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九十九物語(つくものがたり) https://tsukumo9951.hatenadiary.com/

怪談……というか、不思議なお話を99話集めようと思います。ここに書かれているお話は私と、私の直接の知人が体験した話です。

九十九耕一
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2020/06/21

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  • 第三十七話 会釈を返した母子

    「もう20年以上前の話だけど……」と、Sは語り始めた。 当時、音響の仕事をしていたSは、地方公演のスタッフとして全国いたるところに飛び回っていた。中でも広島には何度も訪れたそうだ。 ある時、いつもの宿が取れず、数名のスタッフがホテルに泊まることになった。Sは役者Oと相部屋になった。相部屋とは言っても、その部屋は6畳間がふたつあったので、ゆったりできると、少し嬉しかったそうだ。 その夜、仕事が終わり、いったん部屋に引き上げたSは、強い眠気に襲われた。そんなに疲れたわけでもないのだが、知らず知らず疲れが溜まっていたのかもしれない。少し横になることにした。 ふと気がつくと、隣の部屋から人の気配がした…

  • 第三十六話 曾祖母の添い寝

    友人Aがまだ幼いころ、母方の曾祖母、つまりひいおばあさんが存命だった。高齢のため、多くを床で過ごしていたが、寝たきりというわけではなく、それなりに元気だったそうだ。 ひいおばあさんは娘(Aのおばあさん)には厳しかったが、初孫であるAの母、そして初曾孫であるAを、とてもかわいがっていた。Aはおばあさんの家に行った夜は、ひいおばあさんの隣の部屋で寝ていた。AとAの母、そしてAの妹と、3人で床を並べてていたのだそうだ。襖を隔てた隣の部屋から、ひいおばあさんの子守歌が聞こえてきたと言うから、愛情の深さが伺える。無論Aも、そんなひいおばあさんが大好きだった。 元気とは言っても、高齢である。Aと過ごす時間…

  • 第三十五話 地方公演

    劇団を運営しているY夫妻から聞いた話。 その日、Y夫妻は地方公演のため、劇団員と共に車で、とある劇場に向かっていた。 途中、嫌なものを見た。事故現場である。山道にさしかかっており、車通りは少なくなっていた。ついスピードを出しすぎてしまったのか、一台の乗用車が電柱に突っ込んでしまっていた。車の前部はV字に凹み、電柱を抱き込んでいるように見えた。かなりのスピードで突っ込んだのだろう。 事故が起きてから、まだそう時間はたっていないようだった。外にいる人のようすから、救急車待ちであることが、なんとなくうかがえた。 Y夫妻も劇団員も、事故車の具合から「これは亡くなってるかも……」と思ったそうだ。 劇場に…

  • 第三十四話 電話回線のドッペルゲンガー

    「ドッペルゲンガー」とは、簡単に言えば「もうひとりの自分」である。「三回見ると死ぬ」などと囁かれることもあるが、真偽のほどは定かでない。 同僚Nは、過去2回、もうひとりの自分を感じたことがあると言う。「見た」のではなく、もうひとりのNは、電話の向こう側にいるらしい。直接話したことはなく、知人が、もうひとりの自分と話したのだそうだ。 一度目は、娘がまだ幼稚園に通っていたころだそうだ。ママ友のYはある日、N宅に電話をかけ、「娘さんと遊びにいらっしゃいよ」と声をかけたそうだ。Nは「じゃあ、2時に行くね」と答えたそうだ。しかし、約束の時間を過ぎてもNは来ない。夕方にもう一度電話をかけたが、留守だった。…

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