『草枕』は主人公である画家「余」が「那古井の温泉場」という架空の地で、ヒロイン「那美さん」の肖像を描きあげるまでのあらましを書いた作品です。もっとも、作品の主題は那美さんの肖像を描くことではなく、那古井の温泉場を舞台に、漱石の文明観、美術観を展開するところにあります。 そのためか、那美さんの肖像画も現実に描かれるものではなく、主人公の心のうちで絵として形を整えた、というにすぎません。漱石の美術観の延長線上に那美さんの肖像画のイメージを置いたもの、というべきでしょうか。 さて、『草枕』は全編、漱石の美術趣味が横溢した作品です。作品の背景となる季節は春、それも仲春から晩春にいたる時期だと思います。…
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