選択を誤ったのかなあ、と、ぼんやり考えた。夜に眠りにつくことはどうしてこんなに難しいのだろう。明日がやってきてほしくないからだろうか。だって老いるのは怖ろしいじゃない。私は、自分の心が幸せだと感じられない生活をずるずると続けられるほどには大人になりきれて
小学生の頃、インスタントカメラやレンズ付きフィルムが流行っていた。カメラ付きケータイも既に登場していたのにね。休み時間や放課後の何気ない瞬間にインスタントカメラのシャッターを切って、じわじわと浮き出る時間をわくわくしながら待った。現像するまでどう写ってい
早く、春がやってくれば良いのに。久方ぶりの大雨に打たれながら思った。寒い寒い冬だった。長いようであっという間だった。楽しい想い出もあったけれど、名残惜しさなどあまりない。買ったばかりの安物のコートはもうボロボロで、ぐるぐるマフラーからはみ出す髪はあちらこ
かつて恋をした人は、東京にうまく馴染めていない人だった。それでもしっかりお洒落な街に住んで、週末は一緒に食べ歩きをした。本当は、"東京に馴染めていないフリ"をしていただけかもしれない。私も同じようなものだった。生まれた時からどこかが普通の人とは違った私は、
今夜も1人で脳内会議。昼に考えりゃあいいものを、どうしてだか夜は頭が冴える。まるで明日が納期かのようにタスクがぎゅうぎゅう押し寄せてく。明日考えたってたいして変わらないのにね。誰に対して助けを求めてるんだか自分でも分からないけれど、苦しい悲しいと叫んだとこ
本当の愛情というのは、もしもいつか離れ離れになってしまったとしても、その後、自分がいなくてもその人が生きていけるようにすることだと誰かが言っていた。親の子に対する愛に近いのかもしれない。今まで、人生の一部を一緒に過ごした人のことを思い返してみる。色々な形
東京タワーが好きだ。けれど、初めて観た日のことは、不思議と覚えていない。「東京タワーを観に行こう」と意気込んで出かけることもあれば、残業でくたびれた身体に必死で嘘をつきながら、ふと外を眺めるとそっと佇む姿に元気をもらい、たまたま訪れた街から偶然見えたオレ
断捨離やミニマリストが流行り始めた頃から何度か引っ越しをした。学生時代に読んだ本をすっかり処分してしまった。CDはパソコンに取り込み、服もほとんどを捨てた。もし必要になればまた買い直せばよい。分別し処分した後は身軽になったようで晴れ晴れとした気持ちになった
春の訪れが待ち遠しい今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。少しばかりの時間、同じ空気を吸うための切符を手に入れましたが公演中止となり落ち込んでいました。幼い頃に音楽番組で拝見し、稲妻に打たれたような衝撃を受け、翌日に生まれて初めて買ったCDが小沢様の楽曲で
つまり、今の私はもう25歳ではない。25歳という年齢は、15歳と同じくらいに脆くて儚い年齢のような気がしている。過ぎ去った今、そう思う。25歳の頃の私は東京タワーの見える高層ビルで百万ドルの夜景を作る仕事をしていた。知名度や社会貢献度の高い東証一部上場の有名企業
自分の価値を他者に委ねざるを得ない状況に、ずいぶんと長い間いる。まるで思春期の女の子のように、男性の顔色をうかがったりするようになった自分に気づいて恐ろしくなる。もちろん、表面には出さない。私はひどく尊大だ。こんな命が何になるのか、こんな人間が生きていて
学生時代に沢山の本を読んだ。私なりに。けれど社会人になってから、ほとんどの本を処分した。新しい自分に生まれ変わりたくて。厳選して残した数少ない本たち。三島由紀夫の『不道徳教育講座』が私のバイブルのひとつだ。どんなに醜悪であろうと、自分の真実の姿を告白して
初めて視界に入った時のことも初めてメールした時のことも初めて電話した時のことも初めて待ち合わせした時のことも初めて「また会ってくれますか?」と恐る恐るたずねた時のことも初めて「あなたのことが好きです」と伝えた時のことも初めて手を繋いだ時のことも初めてのこ
新宿で道に迷った。新宿には数えきれないくらい行ったことがある。地図は苦手だけれど目的地近くの家電量販店は何度も行ったことがあり、これならすぐに分かるだろう、と思ったのが甘かった。自分の思う、あるべき場所に目的地がないと途端に頭が混乱してしまう。ひとたび道
映画『冷静と情熱のあいだ』を観た。何度も観た作品。辻仁成と江國香織の共著が原作で、竹野内豊とケリー・チャンが主演の映画。冷静と情熱のあいだ椎名桔平2014-08-20あの瞳も、あの声も、ふいに孤独の陰がさすあの笑顔も。もしもどこかで順正が死んだら、私にはきっとそれ
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