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2020/05/16

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  • 【旧作】怒れ!日本の中流階級【再読】

    カレル・ヴァン・ウォルフレン(鈴木主税訳),1999,怒れ!日本の中流階級,毎日新聞出版.(5.29.23)ウォルフレンが指摘するとおり、日本では、マルクス主義の弊害からか、「ブルジョワジー」(中流階級)は敵対、蔑視の対象でしかなかった。しかし、実際には、マルクスが革命の担い手として期待した「プロレタリアート」はしょせん烏合の「群衆」にしかなり得ず、守るべき私有財産を所有する「プチブル」こそが、官僚と既得権益層の支配を許さぬ政治の、ときには社会変革の担い手となった。日本で、そうした「中流階級」が形成されなかった、その経緯については、本書で、イエ制度の定着、残存原因説として詳しく説明されているとおりであるが、宮島喬の所説をふまえれば、政治的無関心と政治的覚醒の両方の可能性をもった私生活中心主義が、日本では、...【旧作】怒れ!日本の中流階級【再読】

  • 【旧作】官僚社会主義【再読】

    北沢栄,2002,官僚社会主義──日本を食い物にする自己増殖システム,朝日新聞社.(5.28.23)「官僚社会主義」とは言い得て妙であるが、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」という憲法第15条などどこ吹く風、自己利益と省益のみを追求し、国益を毀損する官僚とそれに結託する政治家の悪行がこれでもかというほど徹底的に洗い出されている。第二次安倍政権時、官僚から表向き権限を剥奪する「政治主導」が実現したが、それは、アベシンゾーとその取り巻き連中の私益を追求するべくそうなったのであって、その私益を忖度する限りにおいて、官僚は実質以前よりやりたい放題となった。本書が出版されて約20年、事態は好転するどころか明らかに悪化している。権力の不正を地道な取材で暴く本書のような取り組みがなされなくな...【旧作】官僚社会主義【再読】

  • 【旧作】利権の復活【再読】

    古賀茂明,2013,利権の復活──「国民のため」という詐術,PHP研究所.(5.27.23)アベシンゾーがマスコミを籠絡してまき散らしたデタラメの数々を思い起こさせる内容ゆえ、あらためてこの国の救いようのなさを実感した。古賀さんの政治時評には引き続き期待しているのだが、人気ないもんなあ、このての言説は。使われるメディア、騙される国民。安倍人気の背後で官僚・族議員が焼け太る。私たちの不安を煽り、進んで利権の片棒を担がせる催眠手法。橋下徹氏のレトリックも分析。目次プロローグつくられた「改革派」イメージ第1章官僚からレトリックを学ぶ政治家たち第2章原発問題―「世界一厳しい安全基準です」第3章TPP―「聖域なき関税撤廃が前提ではない」第4章アベノミクス―「年収は一五〇万円増えます」第5章憲法改正―「国民の大多数が...【旧作】利権の復活【再読】

  • パワハラ問題

    井口博,2020,パワハラ問題──アウトの基準から対策まで,平凡社.(5.23.23)たいへんわかりやすく「アウトの基準」が解説されている。裁判の判例が数多く紹介されているのも良い。さて、新刊図書はほぼ尽きてきたので、夏に新たな燃料を仕入れるまでは、旧作をぼちぼち読んでいくか。アウトとセーフの境界はどこにあるのか。被害を受けたら、被害を訴えられたらどうするのか。経営者や管理職に限らず、誰もが被害者、加害者になりうる「パワハラ問題」。2020年6月からは「パワハラ防止法」も施行されたが、中身を理解している人は少ない。過去、1000件以上のハラスメント相談を受けてきた弁護士が、この法律を徹底解説したうえで、予防策や危機管理、過去の判例まで詳述。全組織人必読の書。目次第1章まず基礎知識から第2章ウィズコロナ時代...パワハラ問題

  • 差別の現在

    好井裕明,2015,差別の現在──ヘイトスピーチのある日常から考える,平凡社.(5.21.23)在日朝鮮人・韓国人、被差別部落、障がい者、性的マイノリティ、そして女性への差別とその表象を読み解く。差別問題を考える素材として、多数の映画作品が紹介されている。少し不満だったのが、被差別者の暴力性についての指摘と考察がないことだ。部落解放同盟の同和利権とそれに群がった半グレ、暴力団メンバー、そして差別を糾弾する側の暴力は、避けてとおることできない問題であるように思うのだが。在日朝鮮人や韓国人の存在を否定するヘイトスピーチ。これらの言動を差別とする判決が最高裁で確定したが、それは私たちと無関係の出来事なのだろうか?「してはいけない」という次元に閉じ込めるのではなく、自分も思わず知らずに絡めとられていることに気がつ...差別の現在

  • 日本衆愚社会

    呉智英,2018,日本衆愚社会,小学館.(5.15.23)あいかわらずの博覧強記ぶりがすばらしい。新聞記事の誤表記を次から次にやり玉に挙げる。過剰なPoliticalCorrectnessの横行で、とめどなき言葉狩りが進行している現状への揶揄にも共感する。自称知識人の無知・無教養を白日に晒す”もっとも危険な論客”による11年ぶりの新作評論集。衆愚社会と化したこの国の、歪んだ言論状況を毒味たっぷりにあぶり出す。たとえば、「支那」が禁止用語とされていることに、「差別語ではない」と反論。「日本人が『支那』と呼ぶのが差別なら、なぜ中国は欧米の『China』に抗議しないのか」と疑問を呈す。「リベラルは差別的である」「支那は差別語ではない」―欺瞞的な平和、偽善的な人権主義、衆愚社会に警告を発する“正鵠を射た”暴言集。...日本衆愚社会

  • 居場所を探して

    長崎新聞社累犯障害者問題取材班,居場所を探して──累犯障害者たち,長崎新聞社.(5.13.23)刑務所で服役している囚人のうち、2割程度の者に知的障がいがあると推測されているが、障がいゆえに罪の自覚なく犯罪を繰り返す「累犯障がい者」の問題。山本譲司さんの問題提起から20年を経過し、ふじゅうぶんながら司法と社会福祉の連携も進んできた。本書は、累犯障がい者本人とその家族、近隣住民、南高愛隣会や検察庁の職員等を対象に、粘り強い取材により作成、配信された新聞記事をもとにしたものだ。課題は多い。なかでも、問題の重要性が認識されながら、累犯障がい者の保護と更生に取り組む社会福祉法人が南高愛隣会ただ一つしかないという現状は、社会福祉の貧困を表すものであろう。居場所を探して

  • 【古典】予言がはずれるとき【再読】

    L.フェスティンガー、H.W.リーケン、S.シャクター(水野博介訳),予言がはずれるとき──この世の破滅を予知した現代のある集団を解明する,勁草書房.(5.9.23)本書は、「認知的不協和の理論」で知られるフェスティンガー等による、とあるカルト教団への参与観察の記録だ。この世の破滅と神=異星人による救済を信じたこのカルト教団の中心人物たちは、予言した大洪水もUFOの到来も起こらなかったあと、よりいっそう自分たちの信仰を強めたように観察された、その理由が「認知的不協和の低減」にあるという説明図式が展開されている。学生のころに読んだ『認知的不協和の理論』ほどのおもしろさはないが、ユニークな参与観察の記録として調査の参考にもなるだろうということで、「古典」としての位置づけは適切であると思う。なお、フェスティンガ...【古典】予言がはずれるとき【再読】

  • チェルノブイリの祈り

    スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(松本妙子訳),2021,完全版チェルノブイリの祈り──未来の物語,岩波書店.(5.6.2023)旧ソビエト連邦は、チェルノブイリ原発事故を隠蔽し、事故現場の写真、動画撮影を厳しく禁じた。したがって、事故や住民避難の記録は、ほとんど残っていない。しかし、事故により、故郷や、自らか肉親、配偶者の命を奪われた者たちの声は、本書をとおして永遠に残り続ける。未曾有の人災にみまわれた市井の人々の声の数々が、呪詛のように響き合う。一九八六年四月二六日午前一時二三分、その事故は起こった。人間の想像力をこえる巨大な惨事に遭遇した人びと。彼らの語る個人的な体験、苦悩をとおして放たれる切なる声と願いを、作家は被災地での丹念な取材により書きとめる。消防士の夫を看取る妻、事故処理にあたる兵士、動...チェルノブイリの祈り

  • 【旧作】きだみのる【再読】

    太田越知明,2007,きだみのる──自由になるためのメソッド,未知谷.(5.2.2023)奇人、変人、怪人として知られるきだみのるは、優れた日本文化論としても評価が高い『気違い部落周游紀行』の作者、その人である。また、林達夫とともに、アンリ・ファーブルの『昆虫記』を翻訳した人としても知られている。ファーブルの『昆虫記』の翻訳といえば大杉栄。きだと大杉の接点はあったのだろうか。フランスで師事したマルセル・モースの仕事は、きだの村落観察記にどう継承されたのか。いろいろと興味は尽きない。日本生れフランス育ちを自認するきだみのるの生涯と言説の全貌!!きだが生きた20世紀の日本は「国家と戦争」の、「集団妄想と狂熱」の、つまり「精神的狭隘と自閉」の時代であった。しかし彼は当時の集団意識には同調せず、自由に自らの目で共...【旧作】きだみのる【再読】

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