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弁護士奥村徹の見解 https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/

児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人

弁護士奥村徹(大阪弁護士会)
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2022/02/05

  • 住居侵入+強制わいせつ罪(176条後段)は牽連犯、住居侵入+姿態をとらせて製造罪は牽連犯、住居侵入+強制わいせつ罪(176条後段)+姿態をとらせて製造罪はかすがい現象で科刑上一罪(東京高裁r5.10.12)

    控訴理由は被告人に有利な構成になっています。 東京高裁令和5年10月12日 判 決 上記の者に対する、住居侵入、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、「児童ポルノ法」という。)違反、準強制わいせつ、強制わいせつ未遂、住居侵入・強制わいせつ(変更後の訴因 住居侵入・強制わいせつ・児童ポルノ法違反)被告事件について、令和年月日地方裁判所支部が言い渡した判決に対し、被告人から控訴の申立てがあったので、当裁判所は検察官大澤新一出席の上審理し、次のとおり判決する。 理 由 本件控訴の趣意は、弁護人奥村徹作成の控訴趣意書及び控訴趣意補充書2通に記…

  • 「性的行為をしたことは間違いないが、相手は18歳と話して、現金を渡す約束もしていない」という弁解

    児童買春罪は、故意犯なので、「18歳未満と知りながら」が要件。対償供与約束+児童と知らなかったで犯罪不成立。 「対償供与約束がなかった」と言ってしまうと青少年条例違反になって、過失でも処罰される 新潟県青少年健全育成条例 (みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止) 第20条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。 2 何人も、青少年にわいせつな行為をさせてはならない。 3 何人も、青少年に第1項の行為を教え、又は見せてはならない。第29条 5 第20条第1項、第2項又は第3項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項又は第2項の規…

  • 子ども家庭庁によれば、3号ポルノは「こどもの性的な部位(※)を含む画像等」のようです。

    子ども家庭庁によれば、3号ポルノは「こどもの性的な部位(※)を含む画像等」のようです。 3号ポルノの定義は、「こどもの性的な部位(※)を含む画像等」ではなく、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」であって下着姿も含みます。どうして「こどもの性的な部位(※)を含む画像等」に限定するのでしょうか。 胸部に聴診器を当てているのは、2号ポルノの疑いがあります。 公然と陳列した場合は、目的を問わず、公然陳列罪(~懲役5年)です。 範囲を狭めても…

  • わいせつ電磁的記録記録媒体陳列被告事件、性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律違反被告事件東京地裁令和5年9月14日

    わいせつ電磁的記録記録媒体陳列被告事件、性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律違反被告事件東京地裁令和5年9月14日 「AV出演被害防止・救済法」「本法」とされています。 【判例番号】 L07831161 【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載 主 文 被告人Y1を懲役2年及び罰金150万円に、被告人合同会社Y2を罰金30万円に処する。 被告人Y1においてその罰金を完納することができないときは、金1万円を1日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。 被告人Y1…

  • 児童買春・児童ポルノ被害児童の 保護施策に関する検証・評価専門委員会の動き。

    児童ポルノ・児童買春独自の害悪というのがあるということで児童ポルノ・児童買春法ができて、その害悪を後から調査する条項ができたんですが、調査研究してみても、児童ポルノ・児童買春独自の害悪というのはよくわからなくて、「性犯罪被害」に含めて検討するようです。 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_456129.html 社会保障審議会(児童買春・児童ポルノ被害児童の保護施策に関する検証・評価専門委員会) 第4回 2021年3月18日 (令和3年3月18日) https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/0007…

  • 被害者をして裸体を撮影させる行為は「わいせつ行為」にあたらない。という主張

    古い未公開判例をチェックしていたら強要被告事件の高裁判例に、「(撮影させ・送信させる行為について)このような行為がその性質上当然に強制わいせつ罪に当たる行為とみることはできず,」というのがあったので、判例違反も主張してみる。多分「事案を異にする」という判示になる。 大阪高裁r2.10.2 すなわち,原判決が認定した原判示第1及び第3の各事実の要旨は,被告人が各被害者に対し,それぞれ脅迫文言を記載したメッセージを送信するなどして脅迫し,これによって被害者らを畏怖させ,被害者らに裸の姿態をとらせて自らこれを撮影させた上,その画像ないし動画データを被告人の携帯電話機に送信させ,又は送信させようとした…

  • テレビ会議ソフトのビデオ通話機能により被告人が視聴できる状態で、性器を露出させる姿態をとらせた行為は「わいせつ」行為に当たらないという主張

    これは4つ強要被告事件の高裁判例を4つ並べておけば十分。 地裁レベルでも、自慰行為させ+送信させでないとわいせつ行為と評価されていない。 ①広島高裁岡山支部H22.12.15*72 69 ②東京高裁H27.12.22 69 ③大阪高裁r2.10.2*73(奈良地裁葛城支部R02.3.30*74) 71 ④大阪高裁R2.10.27*75(奈良地裁葛城支部R2.2.27) 71 テレビ会議ソフトのビデオ通話機能により被告人が視聴できる状態で、性器を露出させる姿態をとらせた行為は「わいせつ」行為に当たらない 40 1 はじめに 40 2 「被告人の使用するパーソナルコンピュータのアプリケーションソフ…

  • 実子に対する強制わいせつ罪(176条後段)と児童ポルノ製造(那覇地裁R06.2.2)

    実子に対する強制わいせつ罪(176条後段)と児童ポルノ製造(那覇地裁R06.2.2) よくわからないけど、数回の製造罪は併合罪かなあ 【文献番号】25597989 強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件 那覇地方裁判所令和5年(わ)第285号、令和6年(わ)第1号 令和6年2月2日刑事第1部判決 調書判決 宣告日 令和6年2月2日 裁判所 那覇地方裁判所刑事第1部 罪名 A 強制わいせつ AB 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反 被告人 判決主文被告人aを懲役3年に、被告人bを懲役2年…

  • 愛知県条例では「 公共の場所又は公共の乗物(第三項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、人に対し、卑わいな言動をすること。」が処罰されるので、「匂いを嗅ぐ」でも「卑わいな言動」とされてしまいそうです。

    愛知県条例では「 公共の場所又は公共の乗物(第三項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、人に対し、卑わいな言動をすること。」が処罰されるので、「匂いを嗅ぐ」でも「卑わいな言動」とされてしまいそうです。 https://news.yahoo.co.jp/articles/00edc54e78f49f0484a36fa390794e5065e61003?source=fb&fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTEAAR2CpeDHb70KjkolQtwItYS24Wx_Kw4FRk9H2beuCRdeQOlBwmTOO6a…

  • 「欲望を抑えられず行為に及んだが、付き合っているつもりだった」という児童淫行被疑者の弁解

    https://www.sankei.com/article/20240422-E5HHCJY3T5MZHLWXF5ISVG5D6A/ 自身がプロデュースするアイドルグループの少女(17)にみだらな行為をしたとして、警視庁少年育成課は児童福祉法違反の疑いで、東京都世田谷区世田谷、タレントマネジメント容疑者を逮捕した。「欲望を抑えられず行為に及んだが、付き合っているつもりだった」などと容疑を否認している。 逮捕容疑は2~3月、3回にわたって自宅や都内のホテルなどで、少女が18歳未満であることを知りながら、みだらな行為をしたとしている。 同課によると、容疑者は「奥さんと別れるから待ってて」「アイド…

  • 同性愛という志向自体が被告人の非難可能性を高めるとは言えず、性的マイノリティであることを刑を重くする事情として取り扱うことは許されない(松江簡裁r05.12.12)

    「同性愛」を被告人・被疑者に不利益な事情として挙げることはときどきある。 例えば、同性の青少年条例の淫行を 「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、 ①青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、 ②青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。(最大判S60.10.23) という判例で検討する場合など、法律婚が認めらていないので、マイナス要素として考慮しているような気がする。こういうのもupda…

  • 児童ポルノ単純所持罪(7条1項)の無罪判決(大阪地裁r06.4.16)

    児童ポルノ単純所持罪(7条1項)の無罪判決(大阪地裁r06.4.16) 東京地裁H28、東京高裁H29の流れです。 無罪事件で用いられる文献・判例を紹介しておきます東京地裁のCG事件(東京地裁H28.3.15) https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=87027 では、34画像中31画像が無罪になっています。 ↓ 控訴審(東京高裁h29.1.24)で追認 d1law 被告人が、不特定多数の者に提供する目的で、衣服をつけない実在する自動の姿態が撮影された画像データを素材として編集した画像データである児童ポルノを製造し、同一のファイルを訴…

  • 青少年条例が、法律の範囲を超えて、16歳から17 歳までの者の性的行為の自由及びそれらの者との性的行為の自由を不当に制限するとして規定違憲をいう点は、同条例が、青少年をその健全な成長を阻害する行為から保護し、青少年の健全な育成を図ることを目的とするものであるから、前提を欠く(最決R6.4.8)

    青少年条例が、法律の範囲を超えて、16歳から17 歳までの者の性的行為の自由及びそれらの者との性的行為の自由を不当に制限するとして規定違憲をいう点は、同条例が、青少年をその健全な成長を阻害する行為から保護し、青少年の健全な育成を図ることを目的とするものであるから、前提を欠く(最決R6.4.8) 原判決はR5.12で、確定をR6.4以降に延ばすというミッションは達成。ほとんどは4ヶ月以内に棄却されるし、事実誤認だけだと上告趣意書差出最終日から2週間くらいで棄却されることもある。 そういうときは、控訴理由の段階で、最高裁の判断がない論点を挙げる。 よくわからないので、文献を羅列するだけの主張になっ…

  • 児童を脅迫して裸の画像を撮影・送信させた行為を、強要+児童ポルノ製造罪の観念的競合とした事例(佐世保支部r6.2.21)

    児童を脅迫して裸の画像を撮影・送信させた行為を、強要+児童ポルノ製造罪の観念的競合とした事例(佐世保支部r6.2.21) 最近は、強制わいせつ罪・不同意わいせつ罪+製造罪の観念的競合で処理されています。 「送信させ」をわいせつ行為とするのを躊躇して、強要罪で起訴されることがあるようです。 強要罪と製造罪とは併合罪とするのが判例です。強制わいせつ罪とは観念的競合。「一個の行為とは、法的評価を離れ、構成要件的観点を捨象した自然的観察の下で、行為者の動態が社会的見解上一個のものと評価される場合をいう。(最大判昭49・5・29)」というものの、構成要件的観点が捨象されていません。 東京高裁平成28年2…

  • 強姦・強制性交罪で懲役20年以上になった裁判例

    強姦・強制性交罪で懲役20年以上になった裁判例 最年少被害者 広島 地裁 H21.9.14 懲役30年 95罪 10才 師弟 大阪 地裁 堺 H21.3.19 懲役25年 13罪 18才 凶器 宮崎 地裁 H20.7.17 懲役20年 10罪 20才 霊能力 神戸 地裁 H24.7.19 懲役20年 08罪 05才 千葉 地裁 H24.8.28 懲役30年 06罪 11才 凶器 福岡 地裁 飯塚 H26.3.27 懲役23年 11罪 12才 交際相手の娘 名古屋 地裁 岡崎 H26.8.28 懲役26年 16罪 11才 師弟

  • アスリート盗撮の構成要件がまとまっていない

    法制審議会でも話題になっていますが、「広島県のケースのように迷惑防止条例を適用して対処しようにも、性被害に詳しい上谷さくら弁護士(東京)は「選手の全身を撮影している場合は単なるファンと同じで、罪に問えない」と話す。23年の刑法改正で性的姿態撮影罪が新設されたが、ユニホーム姿は「性的な意図の線引きが難しい」と対象外になった。」というよりは、アスリート盗撮の犯罪化を求める側が構成要件をまとめられなかった感じですよね。胸部・股間を強調して撮影・トリミングする行為の犯罪化 法制審議会 刑事法(性犯罪関係)部会 第5回会議 議事録 ○長谷川幹事 もう一点は、撮影の対象です。スポーツ選手のユニフォームなど…

  • 提供目的製造行為を、姿態をとらせて製造罪で起訴していいのか~4項製造罪と7項製造罪との関係

    提供目的製造行為を、姿態をとらせて製造罪で起訴していいのか~4項製造罪と7項製造罪との関係 島戸さんらの解説では、各項の製造罪の守備範囲は重ならないとされていたのですが、提供目的で姿態をとらせて製造したとか、ひそかに姿態をとらせて製造したような事案が出てきたので、最近はそうるさいこというなよ、優先順位はないよという高裁判例が続いています。 訴追裁量論でごまかしているような気がします。 島戸純「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」警察学論集57-08(2004.8.10) p97 ウ構成要件 第2項に規定するもののほか、児童に第2条第3…

  • 非接触型わいせつ行為の文献

    非接触型わいせつ行為の文献 薄井論文に引用されているとこ 薄井真由子「強制わいせつ罪における「性的意図」」植村立郎「刑事事実認定重要判決50選_上_《第3版》」 3「わいせつな行為」該当性の判断について (1)本判決の分析 本判決は,あくまで性的意図の要否について判断したものであって,性的意図を強制わいせつ罪の成立要件でないとしたことに関連して,行為者の主観的事情が「わいせつな行為」該当性の判断要素の一つとなることがあり得るとしたにすぎない。したがって,本判決は,刑法176条の「わいせつな行為」の定義を直接判示するものではない。もっとも,その判示内容からすると,「わいせつな行為」該当性について…

  • 「プールでの水遊び、泥遊び、体に絵の具を塗って遊ぶボディーペイント、乾布摩擦、内科検診など。その多くは下半身や胸などを露出した半裸の状態で、全裸の園児が掲載されているケース」は児童ポルノか

    「プールでの水遊び、泥遊び、体に絵の具を塗って遊ぶボディーペイント、乾布摩擦、内科検診など。その多くは下半身や胸などを露出した半裸の状態で、全裸の園児が掲載されているケース」は児童ポルノ罪か 3号ポルノの「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件の問題です。 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律 第2条 3この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の…

  • 「ひそかに、同所側溝内に動画撮影状態にしたスマートフォンを設置し、同スマートフォンで同側溝上を通行中の氏名不詳者12名が身に着けている下着の性的な部位を覆っている部分を撮影した」という性的姿態撮影罪は包括一罪(神戸地裁r6.1.26)

    「ひそかに、同所側溝内に動画撮影状態にしたスマートフォンを設置し、同スマートフォンで同側溝上を通行中の氏名不詳者12名が身に着けている下着の性的な部位を覆っている部分を撮影した」という性的姿態撮影罪は包括一罪(神戸地裁r6.1.26) 性的姿態撮影罪の保護法益は不同意わいせつ罪と接近した個人的法益だと説明されていますが、足下からの下着盗撮はわいせつ行為ではないので個人的法益が薄まって12人でも包括一罪になりますかね。 法務省逐条説明 第2章前説 【説明】 第2条から第6条までの各罪は、人の意思に反して性的な姿態を撮影したり、これにより生成された性的な姿態の記録を提供するといった行為がなされれば…

  • 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案(日本版DBS)

    www.cfa.go.jp 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律 目次 第一章 総則(第一条―第三条) 第二章 学校設置者等が講ずべき措置等(第四条―第十八条) 第三章 民間教育保育等事業者の認定等及び認定事業者等が講ずべき措置等(第十九条―第三十二条)第四章 犯罪事実確認書の交付等(第三十三条―第三十九条) 第五章 雑則(第四十条―第四十二条) 第六章 罰則(第四十三条―第四十八条)附則 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、児童対象性暴力等が児童等の権利を著しく侵害し、児童等の心身に生涯にわたって回復し難い重大な影響を与えるもので…

  • 送信型わいせつ行為の裁判例と、わいせつ行為とされた範囲

    「送信させ」までをわいせつ行為とするものが増えてきました。 高裁レベルでは、「撮影させ」までなら強制わいせつ罪になって、「送信させ」はわいせつ行為には含まれないとされていて、地裁でこの高裁判例を紹介すると、「送信させ」が引っ込んだりします。東京高裁平成28年2月19日 そして,③については,画像データを送信させる行為をもって,わいせつな行為とすることはできない。 以上のとおり,原判決が認定した事実は,強制わいせつ罪の成立要件を欠くものである上,わいせつな行為に当たらず強要行為に該当するとみるほかない行為をも含む事実で構成されており,強制わいせつ罪に包摂されて別途強要罪が成立しないというような関…

  • 児童に対する性犯罪に並行して盗撮行為が行われた場合の児童ポルノ製造罪の罪名について、姿態をとらせて製造罪説に仙台高裁r6.1.23が加わり、高裁判例レベルでは3対3で拮抗しました。

    児童に対する性犯罪に並行して盗撮行為が行われた場合の児童ポルノ製造罪の罪名について、姿態をとらせて製造罪説に仙台高裁r6.1.23が加わり、3対3で拮抗しました。 仙台高裁の事例は、当初、ひそかに製造罪で起訴され、大阪高裁r5.1.24の影響で姿態をとらせて製造罪に訴因変更され1審判決になったものですが、控訴審でひそかに製造罪が正解じゃないのかという法令適用の誤りが主張されたようです。 (1)姿態をとらせて製造罪説 ①大阪高裁H28.10.26*1(姫路支部h28.5.20*2) ②大阪高裁r05.1.24*3(奈良地裁R04.7.14*4) ③仙台高裁r6.1.23(仙台地裁r5.7.20)…

  • 小学校教師であった被告人が、勤務先の小学校の女子児童に対して行った、強制わいせつ1件、窃盗1件並びに盗撮による児童ポルノ製造5件及び建造物侵入、迷惑防止条例違反1件の各犯行につき、懲役4年を求刑された事案において、被告人の責任は重いといわざるを得ないが、被告人が反省の弁を述べ、既に児童に関わる仕事からは離れていること、前科のないこと、被告人の罹患するADHDの本件各犯行への影響について否定まではできず、被告人が治療を受け続けると述べていることなどを考慮し、懲役3年、保護観察付きの執行猶予5年間を言い渡した

    小学校教師であった被告人が、勤務先の小学校の女子児童に対して行った、強制わいせつ1件、窃盗1件並びに盗撮による児童ポルノ製造5件及び建造物侵入、迷惑防止条例違反1件の各犯行につき、懲役4年を求刑された事案において、被告人の責任は重いといわざるを得ないが、被告人が反省の弁を述べ、既に児童に関わる仕事からは離れていること、前科のないこと、被告人の罹患するADHDの本件各犯行への影響について否定まではできず、被告人が治療を受け続けると述べていることなどを考慮し、懲役3年、保護観察付きの執行猶予5年間を言い渡した事例(横浜地裁r5.12.6) 提供 TKC 【文献番号】 25596585 【文献種別】…

  • 被害者を欺してテレビ会議ソフトを起動させて裸にさせた行為は準強制わいせつ罪(札幌高裁R06.3.5)

    送信させるはわいせつではないという東京高裁h28.2.19を超えました。 札幌高等裁判所令和6年3月5日 (2)当裁判所の判断 以上の原判決の判断は、何ら不合理な点はなく、当裁判所も是認することができる。 これに対し、所論は、多岐にわ、たるが、結局、 ①原判示第1における被告人の行為は、遠隔地から被害者に対し、その裸体を撮影させるものであるが、被害者に直接接触するものではなく、被告人が被害者と対面するものでもないから、性的侵襲性は低く、更に被害者をして自慰行為等をさせるなどしたものでもないから、「わいせつな行為」とはいえない、 ②原判示第2における被告人の行為は、アプリケーションソフトのビデオ…

  • 間接正犯構成による性的姿態撮影罪(青森地裁r5.11.17)

    間接正犯構成による性的姿態撮影罪(青森地裁r5.11.17) じゃあ、児童ポルノ製造も間接正犯構成になるよね。 【判例ID】 28313774 【裁判年月日等】 令和5年11月17日/青森地方裁判所/刑事部/判決/令和5年(わ)120号 【事件名】 性的姿態等撮影被告事件 【裁判結果】 有罪 【裁判官】 小澤光 【出典】 D1-Law.com判例体系 【重要度】 1■28313774 青森地方裁判所 令和5年(わ)第120号 令和05年11月17日 本籍 (省略) 住居 (住所略) 無職 Y 平成14年(以下略)生 上記の者に対する性的姿態等撮影被告事件について、当裁判所は、検察官藤原裕里子及…

  • アスリート盗撮罪についての法制審議会の議論

    法制審議会 刑事法(性犯罪関係)部会 第5回会議 議事録 ○長谷川幹事 もう一点は、撮影の対象です。スポーツ選手のユニフォームなどが問題となってくるのですが、衣服に覆われているということでこの犯罪の対象から一律除外されるということはないようにというか、それも検討に残しておきたいと思っています。下着が明確に入ったら、それはそれでいいのですが、ユニフォームなどについても、これは、例えばスポーツジャーナリストの写真はどうだとか、そういう区別の難しさはあるのですが、実際に撮影されたものが、見る者をしてやはり性的な羞恥心を覚えさせるような形で、着衣の上からでも撮影されているようなものについては、犯罪化の…

  • スカート内下着撮影を試みたが短パンをはいていた場合は、性的姿態撮影罪の未遂(2条3項)か

    スカート内撮影の場合は、下着が見えてなかったら「性的姿態等」がないので、未遂にもならないでしょう。 更衣室盗撮・トイレ盗撮であれば、カメラを仕掛ければ、そのうち下着姿になる可能性があるが、公共の場所で行きずりのスカート内盗撮の場合だと、その機会には下着にならない。 法務省の逐条説明では未遂の事例として「結果として撮影に至らなかった行為の中には、例えば、撮影する目的で撮影機器をスカートの下に差し向けてシャッターを押したが、露光不足で撮影に失敗した場合など、法益侵害の危険性を創出するものも含まれ得ることから」という例が挙げられていますが、シャッター押しても、露光十分でも、下着が写らないので、法益侵…

  • 被写体児童自身には自身に対する性的搾取の契機を欠くため、児童ポルノ関連犯罪の主体ではない~仲道祐樹「児童ポルノ法の判例と理論的課題:自画撮りの問題をめぐって」警察学論集76巻12号

    被写体児童自身には自身に対する性的搾取の契機を欠くため、児童ポルノ関連犯罪の主体ではない~仲道祐樹「児童ポルノ法の判例と理論的課題:自画撮りの問題をめぐって」警察学論集76巻12号 法文上は児童も主体に含まれるのですが、Instagramなどで、児童が自発的に撮影済み画像を売っている場合でも児童には製造罪・提供罪は成立しないそうです。自撮りによるい供給は止まりそうにありません。 仲道祐樹「児童ポルノ法の判例と理論的課題:自画撮りの問題をめぐって」警察学論集76巻12号 以上をまとめると次の通りである。まず、自画撮り送信による姿態をとらせ製造罪は、描写および製造の点について、間接正犯としての構造…

  • わいせつ電磁的記録記録媒体陳列被告事件及び被告人両名に対する性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(以下「AV出演被害防止・救済法」という。)違反被告事件(東京地裁r5.9.14)

    職業選択の自由を主張されたようです。 東京地方裁判所令和4年刑(わ)第2969号、令和5年特(わ)第204号 令和5年9月14日刑事第16部判決 判 決法人の名称 合同会社a 代表者の氏名 b 職業 会社役員 b 昭和47年○○月○日生 被告人bに対するわいせつ電磁的記録記録媒体陳列被告事件及び被告人両名に対する性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(以下「AV出演被害防止・救済法」という。)違反被告事件について、当裁判所は、検察官倉田詩野並びに被告人両名につき私…

  • 16歳未満の者に裸体画像の送信を求めて送信させてしまった場合の、送信要求罪と不同意わいせつ罪の罪数処理

    16歳未満の者に裸体の送信を求めた場合の、送信要求罪と不同意わいせつ罪の罪数処理 最近の高裁判例では、撮って送るように求めると、撮影させた時点で不同意わいせつ罪(176条3項)になり、わいせつ行為そのものになります。他方、送信させる行為はわいせつ行為ではないとされます。そのうち、送信させる行為もわいせつ行為になる傾向です。 法務省の解説では、送信要求行為は、不同意わいせつ罪の予備的行為で、不同意わいせつ罪とは観念的競合になったり、牽連犯にうなったり、併合罪になったりするそうです。 (十六歳未満の者に対する面会要求等) 第百八十二条 3 十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為(第二…

  • アルバムコレクションの相談対応・取材について

    相談や取材申込みが相次いだので再掲しておきます。 https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2021/08/04/104519 単純所持罪では検挙事例がありますが、端緒はわかりません。 削除して刑事処分を逃れ、警察相談で捜索を勘弁してもらうくらいしかできません。相談事案はおおまかには ①知らないでダウンロードしたら、児童ポルノ的画像が混じっていた ②違法画像を期待してダウンロードしたら、児童ポルノだった ③アップロードした に分類されます。 日本語のサイトがあったようですが、管理者の国籍とか、どの国の警察が捜査しているのかという点については、知りません…

  • 少年による児童ポルノ製造行為による観護措置(小倉支部r5.10.16)

    少年による児童ポルノ製造行為による観護措置(小倉支部r5.10.16) 裁判年月日 令和 5年10月16日 裁判所名 福岡家裁小倉支部 裁判区分 決定 事件番号 令5(少ロ)2号 文献番号 2023WLJPCA10166002 上記少年に対する児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反保護事件について、令和5年10月6日、福岡家庭裁判所小倉支部裁判官がした観護措置決定に対し、同月14日、付添人から適法な異議の申立てがあったので、当裁判所は、次のとおり決定する。 主文 本件異議の申立てを棄却する。 理由 1 本件異議申立ての内容は、観護措置決定に対する異議申…

  • 性的画像要求罪(182条3項)が適用された事例は、結局、撮影送信させているので、要求罪は撮影させた不同意わいせつ罪に吸収されるんじゃないか。

    青少年条例の児童ポルノ要求行為の場合と同様、要求行為が発覚するのは、撮影・送信してしまってからになるので、要求されただけで被害申告されることはないので、常に撮影させた不同意わいせつ罪を伴うことになります。 牽連犯というより、観念的競合か吸収関係だと思います。撮影送信させるのを強要罪とした高裁判例では、全部併合罪とされていました。 なお、撮影させる行為をわいせつ行為を評価するのは、奥村説です 強要被告事件 広島高裁岡山支部H22.12.15*1(岡山地裁H22.8.13) 東京高裁H27.12.22*2(新潟地裁高田支部H27.8.25) では独自の見解とされましたが、 大阪高裁r03.7.14…

  • 「16歳未満であることを知りながら去年8月ごろ、この少女にわいせつな行為をさせました。そしてその映像をSNSのメッセージ機能を利用して自分の携帯電話に送信させた」という不同意わいせつの被疑事実

    判例では、「送信させる」はわいせつ行為とされません。 裁判例では、自慰行為させるが伴う場合に送信行為がわいせつと評価されることが多いようです。 大阪高裁r03.7.14*1(京都地裁R3.2.3*2)判決速報 2 なお,前記(3)は,Aに対し,前記ダイレクトメッセージ機能を使用して,その陰部,乳房等を露出した姿態をとって撮影して被告人のスマートフォンに送信するよう要求し,Aにそのような姿態をとらせてそれを撮影させたという強制わいせつの事実(令和2年8月27日付け起訴状記載の公訴事実第1)と,同要求をし,Aにそのような姿態をとらせてそれを撮影させた上,その画像データ2点を被告人のスマートフォンに…

  • 「送信させ」をわいせつ行為とした上で準強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪を観念的競合としたもの(大津地裁r5.10.26 確定)

    「送信させ」をわいせつ行為とした上で準強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪を観念的競合としたもの(大津地裁r5.10.26 確定) 判示第1は、当初起訴状は、児童ポルノ製造罪のみで、訴因変更で、準強制わいせつ罪が追加されたものです。 公訴事実の同一性がないという高裁判例が山ほどあるので、控訴して訴因変更の違法を主張すべきでした。 さらには、「送信させた」はわいせつ行為ではないという高裁判例も幾つかあるので、そう主張すべきでした。 第1〔訴因変更後の令和5年6月5日付け起訴状記載の公訴事実関係〕 A(氏名は別紙記載のとおり。以下「A」という。当時13歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、…

  • 児童ポルノ製造の包括一罪で科刑上一罪になりそうな「強制わいせつ、強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件」松江地裁R5.6.28

    児童ポルノ製造の包括一罪で科刑上一罪になりそうな「強制わいせつ、強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件」松江地裁R5.6.28 今井判事は多数回の製造罪を併合罪にされますが、高裁判例では包括一罪です。 こういうのは、児童ポルノ製造の画像があるので、強制わいせつ罪・強制性交罪についても写っている通りの公訴事実にされることが多いのですが、最近は、強制わいせつ罪と製造罪、強制性交と製造罪を観念的競合にする高裁判例が出ているので、同一児童に対する数回の製造行為を包括一罪にする高裁判例と合わせれば、かすがい現象で、科刑上一罪になりますよね。未…

  • 対償供与約束能力 10~12歳との児童買春事件

    裁判例をみると、10歳で対償供与約束能力を認めるようですが 性行為の意味を理解しないと、性交等の対価というのも理解できないと思うので、刑法の性的承諾能力(13歳)とは別個に観念できるのでしょうか? どうせ、6歳児童に「飴ちゃんやるから体触らせて」というのは、不同意わいせつ罪しか立てないわけです。 この辺は、児童買春罪ではなくて、不同意性交罪(177条3項)のみを検討すればいいと思います。 地裁 H17.9.29 (罪となるべき事実) 被告人は、平成17年2月26日、東京都渋谷区〈以下省略〉所在のホテル「b」において、A(当時12歳)が18歳未満であることを知りながら、同児童に対し、現金1万円の…

  • 高裁判例が混乱しているが、就寝中の児童の着衣を脱がして撮影する行為は、姿態をとらせて製造罪(7条4項)であって、ひそかに製造罪(同条5項)ではないこと

    高裁判例が混乱しているが、就寝中の児童の着衣を脱がして撮影する行為は、姿態をとらせて製造罪(7条4項)であって、ひそかに製造罪(同条5項)ではないこと 坪井検事によれば「ひそかに」とは,「描写の対象となる児童に知られることのないような態様で」 という意味と解説されているので、寝ている児童の前であからさまにスマホをかざしていると「ひそかに」には該当しません。 最近、5項製造罪でもいいという高裁判決が出ていますが、「賛同できない」とか「同項の製造に該当するとした原判決の解釈が誤りであるとまで断ずるには足りない」とかで、積極的な理由が付されていません。姿態をとらせて製造罪説は、法文に忠実で、文献と判…

  • 裸体を撮影送信させる行為について、高裁レベルでは強要罪説(岡山支部H22.12.15、東京高裁H28.2.19)から、強制わいせつ罪説(大阪高裁R03.7.14)に移りつつあるが、最高裁の判断がない状況。

    裸体を撮影送信させる行為について、高裁レベルでは強要罪説(岡山支部H22.12.15、東京高裁H28.2.19)から、強制わいせつ罪説(大阪高裁R03.7.14)に移りつつあるが、最高裁の判断がない状況。 警察に聞かれましたが、大阪高裁は実刑になっていますが、送信させる型強制わいせつ(リモートわいせつ型)は、量刑が軽めなので、1審と控訴審の未決が多くなっているのと、上告未決が何日もらえるかわからないのとで、上告できていません。 文献番号】 25470943 【文献種別】 判決/広島高等裁判所岡山支部(控訴審) 【裁判年月日】 平成22年12月15日 【事件番号】 平成22年(う)第100号 【…

  • マッサージ師が施術として乳房や陰部ないしその付近を触った行為が正当な施術行為であった可能性が否定できず、「わいせつな行為」があったと認めることはできないから、無罪であると判断した事例(松江地裁r5.1.25)

    裁判年月日 令和 5年 1月25日 裁判所名 松江地裁 事件番号 令3(わ)81号 上記の者に対する準強制わいせつ被告事件について、当裁判所は、検察官佐藤壇及び弁護人丸山創(国選)各出席の上審理し、次のとおり判決する。 主文 被告人は無罪。 理由第1 公訴事実の概要並びに争点及び判断の骨子等について 1 公訴事実の概要 被告人は、松江市〈以下省略〉において「a整骨院」(以下「本件整骨院」という。)の名称でマッサージ業等を営んでいたものであるが、施術を装って女性客にわいせつな行為をしようと考え、令和3年5月6日、同所において、別紙記載の女性客(以下「A」という。)に対し、Aが抗拒不能の状態にある…

  • 監護者性交罪の保護対象が「18歳未満」なのに、不同意性交罪(177条3項)の保護対象が「16歳未満」な訳

    監護者性交罪の保護対象が「18歳未満」なのに、不同意性交罪(177条3項)の保護対象が「16歳未満」な訳 立法担当者の解説なんですが、まとまっていません。 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律について法曹時報 第76巻01号 4.「性的自由に対する罪という説明」の限界 (1)性交同意年齢一性的判断能力 性交同意年齢とは、同意意の有無を問わずに性犯罪が成立する年齢をいう。 旧法では「13歳未満の者」とされていたが、かねて国連等からは引上げが勧(51)告されており、今回の改正では「16歳未満」へと引き上げられた。 もっとも、単純に16歳未満に引き上げられたわけではなく、被害者が13歳未満の場合に…

  • 性的意図はないことなどから「わいせつな行為」には当たらないと主張された事例(福島地裁r5.12.12)

    性的意図はないことなどから「わいせつな行為」には当たらないと主張された事例(福島地裁r5.12.12)大法廷h29.11.29が引用されています。 福島地方裁判所令和5年(わ)第36号 令和5年12月12日刑事部判決 判 決会社員 a 平成4年○○月○日生 会社員 b 平成5年○○月○○日生 会社員 c 平成6年○月○○日生 上記3名に対する各強制わいせつ被告事件について、当裁判所は、検察官門倉良則及び同永澤靖識並びに私選弁護人齊藤好明(被告人3名につきいずれも主任)各出席の上審理し、次のとおり判決する。 主 文被告人3名をそれぞれ懲役2年に処する。 被告人3名に対し、この裁判が確定した日から…

  • 青少年淫行+製造につき、500万円で示談した事例(大津地裁r05.11.16)

    青少年条例違反(淫行)というのは具体的な権利侵害はないとされています。 量刑理由にも「同種事案の量刑傾向を踏まえると、本件については執行猶予を付すことが相当である」とあるように、量刑相場としては、示談できなくても執行猶予はつきますよね 大津地方裁判所令和5年11月16日 主文 被告人を懲役2年に処する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の全部の執行を猶予する。理由 (罪となるべき事実) 起訴状記載の公訴事実と同一であるから、これを引用する(なお、この判決においては、公訴事実第1から第3の被害児童をA、同第4及び第5の被害児童をBと、それぞれ表記する。)。(法令の適用) 罰条 第1、第4 滋…

  • 「スカートとズボンが一体となった着衣」は「人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」に該当しないから、撮影に成功しても性的姿態撮影罪にならないし、撮影に失敗しても性的姿態撮影未遂罪にもならない。

    「スカートとズボンが一体となった着衣」は「人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」に該当しないから、撮影に成功しても性的姿態撮影罪にならないし、撮影に失敗しても性的姿態撮影未遂罪にもならない。 こんな服かな https://www.google.com/search?q=%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%A8%E3%8…

  • 撮影・送信させる強制わいせつ罪・不同意わいせつ罪における「わいせつ行為」とされる範囲

    強要罪の高裁判例では、 広島高裁岡山支部H22.12.15(岡山地裁H22.8.13) 東京高裁H27.12.22(新潟地裁高田支部H27.8.25) が送信させる行為はわいせつ行為ではないとされる。 強制わいせつ罪の高裁判例(大阪、大阪、札幌)でも「撮影させ」までが「わいせつ行為」とされています。 送信させる行為まで起訴されることが多く、弁護人が指摘しないと「送信させる」までわいせつ行為とされます。 裁判例を概観すると、「撮影させ」は性的意味合いが強くそれだけで「わいせつ」と評価されますが、「送信させ」は性的意味合いが弱く、自慰行為させるなどとの合わせ技で可罰性を帯びて「わいせつ」と評価され…

  • 中学生が、ふんどし姿で乱舞しながら無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)を祈る画像は、「正当な理由」がなければ、「対象性的姿態等」(2条1項4号)だけど、16歳以上の場合は、「人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているもの」だから「対象性的姿態等」に該当しない(2条1項1号)

    中学生が、ふんどし姿で乱舞しながら無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)を祈る画像は、「正当な理由」がなければ、「対象性的姿態等」(2条1項4号)だけど、16歳以上の場合は、「人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているもの」だから「対象性的姿態等」に該当しない(2条1項1号)。 https://article.auone.jp/detail/1/2/2/101_2_r_20240111_1704939142069375 地元の中学生から34歳までの男性が、ふんどし姿で乱舞しながら無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)を祈る勇壮な祭りだ。 ふ…

  • 18歳未満の児童を対象としたいわゆる乱交パーティー等を主催する中で被害児童らを複数の顧客に繰り返し引き合わせるなどしており職業的犯行といえること、5名の児童に対する合計8回に渡る児童買春の周旋、2名の児童に対する多数の児童ポルノの製造に及ぶと共に3名の児童に対して自ら児童買春した事例(京都地裁r05.7.13)

    18歳未満の児童を対象としたいわゆる乱交パーティー等を主催する中で被害児童らを複数の顧客に繰り返し引き合わせるなどしており職業的犯行といえること、5名の児童に対する合計8回に渡る児童買春の周旋、2名の児童に対する多数の児童ポルノの製造に及ぶと共に3名の児童に対して自ら児童買春した事例(京都地裁r05.7.13) 児童買春周旋罪は引き合わせれば既遂。 提供目的製造罪は、数回行われても児童ごとに一罪となっています。 京都地方裁判所 令和05年07月13日 主文 被告人を懲役2年及び罰金200万円に処する。 未決勾留日数中60日をその懲役刑に算入する。 その罰金を完納することができないときは、1万円…

  • 常習性とは行為者の属性と捉えるべきであるから、行為者が当該地方公共団体の区域外であっても、罰則をもって禁止されている違法な行為を繰り返していたという事実があれば、行為者にこの種違法な行為を繰り返す習癖、すなわち常習性を認めることができる。(名古屋地豊橋支判令和5年8月25日)

    常習性とは行為者の属性と捉えるべきであるから、行為者が当該地方公共団体の区域外であっても、罰則をもって禁止されている違法な行為を繰り返していたという事実があれば、行為者にこの種違法な行為を繰り返す習癖、すなわち常習性を認めることができる。(名古屋地豊橋支判令和5年8月25日) じゃあA県での卑わい行為とB県での卑わい行為を常習一罪にしてもよさそうですね。東京高裁h17はどうする 裁判年月日 平成17年 7月 7日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決 事件番号 平17(う)619号 事件名 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為の防止に関する条例(埼玉県条例)違反、公衆に著しく迷惑をかける暴力的…

  • 自撮りで自分の陰部画像を送信する行為は、 性的姿態等影像送信罪か

    これは法文から「人の」というのは「他人の」を意味しますので、 自分の陰部画像を撮影しても性的姿態等に該当しません。 自分の陰部画像送信は、わいせつ電磁的記録頒布罪とか、児童ポルノ提供(提供目的製造)が検討されます。 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和五年法律第六十七号) (性的姿態等撮影) 第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。 一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特…

  • 児童に裸体画像を送信させる行為は、「わいせつ行為」ではない。(広島高裁岡山支部H22.12.15 東京高裁H27.12.22)

    児童に裸体画像を送信させる行為は、「わいせつ行為」ではない。(広島高裁岡山支部H22.12.15 東京高裁H27.12.22) 送信させる行為は、児童ポルノ製造罪で取り込むしかありません。 弁護人はこういう高裁判例で切り込めばちょっと軽くなるでしょう。 東京高裁H27.12.22 (1)強要罪が成立しないとの主張について 記録によれば,原判決は,公訴事実と同旨の事実を認定したが,その要旨は,被害者が18歳に満たない児童であることを知りながら,同女に対し,要求に応じなければその名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して,乳房,性器等を撮影してその画像データをインターネットアプリケーション…

  • 児童に児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせた上,ひそかにその姿態を撮影するなどした行為と同法7条5項の罪の成否 東京高裁r5.6.16

    理屈としては4項が正解だと思います。 大阪高裁r5.1.24 4項説 東京高裁r5.3.30 5項説 東京高裁r5.6.16 5項説 大阪高裁r5.7.27 5項説 上告中 大阪高裁R5.9.28 5項説 上告中 また5項説の高裁判決が出ました。 寝ている児童をスマホを構えて撮影するのは「ひそかに」とは言えないと思いますが。 p108 判例タイムズNo.1514 2024.1 児童に児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせた上,ひそかにその姿態を撮影するなどした行為と同法7条5項の罪の成否 東京高裁r5.6.16 し…

  • 刑法の性犯罪(176条3項、177条3項)は16~17歳の者を「自らを客観視したり将来のことを予測する能力が十分に備わっておらず、また、他者からの承認を求めたり、他者に依存しやすいなど精神的に未成熟である上、身体的にも未熟であることから、相手方の言動の意味を表面的に捉えて軽信し、自己の心身への影響を見誤ったり、萎縮してどのような行動を取るべきかの選択肢が浮かばなくなったりするなど、相手方がいかなる者であっても、相手方からの影響にかかわらず、その相手方と性的行為をすることによる自己の心身への様々な影響につい

    刑法の性犯罪(176条3項、177条3項)は16~17歳の者を「自らを客観視したり将来のことを予測する能力が十分に備わっておらず、また、他者からの承認を求めたり、他者に依存しやすいなど精神的に未成熟である上、身体的にも未熟であることから、相手方の言動の意味を表面的に捉えて軽信し、自己の心身への影響を見誤ったり、萎縮してどのような行動を取るべきかの選択肢が浮かばなくなったりするなど、相手方がいかなる者であっても、相手方からの影響にかかわらず、その相手方と性的行為をすることによる自己の心身への様々な影響について理解し、自律的に判断して対処することができるには至っていない」ことはない者として扱うのだ…

  • 刑法の性犯罪規定(176条3項、177条3項)で刑法の保護対象外となった16~17歳には、性的行為の自由があるかを検討する際の文献

    刑法の性犯罪規定(176条3項、177条3項)で刑法の保護対象外となった16~17歳には、性的行為の自由があるかを検討する際の文献 2 青少年側の性的権利について 24 (1)未成年者の人権享有主体性 24 ※佐藤幸司 日本国憲法論 第2版P155 25 (2)青少年側の性的権利について 27 憲法と青少年―未成年者の人権をめぐって2021 28 村西良太「刑罰法規の不明確性と広範性―福岡県青少年保護育成条例事件―」『憲法判例百選Ⅱ 第7 版』(別冊Jurist No.246)有斐閣, 2019, pp.240-241 29 (3) 現行刑法は、青少年側の決定権を重視して、13~16歳に対する…

  • 16歳未満に、裸の画像を送信させた場合の罪名

    16歳未満に、裸の画像を送信させた場合の罪名 不同意わいせつ、性的姿態撮影等処罰法違反、わいせつ目的要求の各容疑 「画像を送らせたことに間違いありません と弁解してしまっているが、送信させたことは、わいせつ行為ではない。(東京高判平成28年2月19日(強要被告事件 判夕1432号134) 不同意わいせつ、性的姿態撮影等処罰法違反、わいせつ目的要求の各容疑で逮捕し、発表した。「画像を送らせたことに間違いありません。男同士のノリという感じでやっただけです」と供述しているという。捜査1課によると、容疑者は今年12月2日夜、生徒と教師の社会的な地位を利用し、同校の男子生徒に性的な画像を撮影するよう要求…

  • 仲道祐樹「児童ポルノ法の判例と理論的課題:自画撮りの問題をめぐって」警察学論集76巻12号

    仲道祐樹「児童ポルノ法の判例と理論的課題:自画撮りの問題をめぐって」警察学論集76巻12号 間接正犯構成は、未公開の高裁判決いくつかで否定されてます。鳥取県警の情報公開で出てきた。 強制わいせつ罪・不同意わいせつとの関係については、観念的競合とする高裁判決が3件(大阪、大阪、札幌)出ている。 わいせつ」とされる範囲は、東京高判平成28年2月19日(強要被告事件 判夕1432号134)が「撮影させ」までとしているのが効いていてだいたいそうなっているが、zoom生中継の準強制わいせつ事件が札幌高裁に係属した。 仲道祐樹「児童ポルノ法の判例と理論的課題:自画撮りの問題をめぐって」警察学論集 特別刑法…

  • 島本元気検事「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」及び「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の概要

    島本元気検事「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」及び「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の概要 1項2項で承諾のレベル下げたのに、13歳でも相手方と対等なら完全承諾可能としたのは矛盾しますよね。 「なお、本稿中、意見にわたる部分は私見である。」とありますが、法務省の逐条説明のパクリです 島本元気検事「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」及び「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の概要(その1)警察公論2024.1月号 イいわゆる性交同意年齢…

  • 「そういった意味では、もちろん議論はあり得ますが、5歳違う場合には、恐らく対等な関係性はおよそあり得ない、そう言えるからこそ、個別の関係性は一切考えなくて、年齢差の観点だけで処罰が正当化できるというふうに考えています。」

    「そういった意味では、もちろん議論はあり得ますが、5歳違う場合には、恐らく対等な関係性はおよそあり得ない、そう言えるからこそ、個別の関係性は一切考えなくて、年齢差の観点だけで処罰が正当化できるというふうに考えています。」 なぜ5歳差なのか、6歳差では絶対アウトなのか。 第一七七条(不同意性交等) 1 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつな…

  • わいせつ目的で誘拐した児童につき「就寝中のAの胸部が露出した姿態を被告人が使用する撮影機能付携帯電話機で撮影し」た行為を、ひそかに製造罪とし、誘拐罪と併合罪とした事例(横浜地裁r5.3.20)

    自ら乳房露出していない限りは、ひそかに製造罪ではなく姿態をとらせて製造罪です。 撮影はわいせつ行為なので、わいせつ誘拐罪とは牽連犯ですよね。 横浜地裁令和 5年 3月20日 事件名 わいせつ誘拐(変更後の訴因 わいせつ誘拐、神奈川県青少年保護育成条例違反)、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件 文献番号 2023WLJPCA03206013 理由 (罪となるべき事実) 被告人は 第1 ソーシャルネットワーキングサービスであるツイッターを介して知り合ったA(当時15歳)が家出願望を有することに乗じて、わいせつな行為をする目的で、同人を誘拐しよう…

  • 福祉犯を犯した医師・歯科医師の行政処分の厳罰化

    児童ポルノ単純所持には影響なし児童買春は倍くらいになっています。罰金刑確定してからでは手が打てません。製造罪とかで捜査受けて、捜査弁護の結果、単純所持に落ちると、戒告になったりします。起訴猶予になると、行政処分はありません。>>https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34428.html 児童買春等を行った医師・歯科医師の行政処分の量定の見直しについて 児童買春等を行った医師・歯科医師の行政処分の量定について、昨今の社会情勢も踏まえて次回の分科会から従前よりも処分を重くすることで合意した。 << 罪名 司法処分 行政処分 司法処分 行政処分日 公然わいせつ 10万…

  • 性的同意能力三分説(176条3項、177条3項)

    こういう思想によるものです。裁判官も知らないと思うので、機会があれば「知ってたか?」って聞いてみます。 13~15歳の不同意性交罪・不同意わいせつ罪については、被害者の承諾能力の程度によっては、量刑に影響がありうるでしょう。 16~17歳の青少年淫行罪については、承諾能力は完全(権利侵害はない)という主張に使えそうです。 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案【逐条説明】令和五年二月法務省 各条の第3項 (1) 総説 自由意思決定を有効にすることができるための能力の内実は、 ○ 行為の性的な意味を認識する能力(以下「意味認識能力」という。) ○ 相手方からの影響にかかわらず、性的行為をするこ…

  • わいせつ目的面会要求罪の趣旨は、グルーミング行為を性犯罪の前段階で止める趣旨であるのだけれど、同罪の検挙事例は、結果的にわいせつ行為が行われた事案であること

    わいせつ目的が否認されることがないように、不同意性交罪・不同意わいせつ罪が既遂になっているのとか、児童買春罪もあるのとかを選んで検挙しているようです。しかも性犯罪とは科刑上一罪。 (十六歳未満の者に対する面会要求等) 第百八十二条 1 わいせつの目的で、十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。 一 威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。 二 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。 三 金…

  • 朝日新聞は「取り締まりの対象は女性で、性別が男性の男娼は該当しない。」って言うけど、「売春」の定義上、男性が「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交する」と売春になり禁止されています。同性どうしだと性交にならないので、「売春」から外れます。

    朝日新聞は「取り締まりの対象は女性で、性別が男性の男娼は該当しない。」って言うけど、「売春」の定義上、男性が「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交する」と売春になり禁止されています。同性どうしだと性交にならないので、「売春」から外れます。 売春防止法 第一条(目的) この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、売春を助長する行為等を処罰するとともに、性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずることによつて、売春の防止を図ることを目的とする。 第二条(定義) この法律で「売春」と…

  • 男湯・男子脱衣場の男子生徒の裸は、一般人基準で「性欲を興奮させ又は刺激するもの」か

    男湯の女児画像の3号ポルノ該当性について判例があります 男湯で興奮している人を見かけることはなく、一般人基準だと、普通は興奮しないわけですが、 森山野田「よくわかる改正児童買春ポルノ法」P201 Q49 第7条第3項で、他人に提供する目的がないのに児童ポルノを製造する行為を処罰することにすると、親が自己の子どもの入浴、水遊びの情景を写真撮影する等の行為についても処罰の対象になるのではないですか。 A このような情景を撮影した写真に関しては、現行法第2条第3項第3号に該当するか否かが問題とされるのかもしれませんが、同号については、その要件として「性欲を興奮させ又は刺激する」との要件がついており、…

  • リモート強制わいせつ事件の「わいせつ」とされる範囲と、児童ポルノ製造罪との罪数処理

    高裁判例レベルでは、 わいせつは、「撮影させ」までで、「送信させ」は含まない 児童ポルノ製造罪とは観念的競合になるとなるはずです。 わいせつとされた範囲 児童ポルノ罪が起訴された場合の罪数処理 東京 地裁 H18.3.24 撮影送信させ受信して 観念的競合 大分 地裁 H23.5.11 撮影送信させ 併合罪 東京 地裁 H27.12.15 撮影送信させ 併合罪 高松 地裁 H28.6.2 撮影送信させ 併合罪 横浜 地裁 H28.11.10 撮影送信させ 松山 地裁 西条 H29.1.16 撮影送信させ 高松 地裁 丸亀 H29.5.2 撮影させ 岡山 地裁 H29.7.25 撮影送信させ 併…

  • 被告人がAに写真を撮影させて送信させた行為は、一連一体の行為として、性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもので、Aの性的自由を侵害する行為であるといえる。津地裁r5.8.18

    被告人がAに写真を撮影させて送信させた行為は、一連一体の行為として、性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもので、Aの性的自由を侵害する行為であるといえる。津地裁r5.8.18 東京高裁とか岡山支部によれば「送信させ」はわいせつ行為ではありません。 津地方裁判所令和05年08月18日準強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件送信型津地判令和5年8月18日D1-Law.com判例体系〔28313043〕 判決文 ■28313043 津地方裁判所令和05年08月18日 検察官 瀧沢万由花…

  • 「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること」により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、(177条1項)

    「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること」により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、(177条1項)城元検事も「8号については従来の強制わいせつ罪等には含まれていなかったとの評価もあり得よう。」とされています。 第百七十七条 1前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部…

  • 「膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの」

    「膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの」 「法制審議会の発言」というのは法案・法律にどう影響してるのかわかりにくいですよね。 法務省逐条説明 (3) 膣又は肛門に身体の一部(陰茎を除く。)又は物を挿入する行為であってわいせつなものを強制性交等罪として処罰する趣旨(第177条第1項) 膣又は肛門に陰茎以外の身体の一部又は物(以下、まとめて「異物」という。)を挿入する行為は、現行法上、強制わいせつ罪(刑法第176条)による処罰の対象とされているが、そのような行為については、近時の心理学的・精神医学的知見等を踏まえると、 ○一般的に他人にその内側に…

  • 13歳未満との児童買春罪について(メモ)

    こういう事案の児童買春罪の成否。 小学6年女子児童を買春した疑い 31歳の男を逮捕 SNSで知り合ったか(MBSニュース) - Yahoo!ニュース https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/20170309/1488703107 https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2022/02/15/174233 最近の刑法改正では児童側の性的同意能力が分析的に検討されているので、児童買春罪にも影響ありそうです。「13歳未満の者は、思春期前の年代の未熟な子供であり、一般に、性的な知識は乏しく、意味認識能力が備わってい…

  • 監護者と共謀して監護者でない者がわいせつ行為・性交した場合の、監護者わいせつ罪・監護者性交罪の成否について

    母親が知人と娘を性交等させるパターン 大津地裁(監護者わいせつ)松江地裁(監護者性交)を観測しています。 松原芳博「身分犯の共犯をめぐる諸問題」研修第904号 Ⅳ非身分者の行為に対する身分者の関与 報道によれば、令和5年9月27日、松江地裁は、交際相手Yの10歳代の娘Aと性交した男Xに監護者性交等罪(令和5年改正前の刑法179条2項)で有罪を言い渡したとのことである。Xは、Aの監護者には当たらないが、Aの監護者であるYに対してAとの性交を要求し、YがAにその要求を伝え、Xと性交するよう説得したことから、刑法65条を適用してYとの監護者性交等罪の共同正犯とされたもののようである(注27)。 同罪…

  • 「自殺願望や希死念慮等のある女性であればたやすく性交等に応じてもらえるなどと考え、」「 誘拐して同人と性交等しようと考え」というわいせつ目的誘拐罪と、青少年条例違反(淫行)は牽連犯だが、誘拐罪と児童ポルノ姿態をとらせて製造罪とは併合罪とした事例(横浜地方裁判所令和5年8月29日)

    「自殺願望や希死念慮等のある女性であればたやすく性交等に応じてもらえるなどと考え、」「 誘拐して同人と性交等しようと考え」というわいせつ目的誘拐罪と、青少年条例違反(淫行)は牽連犯だが、誘拐罪と児童ポルノ姿態をとらせて製造罪とは併合罪とした事例(横浜地方裁判所令和5年8月29日) わいせつ誘拐罪の「わいせつ」は、刑法176条のわいせつよりも広い概念で、売春させる目的なども含みます。 青少年条例の関係でも、裸体撮影行為はわいせつ行為です。 山口地裁h21.2.4は、わいせつ誘拐と製造罪を牽連犯とします。 東京高裁r5.10.12は、侵入と製造罪について、犯人の主観面で目的手段の結果であることを重…

  • 富山県青少年健全育成条例では「この条例の罰則は、青少年に対しては適用しない。」とされているのに、青少年が逮捕された事例

    弁解は、「この条例の罰則は、青少年に対しては適用しないはずだ」でお願いします。 具体的事案も東京高裁の事例とは違うので、勾留はしない方がいいでしょう。 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/788132 未成年同士の性行為で17歳少年を逮捕 県の条例違反で…「間違いない」と容疑認める 富山 富山県青少年健全育成条例違反の疑いで逮捕されたのは、富山県東部に住む会社員の少年(17)です。 警察によりますと、少年は2023年7月上旬、県東部で18歳未満の少女に対し、未成年であると知りながら、性行為をした疑いが持たれています。被害にあってすぐに、被害関係者から警察に…

  • 男性の胸を触るのはわいせつ行為か

    薄井論文によれば、男性の胸は保護が弱いようです。 https://www.hbc.co.jp/news/ba0dab7ff2dd38fca430e9b7133e86b2.html 不同意わいせつと不同意性交等の疑いで逮捕されたのは、札幌市西区に住む、不動産賃貸業の62歳の男です。 男は8月1日午後6時半から午後10時頃までの間に、道内に住む男性の自宅で、男性の同意がないまま、胸を触るなどのわいせつな行為や性交などをした疑いが持たれています。

  • 結婚詐欺は不同意性交罪にあたらない。法務省刑事局付梶美紗

    結婚詐欺は不同意性交罪にあたらない。 法務省刑事局付梶美紗「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」及び「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の概要(1)(エ) 「行為がわいせつなものではないとの誤信」及び「行為をする者について人違い」(改正後の刑法第176条第2項及び第177条第2項)の意義 「行為がわいせつなものではないとの誤信」とは、現に行われようとしている行為(実行行為)が、わいせつなものではないとの錯誤があることを意味するものであり、例えば、 ○真実はわいせつな行為であるのに、医療行為であると誤信している場合 な…

  • その他の姿態(刑法182条3項)とは膣と肛門をなめ、又はをなめられる姿態を想定しています

    その他の姿態(刑法182条3項)とは膣と肛門をなめ、又はをなめられる姿態を想定しています そう読むらしい 第百八十二条 3 十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為(第二号に掲げる行為については、当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。)を要求した者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。 一 性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること。 二 前号に掲げるもののほか、膣又は肛門に身体の一部(陰茎を除く。)又は物を挿入し又は…

  • 子ども相撲大会の上半身裸の画像は、「性的姿態」だから、正当理由があれば撮影が許容される。

    児童ポルノ法では、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ではないとして、除外されていたような気がします。 子ども相撲でも、小児性愛の人が撮影していると、正当理由がないとして、性的姿態撮影罪になるという解釈です。アスリート盗撮に寄せている可能性もあります。 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和五年法律第六十七号) 第二章 性的な姿態を撮影する行為等の処罰 (性的姿態等撮影) 第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。 一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等…

  • 1軒に侵入して2人にわいせつ行為をした場合は、科刑上一罪~ いわゆるかすがい現象について(東京高裁r5.10.12)

    東京高裁r5.10.12 (3) いわゆるかすがい現象について 住居侵入罪と準強制わいせつ罪及び強制わいせつ未遂罪をそれぞれ牽連犯とした原判決の判断に誤りはない。 そして、強制わいせつ罪及び強制わいせつ未遂罪が併合罪の関係であるとしても、同一の住居侵入罪を介して全体が科刑上一罪となるとした原判決の判断にも誤りは認められない。 また、前記(2)で説示したとおり、住居侵入罪と児童ポルノ製造罪を牽連犯とした原判決の判断にも誤りはなく、強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪が併合罪の関係にあるとしても、同一の住居侵入罪を介して各々の強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪を含む全体を科刑上一罪とした原判決の判断に誤…

  • 9/4 15:50ころ「福井市内のスーパーマーケットの多目的トイレ内で、10歳未満の小学生女児の口周辺をなめるなど、わいせつな行為をした」不同意わいせつ容疑で逮捕して、「福井市内のスーパーマーケットの多目的トイレ内で、10歳未満の小学生女児の裸体を撮影した」性的姿態撮影処罰法違反(撮影)と児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで再逮捕した事例

    9/4 15:50ころ「福井市内のスーパーマーケットの多目的トイレ内で、10歳未満の小学生女児の口周辺をなめるなど、わいせつな行為をした」不同意わいせつ容疑で逮捕して、「福井市内のスーパーマーケットの多目的トイレ内で、10歳未満の小学生女児の裸体を撮影した」性的姿態撮影処罰法違反(撮影)と児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで再逮捕した事例 撮影行為は、児童ポルノ製造罪と評価しようと、性的姿態撮影罪と評価しようと、わいせつ行為ですからね。 一罪一逮捕一勾留の原則違反ですね。弁護人は準抗告 法務省の解説でも、観念的競合になり得るとされています。 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記…

  • 住居侵入罪と強制わいせつ罪は牽連犯(東京高裁r5.10.12)

    実は判例がなかったので確認しておきました。 (1) 住居侵入罪と強制わいせつ罪の関係について 所論の指摘は多岐にわたるが、その主な論拠は、①両罪に客観的牽連性が認められない、②牽連犯の規定そのものに合理性が乏しく廃止論が根強い上、かずがい現象で処罰範囲が限定されることになる解釈は、性犯罪の厳罰化が15 要請される現在の価値観では維持できないはずである、③住居侵入罪と強制わいせつ罪を牽連犯とする最高裁判例はなく、住居侵入罪と強制性交等罪を牽連犯としている判例も現在では合理性を欠いている、④特に第3事件では、「正当な理由がないのに」侵入したという認定に留まり、住居侵入罪と強制わいせつ罪の間の牽連性…

  • 就寝中の強制性交(後段)・強制わいせつ罪(176条後段)に変更されて児童ポルノ製造が行われた事案で、当初ひそかに製造罪で起訴されたが、姿態をとらせて製造罪に訴因変更された事例(仙台地裁r5.7.20)

    就寝中の強制性交(後段)・強制わいせつ罪(176条後段)に変更されて児童ポルノ製造が行われた事案で、当初ひそかに製造罪で起訴されたが、姿態をとらせて製造罪に訴因変更された事例(仙台地裁r5.7.20) 裁判所も気付かずひそかに製造罪で審理していたところ、大阪高裁r5.1.24が回覧されて、修正されたもよう。 提供 TKC 【文献番号】 25596042 【文献種別】 判決/仙台地方裁判所(第一審) 【裁判年月日】 令和 5年 7月20日 【事件名】 強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ、準強制わいせつ被告事件 【裁判結果】 …

  • 児童を使用する者の年齢確認義務・遊客の年齢確認義務

    使用者につき「本来は身分証の現物を確認しなければならない」という報道ですが、判例上は、身分証を確認しても有過失とされています。 遊客については、まず児童買春罪が検討され、年齢を知らなかったという弁解が通れば児童買春罪は不成立になります。次に青少年条例違反(過失の淫行)を持ち出されることがあって、その場合の注意義務は、使用者と同じとされています。青少年条例を持ち出すのが間違っていますが、弁護士も知らないので、結構遊客が青少年条例違反で罰金になっている事件があります。 どっかの警察がいい加減にまとめた判例があります。 【判例】 ◎ (昭和30年10月18日東京高裁) 児童を接客婦として住み込ませよ…

  • 就寝中の強制性交(後段)・強制わいせつ罪(176条後段)に変更されて児童ポルノ製造が行われた事案で、当初ひそかに製造罪で起訴されたが、姿態をとらせて製造罪に訴因変更された事例(仙台地裁r5.7.20)

    就寝中の強制性交(後段)・強制わいせつ罪(176条後段)に変更されて児童ポルノ製造が行われた事案で、当初ひそかに製造罪で起訴されたが、姿態をとらせて製造罪に訴因変更された事例(仙台地裁r5.7.20) 裁判所も気付かずひそかに製造罪で審理していたところ、大阪高裁r5.1.24が回覧されて、修正されたもよう。 提供 TKC 【文献番号】 25596042 【文献種別】 判決/仙台地方裁判所(第一審) 【裁判年月日】 令和 5年 7月20日 【事件名】 強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ、準強制わいせつ被告事件 【裁判結果】 …

  • 強制わいせつ罪(176条後段)とその際の姿態をとらせて製造罪を混然一体と記載した公訴事実について、訴因不特定ではないとしたもの(大阪高裁r5.9.28) 観念的競合でいいみたいですよ。 撮影までなら強制わいせつ罪(176条後段)だが、媒体記録までだと強制わいせつ罪(176条後段)を超えていて、、児童ポルノ製造罪になるとか言って併合罪にされていました。 公訴事実=原判決罪となるべき事実 被告人は、 A(当時12歳)が13歳未満であることを知りながら、同人にわいせつな行為をしようと考え、令和5年10月7日午後7時19分頃から同日午後8時30分頃までの間に、別紙記載の場所において、同人に対し、その陰…

  • 性犯罪・福祉犯の際の撮影行為を、ひそかに製造罪としたもの

    こういう事案は姿態をとらせて製造罪です。 奈良地裁の例 第1 A(当時15歳)が睡眠中のため抗拒不能状態にあることに乗じ、Aにわいせつな行為をしようと考え、10月3日午前3時33分頃、被告人方において、前記状態であるAに対し、下着をずらした上、直接その陰茎を手指で触り、もって人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をし、 第2 判示第1の日時場所において、Aが18歳に満たない児童であることを知りながら、Aに対し、ひそかに、被告人がAの陰茎を露出させる姿態、被告人がAの陰茎を手指で触る姿態を被告人の動画撮影機能付き携帯電話機で動画として撮影し、その動画データ2点を同機の内蔵記録装置に記録させて保存し、…

  • 監護者性交未遂の場面をひそかに製造罪で起訴したが、姿態をとらせて製造罪が認定された事例(名古屋地裁r5.6.23)

    監護者性交未遂の場面をひそかに製造罪で起訴したが、姿態をとらせて製造罪が認定された事例(名古屋地裁r5.6.23) 性交しながら撮影するのは「性交する姿態とらせて」と評価する高裁判例が幾つかあります・ 判例番号】 L07850705 監護者性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、監護者性交等未遂、準強制性交等被告事件 【事件番号】 名古屋地方裁判所判決/令和3年(わ)第1298号、令和3年(わ)第1680号、令和3年(わ)第1853号、令和3年(わ)第2151号 【判決日付】 令和5年6月23日 【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載 第3 【…

  • 児童が覚醒して裸でいるのを視野外からスマホで撮影する行為はひそかに製造罪(東京高裁R5.3.30 大阪高裁r5.9.28)だが、児童が熟睡中にスマホで撮るのは、姿態をとらせて製造罪(大阪高裁r5.1.24)

    児童が覚醒して裸でいるのを視野外からスマホで撮影する行為はひそかに製造罪(東京高裁R5.3.30 大阪高裁r5.9.28)だが、児童が熟睡中にスマホで撮るのは、姿態をとらせて製造罪(大阪高裁r5.1.24) 児童を描写する行為の客観的態様についての要件だからカメラを構えてあからさまに撮るような場合は、「ひそかに」にならない筈ですが。 「客観的」と言いながら、児童が具体的に気付いていれば「ひそかに」ではなく、具体的に気付いていなければ「ひそかに」になるいという解釈になっています。 坪井麻友美「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」(法曹時…

  • 本法7条5項において「前二項に規定するもののほか」と規定されているのは、実体的に3項製造罪又は4項製造罪に当たるものを除くという趣旨ではなく、3項製造罪又は4項製造罪として処罰されるものを除くという趣旨と解される。(大阪高裁r5.7.27 大阪高裁r5.9.28)

    本法7条5項において「前二項に規定するもののほか」と規定されているのは、実体的に3項製造罪又は4項製造罪に当たるものを除くという趣旨ではなく、3項製造罪又は4項製造罪として処罰されるものを除くという趣旨と解される。(大阪高裁r5.7.27 大阪高裁r5.9.28) 就寝中の児童に準強制わいせつ罪とか準強制性交してその際に撮影した場合の罪名について、姿態をとらせて製造罪(大阪高裁r5.1.24)なのか、ひそかに製造罪(大阪高裁r5.7.27 大阪高裁r5.9.28)なのかという議論です。 大阪高裁は「本法7条5項において「前二項に規定するもののほか」と規定されているのは、実体的に3項製造罪又は4…

  • 結婚詐欺とか、詐欺買春の事例は、不同意性交にはならないようだ(捜査研究)

    結婚詐欺とか、詐欺買春の事例は、不同意性交にはならないようだ(捜査研究) 法案の逐条説明の解説が出てきました。 https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2023/08/26/083717 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案【逐条説明】 3各条の第2項 性的行為が行われるに当たって、その相手方に何らかの錯誤が生じている類型については、同意の前提となる事実の認識を欠くものの、当該行為を行うこと自体について外形的には同意が存在するという特殊性があり、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し又は全うすることが困難な状態」にあったかどうかで犯罪の成否を区…

  • かすがい外し~住居侵入+強制わいせつ罪(176条後段)+姿態をとらせて製造罪で逮捕されて、強制わいせつ罪(176条後段)+姿態をとらせて製造罪で起訴されて有罪になった事例

    かすがい外し~住居侵入+強制わいせつ罪(176条後段)+姿態をとらせて製造罪で逮捕されて、強制わいせつ罪(176条後段)+姿態をとらせて製造罪で起訴されて有罪になった事例 オッサンがいきなり児童の寝室に現れてわいせつ行為と製造行為をやったみたいになってる。 侵入罪を起訴すると、侵入罪と強制わいせつ罪(176条後段)は牽連犯になるとして、製造罪と侵入罪との罪数処理がよくわからないので、起訴しないことがある。かすがい現象になっているかもしれないので、弁護人は指摘して欲しいな。処断刑期が10年か13年かという重大問題です 女児にわいせつ行為の疑い 2018.03.30 朝刊 24頁 静岡版 (全25…

  • 「性犯罪についての捜査資料から被害者の少女数人の体の画像をスマホで撮影」する行為は、児童ポルノ製造罪には当たらない。

    製造していることは間違いないわけですが、立法者解説では、所定の目的(提供・陳列)もなくただ複製行為するだけというのは製造罪に当たらないと説明されています。 こっそり複製しているので「ひそかに製造罪(7条5項)」になるように読めますが、 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後) 7条5項 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。 判例(最決r1.11.12)は、一次製造者(撮影者)が…

  • 前科隠して採用された報道 DBS関係

    前科隠して採用された報道 記事検索でヒットするのはこれくらい。 教員は、公務員の欠格になるが、不徹底だった。 ベビーシッターとか塾講師は免許もなく、前科による欠格もないので、フリーパスだった。 2017年、教え子ら5人にわいせつ行為をした愛知県知立市の小学校臨時講師の男が、埼玉県の小学校教諭だった4年前にもわいせつ事案で逮捕され、処分歴を隠して再採用されていたことが発覚。読売新聞 最近でも今年6月、女子児童への強制わいせつ容疑で逮捕された福井県坂井市の小学校教諭の男は、15年前にも別の女児の胸を触り、自宅待機になっていたが、同市教委は把握していなかった。読売新聞 それは、2008年から埼玉県の…

  • 中3との性的行為が、青少年条例違反で検挙されたり、不同意性交罪で逮捕されたり

    観念的競合になるんですかね。青少年条例は刑法の補完だから、刑法が適用される場合には、条例は引っ込むんじゃないでしょうか 16歳未満と知りつつ、18歳未満と知りつつ、自分が5歳以上年上であることを知りつつ、と多段階で年齢認識が問われます。 「16歳未満と知っていた」というのは、自白に頼ることが多いので、黙秘させるか、警察が信じるタナー法では15歳と16歳の裸体を見分けることはできないので、それを逆手にとって、「陰毛もありました」「ボインでした」とかと説明させることになるでしょう。 (不同意性交等) 第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない…

  • 「売春類似行為(神奈川県迷惑行為防止条例9条1項5号)」とは「男性が対償を受け、又は受ける約束で、不特定の男性と性交類似行為をすることをいう。

    売春防止法は、「性交」ですが、条例では「男性との性交類似行為」を規制しています。 売春防止法 第二条(定義) この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。 第三条(売春の禁止) 何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。 神奈川県迷惑行為防止条例 第 9 条 何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。 (5) 売春類似行為をするため、客引きをし、又は客待ちをすること ・・・ 神奈川県迷惑行為防止条例逐条解説(2014年月) 「売春類似行為」 男性が対償を受け、又は受ける約束で、不特定の男性と性交類似行為…

  • 日本版DBS制度では初犯対策も万全?

    DBSでは排除できない初犯の性犯罪を判例DBから挙げてみました。 https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/archive/2023/09/05保育士・ベビーシッター・教員・コーチによるわいせつ事件では、前科前歴が指摘されていないこと - 児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com) 結構、件数も多くて刑期も長い事件が多いのですが、これはDBSでは排除で…

  • 「再犯率」は,犯罪により検挙等された者が,その後の一定期間内に再び犯罪を行うことがどの程度あるのかを見る指標

    「再犯率」は,犯罪により検挙等された者が,その後の一定期間内に再び犯罪を行うことがどの程度あるのかを見る指標 https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/63/nfm/n63_2_5_1_1_4.html 犯罪白書h28 コラム 犯罪統計における「再犯」とは?-再犯率と再犯者率の違い- 再犯は,一般に,一度罪を犯した者が再び罪を犯すことをいうが,犯罪統計においては,再犯に関連する指標が,その目的に応じて異なる意味・内容で用いられている。ここでは,誤解を招きやすい「再犯率」と「再犯者率」の違いについて説明した上で,「再犯率」の意味を正確に理解する上で重要なポイントについても考えて…

  • 児童ポルノ提供1件の事案で、編集行為を主張して懲役1年6月を求刑した事例(静岡地裁r5.2.17)

    2項提供罪だと思いますが、1件だと普通は罰金です。 編集行為は目的製造罪(4項)で、提供罪とは併合罪の関係にあるので、編集行為を処罰したいのであれば、製造罪も起訴しておく必要があります。 第七条(児童ポルノ所持、提供等) 2児童ポルノを提供した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。 3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。…

  • 保育士・ベビーシッター・教員・コーチによるわいせつ事件では、前科前歴が指摘されていないこと

    d1-law 横浜地裁 H28.7.20 懲役26年 ベビーシッター (量刑の事情) 量刑上最も重い犯罪である殺人罪についてみると,その犯行態様は,体重が100kgを超える被告人が,2歳児であるIの鼻口部を少なくとも3分から5分間にわたって手で塞ぎ続けるなどというものであって,両者の体格差は歴然としており,現場が逃げ場のない密室内であったことにも照らして,抵抗は不可能に近く,凶器を使用していなくても,生命に対する危険性の高いものであったといえる。しかも,かなり強い力で数分間にわたって塞ぎ続けるという態様から,突発的に生じた犯行であるとはいえ,強固な殺意に基づくものと認められる。以上によれば,本…

  • 教員・保育士・シッターによるわいせつ事案の量刑理由

    判例DBから令和の事件の量刑理由が抽出しました。 教員・保育士・シッターによるわいせつ事案の量刑理由をみても、前科の指摘はありません。 日本版DBSでは初犯のわいせつ事件に対応できないことを示そうと思ったんですが、件数が多すぎて集計できません。 横浜地裁 H28.7.20 懲役26年 ベビーシッター (量刑の事情) 量刑上最も重い犯罪である殺人罪についてみると,その犯行態様は,体重が100kgを超える被告人が,2歳児であるIの鼻口部を少なくとも3分から5分間にわたって手で塞ぎ続けるなどというものであって,両者の体格差は歴然としており,現場が逃げ場のない密室内であったことにも照らして,抵抗は不可…

  • 援助交際の機会の強制性交の無罪判決(大津地裁R5.2.3)

    被害者の調書だけですね。 強盗・強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制性交等、強姦被告事件 大津地方裁判所判決令和5年2月3日 【判示事項】 1 適応障害のため公判廷に出廷できないとされた被害者の検察官調書が刑訴法321条1項2号前段の書面に該当するとされた事例 2 上記調書の信用性が否定された事例 【参照条文】 刑事訴訟法321-1 刑事訴訟法318 【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載 【一部無罪の理由】 第1 E事件の公訴事実の概要等 令和3年10月1日付け起訴状記載の公訴事実(以下「E事件の公訴事実」という。)は、「被告人は…

  • やっぱり「本改正により規定を明確化することによって、これまで現行法の下でも十分な当罰性が認められるにもかかわらず、性犯罪に直面した被害者の心理や行動に関する理解が十分に深まっていなかったことともあいまって、実務上、起訴や有罪の認定をちゅうちょすることがあり得た事案が処罰されやすくなるという意味においては、実際に処罰される事案が多くなる可能性がある」という改正だったな

    やっぱり「本改正により規定を明確化することによって、これまで現行法の下でも十分な当罰性が認められるにもかかわらず、性犯罪に直面した被害者の心理や行動に関する理解が十分に深まっていなかったことともあいまって、実務上、起訴や有罪の認定をちゅうちょすることがあり得た事案が処罰されやすくなるという意味においては、実際に処罰される事案が多くなる可能性がある」という改正だったな 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案【逐条説明】令和五年二月法務省 ○第176条(不同意わいせつ)及び第177条(不同意性交等)【説明】 1趣旨及び概要 現行の刑法第176条から第178条までの罪は、性的自由・性的自己決定権を…

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