怪談……というか、不思議なお話を99話集めようと思います。ここに書かれているお話は私と、私の直接の知人が体験した話です。
教習所へ通っていたころだから、二十歳くらいの話だ。教習所へ向かう途中に、バッティングセンターがあった。時間調整のためや、嫌な教官に当たってしまったときの憂さ晴らしに、私はときどき、ここに寄った。 ある日のこと、私はいつものように、一番左のボックスに入った。野球は遊びや体育の授業(あれはソフトボールか)でやっただけだが、剣道をやっていたこともあってか、打撃はまずまずである。毎回同じようなスピードで、まっすぐ投げられる球なら、だいたい打ち返すことはできた。バッティングセンターでは、他人のバッティングを後ろで見ている人がたまにいるが、この日もふたり、そうした人が私を見ていた。 何球目だったか。私の視…
作家のT先生から聞いた話である。 ちょっとした集まりで、知り合いのFが妙なことを言い出した。「ぼくね、すごいことができるようになったんだよ」 T先生のほかにふたりの人がいて、Fの話に耳を傾ける。 Fは小さめのサイコロを4つと、湯飲みをひとつ取り出した。最初から皆に見せるつもりで用意してきたのだろう。 Fは丁半博打のようにサイコロを湯飲みに入れ、テーブルの上に伏せる。そして滑らせるように、くるくると湯飲みを回した。湯飲みを開けると、サイコロの目はすべて赤い点、1である。何度やっても、すべて1が出る。しかし、ほかの人がやってみると、当然のことながら、目はばらばらだ。 皆はFが、手品を習得したのだと…
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