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  • ホーネック指揮チェコ・フィルのチャイコフスキー5番

    1-3楽章は空振りといったところか。第四楽章、狂気から生み出されたホーネックの独自な解釈が生まれた。 Poco piu animatoを狂気に満ちた熱情と解したホーネックは漫画的な速さでアッチェレラント(加速)で演奏した。 ホーネックは296-307小節まで、狂気的な速さで...

  • 装飾音符を演奏したリーニフ指揮プラハ・フィルハーモニアのモーツアルト38番

    オクサーナ・リーニフ(1978-)が楽譜にない装飾音符を演奏したことで古楽器派のモーツアルト指揮者であることが判明した。かつ大変な名演であった。 第一楽章。 121-123小節のホルンはf明記ながら、アンスネスとリーニフはこのfをそれ以上に強調していたところで、並みの指揮者...

  • ローカル色満載ポペルカ指揮プラハ放送響のドボ8番

    ペトル・ポペルカ(1986-)はウィーン響を解任されたエストラーダの後任になった人だ。余程の実力のある人と見たが、ローカル色満載でドボルザーク8番を指揮した。それはCD録音でよく聞く演奏とは異なって、異色な演奏となった。 小生はマンフレット・ホーネックを天才と崇めている信者...

  • エッシェンバッハ指揮NHK交響楽団のブルックナー7番

    今夜のN響ライブ放送の圧倒的な喝采に、躊躇せざるを得ないのであるが、エッシェンバッハ不調説を唱えたい。 第一楽章、199-122小節の金管の曖昧模糊なテンポの落とし方に賛成できかねた。 今回のエッシェンバッハのポコ・リタルランドは、奇しくもハイテインク指揮ウィーン・フィル(...

  • ヤノフスキ指揮NHK交響楽団のブラームス1番

    ヤノフスキのブラームス交響曲1番は、ドイツの正統派の演奏を披歴するというよりは、結構独自の解釈を前面に出したものであった。(2024・4・13) その最たるものは第一楽章のコーダに現れた。 495小節「メノ・・アレグロ」のホルンの強調は歴然としていた。楽譜はpだが、ヤノフス...

  • 独創的だったデュフレーヌ指揮東京フィルのベルリオーズ『幻想』交響曲

    女性新人指揮者のクロエ・デュフレーヌ(1991-)の『幻想』は独創的な響きが随所で聞こえた。東京フィルに初登場であるそうだ。 第一楽章、「夢・情熱」で、490小節。 490小節のテインパニは、楽譜は8分音符2つになっているが、フランスの伝統では4分音符1つで打つようである。...

  • 十代目市川団十郎(1882-1956)の謎を解く。富豪刑事・富豪同心・富豪歌舞伎役者

    華麗なる柳田国男の一族(長兄松岡鼎の再婚者が十代目団十郎の姉) 大正天皇の貞明皇后の前で松岡天才四兄弟に言及する人がいると、田舎に兄さんが一人いると松岡鼎(1860-1934)の名前を、貞明皇后が挙げたという逸話が残されている。この人の後妻が十代目市川団十郎の姉...

  • 大野和士指揮東京都交響楽団ブルックナー3番(4月3日ライブ)

    4月3日ライブというと今日です。まだライブになっていません。今から19時間前投稿というと、4月2日4時ということになります。午前のリハーサルということになりますか。 面白いですね。4月3日午後7時サントリーホール開演の演奏を一足先に耳にしました。といことで、一足先に大野和士...

  • NHKスペシャル『未解決事件下山事件』とジャーニー喜多川

    1949年『下山事件』が起きて、70年が経過して下山事件も風化して、分かったことがある。もう少しも重大事件でなくなった。そこで初めてNHKは大胆にもアメリカの謀略だと断定したことである。 西武の堤清二と柳田邦男との対談で、堤は共産党員の在籍と細胞活動からアメリカの謀略を認め...

  • 連続テレビ小説『ブギウキ』最終回と笠置シズ子の時代

    今日で『ブギウキ』最終回となりました。笠置シズ子の死まで演じられるのかと思ったら、意外でした。ブギウキの女王として戦後闇市、まさにオキパオト・ジャパン占領下の日本を代表する歌手でした。 笠置シズ子のものまねで出てきた美空ひばりに、歌手の座を奪われる笠置シズ子は喜劇女優として...

  • サリンジャーとボブ・ディラン「私はこの世から忘れられ」

    「私はこの世から忘れられ」とは、グスタフ・マーラーの歌曲だが、カルロス・クライバーの伝記の副題になっている。この人もマスコミの寵児にして「私はこの世に忘れられて」派の隠遁生活を好んだ。(ちなみに夫人の故郷である東欧の小国に住居して、スロベニアは桃源郷のような純朴で美しい土地...

  • サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』と「完全なる問題作」(NHK)

    その作品は善か悪か。人々の議論を巻き起こす問題作に迫るドキュメンタリー。「キャッチャー・イン・ザ・ライ」。世界的ベストセラーは何故全米で禁書処分を受けたのか?(NHK) 暴力的な描写や不道徳な表現、ジョン・レノン殺害の犯人やレーガン大統領暗殺未遂の犯人が愛読していた『ライ麦...

  • 世界初のプロの女性指揮者ベロニカ・ドゥダロヴァ(1916-2009)

    ドゥダロヴァはロシアの指揮者、1944年ないしは1947年にプロの指揮者になった。女性の社会進出はソビエトでも奨励され、その建前でプロの指揮者の道を歩み出すことが出来た。アメリカでもそれは試みられたが、成功には至らず挫折の映画化がされている。そういう点ではお題目があることは...

  • 何故彼らはブルックナー4番初稿版1874年版に憧れるのか

    2024年ブルックナー生誕200年記念年、驚くべきことはかくも1874年版初稿版の録音の多岐な数に及ぶことだ。 再度注意喚起すれば、この指揮者たちには新旧2派に分かれる。全く年齢による分類なのだが、新旧両派にまたがるのがエリアフ・インバルで、この人が又初稿版1874年版を最...

  • アカデミー賞受賞の『オッペンハイマー』とバービー人形

    映画『オッペンハイマー』と映画『バービー人形』が同時期に公開されて2つとも大ヒットした。アメリカの観客は2つは同じと判断したという。2つは男の物語・女の物語で、アメリカの代表的なインテリ男・白痴美人かつ1960年代のアメリカンである。そういえばケネディ大統領と女優マリリン・...

  • スタインバーグのブルックナー4番の盤歴

    スタインバーグ(1899-1978)のブルックナー交響曲4番の最初の録音はピッツバーグ交響楽団で、1956・4・19というデーターが残っている。多分ピッツバーグ交響楽団はブルックナーの交響曲を演奏するのは初めてのようで、困難を極めた練習の光景がドキュメントで残されている。ア...

  • オッペンハイマーと現代史

    世紀の天才科学者オッペンハイマーとアメリカ共産党党首ランバートとは、6回会っている。ソビエト共産党からウラン鉱床についての情報を入手せよと命じられていた。オッペンハイマーの恋人ジーン・タトロックは知り合いだったので、面会してその情報を得たかった。 ひょんなことから驚くべき情...

  • オッペンハイマー、本で読むべし・映画で見るべし

    起 映画『オッペンハイマー』が今月公開されることになった。昨年アメリカで大ヒットしたが、内容が硬いというので日本では見送りとなった。それが撤回された。 オッペンハイマーといえば、日本では本を通してしか知らないわけだが、映画では大いに相違してい...

  • リアルタイムでスタインバーグのブル5番を聞いていた日本の聴衆

    実はスタインバーグ(1899-1978)のミュンヘンのバイエルン放送交響楽団の演奏を1978年に聴いていた日本の聴衆がいたことが判明しました。1978年1月12日にスタインバーグはバイエルン放送交響楽団でブルックナーの交響曲5番の指揮をしたのですが、その年の5月16日に死去...

  • ブルックナー生誕200年最大の収穫はスタインバーグ再評価

    今年はブルックナー生誕200年記念、最大の収穫はスタインバーグ指揮ピッツバーグ交響楽団の4番の録音(1956・4・19)の演奏だろう。旧聞に属するネタだが、何故これまで人の噂にのらなかったのであろう。余人には求められない新しい響きであった。その新しさが50年も寝かされていた...

  • 小沢征爾指揮新日本フィルのベルリオーズ『フアウストの劫罰』

    古い骨董雑誌に掲載された沢地久枝さんは骨董趣味があった。もう一つクラシック音楽の愛好家で、熱心な小沢征爾フアンであったので、『ファウストの劫罰』を聞いた。同じ演奏会を丸山真男も聞いていたという。 意外だが、小沢征爾はベルリオーズの『フアウストの劫罰』を何回か上演している。思...

  • 小沢征爾指揮SKOのブルックナー7番2003年

    世界的な水準でブルックナー7番の指揮をする小沢征爾(1935-2024)である。昨日のNHKテレビの『アナザーストーリー小沢征爾』はゆるい番組だった。アナザーストーリーなら、もう一方の官製巨頭の海野義雄(1936-)との対比で、現在のNHKは小沢征爾支持の立場につくという表...

  • 小沢征爾指揮水戸室内管弦楽団のモーツアルト35番

    オーソドックスに鎮座した小沢征爾のモーツアルト演奏である。その模範は意外にもフェレンチク指揮プラハ・フィル1981年の演奏であった。ハンガリーのクレンペラーと呼ばれた重鎮指揮者だ。(2012・1・19) 第一楽章。 66小節のテインパニはf記号だがフェレンチークと小沢がpに...

  • 追悼小沢征爾、国民から広く深く愛された指揮者

    1995年小沢征爾60歳の還暦記念に、当時日テレの人気番組『電波少年』で松村邦洋は赤い燕尾服を小沢征爾に送った。律儀にも小沢征爾は赤い燕尾服を着用した写真を番組に送ってきた。世界の小沢は松村邦洋ですら知っていた。こういう人は二度と現れない。 2024年2月9日の7時のNHK...

  • キッシンジャーは年齢100歳だけど体は25歳のサイボーグだった

    キッシンジャーは年齢100歳だけど体は25歳のサイボーグだった。実は110歳の延命治療を目指して手術をしたが、ブタの臓器を移植されて死亡したらしい。 それに気づいたキッシンジャーは長年の恩顧を感謝する会見を申し入れて、世界中に中国訪問の件を発信した。報道は、キッシンジャー博...

  • ズガン・ソヒエフ指揮NHK交響楽団のベートーベン3番

    実に考え抜いた楽譜の使用があった。基本は今では旧態依然のブライトコップ版が使用されていた。どういう気なのかと思わないでもないが、第二楽章では最新のベレンタイター版が一部採用されていたから、最新の流行を気にしていないわけでもない。第四楽章では何とフィルハーモニア版の楽章が採用...

  • シューリヒト指揮シュツットガルト放送響のモーツアルト35番1956年映像

    カール・シューリヒトの指揮した映像は意外に無いのだろう。モーツアルトの交響曲35番フィナーレ楽章のシューリヒトの映像が見えるのが貴重だ。ストラビンスキーの『火の鳥』全曲の映像と交換したいところだが、敗戦後まもない物資不足のドイツで、是が非でも巨匠の姿を残したい放送局の別の意...

  • 2023年のバレンボイムの動向と6月のチャイコ5番の演奏

    2023年1月31日をもってベルリン国立歌劇場管弦楽団の音楽監督を退任するというバレンボイムの1月7日の発表は驚かされた。この日はベルリン・フィルを椅子に座って指揮したので、よほど弱気になったらしい。アルゲリッチのピアノでシューマンのピアノ協奏曲、ブラームスの交響曲2番が演...

  • 藤田真央・大野和士指揮東京都交響楽団のブラームスピアノ協奏曲1番

    1月1日から31日まで限定で藤田真央のブラームスピアノ協奏曲1番がユーチューブで公開されている。大層期待していたが、普通の日本人の演奏になってしまって残念だ。 モーツアルトのピアノ協奏曲20番、アンサンブル金沢の演奏は良かった。(2021・4・23)ああいう演奏を期待したい...

  • 吉田秀和と京須偕充

    TBSテレビの名物番組『落語研究会』で長らく解説をしている京須偕充は落語評論家である。しかし隠れた面はソニー・レコードの課長というサラリーマンであった。さらに驚くべき話はソニーで発売するクラシック・レコードの新譜を毎回鎌倉の吉田秀和邸に運ぶ人だったことだ。レコードのライ...

  • ヤッシャ・ハイフェッツとポンセ『エストレリータ』考

    すでに戦前に発売されていたSP盤『エストレリータ』のレコード。 偏愛の巨匠ヤッシャ・ハイフェッツ(1901-1987)は、世に偏食という偏った食品が好きでそればかり食べる人がいるが、下品と評されても一向に気にしないで愛し続けた音楽があった。偏愛の巨匠だった。 ナチス時...

  • テイーレマン指揮ウィーン・フィルの『美しき青きドナウ』

    2025年のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートはとんだハプニングに襲われた。 1月1日の能登地震で、テレビもFMも中止で、1月6日のテレビの再放送が本番になってしまった。しかし指揮者ティーレマンは日々新しかった。2019年の一回目に2025年な更なる進化が認められた。...

  • 江戸時代のイーロン・マスク中江藤樹(1608-1648)

    江戸時代に陽明学を中国から輸入した儒学者中江藤樹(1608-1648)です。 (起) 実は中江藤樹は潜伏キリシタンだったという説がある。日本の肖像画の元祖は聖徳太子で手に王のシンボルの尺を持っている。武田信玄は軍配を持ち覇王とする。千利休は道を究める者として扇子を持たせてい...

  • マーラー・プリングスハイム・山田一雄・下野達也第九の系譜學

    第一楽章300小節のテインパニの後半で山田と下野はリタルランドした。 山田一雄のこの演奏に接した時、私の動物的直感はマーラーが第九を演奏した時の痕跡ではないかというものだった。1943年からたった30年前肉体のマーラーがおこなった第九演奏を弟子のプリングスハイムは覚えていた...

  • 「疾走するモーツアルト」デュメイ指揮関西フィルの40番

    まさか小林秀雄の「モーツアルト」がフランス人に影響したとは思わないが、遂に「モーツアルト」の評論のテーマらしい演奏が現れた。それがデュメイ指揮関西フィルの40番の演奏だった。 とりわけ40番の第一楽章の疾走するト短調の主題は小林秀雄の思いをデュメイが解して演奏したとしか思え...

  • アゴギークの極地デュメイ指揮関西フィルのモーツアルト40番

    デュメイの40番は、年間名演ベストテンのベストワンに輝いた。とりわけ第四楽章は名演だった。 今回のデュメイの40番の演奏のコンセプトは緩急の対立にあった。急速な演奏のためにその後の緩和が目立って名演に感じられた。関西の落語の名人に緊張の緩和が笑いを誘うという理論があったが、...

  • バーメルト指揮札幌交響楽団のシューベルト8番第四楽章

    シューベルト交響曲8番第四楽章旧版1078-1081小節のテインパニです。新全集版では弦楽のfz4つに合わせてテインパニで2分音符が4つ打たれている。この譜面を見る限り、そうかも知れないと思わせる。ここが新全集版の校訂者の売りの物件になっている。 誰かが自筆譜を見て、シュー...

  • バーメルト指揮札幌交響楽団のシューベルト8番第二楽章2

    メインカルチャーが揺らいでいる時、注目されるのがサブカルチャーの存在である。バーメルトはサブカルチャーに注目した演奏をこの第二楽章で演奏している。 80小節の続き、83小節のクラリネット、85小節のオーボエと歌い継がれる旋律に、84小節のチエロで突如として別の旋律が聞こえる...

  • バーメルト指揮札幌交響楽団のシューベルト8番第2楽章

    第2楽章は名演だった。対位法の演奏法を駆使して、通常は沈んだ声部を浮上させて驚くべき魅力的な演奏をして見せた。 際立った2つの対立した旋律を同時に聞くことは煩わしいはずだが、名指揮者の資格はどれを主旋律に決定し、無慈悲な副旋律として決めて沈んでもらうことだ。基本的には指揮者...

  • バーメルト指揮札幌交響楽団のシューベルト8番

    日本ではアバドが録音した新全集版の8番の演奏は評判が悪く、旧版が通常演奏される。 今回は新全集版に基ずいた第一楽章201-202小節のホルンの延長が演奏された。引用は205小節以降で、2か所で新全集版の変更が見える。 205,209小節のホルンが2小節延長されているのが新全...

  • ルイージ指揮NHK交響楽団のハイドン交響曲100番『軍隊』

    なかなかユニークな解釈があった。基本的にはアルノンクールの演奏が投影されていた。 第一楽章の62-67小節の金管の強調はアルノンクール指揮南西ドイツ放送響の演奏を踏襲したものだった。 アルノンクールの場合にはsf(スフォルツアンド)だったがルイージではfか。 こういう例は1...

  • 不可逆的ダメージの先駆者ワルター・カルロスと『スイッチト・オン・バッハ』

    富田勲に影響を与えたシンセサイザーによるバッハ演奏は、ワルター・カルロスが1968年に発表した『スイッチト・オン・バッハ』。彼は男から女に性転換して、その後に女が好きになってしまった。 『タイムズ』が今年一番の本と推奨した『不可逆的ダメージ』が、今出版元KADOKAWAで不...

  • 晩年が始まる飯守泰次郎指揮東京シティー・フィルの『運命』

    この人の晩年ほど魅力的な演奏を聞かせた人はなかった。長い長い沈滞期があって、突如活火山が噴火したのである。爆発は地方の田舎者で、洗練された常識人にできている東京っ子は似合わない。しかも超セレブリティの出自だから、本来はありえないのだ。 NHKFMの功績は、飯守泰次郎の前半期...

  • 人生という作品を見事に生き抜いた尾崎翠

    女流作家の尾崎翠ほど自分の人生を見事に生き抜いた人は稀である。成功と栄光を勝ち抜いた人生を得た人は、勝ち組といわれるが、そんな人だった白洲正子は86歳の高齢で、「早く死にたい」と漏らしていた。勝ち組の末路はそんなものだろう。10年前は86歳は天寿だが、現在は96歳になって、...

  • 反田恭平指揮ジャパン・ナショナル・オーケストラのブラームス1番

    高校生の坂本龍一は、門下生の発表会でブラームス1番第一楽章をピアノで弾いたという。大学に入ったらこういう音楽を作曲したいと抱負を語ったという。 ピアニスト反田恭平は、指揮者の最初にこの曲を選んだ。「この演奏会でしか聞けない演奏をしたい」と抱負を語った。なるほどこの演奏会でし...

  • 『小津安二郎は生きている』Eテレ平山周吉出演

    平山周吉の小津安二郎論が注目されて、要点を自ら出演して解説していた。 (1)山中貞雄の『丹下左膳余話百万両の壺』の壺は小津安二郎の映画にも扱われていて、 二人の友情が壺で表象されている。 (2)小津安二郎の『東京物語』では、原節子と笠智衆とが戦没者としての山中...

  • 近衛秀麿と大町陽一郎、仕込みには金が掛かる話

    近衛版ベートーベン交響曲は実はメンゲルベルク版ベートーベン交響曲であったことが判明した。メンゲルベルクのベートーベン交響曲全曲演奏会(1940)の演奏を反映していた。 この実演が日本でレコードで発売されたのは1973年であった。 出版社の音楽全集の刊行で、日本の指揮者と楽団...

  • 近衛版ベートーベン3番秋山和慶指揮大阪センチュリー交響楽団(3)

    まず報告したいのは、メンゲルベルクと近衛秀麿の有名な第九フィナーレのテインパニのリタルランド(テンポを落とす)終結のことだ。メンゲルベルク(1940)と近衛秀麿(1968)の演奏で、どちらが先行かという問題がある。厄介なのは、メンゲルベルクのベートーベン・チクルス(1940...

  • 近衛版ベートーベン3番秋山和慶指揮大阪センチュリー交響楽団(2)

    第二楽章。 158小節の空白のテインパニでffの強烈な音が響いて度肝が抜かれる。 158小節は低弦の2分音符にff記号があるがテインパニは空白になっている。そこでこれを強調するわけで、テインパニに2分音符を加筆させてffで打たせている。 さらに、159,160小節でテインパ...

  • 近衛版ベートーベン3番秋山和慶指揮大阪センチュリー交響楽団(1)

    おしなべて近衛版編曲は立派で、ダイナミクスもアゴギークも大胆で、通常の秋山和慶の演奏では聞けないものがある。つまり使用すると通常をバージョン・アップすることになる。 近衛版『運命』が問題有りか。 その上で、今回は数少ない欠点だけをあげつらおう。というのも、9曲編曲しょうと思...

  • 林芙美子と森達也監督『福田村事件』

    明治大正に一世風靡した『オイチニの薬屋』の陶器人形。軍服姿でアコーデオンを弾く薬屋と少女はワンセットの風物でした。義父沢井喜三郎と少女林芙美子はこうして薬売りの行商をしていました。まさに林芙美子人形ですね。 映画『福田村事件』を見た時、行商の集団に子供が加わっているのが不思...

  • 楽譜にない装飾音符を演奏したフォークト、マリン指揮ベルリン放送響のモーツアルトピアノ協奏曲24番

    2022年9月に51歳で死んだドイツのピアニストのラルフ・フォークト(1970-2022)のモーツアルトのピアノ協奏曲24番の演奏です。イオン・マリン指揮ベルリン放送交響楽団で2003・3・1の録音です。ユーチューブ公開で誰でも聞けます。 モーツアルトのピアノ協奏曲24番、...

  • 林芙美子とマーラー、クラシック音楽を理解した唯一無二の女流作家

    クラシック音楽は日本人にとっては敷居の高い分野である。樋口一葉から川上弘美にいたるまでの近代日本の女流作家で、クラシック音楽を理解した唯一無二の女流作家になれたのは林芙美子であった。最もブルジョワ的で高尚な分野、知識では分かっていても感性が従属して生じる音楽性は厄介な代物で...

  • 尾崎翠の生前の最大の理解者だった林芙美子

    裏表の激しい人だったが、これを否定肯定と捉えて差し引いてみると、はるかに大きく尾崎翠を肯定的に捉えていたのが林芙美子だったと言えるのではないか。 時々、かつて尾崎さんが二階借りしていた家の前を通るのだが、朽ちかけた、物干しのある部屋で、尾崎さんは私よりも古く落合に住んでいて...

  • ロンドン交響楽団とロンドン・フィルの違い

    オーケストラに呼び名・呼称を付けると、シンフォニーとフィルハーモニーの2種類に分類できる。その違いは成立時に音楽家が自主的に寄り合って作った団体が協同組合(フィルハーモニー)がからだという。まさしくウィーン王立歌劇場の楽団員が日々の公務の合間に自主的に集まって演奏した団体の...

  • 決定盤だったケルテス指揮バンベルク交響楽団のハイドン104番

    今日は良いものを聞かせてもらった。名演と名高いエッシェンバッハ指揮ロザーヌ室内管弦楽団の演奏のオリジナルが、このケルテスの演奏だったという発見と、ハイドンの交響曲104番の演奏の決定盤がケルテスの録音だったことの発見である。 多分ケルテスの104番の演奏が名演であることも世...

  • エリック・サティー事始(薩摩治郎八と関係があった)

    薩摩治郎八(1901-1976)は1935年に、世界恐慌で実家が破産して財産整理のために日本に帰国することになった。主婦の友社、かつてのカザルス・ホールがあった所が実家の屋敷であったという。 久しぶりの帰国で、友人の音楽評論家増沢健美(1900-1981)は帰国中の薩摩治郎...

  • 中国で空前の川端康成の大ブーム

    川端康成(1899-1972)が今中国で空前の大ブームが起きている。滅びの文学の継承者に、今や確実に没落しようとしている長大国中国が哀れ悲しんで共感するわけでもあるまい。 その理由は、今年2023年が川端康成の没後50年で著作権が切れ、印税を払わなくて自由に出版出来るという...

  • ゴルシュマン指揮ボストン交響楽団のベートーベン3番

    ゴルシュマン指揮ボストン交響団1944・2・22の演奏。驚異的に良い音である。アナウンサーの声が入っているからラジオ放送されたものであろう。伴奏指揮者として有名な人だけに、まとまった曲の演奏は珍しく、かつユニークな解釈が散見されたことが意外でもあり、一角から全体像を拡大して...

  • 猿之助の後悔、後悔先立たずの事例

    本日は文化勲章の発表で野村万作や塩野七生の受賞で慶賀に耐えない。十年後には市川猿之助がここに立っていたとすると、暗澹たる思いがする。 猿之助の裁判は今は執行猶予が付くかどうか、に関心が移った。本人としては刑務所に行かないことを願うばかりだ。しかし遠い将来を考えると、刑務所に...

  • 木山捷平『茶の木・去年今年』短編小説の極北

    昔懐かしい旺文社文庫の木山捷平の『茶の木・去年今年』である。 こんな本があるというのが旺文社文庫の面目であった。時代が経つ にしたがって名著の宝庫になる。 『旺文社文庫』の古書値段が高騰していて困ってしまう。当時は名著を安価の値段で普及せ...

  • AIにイスラエル軍のガザ攻撃を予測させる

    案の定圧倒的な成功で終わる、と予測する。イーロン・マスクではないが日本が消滅するように、ガザ地区が消滅し、イスラエルも消滅すると出た。それでAIを利用して無駄な戦争を中止としたら凄いね。 10月6日(金)の金相場が異常な高騰を見せたが、ハマスのイスラエル攻撃の結果だったこと...

  • オーバードーズ文学の先駆者尾崎翠とその脱出記

    群ようこ『尾崎翠』伝、残念ながらオーバードーズの問題意識がなく、 単なる文学表現としか第七官界を見ていない。 尾崎翠(1896-1971)は常用薬物で幻覚症状におそわれる。幻覚症状と頭痛と耳鳴りに悩まされる。その中で暗中模索で探し求めたのが幻想的な事物の去来であ...

  • ズッカーマン指揮東京フィルハーモニーのベートーベン7番

    音楽家が指揮者に転向する話はよくあるが、さりとてプロの指揮者に転向するでもなく、というのはあまり類例がない。前にオイストラッフがあるくらいだ。ズッカーマンもさりとてプロの指揮者に転向する意欲はないようだ。 昨今指揮科を卒業してそのまま指揮者になり、オーケストラの中でバイオリ...

  • 今年最大の名演マリン・オルソップ指揮スウエーデン放送響のショスタコ5番

    マリン・オルソップ指揮スウエーデン放送響のショスタコーヴィッチ交響曲5番の演奏である。(2023・2・3)まだ今年の演奏である。今年の最大の名演であろう。 逆境を跳ね除けた交響曲(通説)、あるいはホーネックはショスタコーヴィッチは5番で新しい手法を発見したのだという。音楽を...

  • 最後に大爆発、新境地を開いたトン・コープマンの39番

    この人ほど過去の自分の演奏に囚われない人はいないようだ。新しい様式を築いたトリオの装飾音符の演奏に眼もくれず、前進して新境地を、ということは新しいモーツアルトの演奏を追求してやまないのだ。 そして交響曲の最後の土壇場で大爆発して演奏を終えた。これは多分古楽器奏法とは関係なく...

  • 指揮者ワルベルク年譜(2)

    9月29日はワルベルク(1923-2004)の命日です。付け加えれば、生誕百年記念年です。ワルベルク年譜(2)を掲載します。 第一期黄金時代を迎えたワルクベルクですが、超一流指揮者はここで世界的な名門オーケストラのポストに就任します。が、ウィーン・フィルは将来性なしと厳しい...

  • 指揮者ワルベルク年譜(3)

    9月29日はワルベルク(1923-2004)の命日です。付け加えるに、今年は生誕百年記念年です。ワルベルク年譜の完結編をお送りします。 1986年 63歳 ハーグ・フィルで、レスピーギの『ローマの泉』、ドボルザークのヴ ァイオリン協奏曲(ジノ・ヴィコ...

  • バレンボイム指揮ベルリン・フィルのブラームス2番

    バレンボイム指揮ベルリン・フィルのブラームス2番(2023・1・6)の演奏。 バレンボイムはその月末に健康が優れず事実上の引退表明をした。ところがその後体調が好転して仕残りの仕事をする、その一つが今秋にベルリン国立歌劇場管弦楽団でブラームスの交響曲の全曲演奏会を行う予定であ...

  • メディア王マードック引退、テレビ朝日をなぜ買収出来なかったかマードック

    オーストラリアの小さな新聞社を父から継承して、世界中のメディアを買収してメディア王になったマードック。寄る年波に勝てないで、事業を息子に継承して、引退を決意した。 さて、マードックは日本のメディアのテレビ朝日を買収しようとした。これは単なる資本主義の企業買収の一齣に過ぎない...

  • 世田谷左翼の正体

    高級住宅地の住民が意外に政治的には革新派で、左翼行動をとる。選挙では保守政権に反対する投票行動をする。分析すると保守政党を支援する一流企業の正社員で、丸の内や六本木にある高層ビルに本社があるサラリーマンである。 保守論壇では、一見すると正反する行動に理解ができかねている。彼...

  • 尾高忠明指揮大阪フィルハーモニーのブルックナー3番

    尾高忠明指揮大阪フィルハーモニー(2020・1・16)。 「2018年の音楽監督就任以来、数々・・・精緻な表現と豪放な響きを併せ持つ・・・尾高ですが、『第3番』は版の選択を決めかね、演奏する機会に恵まれませんでした。しかし「朝比奈隆ゆかりの大阪フィルに来たからに、ここで3番...

  • 初期で絶頂期のワルベルクの人生(『年譜』1)

    ワルベルクはどんな人から影響を受けたか、どんな先生に教えを受けたかも知らないし、事実決定的な影響はなかったのだろう。平凡に生まれ育ち、その行く末は平凡で終わる運命だったのだろう。こんな凡人が運よく人生の門出で人生の絶頂期を迎えた不思議な体験をしたのだった。 1923年 ...

  • ブルックナー指揮者ワルベルクの足跡

    ワルベルク指揮デュースブルグ・フィルのブルックナー5番(2004・2・21~22)。 2004年9月29日に没したワルベルクの音楽的遺言となった。 ワルベルク(1923-2004)は隠れたブルックナー指揮者でもあった。長い生涯の始めから終わりまで一貫してそうだった。後家...

  • 生誕百年ワルベルク指揮NHK交響楽団のブラームス3番

    ハインツ・ワルベルク(1923-2004)は今年生誕百年の記念年である。忘れる者は日々疎しというが、ドイツでも日本でもほぼ忘れかけているといっていいだろう。 調べてみたら、没年の2004年2月28日にN響を指揮し、9月29日に81歳で没した。1966年に初来日したプログラム...

  • 中森明夫大杉栄論(アナーキー・イン・ザJP)

    今日は関東大震災から百年、と同時に大杉栄没後百年記念日である。 中森明夫の小説『アナーキー・イン・ザJP』は、大杉栄が登場する小説で、大杉栄没後百年(1923ー2023))ということで、5月12日(金)のNHKラジオの「高橋源一郎の飛ぶ教室」に中森明夫が招かれ、彼の大杉栄論...

  • トム・クルーズの映画『ワルキューレ』とクナ・グッドォール・飯守泰次郎

    トム・クルーズの映画『ワルキューレ』は、第二次大戦中にヒトラー暗殺を計画するドイツ陸軍のエリート軍人たちの暗殺計画の実話物語である。実行者のニュタウフェンベル大佐(トム・クルーズ)はレコードを聴いて暗殺計画を練るのだが、 ワーグナー作曲『ワルキューレの騎行』 ハンス・クナッ...

  • 追悼・飯守泰次郎指揮仙台フルのブラームス1番空前の大爆発

    2023年8月16日、飯守泰次郎が死去されたようである。82歳の長寿、ここ十年の円熟した指揮活動、4月にはブルックナー4番を指揮し、慶賀に耐えない晩年であった。 ここで思い出すのは、飯守泰次郎が仙台フィルを指揮したブラームス交響曲1番の演奏ではなかったか。(2020・2・1...

  • 小沢征爾指揮BPOとSKOのブルックナー7番

    小沢征爾指揮で、ベルリン・フィルが1988・6・21,SKOが2003年の演奏である。確かに異なるところがあるのが面白い。 異種演奏というのはフルトヴェングラーのような巨匠なら、格別な楽しみになっているのだが、小沢征爾にもそれがあるというのは、今回初めて経験したことである。...

  • 小沢征爾指揮日本フィルのベルリオーズ『幻想』1967年

    若き日の小沢征爾の指揮振りを見ると、芥川賞作家羽田圭介の顔そっくりなのに驚いた。12チャンネルのローカル線各駅停車バスの旅でお馴染みの羽田圭介の顔が思い出される。小沢32歳、羽田37歳同じような年ごろだ。まだ青年といっていいか。 小沢は前年(1966年)サンフランシスコ交響...

  • 木原誠二はアラン・ドロンを越えられるか

    (すべて公開情報です。)メグレ警視で有名なパリ市警は、ブローニュの森で青年の死体を発見した。死体を調べるとユーゴスラヴィアからやって来たことが判明した。さらに調べるとユーゴの青年と有名な俳優A・Dとが関係していたことが判明した。要注意人物として更なる捜査がおこなわれた。する...

  • 4年ぶり小沢征爾指揮SKOのベートーベン・エグモント序曲

    2022年11月25日、長野で小沢征爾が4年ぶりに指揮をしてベートーベンのエグモント序曲が演奏された。というニュースがNBS長野放送ニュースが流された。親切にも小沢征爾公式チャンネルで2022年12月1日に全曲が公開されるという。 ベートーベン作曲エグモント序曲小沢征爾指揮...

  • 『思想と実生活論争』とトルストイ夫人の成長史

    ここでいうトルストイ夫人とは文豪トルストイの妻のことではなく、小林秀雄とトルストイの家出で論争した正宗白鳥の妻のことである。白鳥がトルストイでその妻がトルストイ夫人かどうかは、今は不問に伏す。しかし白鳥がトルストイでツヤがトルストイ夫人という関係であることは、文脈上で繋がり...

  • テンシュテットの3種の『エロイカ』ライブ

    テンシュテットのボストン響、ニューヨーク・フィルの『エロイカ』は伝説的な評価があり、ライブ故の聞きたくても聞けない事情がなお伝説的演奏を煽り立てた。 1)テンシュテット指揮ボストン交響楽団1977年録音。 2)テンシュテット指揮ニューヨーク・フィル1988年録音。 3)テン...

  • 西村賢太と石橋忍月

    「名は体を現す」、名と実体はうまく合っている。(広辞苑) 石橋忍月は明治の文芸評論家で、筆名を忍月と号した。雲に隠れた月で、洒落た雅号だ。隠れても月で、陰陽道の片割れ他方の巨匠であるという自負である。しかし忍月には月の裏側、人の眼には見えない月という意味もあるようだ。人の眼...

  • 山口恵以子『月下上海』と八島多江子はディヌ・リパッティを聴いたか

    山口恵以子『月下上海』(文春文庫版) 人気作家山口恵以子の『月下上海』は松本清張賞を受賞した。女主人公の八島多江子は上海に赴き洋画家の肩傍らスパイ活動をするという奇想天外な物語が魅力的である。女性離れした気宇壮大な発想が面白い。その一つに上海の家でリパ...

  • エストラーダ指揮ヨーロッパ室内管弦楽団のモーツアルト38番

    エストラーダ(1977-)はフランクフルトhr交響楽団の首席指揮者をしていた時、フランスのヘルヴェッヘが客演して38番を指揮した。(2021・12・3)フィナーレで、ヘルヴェッヘはフルートに楽譜にない装飾音符を演奏させた。 所謂モーツアルトのメヌエット楽章では楽譜にない装飾...

  • ミナーシ指揮ザルツブルグ・モーツアルテウム管のモーツアルト40番

    小林秀雄の『疾走するモーツアルト』を、母親から子守歌のように読み聞かされていたらしく、ト短調の疾走するメロディーから、ミナーシは演奏を開始した。日本ではモーツアルトは疾走するテンポがモーツアルト演奏なのだと言い聞かされたか。それほど速い。しかし井上道義は、同じオーケストラで...

  • 驚くべき異才ミナーシ指揮ザルツブルグ・モーツアルテウム管のモーツアルト41番

    リッカルド・ミナーシ(1978-)は、イタリアの古楽器奏法の人で、39番40番を聞くと、モーツアルテウム管弦楽団が古楽器オーケストラに変貌していてしまっていた。ある面大変な失望を味わったわけである。イタリアの古楽器奏法がまた聞きずらいさがった。 41番になると、そんなミナー...

  • アルティノグリュ指揮フランクフルトhr響のマーラー4番

    アルティノグリュ指揮フランクフルトhr交響楽団ソプラノ独唱はチェン・ライスで、マーラー交響曲4番の演奏である。アルティノグリュ(1975-)は2021年から首席指揮者に就任している。 第一楽章。 57小節の第一バイオリンで、アルティノグリュはテヌート記号の付いた2つの音符に...

  • サー・ジョン・バルビローリの肖像と1954年のブラ1番の名演

    『サー・ジョン・バルビローリの肖像』がユーチューブに挙げられているが、つい見てしまった。ブルックナー7番第三楽章のリハーサルがあるのだが、見ものだった。バルビローリは数曲の録音があるが、7番は1966年12月11日のマンチェスターでの公演がCDになっているので、その年のリハ...

  • マタチッチ指揮NHK交響楽団のブルックナー8番

    マタチッチはNHK交響楽団では1975年と1984年と2回とも8番はノバーク版を使用していたようだ。 第四楽章。 135-158小節の間、2回ともテンポを揺らしていたのが白眉だった。 マタチッチは、I番号の弦の開始(左頁下)からアッチェレランド(テンポを加速し始め)、156...

  • ムソルグスキー『ボリス・ゴドノフ』と「虫けらのように潰される」(ルカシェンコ)

    ムソルグスキーの歌劇『ボリス・ゴドノフ』に「蚤の歌」がある。アウエルバッハの酒場でメフィストフェレスが歌う有名な歌だ。不世出の名バス歌手のフョードル・シャリアピン(1873-1938)が得意にしていた。 ロシアの皇帝(プーチン)は一匹の蚤(ブリゴジン)を飼っていた。 皇帝は...

  • アパート住まいの聖人、小室直樹と鈴木邦男

    アパートを一生の住家として、家を持たず金を持たず女房を持たず、只ひたすら読書に明け暮れて真理を追い求めた人がいた。そういう新右翼の鈴木邦男(1945-2023)が今年死んだ。その先例に小室直樹(1932-2010)がいた。一生を安アパートで暮らした人だった。 と、くれば美談...

  • 高橋直史指揮大阪交響楽団のサンサーンス3番

    全編出色の演奏であった。ダイナミクスも楽譜に囚われず歌わせる方を優先させてた演奏が良かったのであろう。 第二楽章。 Tの前、オルガンを受けてテインパニがffを打つところ、fffで力んだのには驚かされた。 fffの外連味は功を奏したといえるだろう。この機会にコーダに向かう演奏...

  • 1947年フルトヴェングラー復帰演奏会謎の空白日5月26日を推理する

    1947年フルトヴェングラーの戦犯容疑が晴れて、ベルリン・フィルに復帰した演奏会が開催された。5月25日と5月27日の二日間であった。そして5月26日が空白日になっている。それは無意味な空白なのか。5月26日は、バージョンA(25日)からバージョンB(27日)に変更された練...

  • ノリントン指揮シュツットガルト放送響のベートーベン6番

    ノリントンは古楽派では唯一のアゴギーク(伸縮)を使用する指揮者だ。そういう意味ではベートーベンの交響曲6番は古楽奏法とアゴギークが絶妙な統合を見せた傑作であった。 第一楽章。 古楽奏法とアゴギークが統合された名演であった。それは冒頭ですぐ見せた。速いテンポで開始されたが、ノ...

  • バレンボイム・ゼジニゼ・木村太郎

    2023・6・16(金)は、色々な事がありました。 評論家木村太郎はフジテレビで7月ウクライナ和平締結を予言しました。果たして当たりますか。それにしてもテレビでは最初の発言で、これが貴重です。裏世界では目に見えない動向がある。多分岸田首相の解散不発弾発言は、選挙どころではな...

  • 一番新しい演奏法ボストック指揮南西ドイツプフォルツハイム室内管弦楽団のモーツアルト31番

    ダグラス・ボストック(1955-)は、何と東京佼成ウインドオーケストラ、東京芸大、洗足学園大学と、日本でお馴染みの指揮者であった。この指揮者が今一番新しい演奏法でモーツアルト演奏をけん引している。 モーツアルトの交響曲31番『パリ』は、ボストックの生涯の代表作になる名演奏だ...

  • 太宰治『千代女』と女流作家豊田正子の予言

    所収太宰治『千代女』 太宰治にこれほどポレミック(論争的)な小説はない。素材は「綴方教室」で一世を風靡した豊田正子がモデルということは確定している。投稿雑誌『青い鳥』は鈴木三重吉の『赤い鳥』がモデルも確定している。なにを今更作文の豊田正子をモデ...

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