昔、『パラサイト』というアメリカのパニック映画を見たことを今でも覚えている。気持ち悪さと恐ろしさにぞくぞくしながらも、不思議と心惹かれたことを。
脳と身体を乗っ取り巧みに操る生物たち『したたかな寄生』成田聡子
昔、『パラサイト』というアメリカのパニック映画を見たことを今でも覚えている。気持ち悪さと恐ろしさにぞくぞくしながらも、不思議と心惹かれたことを。
その小説を読むと、海外のパニックホラー映画を思い出す。人間同士の諍いや欲望、閉ざされた空間の中での逃走劇、そして、次々と命を奪っていく巨大な怪物。
そこはまるで巨大な砂漠のようだった。道案内の標識もない。前を行く誰の背中も見えない。僕は気がつけば、そんな場所にひとり、突っ立っていたのだった。
ああ……ようこそ、いらっしゃいました。先に料金の方を……おや、占いではないので? では、どういったご用件で当店にいらしたのでしょう。
時間なんてもう言い訳にしない『「時間がない」から、なんでもできる!』吉田穂波
なんということだろう。僕はカレンダーを見て絶望した。夏休みは残りたったの3日しかない。だというのに、僕の目の前にはまだまだほとんど手つかずの宿題が残っている。時間がなかった。
上質なエスプリと色気を醸す恐怖をどうぞ『大人のための怪奇掌篇』倉橋由美子
あなた……ホラーはお好き……? そう、でしたら、こちらの本は、あなたのお気に召して頂けると思いますよ……。
全盲の世界を超ポジティブに生きる『目の見えない私が「真っ白な世界」で見つけたこと』浅井純子
視力を全て失った人の目には、世界はどのように見えているのだろう。彼らはいったい何を感じ、何を思いながら生きているのだろうか。
始まりはひとりの男だった。やがて、ソレはあっという間に広まって、世界を大きく変えてしまうことになるのだが、その当時はまだ、誰もその未来を知る者はいなかった。
就職して以来、真面目に働き続けてきた。納得できないことも、理不尽な指示も、なんでも言われたことをこなしてきた。
犯罪少年の隠している真実とは『叶うならば殺してほしい ハイイロノツバサ』古野まほろ
脳裏にこびりつくように離れない、ひとつの小説がある。私はその作品が好きなわけではないし、読んでいてむかむかするばかりだった。でも、その作品を、私は忘れたくはないのだ。
私が変わったのは、あの一冊の本との出会いが全てのきっかけだった。決して届かない壁に初めて出会い、もがき、力尽きて項垂れていたあの頃に、私は出会ったのだ。
エェ……今宵はお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。それでは揃いましたことですし、始めていきましょう。
抜け道を見つけよう『ひろゆき流ずるい問題解決の技術』西村博之
生まれてからずっと真面目に生きてきた。卑怯なことやずるいことが嫌いで嫌いで仕方がなかったし、そんなことをする奴らが全員許せなかった。その考え方が変わってきたのは、最近のことだ。
「山猫軒へようこそいらっしゃいました。どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません。当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」
ネット炎上の実態『正義を振りかざす「極端な人」の正体』山口真一
名の刻まれた墓石を見下ろして、俺は思わずため息をついた。もう二度と会えなくなってしまった友人の影は、今も俺の周りにまとわりついている。彼を追いやった者は一体何だったのか、その正体は。
はっと飛び起きる。少し遅れて、自分が今さっきまで寝ていたことを思い出した。ほうと息を吐いて、今しがた見ていた夢を思い返す。窓の外はまだ暗かった。
この春に入社してきた後輩が、仕事を辞めることになったという。それを上司から聞かされた時、私は愕然としてしばらく口が利けなかった。
毎朝、鏡を見るたびに不安になる。鏡に映る自分の顔が、虎になってやしないか、と。そう思うようになったのは、そう、あの作品に触れた、その時からだった。
社会という居場所『「働きたくない」というあなたへ』山田ズーニー
子どもの頃、将来の夢を聞かれた時、僕はいつも言葉に詰まっていた。どうしてみんな、働くことが当たり前だと思っているのだろう。どうして、働きたくない、なんて言ったらいけないような空気があるのだろう。
妻が家を出ていった。俺はひとりきりになった居間でグラスを傾けながら、妻の最後の言葉を、頭の中で思い返していた。
働きながらリスクゼロで小さく稼ぐ『好きなことで起業する』新井一
ほんの数年前まで、俺は今の自分を想像すらしていなかった。会社員とは思えないほどの、自由で楽しい生活。あの頃は、そんなもの、自分には縁遠いものだと思っていたのに。
中国には、かつて「武」を極めた武人たちがいたという。真実か嘘か、彼らは時として空を蹴って何里もの距離を駆け、水の上を沈まぬまま走ることができたのだ。
日本の職場の実態『なぜ、日本の職場は世界一ギスギスしているのか』沢渡あまね
どうして俺はこんなことをしているんだろう。ふと、そんなことを考えた。どうして、俺は、今日もまたあそこに行こうとしている? あの最悪な場所に。
子どもの頃から村に暮らしているのが嫌いだった。年寄りばかりで、どいつもこいつもヘンに頭がかたくて、おまけに何もなくて。
喫茶店の奥の席で、静かにコーヒーを飲む。その席にいるのは私だけ。ひとりでいると、こんなにも穏やかでいられることを、私は今まで知らなかった。
なに……不村家について聞きたい……と……? お前さん……どこでその名を知った……。悪いことは言わん……やめておけ……あの家に触れなさるのは……。
給料がなくても豊かになれる『お金か人生か』ヴィッキー・ロビン+ジョー・ドミンゲス
子どもの頃、僕は家が貧乏なのが何よりも嫌で嫌で仕方がなかった。服は他の人からもらったおさがりばかり。好きなゲームもおもちゃも買ってもらえない。だから僕は、将来、何が何でも金持ちになってやると誓ったのだ。
月に残された男の正体とは?『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン
子どもの頃、ひどく怖くて今も忘れられない写真がある。二人の男と、彼らに手を繋がれた小さい、子どものような、けれど明らかに人間ではない、ヒトのようなもの。宇宙人。
ひとりの男が机に向かい、筆を走らせている。俺が入ってきたことにも気づいていないようだ。これほど集中するとは、この男にしては珍しい。
檻に入っているのは、どっち?『ミッドナイト・ホモサピエンス』渥美饒兒
動物園という場所が嫌いだった。臭いとか、動物が苦手だとか、そんな理由じゃない。檻の中から私を見つめてくる動物の、目。その目が、何よりも恐ろしかったのだ。
ずっと、なんとなくで生きてきた。将来は何かしらの職に就くのだろうとは思っていたけれど、やりたいことは何もない。学校で先生から聞かれる「将来の夢」が、いつも頭を悩ませていた。
探求の道はさながら迷路のように『和菓子迷宮をぐるぐると』太田忠司
その夏、私は初めて挫折を経験した。何もかも諦めて、終わりにしようと思った。そんな最悪の気分で出会ったのが、太田忠司先生の本だった。
我らの創造主は、生物のひとつひとつを完成された種族として生み出した。それがキリスト教における巨大な屋台骨であった。それが今、大きく揺るがされんとしている。
白と黒を纏ったパトカー。制服を着込んだ警官たち。犯罪者を取り締まり社会の平和を守る、正義の象徴……。しかし、彼らの全てがそうではないのだということを、私は知っている。
ようやく巣に帰ってきて、ほっと一息ついた。危険が多い外とは違って、巣の中は安全だ。持ち帰った獲物を子どもたちにあげに行く途中、ふと、一匹のアリが目に入った。あの子、また働いていない。
私はスープが嫌いだ。味噌汁のような和食だろうが、ポタージュのような洋食だろうが、関係ない。スープを飲むと、胸がざわつく。だから嫌いなのだ。
「そんな予算がどこにある! 常識的に考えろ!」
この年にもなると、大した娯楽もない。人と会うでもない孤独な老人の唯一の楽しみといえば、ただ、好きなミステリを読むことだけだ。
さまざまな文学の登場人物たちが日本を救う『ものがたりの賊』真藤順丈
小説を読んでいて、いつも思うことがある。物語の中で活躍する主人公たちが、もしも一堂に会したとしたら、いったいどうなってしまうのだろう、と。
誰もが知っている宝の蔵『大人になってから読むマザー・グース』加藤恭子 ジョーン・ハーヴェイ
きらきら光る、お空の星よ……。ふと空を見上げながら、思わず口ずさむ。ああ、この歌のタイトル、なんだったっけ。
メッセージの中に込められた驚愕の真実『ルビンの壺が割れた』宿野かほる
最近、SNSというものを始めてみた。と、友だちに言ってみたら、「今更⁉」と大いに呆れられたのだけれど、さっそくはまり込んでいる自分がいる。無数のメッセージが飛び交うその場所は、何が起こるかわからない。
吾輩は森見登美彦先生の著作を愛している。しかし、たったひとつ、許せないものがある。それは『太陽と乙女』なる作品だ。ともすれば出るとこに出ることすらも辞さない所存である。
「変わらない」を変える方法『スイッチ!』チップ・ハース&ダン・ハース
このままだと、いけない。私は気付いてしまった。自分が今まさに勤めている企業。その企業そのものが、今にも沈みかけている泥船だということに。
あらゆるファンタジーの原点『トールキンのベーオウルフ物語』J.R.R.トールキン クリストファー・トールキン
J.R.R.トールキンの『指輪物語』を初めて読んだ時、大きな感動を覚えたことが今でも胸に残っている。想像上に築き上げられたもうひとつの世界。私はあの瞬間から、中つ国の虜になったのだ。
少し前、コロナの情報でいっぱいだったニュース番組は今、別の話題で盛り上がっている。ロシアとウクライナの戦争。プーチンはいったい何を思って、この戦争を起こしたのだろうか。
洞ヶ峠を決め込む。日和見的な態度をとること、という意味を持つ故事成語である。筒井順慶とは、その故事成語が生まれる元となった人物だ。
ひきこもり問題から社会を考える『ひきこもりから見た未来』斎藤環
日中から外に出ず、家の中で過ごしている。かつてならいろいろと言われただろうけれど、今はもう、誰も何も言わない。それどころか、外に出るなと言われる。
古い言い伝えが入り混じるド田舎ミステリ『美森まんじゃしろのサオリさん』小川一水
あれ、こんなにしょぼかったっけ。地元のお祭りを見た時、思わずそう感じた。子どもの頃には何もかもが大きくて、たくさんで、賑やかだったそのイベントが、今はもう、こんなにも静かになってしまった。
なぜ、何度も見たくなるのか『ジブリアニメを心理分析』清田予紀
好きなジブリアニメは何?
子どもの頃、幼稚園の先生に憧れていました。昔から年下の子を世話するのが好きだったためか、子どもの世話がとても好きだったからです。
サラリーマン必見!『会社に使い捨てされない法律とお金の心得』大村大次郎
まるで牢獄だ。俺たちは罪も犯してないのにオフィスという監獄に閉じ込められ、ただ摩耗していくだけの部品としての一生を終えていく。昨日、隣の席のやつが消えた。いい奴だったのにな。
どうしてミステリ小説なんてものを読むのか。ミステリ嫌いの友人が、そんなことを聞いてきたことがある。はて、僕はなんて答えたのだったか。
皮肉たっぷりの痛烈パロディ『王様は裸だと言った子供はその後どうなったか』森達也
むかしむかし、あるところに、とてもおしゃれな王様がおりました。いつものように読み聞かせをしていると、うとうととしかけた娘が言った。「ねえ、王様は裸だって言った子どもは、どうなったのかな?」
想像力豊かな少女を描く少女小説『赤毛のアン』L・M・モンゴメリ
学校からの帰り道、ふと、突然に、自分が歩いている普段通りの道が、きらきらと輝いて見えた。頭の中に「幸せの小道」という言葉が浮かぶ。うん、これからこの道のことは、そう呼ぶことにしよう。
身近な疑問から始めるマーケティング『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』永井孝尚
どうしてだ。どこでこんなにも差がついたんだ。俺は隣にそびえたつ巨大なビルを見上げて、心の中で叫んだ。どうして、俺とお前の差はこんなにも広がっちまったんだ!
風に吹かれてはためいている軒先の虹色の旗。その鮮やかな七色が眩しく見えて、アタシは思わず目を逸らした。
AI、仮想通貨、ブロックチェーン『教養としてのテクノロジー』伊藤穰一
自分の片手に収まる小さな液晶を見下ろして、私はため息をついた。この存在が憎らしい。だが、そうも言っていられなくなったのだ。
誰かが言った。私のことを。魔女、だって。みんなの目が怖くて、だから、私、言ったのよ。おばさまを指さして。魔女はあの人よ、って。
やれとあるうち捨てられた廃屋に、顔突き合わせた三匹のケダモノ。はてさて、いったい何の話をしているのやら。
見捨てられたホテルが眺めてきた男女の関係『ホテルローヤル』桜木紫乃
地元の空き地の一角にある廃墟となった空き家を、今でも思い出すことがある。子どもの頃、私は何度か、その空き家に忍び込んでいた。
お金を稼ぐ手段としてじゃない『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』ヤマザキOKコンピュータ
投資はギャンブルだと、若い頃の僕は思っていた。仕事で挫折した後の僕は、お金を稼ぐためのツールとして投資は有用だと思っていた。今の僕は、そのどちらとも違う考え方をしている。
愛おしい、愛おしい私の子ども。夜遅くに響き渡る小さな怪物の泣き喚く声。私は寝不足の頭でぼんやりと、我が子をじっと見つめていた。その短くて小さな首を。
誰にでもできる成功の法則『何をしてもうまくいく人のシンプルな習慣』ジム・ドノヴァン
最初の前書きから、「あなたは今のままで完璧なのだ」と言われて驚いた。この本は今までの本とはどこか違う。そんなことを感じさせた。
これからの世代のヒントが山のようにある『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』堀内都喜子
日本は豊かな国だ。日本に来て数年、そう思わざるを得ない。経済的にも、物質的にも。文化は世界でも唯一の強みがあり、街中を歩いていても危険な目に遭ったことなんて一度もない。平和な国だ。
和歌によって結ばれる三角関係『身もこがれつつ 小倉山の百人一首』周防柳
床に、文字の書かれた札が無造作に散らばっていた。私は目を皿のようにしてその文字を睨みつける。読み手が下の句を詠んだ時、私の目が、一枚の札を捉えた。左手をしならせる。
小池龍之介先生の『しない生活』という本を読んだとき、私が思い出したのは、私自身が忌むべきものだと捉えていた、人生の一時期であった。
生きるとは何か、死ぬとは何か『空白を満たしなさい』平野啓一郎
かつて、イエス・キリストは処刑から三日後に、生き返ったという。誰もがそれを奇跡だと言ったけれど、当人からしてみれば、ぞっとするような話だと思う。
今でも思い出せる。テレビの画面越しに見た、茶色の濁流が家を吞み込んでいく光景。何もかもがぐちゃぐちゃになって流れていくその光景は、まるで出来の悪い作り物のようで。
スケジューリングがカギを握る『仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる』飯田剛弘
「お前まだその作業してるのか! まだまだ仕事はあるのに、いったいその作業に何時間かけるつもりだ!」
人生の最期、というのを、最近はよく考えるようになった。いや、年齢的にはまだまだ先なんだけど。人生百年時代。私は、何歳まで生きるのだろうか。
金さえあればなんでもできる。私は昔からそう信じていた。お金で買えないものはたくさんある、なんてよく言うけれど、ただのきれいごとだ。世の中はそんなにきれいなものじゃない
雑談ができない。仕事上での会話は滞りなくできるのに、雑談になると、途端に口が回らなくなってしまう。そんな自分を変えたくて、僕は、本に頼ってみることにした。
テレビで報道された凶悪な事件。ツイッターでは、犯人の親に対して痛烈な批判の声が呟かれ続けている。俺はそれを、苦々しい思いで見つめていた。俺も少し前まで、あちら側にいたのだ。今では、その過去を恥ずかしく思っている。
その本には、美しい表紙が描かれておりました。淡いタッチで描かれた愛らしい二人の少女。ですが、どうしてでしょうか、どこか不穏な雰囲気も秘められているのです。真っ赤に敷き詰められた彼岸花。その鮮烈な赤が、どうしてだか……。
フィンランドってどんな国?『フィンランド豊かさのメソッド』堀内都喜子
「この本、読んでみて。おすすめだよ」そう言って会社の上司が勧めてきたのは、一冊の本だった。タイトルには、こう書かれている。『フィンランド豊かさのメソッド』。
自由な時間こそ幸せ『あやうく一生懸命生きるところだった』ハ・サン
僕は何のために頑張っているんだろう。仕事でくたびれた身体を引きずりながら帰っている途中、ふと、そんなことを思った。
親子ってなぁ、どうにも鼻持ちならねぇ関係よな。切ろうとしても切れやしねぇ。憎んでいるそいつの名前が俺の背中にずっとついてきて回るのさ。まるで呪いだ。取り憑かれているみてぇだ。
目標達成の哲学『なぜ、週4時間働くだけでお金持ちになれるのか?』ティモシー・フェリス
一日の仕事は掃除から始まる。タイムカードを切り、掃除、パソコンに届いているメールを確認し、必要ならば返信していく。机の上に溜まっている書類を処理して、無数にいる取引先や顧客の質問に答えていく。それが俺の一日だ。
テスカトリポカ。「煙を吐く鏡」という意味を持つ、アステカの神のひとり。アステカ文明を研究対象に選んだ僕は、その実態を知るために、専門書の他にもうひとつ、佐藤究という作家の書いた、同名の小説に目をつけた。
日本が劣化した「平成」という時代 『私たちはなぜこんなに貧しくなったのか』荻原博子
私は「平成」生まれである。祖父母や、他の多くの大人たちが、日本の素晴らしさを称えているのを聞きながら、ずっと疑問に思っていた。こんな国の、いったいどこが素晴らしいというのだろう、と。
お話を学ぶ・語る・伝える『ストーリーテリング入門』マーガレット・リード・マクドナルド
さて、お話を、語るとしましょう。それは、あるひとりのストーリーテラーの物語。彼が、一冊の本と出会ったお話です。
社会を生きるためのスキル『生き抜くためのメディア読解』小林真大
最近、テレビの広告を見る時とかに、昔とは違う視点でよく見るようになってきた。目当てのテレビ番組の間に挟まってくる邪魔なコマーシャル。実は、そのひとつひとつ、俳優の言葉やしぐさのひとつひとつに、深い意味があるのだ、と。
『自殺の国』を読んだ時は、衝撃だった。集団での決行を仄めかす掲示板を眺める女子高生。重いテーマにもかかわらず、読後感は美しかった。
密室。推理小説好きにとって、それほど心惹かれる言葉はないだろう。実に単純ながら、その壁は推理の前に高くそびえ、まずはその牙城を崩さないと何も始まらない。密室とは、最初にして最難関の試練なのである。
昔、ハムスターを飼っていたことがある。つぶらな黒い瞳がかわいらしい、身体の大きな子だった。その仕草をぼんやりと眺めているだけで、幸せだった。
共同創業者の「つぶやき」『ツイッターで学んだいちばん大切なこと』ビズ・ストーン
「フェイスブック」を開発したのは、マーク・ザッカーバーグである。その経緯は、『ソーシャル・ネットワーク』という映画にもなったほどによく知られている。でも、同じようにSNSの大手として知られる「ツイッター」は、誰が開発したのだろう。
「転職」は、いわゆる敗北というか、白旗に近いものだと思っていた。社会人として不適格であったことを示す烙印。前職で落ちこぼれた証。その考えが変わったのは、額賀澪先生の『転職の魔王様』を読んでからのことだった。
アドラー心理学を初めて知った時、私はたしかに「素晴らしい」と感じた。しかし、多くの理論や倫理と同じく、頭の中で浮かべるのは易くとも、それを実践に移すのは、あまりにも難しい。
「モンスターペアレント」という言葉がある。自分の子どもについての理不尽な要求を他者にする親のことを「怪物」と称して揶揄したもので、一時から、妙にいろんなところで聞くようになった。
プーさんから学ぶ人生哲学『クマのプーさんの哲学』ジョン・T・ウィリアムズ
「プーのおばかさん」はちみつを守る蜂を騙すために、泥まみれで黒い雲になりすまそうとしたプーに、クリストファー・ロビンはそう言った。
エェ――それでは皆々様、集まりまして……そろそろ、始めましょうかいな……百物語を、ヒヒヒヒ……皆々、わかっておろうな……話し終わって、蝋燭を消す……それが百本……何が起こっても、逃げては、いけませんえ……。
日本はかつて、乱世であった。国の体裁は保たれず、多くの戦国武将たちが覇権を巡って争っていた。しかし、もっとも荒れ果てた時代はいつかと問われれば、室町時代末期、戦国時代を迎えるきっかけとなった「応仁の乱」の頃だと答えよう。
この世界ではないどこかに、本当の居場所がある。子どもの頃から、心の端でそう思っていたことがある。自分は生まれる場所を間違えた。そんな妄想。
抹殺された12のエピソード『封印されたミッキーマウス』安藤健二
ネットってなぁ恐ろしいもんだよなぁ、兄弟。かつては情報なんてのは新聞やらテレビやらラジオしかなかったってのに、今じゃあ誰も彼もがいろんな情報を見てやがる。「ネット」、「網」ってなぁ良く言ったもんだぜ。まさしく俺らみたいなのを捕まえる「網」っ
家のために生き、夫に心を尽くして、良き妻として天寿を全うする。武家の女とは、そういうもの。母から教わったその教えは、私を縛る呪いの言葉でした。
我々日本人とは、いったい何者なのか。「日本に住む人」などという単純明快な解答もまた正解のひとつではあるが、決してそれだけではないだろう。その答えの深奥をより深くまで探っていくのが、或いは、「民俗学」という分野なのかもしれない。
アメリカの高校生が読んでいる『資産運用の教科書』山岡道男 浅野忠克
この世は金が全てだ。そのことを、今、俺ははっきりと自覚した。だからこそ、こんな状況になっている。借金は膨れ上がって、今や額すら覚えていない。どうしてこうなったのか。俺は何を間違ったのだろう。
ひとりの作家の死の背後に隠された巨大な陰謀『狙われた楽園』ジョン・グリシャム
「楽園」とは、どのことを指しているのだろう。ジョン・グリシャム先生の『狙われた楽園』を読み終わり、読後感に身を委ねながら私が思ったのは、そんな疑問だった。
昼と夜、本当のばけものは、どっち?『よるのばけもの』住野よる
化け物になりたい。そんな空想を、毎日のように頭の中に思い描いていた。そうすれば、人間であるからこそのあらゆるしがらみを、気にしないでいられるのに。
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昔、『パラサイト』というアメリカのパニック映画を見たことを今でも覚えている。気持ち悪さと恐ろしさにぞくぞくしながらも、不思議と心惹かれたことを。
その小説を読むと、海外のパニックホラー映画を思い出す。人間同士の諍いや欲望、閉ざされた空間の中での逃走劇、そして、次々と命を奪っていく巨大な怪物。
そこはまるで巨大な砂漠のようだった。道案内の標識もない。前を行く誰の背中も見えない。僕は気がつけば、そんな場所にひとり、突っ立っていたのだった。
ああ……ようこそ、いらっしゃいました。先に料金の方を……おや、占いではないので? では、どういったご用件で当店にいらしたのでしょう。
なんということだろう。僕はカレンダーを見て絶望した。夏休みは残りたったの3日しかない。だというのに、僕の目の前にはまだまだほとんど手つかずの宿題が残っている。時間がなかった。
あなた……ホラーはお好き……? そう、でしたら、こちらの本は、あなたのお気に召して頂けると思いますよ……。
視力を全て失った人の目には、世界はどのように見えているのだろう。彼らはいったい何を感じ、何を思いながら生きているのだろうか。
始まりはひとりの男だった。やがて、ソレはあっという間に広まって、世界を大きく変えてしまうことになるのだが、その当時はまだ、誰もその未来を知る者はいなかった。
就職して以来、真面目に働き続けてきた。納得できないことも、理不尽な指示も、なんでも言われたことをこなしてきた。
脳裏にこびりつくように離れない、ひとつの小説がある。私はその作品が好きなわけではないし、読んでいてむかむかするばかりだった。でも、その作品を、私は忘れたくはないのだ。
私が変わったのは、あの一冊の本との出会いが全てのきっかけだった。決して届かない壁に初めて出会い、もがき、力尽きて項垂れていたあの頃に、私は出会ったのだ。
エェ……今宵はお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。それでは揃いましたことですし、始めていきましょう。
生まれてからずっと真面目に生きてきた。卑怯なことやずるいことが嫌いで嫌いで仕方がなかったし、そんなことをする奴らが全員許せなかった。その考え方が変わってきたのは、最近のことだ。
「山猫軒へようこそいらっしゃいました。どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません。当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」
名の刻まれた墓石を見下ろして、俺は思わずため息をついた。もう二度と会えなくなってしまった友人の影は、今も俺の周りにまとわりついている。彼を追いやった者は一体何だったのか、その正体は。
はっと飛び起きる。少し遅れて、自分が今さっきまで寝ていたことを思い出した。ほうと息を吐いて、今しがた見ていた夢を思い返す。窓の外はまだ暗かった。
この春に入社してきた後輩が、仕事を辞めることになったという。それを上司から聞かされた時、私は愕然としてしばらく口が利けなかった。
毎朝、鏡を見るたびに不安になる。鏡に映る自分の顔が、虎になってやしないか、と。そう思うようになったのは、そう、あの作品に触れた、その時からだった。
子どもの頃、将来の夢を聞かれた時、僕はいつも言葉に詰まっていた。どうしてみんな、働くことが当たり前だと思っているのだろう。どうして、働きたくない、なんて言ったらいけないような空気があるのだろう。
妻が家を出ていった。俺はひとりきりになった居間でグラスを傾けながら、妻の最後の言葉を、頭の中で思い返していた。
昔、『パラサイト』というアメリカのパニック映画を見たことを今でも覚えている。気持ち悪さと恐ろしさにぞくぞくしながらも、不思議と心惹かれたことを。
その小説を読むと、海外のパニックホラー映画を思い出す。人間同士の諍いや欲望、閉ざされた空間の中での逃走劇、そして、次々と命を奪っていく巨大な怪物。
そこはまるで巨大な砂漠のようだった。道案内の標識もない。前を行く誰の背中も見えない。僕は気がつけば、そんな場所にひとり、突っ立っていたのだった。
ああ……ようこそ、いらっしゃいました。先に料金の方を……おや、占いではないので? では、どういったご用件で当店にいらしたのでしょう。
なんということだろう。僕はカレンダーを見て絶望した。夏休みは残りたったの3日しかない。だというのに、僕の目の前にはまだまだほとんど手つかずの宿題が残っている。時間がなかった。
あなた……ホラーはお好き……? そう、でしたら、こちらの本は、あなたのお気に召して頂けると思いますよ……。
視力を全て失った人の目には、世界はどのように見えているのだろう。彼らはいったい何を感じ、何を思いながら生きているのだろうか。
始まりはひとりの男だった。やがて、ソレはあっという間に広まって、世界を大きく変えてしまうことになるのだが、その当時はまだ、誰もその未来を知る者はいなかった。