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  • エンタメ万歳!『あいにくあんたのためじゃない』(柚木 麻子)

    日本でははっきりした主義主張をすると、必ず大勢の敵を作る。(本文より) この著者は去年、開成で採用があったな。 恵泉女学園を描いた『らんたん』もいい。 さて、本作は極上のエンタメ小説ですわ。 ストレスがたまってたまって限界になり そこから胸のすくような流れに持ってく ジェットコースターみたいな落差が最高。 そうきたかーって叫びたくなる意外性も あるから気持ちいいほどよく騙されるよ。 素材文によさげな箇所は少ないんだけど 弾むようにページが進む楽しい作品だな。 発売日は来月21日で間違いなく書店の 目立つ場所に置かれることになるだろう。 文章の難易度は例の分類で、やや難相当。 以下、出版社に送っ…

  • 出題されるかもしれない新刊本(2024年3月前後)

    3月の新刊も現在判明分では少な目かな。 追加でわかったらこの記事に書き足すよ。 毎度言ってるが、未読の作品が多いんで 出題向きじゃないのも多分混じっている。 2/26発売 『なんでもないあの人』(濱野 京子,林 けんじろう,椰月 美智子,昼田 弥子) 『きらいなあの人』(工藤 純子,蓼内 明子,花里 真希,黒川 裕子) 君色パレットシリーズから二冊同時発売。 2/26発売 『カラフル』(阿部 暁子) 高校入学の日、二人は事件を機に出会う。 2/26発売 『17シーズン 巡るふたりの五七五』(百舌 涼一) 俳句で未来を切り開く中学生たちの物語。 2/29発売 ☆先行レビュー済☆ 『さよならミイラ…

  • 鳴りひびく警鐘『となりのきみのクライシス』(濱野 京子)

    子どもの権利を守るのは、大人の責任です。でも、世の中には、いい大人ばかりではありません。(本文より) 割と入試に出る作家の先月発売の新作だ。 思わぬ気づきをくれる異色作という印象。 児童書でここまで子供達に警鐘を鳴らす 作品ってなかなかないんじゃないかな? 何しろ先生の犯罪やらいかれた親やらが 次から次へと出てくるから、さあ大変だ。 一方で、主人公の兄だとか新しい先生が いい役を演じていて救いになっていたよ。 テーマ的に扱いが容易でない素材だけど 素材文適性は中盤以降に少しあるかも? 俺のレビューの始めの方はこんな文章だ。 「子どもが親の責任なんか取れるわけないだろ」という言葉が刺さりました。…

  • ジャケ買いアリの鷗友選書『お菓子の船』(上野 歩)

    いいか、大事なものがあるから、生きる価値が生まれる。おまえたちも生きるに値する大事なものを探せ。(本文より) 鷗友学園での出題を機に出会った良本だ。 お仕事小説なんだが一生懸命な主人公が 力をくれるから幅広い層に薦めたくなる。 海軍時代の祖父のあゆみを追う部分には 思わぬ発見なんかもあってトクした気分。 旧海軍に給糧艦という食糧庫、食品工場、 料理店を兼ねる艦があったなんて初耳だ。 大勢の腕利き職人を乗せてたその軍艦で お菓子も作っていたと知り二度ビックリ。 さらにその船の運命には言葉を失ったよ。 これは平和のありがたみを教えてくれる。 以下、俺のレビューの中盤から一部抜粋。 心に刻まれた亡き…

  • エネルギー溢れる『オランジェット・ダイアリー』(黒川 裕子)

    目標が無いんじゃなくて、目標を作りたくない。かなわないのに、努力するのが怖いだけ。(本文より) 悩める少女の心情がリアルに感じられる たまに出題のある作家の11月の作品だ。 序盤のノリの良さはこの著者の特色だな。 スッと物語に入り込めそうな作りですわ。 主人公からは太陽のように思われていた ガーナハーフの少年の葛藤もみどころだ。 普段何気なく食べていたチョコレートの 原料を作るために危険な手作業がある等 かな~り勉強になる話も詰まっていたな。 国語素材によさげなのは中盤の職場体験、 終盤の祖父の見方が変わるシーンなどか。 平易で小5でも十分読めそうな本作品の 俺が書いたレビューの断片がこれです…

  • 深みも魅力な本郷選書『君が残した贈りもの』(藤本 ひとみ)

    どんな人間も、一つのことに専心すれば自分を超えた何者かになれるかも知れない。(本文より) 毎年のことだが、出題作を追っていくと 未知のいい本に出会えるから嬉しくなる。 これは今年の本郷中入試で使われた作品。 探偵チームKZシリーズの著者が書いた 重厚で読み応えのある青春小説だったわ。 長編だが謎要素を複数織り交ぜてるから 飽きるヒマもないまま一気読みできたよ。 本筋とは離れるけど、野球部の前監督の 卒業後を見据えた教育理念も素晴らしい。 車いすの先輩の願いにも気づきがあった。 KZシリーズの一つだと後から知ったが 過去作品を未読でも何ら問題なかったな。 純粋に楽しみつつ学びも得られましたわ。 …

  • 闇堕ちしないための妙薬『苺飴には毒がある』(砂村 かいり)

    どす黒い感情に巻き込まれたくない。その気持ちを手放したら、人間として何かが終わってしまう気がする。(本文より) たぶん出題実績のない作家の11月の本。 中受界隈では誰も注目してなさそうだわ。 友のハラスメントっていう異色テーマで 入試向けには選びにくそうではあるけど なかなかどうして、これが面白いんだよ。 それでいて、道徳的な良本では扱わない 生きていくうえで必要な知恵が得られる。 頑張ればわかりあえるって価値観なんて 時としてクソの役にも立たないだとかな。 毒をまき散らしまくる幼馴染が邪魔だし 素材文には多分しにくいが強いて使える かもしれない箇所を以下に挙げてみたよ。 微妙に狙い目っぽいく…

  • 雨のちハテナ『彼女たちのバックヤード』(森埜 こみち)

    しんどいときってさ、言いたくもないことを言ったり、したくもないことをしちゃったりすんの。(本文より) たまに出題される作家の1月の新作だよ。 女子中学生3人が主人公の連作短編集で 過去作品よりも選ばれやすそうな印象だ。 序盤に友人関係が荒れるが、それが何を きっかけに変わっていくか見て欲しいな。 素材文適性は3章後半の公園での二人の 会話シーンが◎、4・5章が△、6章は これまた公園が舞台になるあたりが○か。 ラストの7章は無印だが最も心に効いた。 読み終わった瞬間に、すっげえぞコレは な~んて吠えて家族に驚かれちまったわ。 平易で読みやすく後味も素晴らしい本作。 俺のレビューの後半部分はこん…

  • あまりに偉大な長編作品『山ぎは少し明かりて』(辻堂 ゆめ)

    個性も、特技も、肩書も、目標もない。だからこそ、これからの自分次第で、何者にだってなれるんじゃないか。自分が何者か、分からない今が貴重なのだ。(本文より) 今年の桜蔭作品と肩を並べるような大作。 入試では見ない作家の11月発売の本だ。 当然、中受界隈での注目度はゼロだろう。 読友さん達の推奨が激しいんで読んだが いっぺんで重厚さに魅せられちまったよ。 この本に気づける作問者は稀だろうけど 素材文適性はそれなりにありそうですわ。 特に注目したいのは主人公の10歳から 23歳あたりまでを描いている三章序盤。 素材によさそうな三章序盤のシーン △足を負傷し少年に助けられる10歳時 △幻想的な蛍の光が…

  • 新たな知見に満ちた桜蔭選書『百年の藍』(増山 実)

    美しいものが、アメリカの匂いがするというだけで排撃される世の中なんて、狂っています。私は狂っている世の中に合わせるつもりはありません。(本文より) 今年の桜蔭は大人向け重厚作品だったな。 これはサレジオ学院でも使われていたよ。 さっそく読んでみたが小学生は超上級の 読書力がないと序盤で挫折しそうな印象。 それだけ大正から戦間期の描写は難しい。 大人としては十分に楽しめるんだけどな。 六章の男子高校生視点で始まる章などは 舞台が戦後だし割と取っつき易そうかな。 桜蔭で使われた箇所とは違うんだけどよ、 三章と六章に素材文適性がありそうだわ。 特に三章のずっと憧れてたセーラー服を 初めて着る日の話は…

  • その生き様が魅力的な『あけくれの少女』(佐川 光晴)

    大人には大人の事情がある。多少は気になるじゃろうが、子どもは知らん顔をして、よくあそび、よく学べばいい。そして世の中に放りだされても生きのびていけるだけの力を、どうにかして身につけるんじゃ。(本文より父の言葉) 有力な出題候補作の紹介が続いていくよ。 佐川光晴先生は入試でおなじみだよな? 本作品は昨年12月に発売された新作だ。 合理的に考えるクセが身に付いた少女が 心に描く夢に向けて突き進むストーリー。 本人はすんごい頑張るのに環境がヤバイ。 それでも折れずに生き抜く生き様が凄い。 夢のために必死に学んだ英語が身を助け 一生懸命な姿が周囲をも惹きつけていく。 自学力が幸せにつながる点でもいい話…

  • 私たちにできること『真実の口』(いとうみく)

    終了組のみなさまは大変お疲れ様でした。 ゆっくり羽を休め、次に進めるといいな。 紹介本からの2024年入試出題実績は、 引き続き各種情報を元に更新していくよ。 今回は作成中の来年入試向け出典予想で いきなり暫定首位になった作品の話題だ。 ちなみに次点は『リカバリーカバヒコ』。 発売は2ヶ月先の4月9日頃になりそう。 高校生が思わぬ流れで気づきを得ていく。 一言で言っちまうとそんなストーリーだ。 頻出作家が選書ドンピシャの時期に出す 注目テーマの作品としても目が離せない。 のほほんと生きてる坊ちゃん嬢ちゃんに 見とけや!と言いたくなる内容だったな。 かつ大人にも刺さるストーリーなんだわ。 アキラ…

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