 玉座の兄ちゃん

    入学して間もない頃の話。なぜか「頂点に立つ」と意気込み始めた実弥は、まず倒すべき相手に縁壱を選ぶ。

  • 数えても数えても、悲しみは余るけど

    兄上の回想。子どもの頃、引き離されそうになった双子はより強い絆で結ばれたのか。

  • ベンチの二人

    付き合い始めて間もないさねぎゆ。実弥は、何か物足りないと感じていた。

  • 本文サンプル『汀の二人』

    (web未公開、サンプルのみ。同人誌『純愛ギャロップ』に収録)実弥が泣いていたからなんとかして元気を出させたいと、義勇は縁壱に相談する。

  • 純愛ギャロップ

    『らせんしんどろーむ』以来少しずつ義勇への気持ちが変化してきた実弥。彼への思いを叫びたい心境なのだが……。

  • かれんなオトコマエ

    過去の出来事のせいで容姿コンプレックスを抱える小芭内だが、ばら組が産屋敷組発行の雑誌で専属モデルをすることになってしまう。

  • らせんしんどろーむ

    縁壱が探し続けていた双子の兄巌勝は案外近くにいた。彼は中学二年生。双子の再会。

  • 縁壱さん

    人間のお庭を守る植物ガーディアンの妖精たちとその鎹縁壱さんの日常。

  • エロくて純真(本文サンプル)

    晴れて恋人同士となった二人。キスの先へ行きたい巌勝だが、縁壱の澄み切った瞳を見ると、自分の愛情が汚いもののように思え、どうしても先へ進めない。

  • あどけない酷道(本文サンプル)

    夏休み縁壱への気持ちを捨てようと、恋人岬へひとり旅へ行った巌勝だが、帰ってくると今度は縁壱がひとり旅に出ると言い出す。

  • 虫かごの双子

    里山暮らしの継国兄弟、古い農家で二人暮らし。長雨にふりこめられて洗濯物が乾かないと嘆く縁壱は、雨を止ませる妙案を思い付く。

  • 痣者の死にかた

    村に伝わる伝説は、原作と同じお話。痣が出現した巌勝は大いに慌てる。

  • 水面のふたご

    連れ立って国を出る継国兄弟。王子として育った巌勝と軍隊へやられていた縁壱。弟にいい所を見せたい巌勝だがなかなかうまくいかない。

  • 照らされて 泣きたい気持ち 初日の出

    仲良しカップル継国ツインズだが、大晦日、巌勝が起こって出て行ってしまう。ひとりで年を越す事になった縁壱は別れる決心をする。

  • ふたごの革命

    生まれた頃から国が乱れていたため城の外へ出た事がなかった巌勝王子。とうとう革命が起こり、王家は倒れてしまう。

  • 水面のふたご

    ★『ふたごの革命』の続きです。とりあえず「ふたごシリーズ」としていますが仮の名前です。 ------------------------------ 三日歩き続けた。 駆け抜けるようにして裏道ばかりを通り、階段を上がり、坂を登り、山へ入った。山で二度の野宿。三度目もあるのかと巌勝が思っていると、急に足を止めた縁壱が、標識のように腕を伸ばした。人差し指の先を見る。 山の麓に、こじんまりとした夜景が広がっていた。明かりはぽつぽつとまばらだが、周りが真っ暗なため、とてもきれいだった。「街に行くのか?」 巌勝が訊くと、縁壱は手を下ろして腰に当て、頷く。「今日は宿で眠れますよ、兄上」「危なくないのか」「…

  • ふたごの革命

    革命が起こった。 王は捕らえられ、牢獄へ送られた。たくさんの兵士が死んだ。革命軍の兵士たちの歓声で、城壁は震え、石造りの城は崩れるのではないかと、巌勝は思った。 巌勝の潜む小屋の周りはひっそりと静かだった。城の、広大な敷地に作られた数々の物置の一つに、彼は隠れていた。王子であるからには、見つかれば必ず牢獄へ送られるだろうし、今も革命軍の奴らは自分を探しているだろう。出るに出られず、ずっとここに潜んでいる内、夜が来て、朝になり、もう二日経っている。時々小屋の中を歩き回りはするものの、三畳ほどの小屋であるから、大した運動にはならず、腰から足に痺れるような痛みを感じている。 巌勝は、自分に弟がいる事…

  • まかろん

    「暑い、暑い、すっごくあったまった!」 縁壱のひとり言は、声をはずませつつも、さほど音量は大きくない。 冬であるから、高校の寮は共有スペースも暖房で暖かい。二班に分かれての入浴で、縁壱の兄、巌勝は先の班になり、一時間近く前に入浴を済ませているから、もう体は冬モードだ。「暑いかもしれないけど、ちゃんと着ておかないと湯冷めするぞ」巌勝は弟を眺めながら言った。「もうちょっと、大丈夫」うっすら笑い、縁壱は持っていたバスタオルで髪をこするように拭いた。「おいで、部屋へ戻ろう。兄さんが髪を乾かしてやるから」巌勝は縁壱の二の腕を引っ張り、ソファから立たせた。「脱衣所のドライヤーで乾かせって毎日言ってるだろう…

  • パイシート

    がりまるという二年生がいる。 彼の事を考えると、巌勝は知らず知らず眉根を寄せてしまう。縁壱に言わせると「ノスリのような目をしている」らしい。 ノスリとは。お前はなんだ、ぽやぽやした顔をして。 巌勝は腕組みをして首を左右交互に傾けた。骨がポキポキ音を立てる。 ぽやぽやしているからがりまるなんかに好かれてしまうのだ。 そこまで考えて、頭蓋骨の内側にぶつかって跳ね返ってきた自分の勝手さに目を閉じる。「何を悩んでいるのだ難しい顔をして」 同室ではないのだが、継国兄弟の部屋に住み着いている小芭内が声をかけてきた。「別に悩んでは……いないけど」 小芭内は少し目を細めて巌勝を見る。「がりまるがさ、スーパー行…

  • はじめてのクリスマス

    伊黒小芭内にとってのクリスマスは「どうでもいい行事」であった。 高校生にもなってクリスマスなど――というのは、それまで家族などとクリスマスを楽しく過ごしてきた者が思う事なのだろうが。 小芭内はサンタクロースを信じた事がなかった。 よりちもそういう事を言っていたな。うっすら雪の積もった歩道に大きな足跡を残しながら少し先を歩く継国縁壱の背中を見る。ふわりふわりと名残のように降るまばらな雪が、彼の赤みを帯びた髪に着地するようで、その前に消えてしまっているようで、小芭内は目を細めた。 二人は寮から歩いて十分ほどの所にあるコンビニエンスストアへ向かっている。 今日は寮の仲間内でクリスマスのお茶会をする予…

  • さよなら銀河

    俺の母親は、あそこにはいない。 自転車を止め、伊黒小芭内は空を見上げた。少しかすんでいるが、ぽつぽつと星が見える。 夜だから、田舎の道はたいてい真っ暗だ。しかし今、小芭内が通っている道は幅の狭い川を挟んで交通量の多い車道があるため、車のヘッドライトと街灯のおこぼれにあずかり、わずかに明るい。「交通量の多い車道」といっても田舎の事だから、朝夕の通勤時間帯だけ田んぼの中の交差点に向かって車列ができる程度のものだ。夜の七時にもなれば、車も時折通るだけになるし、九時を過ぎれば交差点の信号も点滅信号に変わる。 俺の母親は、あそこにはいない。星になっていないから。あの人は生きている。 すぐそこの交差点で信…

  • 玉座の兄ちゃん

    一匹狼でこの学校の頂点に立つと、不死川実弥は決心していた。学校の頂点といえば、何か。片目を薄くつぶって少し考える。 王か。この掃き溜め高校の王。 掃き溜め高校だから、ガラの悪い奴らばかり集まっている。一年生から三年生まで、喧嘩が大好きな、拳をふるう機会を探してきょろきょろしているような奴ばかり。そんな学校で頂点に立つのだ。 一匹狼でというところが、実弥にとっては重要だった。 きっかけは単純だ。そういう映画を観た、それだけの事だ。主人公はたった一人で、襲いかかってきた他校のヤバい奴らを一掃する。そうして自分の通う高校の頂点に立ち、その地域の頂点に立つ。そして、愛する女と一緒になるのだ。しびれた。…

  • 数えても数えても、悲しみは余るけど

    縁壱の湯のみが割れた。 寮のいつもの五人でおやつを食べた後、マグカップやグラスを洗っていた縁壱が、湯のみの上にマグカップを落としてしまったのだ。 世界に一つしかない、兄弟揃いの湯のみだった。 小学五年生の頃、叔母が通う陶芸教室へ連れて行ってもらった時に二人で作ったものだが、作ったといっても、先生が作った湯のみに絵を描いて焼いてもらうだけだ。それでも兄弟は目を輝かせた。巌勝は自分の名前をでかでかと書き、縁壱は彼が「宇宙くらげ」と呼ぶ謎の生物の絵を描いた。彼は巌勝が名前を書いたのを見て、自分も名前を書くと言って、「宇宙くらげ」の横にのびのびとした字で「宇宙くらげ」と書いた。てっきり「縁壱」と書くの…

  • ベンチのふたり

    実弥は不安だった。 お互いの気持ちを知ってから半年。学年は違えど同じ寮で暮らしているから、生活の上での距離は近いと思う。リビングで、食堂で、すべての共有スペースで、一緒になればいつも隣に彼がいる。初めて会ってしばらくは、腹が立つほど不愛想だった彼もよく笑うようになった。 一年二組、不死川実弥。 二年五組、冨岡義勇。寮長。 だからなんだっていうんだ、事の本質はそこじゃない。リビングのソファに座る実弥は頭をふるふると振った。手にしているマグカップも一緒に揺れて、中のココアがこぼれそうになる。「あ、あ、あ」言いながら継国縁壱が向かいのソファに座った。彼が手にしているカップにはスープが入っている。粉末…

  • あかつき寮の鬼狩り君★設定

    舞台設定 学校名は未定だけど「掃き溜め高校」と呼ばれている普通高校。共学なのに敬遠されて女子が滅多に入って来ない。実弥たち一年生の時点で女子は〇人。事実上男子校。この高校に来る子は家庭に居場所がなかったり本当に家庭というものを持てなかった子が殆どなので、寮がある。それがあかつき寮。一時五〇人くらいいた寮生は、今20人くらい。一年生は実弥達四人だけ。二年生は冨岡先輩含み十人、三年生六人。冨岡先輩は近隣に出る鬼を狩っている(廃棄物から汚染されたところに湧く鬼で、原作の鬼とはちょっと違うけど、刀でぶったぎっている)。後に一年生の四人も鬼狩りに加わる。 各キャラメモ 継国兄弟 家は金持ち。巌勝は家出同…

  • 純愛ギャロップ ③純愛ギャロップ

    対決の朝がやってきた。 対決するのは若女将ではあるが、もし戦う事になればガーディアンズの出番であるので、皆少し緊張していた。今日はチェックアウトする客もおらず、ロビーに人はまばらだ。勿論、ばら組たち以外の妖精もいない。 先程巌勝の母が車でやってきて、息子を車の中へ引きずるように連れていった。旅程を伸ばすとメッセージしたものの、一方的で、承諾されていなかったようだ。相当しぼられるのではないかと炭治郎と民尾は心配している。「俺んちはガーディアンズがらみの事はたいてい大目に見てくれるからなぁ」と炭治郎。民尾は頷きながら「俺の所も大目にみるっていうか、無関心だからこういう時は便利」と言った。それもどう…

  • 純愛ギャロップ ②突撃と玉砕のキャンター

    「とっ、とと、ととととと冨岡ァ」 鼻息荒く、気合は十分、胸に充満して爆発しそうな義勇への想いを本人に伝えるぞと意気込む実弥だが、「冨岡」の一言を発声するのにこれほど舌がもつれるとは思いもしなかった。義勇は不思議そうな顔で実弥を見る。 ダメだ、不審がられちまった。どっと汗が出る。 二人は小学校のイナバ物置にあるカフェテリア横の弁当屋に来ている。夕方という事もあり、彼らと同じように注文しておいた弁当を取りに来たガーディアンたちがたくさんいる。カフェテリアでは軽食しか出さないので、夜ガッツリ食べておきたい者は、弁当を注文するか、湯屋の休憩所や本部のフードコートで夕食を取る事が多い。 カウンターで弁当…

  • 純愛ギャロップ ①疑惑のトロット

    冷麺をすする合間に不死川実弥は鼻をうごめかせていた。 こいつ、いい匂いがしやがる。 隣で冷麺を口に押し込むようにして食べている冨岡義勇の事である。 二人は朝から湯屋に来ている。湯屋は小学校のイナバ物置内にあり、彼らばら組の住む物置から妖精の飛行で五分もかからずに来られる。朝湯に入った時には皆たいていそこの休憩所で朝食をとる。 酢とごま油の香りの隙間を縫うようにして届く、湯上りの義勇から漂う香りは実弥の鼻腔だけでなく心もくすぐってくる。 ドキドキしてる場合か、野郎に。実弥は顔をしかめた。しかし気になるので「冨岡お前、なんか香水とかつけてんのかァ?」と訊いた。 義勇は麺を咀嚼しながら「なぜ?」と問…

  • かれんなオトコマエ ④とべ!オトコマエ

    相変わらず雨も風も強い。民尾の着替えを持って家を出た時にはまだ雨は降っていなかったため、雨合羽を着ずに自転車を飛ばす炭治郎はずぶ濡れになっていた。激しい雨粒は妖精たちにとってはかなり厄介なものだ。彼らはコバンザメのように炭治郎の腹の辺りにしがみついているが、縁壱は大きな雨粒をものともせず目を細めて炭治郎の横を飛んでいる。そんな彼を見て小芭内は、やはり縁壱さんはカッコいいなと思った。自分はあんな風にはできないと思う。しかし敵への闘志が萎える事はなかった。蜜璃の声が耳の奥にこだまする。 みんな絶対戻ってきて! すでに外へ飛び出していたためその表情は見えなかったが、心の中で小芭内は必ず戻ると、誰一人…

  • かれんなオトコマエ ③黒い鳥かご

    童磨の似顔絵が公開されてから三日が経った。 彼の居場所はようとして知れず、産屋敷耀哉も困っていた。まだ三日という気もするし、もう三日という焦りもある。前世で鬼殺隊に入る前忍びをやっていた宇髄天元は、あちこち聞き込みをして回っていたが、相手が人間であるので有力な情報を得る事は難しいようであった。人間の竈門炭治郎も協力してくれているが、まだ高校生である事もあり、危険が及んではいけないと、深入りしないよう耀哉に止められている。 北川巌勝こと継国巌勝は、自分も役に立ちたいとインターネットで童磨の事を調べてみたが、出てきたのは人間である事と投資家であるという事だけだった。詳しい情報がない事が、「投資家」…

  • かれんなオトコマエ ②きらっきらのさなぎ

    「モデル? って、何だ?」 義勇はぼよーんとした表情の無い顔を客に向けた。朝ご飯を食べた後の事で、薬を飲み、ひと眠りしようとしていた所だ。巌勝と民尾が体を鍛える決意をした日から二日後の事である。 客は本部からやって来た、産屋敷組の植物ガーディアンズ会誌『があでぃあんず』の編集部員素山夫妻であった。小芭内が自分のロフトベッドから、実弥がロフトベッドの下のデスクにもたれて、どちらも心配そうに見ている。「『があでぃあんず』の別冊、『ガーディアンズ』がとても好評だったので、暮らしの情報誌として毎月発行する事にしたのですけど――」編集長である素山夫人、恋雪が説明する。「写真を多く入れるために専属モデルを…

  • かれんなオトコマエ ①厄介な夢

    「おはようございます、お姫様」 声を掛けられ、小芭内はぎょっとして振り向いた。 にやにやしながら実弥が立っている。その横で義勇が深々と頭を下げ、「おはようございます、お姫様」と実弥の言葉を繰り返した。 お姫様とはなんだと言い返そうとするが、声が出ない。俺は男だぞ、何がお姫様だ! そう怒鳴りたい。「ああ! お目覚めに遅れちゃった! 目覚める直前が一番かわいいのに、お姫様!」叫びながら走ってきたのは甘露寺蜜璃。小芭内は心底焦った。なぜ甘露寺までが「お姫様」などと言うのだ。「かわいい」とはなんだ! 今の世には「かわいい」と言われて喜ぶ男もいるらしいが、俺は違うぞ、それは一番言われたくない言葉――ふわ…

  • らせんしんどろーむ ③らせんしんどろーむ

    「新しい血、もしかしたら義勇さんまだ血を流しているのかもしれない」炭治郎は移動を続けている。「冨岡が死んだなんて信じない、信じない」小芭内が言う。「誰が死んだって言ったよォ。オラ竈門早く探せェ」立ち直った実弥が炭治郎を急かす。 炭治郎はトラクターのある納屋へやってきた。 田植え機の上の血だまりを見付ける。皆、ざわめいた。「ここにスマートフォンが落ちている」縁壱が地面のスマートフォンを目ざとく見つけた。「一体何があったんだ……何かに襲われたって事は間違いないな」天元が言う。「とにかく匂いをたどります、まだ続いてます」 またそろそろ歩き出す炭治郎に、妖精たちは飛んでついていった。炭治郎は本日二度目…

  • らせんしんどろーむ ②ねじねじ交差点

    「わぁっ! これ……すげぇ!」 玄弥が歓声を上げ、義勇と炭治郎は顔を見合わせた。義勇が微笑むと、炭治郎はにっこり笑い「よかったですね」と言った。「さつきはちょっと元気ないけど、これはすごい、清水焼だ、かっけぇ!」玄弥は盆栽の周りを歩きながら鉢を眺めた。炭治郎は意識したことがなかったが、汚れの下の鉢は白くつややかで、鳳凰の絵が描かれていた。折り返したような縁にも細かい柄がぐるりと描かれ、三つ付いた脚も美しく彩られている。もしかすると高価な鉢なのかもしれない。鉢を眺めた後、玄弥は盆栽の根元に立ち、歩き回りながら植物の具合を調べた。途中、密かに生えていたキノコを抜く。「すまねぇな、キノコのあんちゃん…

  • らせんしんどろーむ ①ねじとねじで、ねじねじ

    「ばあちゃんのチューリップは妖精に守られてんのやで」 庭の隅にある花壇のそばに立ち、祖母がそう言ったのは三年前の事だった。彼女は、花壇だけでなくこの家の庭に植えられた全ての植物が妖精に守られているのだと言い、「巌勝は妖精、見たことあるか?」と、孫に訊いてきた。 巌勝は小学五年生だった。巌勝と言うからには、彼は前世では継国巌勝であり、継国縁壱の双子の兄であり、鬼舞辻無惨の元へ走り鬼となった黒死牟であった。彼は鬼のまま数百年を生き、鬼殺隊と戦い鬼として死んだ。そして、今世では人として生まれ変わった。彼は生まれ変わるタイミングが縁壱やばらトリオとは、ずれている。ばらトリオのかつての仲間たちでもそうい…

  • 縁壱さん

    今日もいつもの庭は穏やかな光に包まれ、春らしい雰囲気にあふれている。 ばらの妖精たち三人、リーダーの伊黒小芭内と仲間の不死川実弥、冨岡義勇は、朝から担当のバラの周りを飛び回ってかいがいしく世話を焼いていた。皆気分もよく、ケンカもせずに済んだので、正午前には仕事を終えて花壇を縁取る石に座り、休憩を取ることができた。 彼らは家や施設などの庭に人間が植え、頑張って世話をしている植物を守る、植物ガーディアン組織の一員である。人間だけに任せておいてまともに育つ植物など無いし、悪い妖精がわざと枯らしにかかる事もあるから、「仕方がないね、守ってあげよう」と、ガーディアンズの頭領、産屋敷耀哉が信頼できる妖精た…

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