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2020/04/01

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  • 地政学を無視した代償を払う欧州

    欧州から距離を置く米国 ここのところ欧州には激震が走っています。 トランプ大統領はウクライナ戦争の停戦に向けて動き出し、欧州の頭越しにプーチン大統領と直接交渉を始め、欧州は蚊帳の外です。 欧州は停戦交渉に関与させろと主張したものの、トランプ大統領は聞く耳をもちません。 それどころか「ウクライナの安全保障は欧州に任せる。平和維持軍を欧州がウクライナに送ることには反対しないが、その派遣部隊はNATOとしての派遣ではない。ウクライナのNATO加盟は認めない」と主張しています。 欧州各国は一斉に米国を批判していますが、本当にトランプ大統領だけが悪いのでしょうか。 どうもそうでは無さそうです。 冷戦以降…

  • 米国の歴史的外交戦略転換-逆キッシンジャー戦略

    米国の歴史的な戦略転換 最近米国は国連の安保理でロシアと協力してウクライナの早期停戦に関する決議案を通しました。 ロシアの侵略に触れないこの決議案に対して英仏は決議を棄権して反対の意を表しました。 これに先立ちトランプ大統領はロシアをG7に呼び戻すべきだとも発言しました。 国際秩序を踏みにじるプーチンに接近するのかとトランプ大統領の最近の言動は西側で評判が悪いのですが、どうも彼の政権はロシアに明らかな意図を持って接近している様です。 米国の外交問題評議会が2月19日に掲載した「Trump’s Abrupt Turn to Russia—and Whether a U.S.-Russia Tea…

  • 米国支援なしの将来に直面するウクライナ

    世界中に発信された口論 先日のワシントンでのトランプ大統領とゼレンスキー大統領の口論はライブで世界中に発信されました。 ゼレンスキー大統領の気持ちもわからないではありませんが、トランプ大統領を怒らせてしまった事は、ウクライナの将来に大きな影を投げかける事になりました。 英誌Economistが「Ukraine confronts a future without America, and perhaps Zelensky」(米国そしてゼレンスキー大統領もいない将来に直面するウクライナ)と題する記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Economist記事要約 ワシントンから…

  • 中国のアキレス腱を狙うトランプ政権

    トランプ政権の大統領令ラッシュ トランプ大統領は就任後矢継ぎ早に大統領令を大量に発令しましたが、その中に鉄鋼とアルミ製品に一律25%の輸入関税をかけるというものがあります。 これはおそらく鉄鋼大国の中国を狙ったものと思いましたが、米国の鉄鋼輸入国を調べてみると1位メキシコ、2位ブラジル、3位カナダと中国は上位に入っていません。 なんと中国の米国への鉄鋼製品輸出は89万トンで、これは中国の鉄鋼輸出全体(1億1千万トン)の0.8%しかない事がわかりました。 それでは今回の鉄鋼、アルミ製品への関税は中国と関係ないものなのでしょうか。 どうもそうではなさそうです。 米誌Foreign Policyが「…

  • バイデン氏のお粗末な幕引き - 日鉄の買収を阻止

    日本は同盟国ではないのか バイデン大統領が下した日鉄のUSステール買収阻止の決断は大きな波紋を広げました。 筆者もこの判断には驚かされました。 最大のライバル中国に対抗するのに最も重要な同盟国である筈の日本を安全保障上の理由からあたかも敵国の様に扱う米国のこの仕打ちに呆れたというか、結局その程度にしか日本のことを考えていないんだなと感じてしまいました。 日本のメディアはもちろんこのニュースを大きく取り上げていますが、米国でもこのバイデン氏の判断は否定的に評価されている様です。 そんな中から二つの記事をご紹介したいと思います。 一つ目は米Bloombergの「Biden’s Steel Move…

  • シリアにおけるイランの敗北はトルコの勝利

    あっという間の政権崩壊 シリアのアサド政権はあれよあれよと言う間に崩壊しました。 ロシアとイランの支援を受けてしぶとく政権を維持してきたアサド大統領は何故これほどあっけなく政権を放り出してしまったのでしょうか。 今思えばハマスのイスラエル奇襲攻撃が今回の中東の地殻変動の始まりだった様な気がします。 これがイスラエルのハマス、ヒズボラへの攻撃を誘発し、シリアにおけるイランの存在感が希薄になった所にウクライナ戦争で手が一杯のロシアの窮状が重なった事が今回の転覆劇に繋がったと思われます。 ロシアとイランという鬼の居ぬ間にシリアで存在感を高めたのはトルコでした。 今回の政変劇においてトルコが果たした役…

  • トランプ氏が成功した民主党支持層の切り崩し

    民主党大敗の理由 大統領選が終わり、トランプ次期大統領は矢継ぎ早に閣僚人事を発表し、次期政権の枠組みが固まってきています。 それにしても今回の選挙、事前の大接戦の予想とは裏腹に、上院、下院も含めたトリプルレッドが実現し、民主党完敗の結果となりました。 民主党の敗北の理由について、欧米の様々なメディアで解説が行われていますが、今日は米紙ウォール・ストリートジャーナルが掲載した「Trump Might Have Won the First Postracial Election - Black and Hispanic voters defect from Democrats, who have …

  • 接戦のはずがトランプ氏の圧勝に終わった大統領選

    トランプ大統領再選が世界に与える影響 トランプ氏とハリス氏の大統領選はあっけなくトランプ氏の圧勝に終わりました。 世界最強の権力者を決める選挙の結果は世界中の国に大きな影響を与えます。 BBCが「The view from countries where Trump's win really matters」(トランプの再選に大きく影響される国々の見解)と題した記事を掲載しました。 欧州と中国の見解について、かいつまんでご紹介したいと思います。 BBC記事要約 欧州の見解 ハンガリーの首相でありトランプ氏の同盟者であるオルバン氏は、喜びのメッセージを最初にFacebookに投稿した。「勝利は確…

  • 犬用カートの販売台数がベビーカーを上回った韓国

    極端に低い出生率に悩む韓国 韓国では小型の犬を載せたベビーカーが日常風景の一部になっている様です。 韓国の出生率が世界でも最低水準であることは良く知られていますが、ベビーカーの販売台数を犬用のカートのそれが上回ったというニュースは人々を驚かせました。 何故韓国の若者たちは子供の代わりに犬を選んだのでしょうか。 この点について米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「Soaring Sales of Dog Strollers」(犬用のカート販売が急増)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 WSJ記事要約 米国を含め、子どもがいない生活や子供を産むのをためらう傾…

  • 東南アジアで支持を失いつつある米国

    米国外交の評価 米国の外交は今世界でどの様に評価されているのでしょうか。 特に米国が重要視しているインド太平洋地域、その中でも中核をなす東南アジアの国々は米国をどの様に評価しているのでしょうか。 この点について、米誌Foreign Affairsが​​「America Is Losing Southeast Asia」(東南アジアを失いつつある米国)と題する論文を掲載しました。 著者はブルックリン研究所のLynn Kuok氏です。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Foreign Affairs論文要約 米国は最近、アジアのパートナーとの「結束」をアピールしている。 ブリンケン米国務長官は…

  • 米国五輪団が採用した深い睡眠を得るための10則

    競技前夜の睡眠の重要性 パリオリンピックが終了しました。 選手の活躍を支えるのは何よりも睡眠ですが、選手たちは時差ボケと戦いつつどうやって十分な睡眠を確保したのでしょうか。 香港紙のSouth China Morning Postが「米五輪チームの指導者が唱える最高の睡眠のための10則」と題する記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 South China Morning Post記事要約 多くのアスリートにとって睡眠は悩みの種だ。 2015年の調査ではオーストラリアのトップアスリート283人のうち、64%が過去1年間で「競技前夜の睡眠不足」に悩まされていた。 ​​​​米五…

  • パリ五輪で驚異の復活を遂げた世紀の歌姫

    開会式最大のサプライズ 皆さんも既にご存知と思いますが、セリーヌ ディオンがパリオリンピックの開会式に登場し、エッフェルタワーから「愛の讃歌」を歌い上げました。 彼女が進行性の難病にかかり、歌うどころか椅子から立ち上がることさえできないほどの状態であった事を知っていただけに、彼女の突然の登場に驚き言葉を失いました。 そしてその素晴らしい歌声に年甲斐もなくボロボロ泣いてしまいました。 エッフェル塔からエディット ピアフの最高傑作「愛の讃歌」を歌い上げる様は、正に歌の女神降臨という印象でした。 雨に濡れたピアノは情感を更に高めました。 それにしてもディオンを開会式のトリに持ってくるというのは最高の…

  • 台頭するインド系リーダー達

    副大統領候補夫人はインド系 米国では共和党全国大会が開かれ、副大統領候補にヴァンス上院議員が指名されました。 テレビ報道を見ていると、ヴァンス候補の傍らにインド系と思われる夫人が付き添っている事に気が付きました。 興味が湧いて、メディアを調べたところ、英国BBCが彼女について「Who is Usha Vance, lawyer and wife of Trump's VP pick?」(弁護士で副大統領候補の妻であるウーシャ ヴァンスとはどんな人)という記事を掲載していました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 BBC記事要約 副大統領候補に指名されたヴァンス上院議員の妻ウーシャ氏は、共和…

  • 酒もタバコも好きなスペイン人が長生きな訳

    南欧は意外にも長寿国 日本は長寿国として有名ですが、欧州も負けてはいません。 欧州の中では所得の高い北欧が南欧に比べてより長寿と思われますが、実は南欧も長寿という点はあまり負けていない様です。 昼間から酒を飲んでいる様な南欧の人々は不摂生の様な気がしますが、統計は彼らが長寿である事を示しています。 この点について英紙エコノミストが「Why southern Europeans will soon be the longest-lived people in the world - Diet and exercise, but also urban design and social life」…

  • AIは不老長寿の薬を可能にするか

    AIがもたらすものとは AIはChat GPTの登場により、私の様な素人にも身近な存在になりましたが、AIの進化により将来どんな変化が人類にもたらされるのか良く理解できません。 英誌エコノミストがこの点について「Ray Kurzweil on how AI will transform the physical world」(Ray Kurzweilが語る - AIが現実世界をどのように変えるのか)と題した記事を掲載しました。 著者のKurzweil氏は著名なコンピューターサイエンティストだそうです。 えっと驚く様な内容ですので、ご紹介したいと思います。 Economist記事要約 今日生まれ…

  • 今こそ米国とトルコは和解すべきだ

    土壇場の訪米キャンセル トルコのエルドアン大統領は5月にバイデン政権下で初の米国公式訪問を行う予定でしたが、土壇場でキャンセルとなりました。 人権を謳うバイデン大統領と強権的とされるエルドアン大統領の相性は決して良くないのですが、ウクライナでの戦争やガザでの戦いが激しさを増す中で、米国とトルコの関係修復は待ったなしの状況の様です。 この点について米誌Foreign Affairsが「It’s Time for America and Turkey to Reconcile」(今こそ米国とトルコは和解すべきだ)と題する論文を掲載しました。 著者はブルッキングス研究所研究員のASLI AYDINT…

  • イラン人がハマスよりイスラエルに好感を寄せる訳

    有史以来初めての軍事衝突 イランとイスラエルは最近お互いを攻撃しあいました。 この両国は昔から何度も戦火を交えてきたものと思っていましたが、実は今回の攻撃は有史始まって以来のものだった様です。 イラン人とユダヤ人との間には知られざる長い友好関係がある様です。 米誌Foreign Affairsが「The Shallow Roots of Iran’s War With Israel - Beneath Tehran’s Extremism, a Lost History of Deep Iranian-Jewish Ties」(イランとイスラエルの争いはごく最近の出来事。テヘランの過激主義の裏…

  • グリーンエネルギーでも火花を散らす米中

    ライバルの台頭を許さない米国 米中の対立は最近厳しさを増しています。 米国は世界覇権を譲る積もりはなく、米国の座を脅かすライバルの台頭を決して許しません。 日本も1990年頃にJapan as No.1などともてはやされましたが、半導体や自動車の分野で米国の容赦ない抑え込みにあい、急速に力を失っていきました。 現在米国が目の敵にしているのが中国です。 しかしこの国は日本よりも強敵です。 米国がこの難敵をどの様に押さえ込もうとしているのか、また米国は抑え込みに成功するのかについて米誌Foreign Policyが、「Is Biden Deferring the Green Transition …

  • 知らぬ間に増大する中国からの移住者

    円安が拍車をかける外人の不動産熱 最近の円安は日本で売られているものの価格をドル換算で大きく下げました。 筆者も最近頻繁に海外に行きますが、以前は日本に比べて物価が安いと思ったトルコの様な国でも物価が高いと感じる様になりました。 日本人の旅行客は海外旅行先で円安に苦しめられますが、逆に外人旅行客にしてみれば、今の日本は格安に感じられるでしょう。 彼らが秋葉原や銀座で爆買いするのも無理はありません。 そして彼らはもっと高い買い物にも触手を伸ばしている様です。 それは東京の不動産です。 米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「​​​​​​The Exodus of China’s Wealt…

  • 習主席は欧州を取り戻せるか

    5年間で一変した欧州の中国への見方 習近平主席はフランスを皮切りに欧州歴訪を開始しました。 欧米の中国への見方が厳しさを増す中、今回の欧州歴訪がどの様な意味を持つのか、大変興味深いものがあります。 今回の欧州訪問の目的は米国からの呼びかけに応じて厳しい対中政策を打ち出そうとする欧州諸国の足並みを乱し、欧米の仲に楔を打ち込もうというものと理解されますが、うまくいくでしょうか。 欧州で訪問する3カ国(フランス、ハンガリー、セルビア)は入念に検討した上で選択されたものと思われます。 特にフランスはドゴール主義の伝統があり、最近もマクロン大統領が安全保障面での欧州の自立を唱えており、中国側は付け入る隙…

  • 中国を巧みに操る米国実業家

    中国に急遽乗り込んだマスク氏 イーロン・マスク氏は毀誉褒貶の多い人物ではありますが、時代を切り開く実業家であることはスペースXやテスラの成功から明らかです。 そんな彼が最近突如中国を訪れ、中国政府の要人と面談したことが報道されました。 今回の訪問が最近の米中の関係冷却という文脈の中でどの様な意味を持つのか、そしてテスラは中国の競合メーカーとの競争が激化する中、何を中国から得ようとしているのか興味深いところです。 この点に関してロイター通信が4月29日付で「What is Tesla's Full Self-Driving and why its China rollout matters」(テ…

  • 金銭への無関心が生んだ大谷選手の隙

    大金が消えても気づかない大谷選手 大谷選手は月曜日に記者会見を開き、自らの潔白を主張し、信頼していた水原氏に騙されていた事を明かしました。 しかし未だに闇に包まれている部分があります。 それは「彼がこれだけの大金が送金されていた事を本当に知らなかったのか。」という点です。 米国のメディアもこの点についてかなり懐疑的にみているところがある様です。 確かに普通の人の生涯収入を遥かに上回る金額が口座から消えたら、さすがに気づくだろうと思ってしまいますよね。 この問題について米紙のウォール・ストリートジャーナル(WSJ)こんkが「Gambling Scandal Shines Light on Sho…

  • 大谷選手と水原通訳の特殊な関係

    暗転した韓国遠征 大谷選手の韓国遠征は結婚相手の発表とともに華々しく始まりましたが、その後通訳の水原氏が野球賭博で大金を失い、大谷選手の口座からその損金が支払われた事が明るみに出た事で一気に暗転しました。 筆者も多くの日本人と同様に大谷選手のファンですので、この事件の推移が気になって仕方がありません。 彼がもし野球ができなくなる様な事があれば、これは我が国にとっても大きな損失と言っても差し支えないと思います。 そんな中、米紙ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)が「The Interpreter at the Center of the Shohei Ohtani Scandal」(大谷翔平…

  • 現実味を帯びるターミネーターの到来

    自律型兵器の誕生 著者はハリウッド映画「ターミネーター」のファンです。 機械が将来進化して人類に大規模な戦争を仕掛ける様になりますが、そこで人類を救った英雄ジョン・コナーの母親を殺害するために2029年の未来から1984年にタイムスリップして送られてくるのが、アーノルドシュワルツネッガー扮する殺人兵器ターミネーターでした。 そんな荒唐無稽な話と思われるかも知れませんが、この機械が人類に対して攻撃を仕掛けてくるというシナリオは今や現実味を帯びてきている様です。 人間の手を借りずに自ら敵を特定して攻撃する自律型兵器の運用開始について米誌Foreign Affairsが「The Perilous C…

  • 戦争の局面を変えた一本の記事

    司令官のEconomist誌への寄稿 昨年11月1日にEconomist誌が独占記事として発表したウクライナのザルジニー司令官の寄稿は大きな反響を呼びました。 西側が期待していたウクライナの反攻が成功せず、戦線がこう着状態である事を明らかにしたからです。 ゼリンスキー大統領はこう着状態では無いと司令官の発言を直ちに否定しましたが、司令官の主張を大統領が否定するという事態は逆に二人の権力者の間の溝を印象付ける結果となりました。 そして遂にザルジニー氏の解任が先日発表されました。 この解任について当のEconomist誌が「The dismissal of Valery Zaluzhny is a…

  • 退職すべきでない理由

    引退すべきか否か 人間の寿命は伸び続けています。日本は長寿国として知られていますが、女性は何と87歳まで平均寿命が伸びています。 以前は会社を定年退職してから亡くなるまでそれほど長く無かったのですが、現在はこの期間が10年単位で伸びてしまっている訳です。 この状況は日本に特異な現象ではなく、世界各国で同様の問題を抱えています。 そんな中、英紙Economistが「Why you should never retire」(絶対に退職してはいけない理由)と題するコラムを掲載しました。かいつまんでご紹介したいと思います。 Economistコラム要約 仕事を辞めない人がいます。 ジョルジオ アルマー…

  • 複数の紛争に足を突っ込んだ米国

    泥沼化する紛争 ウクライナ戦争は長期戦の様相を呈してきました。 パレスチナ紛争も先は見通せません。 この二つの紛争に深入りした米国は、台湾有事等などアジアで紛争が生じれば、3つの異なった地域の紛争に同時に対応する必要が生じます。 今の米国にそれは可能でしょうか。 この点について米誌Foreign Policyが「America Is a Heartbeat Away From a War It Could Lose」(敗北するかもしれない戦いに直面する米国)と題した論文を掲載しました。 著者のA. Wess Mitchell氏はトランプ政権時代の国務省ユーラシア問題担当次官補です。 かいつまん…

  • 不可解な羽田空港事故の原因

    管制官と海上保安庁見解の相違 羽田空港での飛行機衝突事故は飛行機にしょっちゅう乗っている筆者の肝を冷やしました。 日本でもこんな事故が起こるんだと驚きましたが、事故の原因は未だに謎です。 海上保安庁の機長は管制官より離陸許可が下りたと理解した様ですが、発表された交信記録では許可は下りていません。 海外のメディアはこの事故をどの様に報じているのでしょうか。 殆どのメディアは緊急用シューターを利用した脱出が見事に行われ、全員が救出されたのは奇跡だと絶賛しています。 一方事故原因については専門家も首を傾げている様です。 米CNNは元機長のコメント「One pilot’s early take on …

  • 驚くべきiPhone盗難の手口

    驚くべき盗難の手口 大晦日となりました。 今年最後のブログは趣向を変えて、iPhoneの盗難手口に関するものとします。 アップルの盗難対策は万全と思っている方も多いと思います。 筆者もその一人でしたが、どうも我々の信頼は根拠に乏しいものの様です。 米国で起きた手の込んだアイフォーン盗難事件についてオールストリートジャーナル(WSJ)が記事に纏めました。 「He Stole Hundreds of iPhones and Looted People’s Life Savings. He Told Us How.」(何百ものiPhoneを盗難した犯人がその手口を語る)と題した記事では驚くべき事実が…

  • ウクライナ政府内部の対立表面化

    政府内部の不協和音高まる パレスチナ紛争の煽りを受けて、国際メディアの扱いが随分小さくなったウクライナ戦争ですが、戦いは続いています。 しかし厳冬期を迎えた戦場はこう着状態となり、ウクライナ軍が半年前に始めた攻勢はこれといった領土回復には繋がらなかった様です。 そんな中、英誌Economistがウクライナ政府と軍の間の不協和音が高まった事を伝えています。 「Russia is poised to take advantage of political splits in Ukraine」(ウクライナの政治的分裂を利用するロシア)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。…

  • ウクライナ戦争どちらが勝っているのか

    ウクライナ総司令官の本音 2年近く続くウクライナ戦争ですが、現在の戦況は実際のところどうなっているのでしょうか。 戦争に関するメディアの報道ほど当てにならないものはなく、これは民主主義国のメディアも例外ではありません。 戦争というものの性格上、支援している側の士気を削ぐ様な報道は出来ないことから、客観的な報道というのは消え失せてしまいます。 という事でこのブログでも偏った報道を紹介しても意味がないと思い、ウクライナ戦争に関するコメントはかなり控えてきました。 ところがここにきて、西側の報道内容に大きな変化が見えてきました。 これまでウクライナはロシア侵攻時の国境線までロシア軍を後退させ、更には…

  • ガザ紛争が世界に与える影響

    世界史の針を戻したガザ紛争 ガザでの紛争は犠牲者が更に増加し、終結の目処は立っていません。 それにしてもハマスの奇襲は世界史の時計の針を一気に戻すほどの影響を与えそうです。 この奇襲の直前まで、イスラエルとサウジアラビアの国交正常化に向け、米国は着々と根回しを進めており、パレスチナの問題については世界中の人々が忘れかけていました。 今回の事件は世界中の人々にパレスチナの問題が未だに何ら解決されていない事を再認識させたと言う意味で、そのインパクトは強烈でした。 ガザの紛争が世界に広範な影響を与えるのは間違いなさそうですが、どの様な影響が具体的にあるのか米誌Foreign Policyが「The …

  • ガザに関する米国の対応はウクライナ支援にも影響か

    ダブルスタンダードを指摘される欧米 ガザ地区に侵攻したイスラエル軍はガザ市を包囲したと伝えられています。 紛争当初はハマスの残虐な行為が非難されていましたが、最近は風向きが変わり、民間の死傷者を増やし続けているイスラエルとそれを黙認している欧米が非難の対象となってきました。 ロシアの侵攻を非難する欧米がパレスチナの民間人を殺傷しているイスラエルの肩を持っているのはダブルスタンダードではないかとの疑念がグローバルサウスの人々に広まっている様です。 この点について米誌Foreign Policyが「Why the Global South Is Accusing America of Hypocr…

  • パレスチナ問題の行方

    世界を驚かせた奇襲 ハマスによるイスラエルの奇襲攻撃は世界中を驚かせました。 この攻撃によりパレスチナ問題が改めて世界中の耳目を集める事になりました。 ハマスは多くの民間人を殺傷しており、これは当然批判されてしかるべきですが、どうしてこの様な常軌を逸した行動に出たのかその理由も理解する必要がありそうです。 この問題に関して、米誌Foreign Policyが「Israel Could Win This Gaza Battle and Lose the War」(イスラエルはガザの戦いでは勝利を収めるかもしれないが広義の戦争では負ける)と題した論文を掲載しました。 著者はハーバード大のSteph…

  • 何故エジプトはガザ地区との国境を解放しないのか

    封鎖された国境検問所 ハマスの奇襲攻撃を契機に中東は再び一触即発の状態となっています。 イスラエルは百万人を超えるガザ地区の住民に南部への即時移動を要求していますが、爆撃が続く中これだけの多くの住民を短期間に移動させる事は不可能です。 「天井のない監獄」と呼ばれるガザ地区の南部はエジプトと国境を接しています。 普通に考えればエジプトとの国境を解放して、エジプトが難民を受け入れれば事は解決すると思えるのですが、エジプト側は難民受け入れを厳として受け入れない様です。 なぜでしょうか。 この疑問に答える形で米誌Foreign Policyは「Why Egypt Won’t Open Its Bord…

  • ウクライナ戦争に関する危うい倫理観

    全員が同じ方向を向く危険性 筆者はへそ曲がりです。 広島の高校にいた時もクラス全員がカープファンだったのに一人だけ阪神ファンを通しました。(東京に進学してからカープファンになりましたが) 全員が同じ主張をする時に、本当にそれが正しいのかと疑念が湧いてくる質です。 ウクライナ戦争に関しては、ウクライナが全面的に正しく、邪悪の根源ロシアに立ち向かっている彼らを救わなくては世界の民主主義が危機に瀕するという論調が西側のメディアを覆い尽くしており、これにちょっとでも批判的な事を言おうものなら、親露的だと十字砲火を浴びそうな雰囲気です。 こんな時、筆者の生来のへそ曲がり的気質にスイッチが入ります。 勿論…

  • アフリカが富裕国を信用しない理由

    3年間で8カ国の軍事クーデター アフリカでは過去3年の間に何と8カ国で軍事クーデターが起きたそうです。 その理由は経済不信、貧困、宗教問題など様々でしょうが、旧宗主国や彼らが支援してきた政権に対する不信感もその背景にありそうです。 新型コロナのワクチンを富裕国が買い占めた事件は、元々あった西側諸国への不信感を倍増させました。 この事件について米誌Foreign Affairsが「The Roots of the Global South’s New Resentment - How Rich Countries’ Selfish Pandemic Responses Stoked Distru…

  • 止まらないBRICS拡大の流れ

    高まるBRICSの存在感 先日BRICSが南アでサミットを開き、新たに6カ国の加盟が発表されました。 新たな加盟国とはエジプト、エチオピア、イラン、サウジ、UAE、アルゼンチンです。 これら新加盟国を合わせるとBRiCSは世界人口の47%に達し、GDPでは36%を占めるに至った様です。 このグループは西側の支配体制に異を唱える集団として、益々存在感を高めています。 世界ではこんな地殻変動が起きているのに、西側のマスコミは我が国も含めて、このニュースをあまり大きく取り上げません。 どうも最近西側のメディアは聞きたく無いニュースには耳を塞ぐ傾向がある様です。 そんな中、米誌Foreign Poli…

  • トルコのポスト親西側外交

    エルドアンの次の5年 再選を果たしたエルドアン大統領のトルコは今後どの様な外交政策を展開するのでしょうか。 エルドアン外交の今後について米誌Foreign Affarisが「Erdogan’s Post-Western Turkey - Washington Must Embrace a Transactional Relationship With Ankara」(エルドアンのポスト西側外交 - 米国はトルコとの取引に応じるべきだ)と題する論文を掲載しました。 著者はBrookings Institutionの客員研究員であるASLI AYDINTASBAS氏と欧州外交問題評議会のDirec…

  • もう一つの危機 - イスラエルとイラン

    イランの核開発 イランは中国の仲介を得てサウジと歴史的な外交正常化を果たしました。 長年の間対立していた両国の和解が中東に安定をもたらすと考えるのは早計で、中東にはもう一つの火種であるイランとイスラエルの対立があります。 この点について米誌Timeが「Will Israel Attack Iran? What to Know About Netanyahu’s Military Posturing」(イスラエルはイランを攻撃するのか? ネタニヤフ首相の軍事姿勢について知っておくべきこと)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Time記事要約 今月初め、イスラエルの…

  • 米国を離れる中国人研究者

    対立の深まり 米国の最大の貿易パートナーとしての地位を中国が失ったと最近報道されました。 両国の対立が影響を与えているのは貿易だけではなさそうです。 米国には多くの中国人研究者がいますが、彼らが環境の悪化を理由に米国を離れる動きが加速している様です。 この点について米誌Foreign Policyが「Chinese Scientists Are Leaving the United States」(米国を離れる中国人研究者たち)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Foreign Policy記事要約 困難さを増す研究環境に直面し、海外での職を求めて米国を離れる中…

  • ウクライナのNATO加盟は可能か

    NATO首脳会談の行方 現在NATO首脳会議がリトアニアの首都ビルニュスで行われています。 この会議での最も重要な議題はウクライナのNATO加盟問題です。 この点について米誌Foreign Affairsが「Don’t Let Ukraine Join NATO」(ウクライナをNATOに加盟させてはならない)と題された論文を掲載しました。 著者は米国のシンクタンクCato InstituteのJastin Logan氏です。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Foreign Affairs論文要約 今週ビリニュスで開催されるNATO首脳会議では、ウクライナの加盟が中心議題となる予定で、ウク…

  • インドは中国を超えられるか

    大歓迎されたモディ首相 インドのモディ首相は先日米国を訪問し、米国政府から最大級の厚遇を受けました。 世界一の人口を有し、クワッドの一員でもあるインドを米国は中国に対抗するために不可欠なパートナーと目している様ですが、インドは中国の代わりを果たせるだけの存在になりうるのでしょうか。 この点について米誌Foreign Policyが「Will India Surpass China to Become the Next Superpower?」(インドは中国を上回る超大国になりうるか?)と題した論文を掲載しました。 著者はハーバード大学ケネディスクールのGraham Alison教授です。 かい…

  • 存在感を増すBRICS

    BRICSの誕生 BRICSという言葉は21世紀初頭に主要な新興国の頭文字を取って生まれましたが、当時の見方はロシアも含めて資源に恵まれた成長国というものでした。 当時イスタンブールで日本企業の駐在員として活動していた筆者はトルコも入れてくれよと思ったものです。 元々はゴールドマン・サックスのスタッフが命名したものでしたが、その後BRICSは加盟国間の関係を強化し、現在に至っています。 そんなBRICSに関して米誌Foreign Policyが「BRICS Faces a Reckoning - Enlargement would be a sign not of the group’s st…

  • 米国に背を向け始めた中東

    サウジの豹変 ここのところ中東における米国の地盤沈下は著しいものがあります。 中東の盟主であるサウジアラビアは米国の古くからの同盟国であり、両国はエネルギー、安全保障の両面で密接な関係を維持してきましたが、現在両国間には明らかに隙間風が吹いています。 そんな中、中東の有力メディアの一つであるアルジャジーラに​​「The Middle East: Goodbye America, hello China? - The US is losing ground in the region and it has only itself to blame.」(​​中東: さようならアメリカ、こんにちは中…

  • 一兆ドル規模に急成長するか - 二酸化炭素除去ビジネス

    急成長が見込まれるビジネス 地球温暖化の本当の理由をめぐっては様々な議論がある様ですが、世の中の大勢はコストをかけてもこの問題を解決しようという方向に動いている様です。 そんな中、二酸化炭素除去ビジネスに大きな関心が集まっている様です。 この点に関して英誌Economistが「Can carbon removal become a trillion-dollar business? Quite possibly—and not before time」(炭素除去ビジネスは1兆ドル規模の事業になりうるか。十分可能性があり、それもそんなに遠い話ではない)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご…

  • 西側への不信感が影響したトルコ大統領選

    予想に反して得票を伸ばした大統領 トルコの大統領選挙が14日に行われました。 選挙前の世論調査の結果を覆して、エルドアン大統領が第一回の投票で第一位となりました。 決定戦が28日に行われる予定ですが、エルドアン氏の優位は揺るぎそうもありません。 第一回の選挙結果に関して、米誌Foreign Policy論説委員のEmma Ashford氏とMatthew Kroenig氏が対談しました。 その内容をかいつまんでご紹介したいと思います。 西側の人たちのトルコに対する見方が良くわかる対談となっています。 Foreign Policy対談要約 Emma Ashford(以下EA):エルドアン大統領が…

  • 目前に迫るトルコ大統領選挙

    エルドアン大統領に対する審判 今週の日曜日トルコの将来を決定づける選挙が行われます。 20年を超える長期に亘って政権を牛耳ってきたエルドアン大統領は過去に経験をした事がない困難に直面しています。 エルドアンの独裁だから選挙結果なんて決まっているだろと話す人は多いのですが、トルコの選挙制度は西側の多くの人が想像するほどいい加減なものではありません。 現に直近のイスタンブール市長選挙では野党候補が勝利を納めています。 この選挙に関して米誌Foreign Policyが「Yes, Erdogan’s Rule Might Actually End This Weekend」(​​はい、エルドアン大統…

  • 預金保険が逆にもたらす金融不安

    米国の金融不安再燃 3月に、米国の銀行が2行破綻しました。 米国も日本と同じく預金保険があり、米国の場合、一応上限が一人当たり25万ドルと規定されている様ですが、今回は金融界の動揺を抑えるためでしょうか、米国政府は預金の100%を保護する事を決定しました。 その後、金融界は一旦小康状態を取り戻しましたが、3日前、ファースト・リパブリック・バンクの破綻が表面化し、最大手のモルガン・スタンレー銀行が同行を買収する事が決定されました。 この一連の動きを見ていると、米国の金融界の動揺は未だに続いている様な印象を受けます。 この問題について投資アドバイザーの​​Andreas Wesemannが「And…

  • 人間をコントロールし始めたAI

    Chat GPTの衝撃 マイクロソフトがリリースしたChat GPTは世界に衝撃を与えました。 人工知能がここまで出来る様になったのかと驚かされましたが、検索ツールとして圧倒的な地位を築いていたグーグルのショックは大きかった様です。 文章が理解できるなら、単語の検索なんて必要なくなりますもんね。 一方、ここまでAIが進歩してくると、人類に対する脅威も現実味を帯びてくる様で、多くの識者がこの点に触れています。 歴史家として有名なユヴァル・ノア・ハラリ氏もその一人で、英誌Economistに「Yuval Noah Harari argues that AI has hacked the opera…

  • クルド人が決定権を握るトルコ大統領選

    目前の大統領選 トルコの大統領選も後1ヶ月となりました。 20年を超えるエルドアン政権が終末を迎えるか否か大変興味深いものがあります。 ついこの間までは、苦戦を強いられながらもエルドアン氏が勝利を収めると筆者も予想していましたが、2月に起きた大地震が今回の選挙に大きな影響を与えそうです。 今から約20年前、エルドアン氏が政権を初めて奪取した時も、大地震と経済危機が政権交代の引き金でしたが、今回もトルコは同じ状況に陥っています。 最後の審判はどの様に下されるのでしょうか。 英誌Economistが今回の選挙に関して「Turkey’s Kurds are joining the coalition…

  • ロシア寄りになったアラブ首長国連邦

    米国離れが進む中東 最近、中東の米国離れが顕著になっています。 今日もロシアを含むOPECプラスは原油生産量の削減を発表しました。 これはインフレに悩む米国政府の意向と真っ向から対立するものです。 先日の中国の仲介によるイランとサウジアラビアの国交回復も衝撃的でしたが、米国の面子を潰す様な行動を中東諸国は堂々ととる様になってきました。 ウクライナ戦争に対する姿勢も中東は欧米と一線を画しています。 中東の国際的ハブであるドバイは最近ロシアからの資金流入で大変潤っている様ですが、この事情について仏紙ルモンドが「Les Emirats dans le camp russe face à l’Ukra…

  • Nord Stream 2パイプラインを爆破したのは誰か

    著名ジャーナリストのスクープ 米国にシーモア ハーシュという有名なジャーナリストがいます。 彼はベトナム戦争時のソンミ村虐殺事件のスクープによりピュリッツァー賞を受賞しましたが、その後も数々の特ダネをものにし、米国では最も著名なジャーナリストの一人と目されています。 そんな彼がロシアとドイツを結ぶ新しいガスパイプラインの爆破事件に関して犯人は米国政府だというスクープを行い、内外に大きな波紋を広げています。 彼が先月発表したスクープの主な内容は下記の通りです。 米国政府内の信頼すべき情報筋によれば、バイデン政権は政権発足直後からNord Stream 2パイプラインの爆破を秘密裏に計画し、昨年6…

  • 中国が犬猿の仲のサウジとイランを仲裁できた訳

    急転直下の調停劇 先日驚くべきニュースが飛び込んできました。 犬猿の仲だった中東の大国サウジアラビアとイランが急遽国交を正常化したというニュースです。 しかもその仲を取り持ったのが中国という事実にも驚かされました。 サウジアラビアはイスラム教スンニ派のリーダー、一方イランはシーア派のリーダーとして一触即発だったこの両国が矛を収めたのは何故でしょうか。 そして中国は何故調停に成功したのでしょうか。 米国政府はこのニュースを聞いて青ざめたに違いありません。 このニュースの背景に関して米誌Foreign Affairsが「How China Became a Peacemaker in the Mi…

  • 中国は技術覇権を奪い取れるか

    月に人を送った中国 中国は最近月に人を送り込みました。 中国の急速な台頭に危機感を募らせている米国は高度半導体の中国輸出に厳しい制限を課しており、更には我が国の様な同盟国にもサプライチェーンの見直しを迫っています。 中国もこれに対抗して自国産の半導体生産を拡大しようとしています。 最近の論文発表数では他国を凌駕するほど研究開発体制も整備されてきている様ですが、米国は中国の台頭を食い止める事ができるのでしょうか。 この技術覇権の行方について米誌Foreign Affairsが「China’s Hidden Tech Revolution - How Beijing Threatens U.S. …

  • 戦争の真実

    戦時の報道 戦争の真実を知る事はいつの時代も大変難しい事です。 それは各国とも自国や支援国の士気を高めるためにいわゆる戦時の報道をするからです。 この点では第二次世界大戦時に政府が発表する大本営発表をそのまま報道した日本の新聞各社が良い例ですが、今日においてもこの傾向に変わりはありません。 どの国もバイアスのかかった報道を行っていると認識してメディアに接した方が良いと思われます。 ウクライナ戦争においても、各国政府はそれぞれの思惑に基づいた発言を繰り返しており、各国メディアもこれに追従している様です。 この点について米誌Foreign Policyが「The Conversation Abou…

  • 大国の都合に左右される小国の悲哀

    長期化する戦争 ウクライナ戦争は一年を超えました。 今年に入り、東武線線で激しい攻防が続いている様です。 バイデン大統領がキエフ入りするなど、欧米はウクライナ支援を強化している様ですが、実情はどうなっているのでしょうか。 米紙ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)が「NATO’s Biggest European Members Float Defense Pact With Ukraine」(独仏英がウクライナにNATO防衛協定を提案)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 WSJ記事要約 独仏英は、「NATOとウクライナの関係強化には、ロシアがウクライナの一部…

  • トルコを襲った大地震

    100年に一度の大地震 暫くブログをお休みしました。 理由は筆者が滞在するトルコを襲った大地震です。 既に日本でも詳しく報道されていると思いますが、この地震は地震国として知られるトルコの歴史でも100年に一度の大地震でした。 マグニチュード7.8と7.5と一見大した地震ではないと思われるかも知れませんが、震源が浅いことと数時間の間に大地震が2回起きた事から壊滅的な被害をもたらしました。 被災地の範囲は450km(日本で言えば東京から京都に至る距離)に及び、大きな被害をもたらしました。 そのエネルギーは原爆500発分と言われています。 既に犠牲者は4万人を超えており、これから瓦礫の撤去が進むにつ…

  • トルコの運命を決める選挙

    20年の長期政権への審判 我が国でトルコの選挙に関する報道は少ないですが、今回の国政選挙はトルコの将来のみならず欧州、中東といった地域全体に大きな影響を与えるものと思われます。 エルドアン現大統領が率いる政党AKPが政権を奪取したのは2002年ですが、それから20年間に亘ってエルドアン氏はずっと政権に座り続けてきました。 最初の10年で一人当たりのGDPを3倍に引き上げ、当初は西側諸国からももてはやされていましたが、後半の10年は内外の様々な問題に直面しています。 今回の選挙で、国民がどの様な審判を与えるか注目されます。 この選挙に関して英誌Economistが「Turkey faces a …

  • コロナが残した爪痕

    医療システムに今も残る影響 コロナは中国を除いて、峠は超えた様に思われます。 筆者が現在滞在しているトルコでは、もはやマスクをしている人はほとんど皆無で、地下鉄乗車時に筆者がマスクを着用しようものなら、この人何やっているんだという様な視線が飛んできます。 しかしどうもコロナはいまも医療システムに大きな影響を及ぼしている様です。 英誌Economistがこの点について「Why health-care services are in chaos everywhere - Now is an especially bad time to suffer a heart attack」(世界中で医療サー…

  • 保護主義への危険なスパイラル

    サプライチェーンの見直し 昨年はロシアのウクライナへの侵攻、米中の緊張の高まりそして中国のコロナ政策の失敗により多くの工場が操業停止した事などがあいまって、世界の企業がサプライチェーンの見直しを余儀なくされました。 この動きに拍車をかけたのは、米国の保護主義でした。 膨大な補助金を投与して本国へ製造業を回帰させようとするその政策は、発展途上国だけでなく同盟国である欧州や日本などの反発を生んでいます。 この点について、英誌Economistが「The destructive new logic that threatens globalisation」(グローバリゼーションを脅かす新しい潮流)と…

  • 中国富裕層が日本移住を企てる理由

    割安な国日本 明けましておめでとうございます。 今年も宜しくお願い致します。 今年が皆さんにとって良い年になる事をお祈りします。 コロナが沈静化し、昨年は本格的に海外出張を再開しましたが、外国に行って感じる事は、海外の物価が高くなった事でした。 以前は日本に比べて随分割安に感じたトルコの物価も決して安いと感じなくなりました。 この原因は円安が大きいのですが、インフレ率が海外に比べて圧倒的に低いのも日本が割安に感じられる理由となっています。 そんな日本に熱視線を送っている国民がある様です。 日本への移住を計画する人が急増する中国について米誌ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「Wealthy…

  • ウクライナ戦争を終わらせる事は可能か

    ウクライナ戦争の出口は 今年最大のニュースは何と言っても2月に始まったウクライナ戦争です。 この戦いは今も出口が見えません。 ロシア、ウクライナ両国の言い分には大きな隔たりがあり、米国をはじめとした大国も仲介の労を取ろうとはしていません。 そんな状況下、米誌Foreign Affairsが「No One Would Win a Long War in Ukraine - The West Must Avoid the Mistakes of World War I」(ウクライナ戦の長期化に勝者はいない - 西側は第一次世界大戦の過ちを繰り返すべきではない)と題した論文を掲載しました。 著者のV…

  • インドは中国に取って代われるか

    注目を集めるインド 先日インドネシアを取り上げましたが、今最も注目を集めている発展途上国は何と言ってもインドでしょう。 米中の対立が深まる中、アップルが最近インドでも最終製品の製造を開始することを発表して話題となりました。 サプライチェーンの見直しが迫られる中、インドは製造拠点として中国に取って代わる事が可能でしょうか。 米誌Foreign Affairsが「Why India Can’t Replace China」(インドが中国に取って代わる事が出来ない理由)と題した論文を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Foreign Affairs論文要約 「世界の工場」としての中…

  • 中国が露呈したアキレス腱

    頻発するデモ 最近、中国でデモが頻発しています。 中には共産党や習近平の退陣を求めているものもあると報じられています。 共産党の一党支配に公然と反旗を翻す事はタブーとされてきましたが、中国で何かが起きている様です。 勿論西側の報道には政治的バイアスがかかっていますので、報道内容を100%鵜呑みにするのは危険と思われますが、反政府の機運が広がっている事はどうやら事実の様です。 しかもその理由はコロナに関する政府の政策だというので、少々驚きました。 少し前まではコロナ感染を見事に封じ込めた中国の政策は世界から賞賛の対象ではなかったでしょうか。 この点について米誌ウォール・ストリートジャーナル(WS…

  • 台湾与党敗北の理由

    政権与党の敗北 台湾の統一地方選挙が行われました。 驚いた事に与党民進党が大敗し、党首の台湾総統である蔡英文は党首の地位を辞任する事を明らかにしました。 中国の武力統一を牽制する上で、米国を始めとする西側諸国の強い支援を得ていた台湾政府が国民の支持を失ったのは何故でしょうか。 この問題を考える上で、最近米紙ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)が掲載した社説が参考になると思われます。 かいつまんでご紹介したいと思います。 WSJ社説要約 先週ここを訪れた際に発見したように、台湾の中山大学のほとんどの学生が直面している最も差し迫った問題は、ビーチを歩く人間からサンドイッチやスナックを奪うサルで…

  • インドネシアが重要な理由

    G20サミットの舞台バリ島 G20サミットはバイデン大統領や習近平主席が参加してインドネシアで行われました。 インドネシアもG20に入っていたんだと思う人もおられると思いますが、(かくいう筆者もその一人)インドネシアは世界GDPランキングでは17位に堂々ランキングされています。 インドネシアといえば、人口は多いけれど多くの人が貧困に喘いでいるというイメージが強かったので、この数字には正直驚かされました。 そんなインドネシアについて英誌Economistが「Why Indonesia matters」(なぜインドネシアが重要なのか)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います…

  • ウクライナ戦争の隠れた勝者

    米国中間選挙がウクライナに与える影響 米国の中間選挙において、民主党は予想外の善戦を見せましたが、下院では多数派を共和党に譲りそうです。 この結果が今後の米国の外交政策、特にウクライナ戦争にどの様な影響を与えるかについて英誌Economistが「Joe Biden will have a harder time dealing with the world」(外交面で苦労する事になりそうなジョー バイデン)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Economist誌記事要約 ジョー・バイデン氏は、中国の指導者である習近平氏との顔合わせ、そして一連のその他の首脳会談に…

  • 米中デカップリングは本当に可能か

    米中対立の我が国への影響 米国政府は日本政府に対して、高度半導体に関する中国への輸出禁止に協力する様に要請してきた様です。 急速に台頭する中国に経済覇権を脅かされていると感じる米国は、同盟国の日本やEUに対して中国への締め付けに同調する様に求めてきた訳です。 最終的に中国とのデカップリングにまで発展する動きなのでしょうか。 この問題について米紙ウォールストリートジャーナルが興味深い記事を掲載しました。 「An American Helped Build a Business Inside China. Clients Want Him to Leave.」(顧客に中国を離れる様要請を受けた米国…

  • ウクライナ戦争に類似するのは第一次世界大戦

    長期戦と化したウクライナ戦争 ウクライナ戦争はいつどの様な形で終わるのでしょうか。 米国政府は「和平交渉はウクライナ政府の意向を尊重する」と言っていますが、そうなるとクリミアを取り返すまで戦争は継続するのでしょうか。 この点について米誌Foreign Policyが興味深い論文を掲載しました。 著者はQuincy研究所の上級研究員であるAnatol Lieven氏です。 「Ukraine’s War Is Like World War I, Not World War II」(ウクライナ戦争に類似しているのは第二次世界大戦ではなく第一次世界大戦)と題した論文をかいつまんでご紹介したいと思います…

  • テクノロジー派遣をめぐる争いの結末は

    米中間の緊張高まる 米中の関係は、ウクライナ危機を通じて緊張感を高めていますが、米中の関係が悪化する基本的な理由は、中国が米国の覇権を脅かすのではないかとの不安が米国にあるからだと思います。 特にテクノロジー面で中国の躍進は著しく、米国は相当神経質になっている様です。 この米中の競争はどちらが勝つのでしょうか。 英誌Economistが「China and the West are in a race to foster innovation」(イノベーション覇権をめぐって争う中国と西側)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Economist記事要約 「中国政府…

  • 大国が麻薬で衰弱する可能性

    コカインの合法化を求める声 米国や欧州の一部で大麻が既に合法化されている事は知っていましたが、最近驚くような記事を英誌Economistで見つけました。 それはコカインも合法化せよとの内容でした。 ご存知の通り、コカインは大麻などとは比べ物にならないほど中毒性が高いため、国際条約で規制されている麻薬中の麻薬です。 そんな代物を英国を代表する雑誌が合法化しろと主張する背景には何があるのでしょうか。 「Joe Biden is too timid. It is time to legalise cocaine.」(ジョー・バイデンは臆病すぎる。コカインを合法化する時が来た)と題する記事をかいつまん…

  • 2年ぶりの外遊先に中央アジアを選んだ習近平主席

    インドも加わった上海協力機構 「上海協力機構」という中国、旧ソ連諸国を中心とした多国間組織があります。 先日中央アジアのウズベキスタンで総会が開かれ、2年ぶりの外遊を行った習近平主席が参加しました。 習主席とプーチン大統領が個別会談を行った事でも話題になりましたが、この上海協力機構の次の総会はインドで行われると聞いて驚きました。 インドは米国主導のクワッドの一角を占めているのではないでしょうか。 この上海協力機構の成り立ち、その発展について米誌Foreign Policyが「Why Xi Jinping Chose Central Asia for His First Post-COVID-1…

  • ウクライナ戦争がもたらすもの - ドイツ経済の凋落

    暗雲垂れ込めるドイツ経済 ウクライナ戦争がもたらしたものの一つとして、エネルギー価格の暴騰があります。 ロシアがEUを相手に仕掛けたガス供給の削減は、欧州のエネルギー市場を大きく揺さぶりました。 このガスをめぐる戦いで最も大きな影響を受けたのは、欧州最大の工業国ドイツです。 これまでドイツは安価なロシアのガスと急成長する中国市場に依存して経済発展を遂げてきましたが、ここにきて暗雲が立ち込めてきている様です。 英誌Economistが「Germany faces a looming threat of deindustrialisation」(脱工業化の脅威に直面するドイツ)と題した記事を掲載し…

  • 遺伝子工学が開く新しい世界

    mRNAの大きな貢献 コロナ感染拡大を止めたのは、振り返ってみるとやはりメッセンジャーRNA(mRNA)テクノロジーを利用したワクチンだったと言えると思います。 mRNAは​​​​DNAの遺伝情報をタンパク質合成の場であるリボソームに伝えるのがその役割ですが、この機能を利用して新型コロナワクチンを極めて短期間に作り上げたモデルナやビオンテック(ファイザー)の科学者の貢献はノーベル賞に値するものだと思います。 このワクチンがなければ世界はどうなっていたかと思うとぞっとします。 遺伝子工学はmRNAにとどまらず、最近急速な進歩を示し、様々な分野で想像を上回る貢献を行う可能性が出てきた様です。 この…

  • ビザやマスターカードの牙城を崩せるかフィンテック企業

    世界の支払い手段を独占する二社 世界中どの国に行ってもクレジットカードといえばVisaかMasterです。 クレジットカードには様々な保険が組み込まれている上に、マイレージやポイントなどが貯まったりする特典も供与されます。 でもこの様なサービスがただなわけがありません。 これら様々なサービスのコストは最終的に価格に上乗せされ、消費者が払っているのです。 この美味しいサービスを独占してきたクレジットカード界の巨人VisaやMastercardに対して新しい挑戦者が現れてきた様です。 英誌Economistが「Can the Visa-Mastercard duopoly be broken?」(…

  • 中国の属国となるロシア

    内心ほくそ笑む中国 ウクライナ戦争に対する中国の反応は余り目立ちません。 これはロシアと欧米の対立に首を突っ込んで火傷をするのを恐れている様ですが、どうもこの戦争から一番漁夫の利を得そうなのは中国の様です。 彼らは労せずしてロシアを従属化させ、ロシアが持つ資源や市場を我がものにすることが出来そうです。 この点について米誌Foreign Affairsが「China’s New Vassal」(中国の新しい属国)と題した論文を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Foreign Affairs論文要約 ウクライナでの戦争により、ロシアは西側世界の多くから切り離されました。 制裁の…

  • 米政権の台湾政策の一貫性の無さを示したペロシ議長訪問

    突然の台湾訪問が拡げる波紋 ペロシ下院議長の台湾訪問は国際的に波紋を拡げています。 当然のことながら中国は猛反発しました。 ペロシ下院議長は大統領継承順位で副大統領に次ぐ地位にある人ですので、一つの中国を認めている米国が台湾を独立国であるかの様に扱うのは納得が行かないのでしょう。 しかしそもそも同議長は何故この時期に訪問したのでしょうか。 またバイデン大統領はこの訪問を阻止しようとしたとも伝えられていますが、真相はどうなのでしょうか。 この点について英誌Economistが「Nancy Pelosi’s trip to Taiwan highlights America’s incoheren…

  • 中露が賭ける西側との対立軸「グローバルサウス」

    G20外相会議の分裂 先日インドネシアで行われたG20外相会議は、最終的に共同宣言を出す事ができずに終了しました。 対露政策をめぐる議論で先進国とBRICSなど中進国の間で意見が分裂し、結論が出なかった様です。 ロシアはいずれのけ者になるとバイデン大統領は主張していますが、発展途上国の多くはロシアとの関係を維持しており、なかなか大統領のいう通りにはなりそうもありません。 それは何故でしょうか。 この点について米紙ウォール・ストリートジャーナルに「Putin and Xi’s Bet on the Global South」(プーチンと習が賭けるグローバルサウス)と題された記事が掲載されました。…

  • バイデン大統領のサウジ訪問が世界の人権に拡げる波紋

    驚くべきサウジ訪問 バイデン大統領は中東諸国を最近訪れましたが、その中にサウジアラビアも含まれ、米国がイスタンブールのサウジアラビア総領事館内で行われたジャーナリストのカショギ記者殺害を指示したと言われるモハメッド ビン サルマン皇太子と会談を行いました。 このニュースには正直驚きました。 この通称MBSと呼ばれる皇太子は米国がカショギ記者の殺害を指示した責任者としてついこの間までバイデン大統領自身が厳しく批判していた対象だったからです。 今回のサウジ訪問には共和党だけでなく、身内の民主党内部からも批判が噴出している様ですが、そんな中,米誌Foreign Affairsに「The True C…

  • ウクライナ戦争の実態

    戦場の真実 ウクライナ戦争はロシアがウクライナの領土の約2割を占領したまま、こう着状態に入っています。 西側の軍事援助を得て、ウクライナの反撃が始まるとゼリンスキー大統領やその支持者は勇ましいですが、その様な反撃はほとんど見られません。 そんな中、米誌Foreign Affairsが「Ukraine’s Implausible Theories of Victory」(ウクライナが勝利するという信じられない理論)と題した論文が掲載されました。 筆者のBARRY R. POSEN氏はマサチューセッツ工科大の政治学教授です。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Foreign Affairs論文…

  • 外から見た安倍外交

    安倍外交の核心にあるもの 安倍元首相の突然の逝去は世界中を震撼させました。 同氏の死後、世界中のメディアで彼のことが取り上げられています。 そんな中から、今日は英誌Economistの「Abe Shinzo left his mark on Asia and the world, not just Japan - The concept of the “free and open Indo-Pacific” is part of his enormous geopolitical legacy」(​​日本だけでなくアジアと世界に足跡を残した安倍晋三 - 彼が残した「自由で開かれたインド太平洋」…

  • ウクライナの勝利を出口戦略とすべきでない理由

    巨星墜つ 安倍首相の事件には本当に驚きました。 世界で最も安全な国と言われる我が国で生じた暗殺事件は日本中を凍りつかせました。 驚いたのは日本国民だけではありません。 世界中でこの事件はトップニュースとして取り上げられ、安倍元首相の国際的な存在感を再認識させました。 史上最長の在任期間を誇った安倍氏の在任期間は、内政では幾つかの問題を抱えていましたが、外交面では素晴らしい足跡を残しました。 地盤沈下が指摘される日本ですが、国際舞台で未だに自由主義陣営の主要国として地位を維持できているのは同首相が提唱したインド太平洋構想のおかげかもしれません。 TPPやクワッドといった仕組みで主導的な役割を果た…

  • グリーンエネルギーの背後で進むアフリカでの資源乱獲

    ロシアがガスを制裁手段に ロシアのウクライナ侵攻はエネルギー面でも大きな変化をもたらしました。 旧ソ連時代でさえ西欧へのガス供給に関する契約違反を一度も行わなかったロシアが、ガスを西側諸国に対する制裁手段に使い始めたのです。 これが欧州のエネルギー政策に不可逆的な影響を及ぼす事は避けられません。 今後EUのロシア離れがますます加速し、再生可能エネルギーへの依存度がますます高くなり、電気自動車の普及に各国とも力を入れることになるでしょう。 電気自動車の主要コンポーネントはご存知の通り、バッテリーです。各国で開発競争が行われていますが、リチウム、コバルトなどレアメタルを多く利用しますので、世界中で…

  • 肉の代わりにパンを食べろ - ウクライナ戦争がもたらす食糧危機

    中東、アフリカでの穀物不足 ウクライナでの戦争は深刻な食料問題を引き起こしています。 ウクライナから輸出される穀物に依存していた中東やアフリカの国々は、明日のパンが食べられないとなると、政情不安に陥ることが危惧されます。 これらの国々から難民が流出すれば、ただでさえウクライナからの難民受け入れで四苦八苦しているEU諸国は更に大きな問題を抱える事になります。 この食料問題に関して英誌Economistが興味深い記事を掲載しました。 この記事は、ロシア、ウクライナからの穀物輸出が止まっても十分だと主張しています。 但し人は肉の代わりにパンを食べる必要がある様です。 「Most of the wor…

  • トルコが提案するウクライナ和平案を評価する米国識者

    出口はあるのか ウクライナ戦争は100日を超え、未だに出口が見えません。 この戦争を終わらせるためには、戦後のウクライナに十分な安全保障を提供できるかという難問に解を与える必要があります。 先日トルコ政府が示したイスタンブールコミュニケと呼ばれる安全保障スキームはロシア、ウクライナ両国が関心を示したにも拘らず、その後戦闘が激化したため、交渉が進んでいない様です。 しかし識者の中にはこのプランを評価する人もいる様で、米誌Foreign Affairsが「Ukraine’s Best Chance for Peace 」(ウクライナに平和をもたらす最高のチャンス)と題した論文を掲載しました。 著者…

  • ウクライナ戦争に関する大きな誤解

    ロシアと西側の大きな乖離 ウクライナ戦争についての日本での報道は欧米のメディアとほぼ同じ内容です。 ロシアはウクライナ軍の思わぬ反撃を受け、甚大な人的損害を受け、軍の士気も上がらず、西側の経済制裁の効果もあり、いずれは内部から崩壊していくのではとの報道がなされています。 しかし、ロシア側の見方は上記の様な西側の見方とは大きく異なる様です。 この点について米国の外交誌Foreign Policyが「What The West (Still) Gets Wrong About Putin」(西側がプーチンについて未だに誤解している事)と題した論文を掲載しました。 著者はワシントンに本部を置くシンク…

  • 北欧2カ国のNATO加盟に反対する理由 - エルドアン大統領自ら語る

    英Economist誌に寄稿した大統領 良くも悪くもトルコはウクライナでの戦争が始まってから世界の注目を集めています。 NATOの一員としてウクライナに提供したドローンはロシア軍を撃退するのに大きな役割を果たしていますが、一方でスウェーデン、フィンランドのNATO加盟に異議を唱えて、物議を醸しています。 トルコの大統領エルドアン氏は欧米のメディアではとかく評判が宜しくありませんが、そんな同氏が英誌Economistに「Recep Tayyip Erdogan on NATO expansion」(NATO拡大に関するエルドアンの考え方)と題した持論を寄稿しました。 彼を厳しく批判してきたEco…

  • ウクライナ戦争はいつどの様に終わるのか

    出口が見えない戦争 ウクライナでの戦争は3ヶ月を超えました。 これほど長く続くと予想した人は少数派でしょうが、戦況は現在こう着状態に陥っている様です。 戦争の出口が見えない今、この戦いをどうやったら終わらせる事ができるかという議論が欧米では始まった様です。 英誌Economistが「When and how might the war in Ukraine end?」(ウクライナでの戦争はいつ、どの様に終わるのか)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Economist記事要約 ゼレンスキー大統領は戦場で勝つだろうが、交渉を通してのみ終わらせることができると語りま…

  • ウクライナ侵攻が引き起こす食糧危機

    ウクライナ危機が引き起こす様々な問題 ウクライナとロシアの戦争は長期戦の様相を呈してきました。 この戦争が長期化すると様々な分野に深刻な影響が予想されます。 エネルギー価格の高騰はその最たるものですが、食糧の国際市場にも大きな影響が出始めている様です。 この点について,英誌Economistが「The coming food catastrophe」(迫り来る食糧大惨事)と題した記事を掲載しました。かいつまんでご紹介したいと思います。 Economist記事要約 ウクライナに侵入したプーチン氏は戦場から遠く離れた人々の生活も破壊します。 戦争は、新型コロナ、気候変動、エネルギーショックによって…

  • 飢餓とコロナ対策のジレンマに悩む北朝鮮

    極東での新たな危機 ウクライナでの戦争は未だに継続し、いつ終わるか目処が立っていませんが、極東アジアでも新たな問題が生じている様です。 中国と同様にゼロコロナ政策をとってきた北朝鮮でオミクロン感染が公式に認められたのはついこの間ですが、あっという間に(というか実際はかなり前から感染が拡大していた可能性が高い)爆発的な感染が広がっている様です。 この問題について米誌Foreign Policyが「North Korea May Be Trapped Between Famine and Plague」(飢饉と感染症に脅かされる北朝鮮)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思いま…

  • 一ドル150円もありうるとの英誌報道

    「有事の円」はいずこへ 最近の円安には驚かされます。 数日前からイスタンブールに滞在していますが、もはや通貨の暴落で知られたトルコを批判できる様な立場にありません。 景気を維持するために金利を上げられないという意味では日本はトルコと同じです。 ロシアがウクライナに侵攻してから二ヶ月の値動きを見れば、トルコリラの方が円より堅調です。 以前「有事の円」と言われた面影は全くありません。 この円の下落を欧米の金融筋はどの様に見ているのでしょうか。 英誌Economistが「Will an ever feebler currency save or sink Japan’s economy? - The…

  • ロシア弱体化を公の目標とした西側の危ない綱渡り

    長期化する戦争 ロシアがウクライナに侵攻してから早2ヶ月が経過しましたが、一向に出口は見えません。 最近米国政府はウクライナ紛争に関する目的をウクライナをロシア侵攻から守る事からロシアを弱体化させる事にエスカレートさせて話題を呼びました。 この点について、米誌Foreign Policyが「Biden’s Dangerous New Ukraine Endgame」(バイデン の危険なウクライナ出口戦略)と題した論文を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Foreign Policy論文要約 今週、バイデン大統領とNATOの同盟国は、ロシアの侵略からウクライナを守るのを助けると…

  • MIYOSHIN海外ニュース発信中止のお知らせ

    2020年の3月に始めたこのブログですが、今日で筆を置くこととします。 仕事が忙しくなってきて、ブログ作成の時間が確保出来なくなってしまいました。 振り返れば2年以上に亘り、毎日ブログを書き続けてきた訳ですが、最初はブログのテーマを見つけるのに苦労するのではと思っていましたが、世の中には興味深い事件が毎日発生している事に気づき驚かされました。 へそ曲がりの筆者にお付き合い頂き、このブログを読んで頂いた皆さんに深く感謝致します。

  • マクロン大統領のプーチン外交は失敗だったか

    マクロン大統領の対プーチン外交 フランスでは明日10日、大統領選挙が行われます。現職のマクロン大統領が再選を果たすか否かが注目されていますが、ロシアのウクライナ侵攻が始まる前に、マクロン大統領がプーチン大統領を訪れて何度も外交交渉を行った事は記憶に新しいところです。 彼の交渉は失敗に終わりましたが、このフランス大統領の対露外交について厳しい批判を行う人もいる様です。 今日はその様な批判の中から米誌Foreign Policyの「Macron’s Vision for European Autonomy Crashed and Burned in Ukraine」(ウクライナで崩壊したマクロンの…

  • 西側の金融制裁が高める人民元の需要

    経済制裁の抜け道を探すロシア ロシアに対する経済制裁は日に日に厳しさを増している様ですが、ロシア人はこれに対抗手段を取ろうとしている様です。 仏紙Les Echosがこの点について「Guerre en Ukraine : frappées par les sanctions occidentales, les entreprises russes privilégient le yuan」(ウクライナ戦争:欧米の制裁に対抗して人民元に注目するロシア)と題する記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 Les Echos記事要約 ウクライナへの侵攻を開始して以来、国際的な制裁に直…

  • 証券会社の外国人幹部逮捕を米国メディアはどう見るか

    SMBC日興証券の事件 外国人のビジネスマンが日本で収監されたケースとしては、カルロス ゴーン氏がすぐに思い出されますが、最近SMBC日興証券の外国人トレーダーが逮捕されました。 今回の事件については日本のメディアでも大きく取り上げられていますが、外国から見るとこの事件はどの様に見えるのでしょうか。 米紙ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)が「American Finance Executive Arrested in Tokyo Describes His Ordeal」(東京で逮捕された米国人証券会社幹部試練を語る)と題した記事を掲載しました。 かいつまんでご紹介したいと思います。 W…

  • インド太平洋地域の国々が対ロシア制裁をためらう理由

    非難決議と制裁を使い分ける国々 ロシアに対する制裁は世界的な広がりを見せている様に見えますが、国連でのロシア非難決議に反対或いは危険した国は40か国に上り、更に決議には賛成したものの、経済制裁には参加しない国はかなりの数に上りそうです。 この点について、米誌Foreign Policyに「Why Most of the Indo-Pacific Tiptoes Around Russia」(インド太平洋諸国の多くがロシア制裁をためらう理由)と題した論文が掲載されました。 著者のDerek Grossman氏は米国のシンクタンクRand Corporationの軍事アナリストです。 かいつまんで…

  • マクロンを猛烈に追い上げるマリールペン(仏大統領選)

    右翼の候補者支持率高める フランスの大統領選挙が目前に迫ってきました。 現職のマクロン大統領が有利と言われてきましたが、最終局面に入って、右翼の国民戦線党首マリーヌ ル ペン女史が猛烈に追い上げていると報じられています。 この人、5年前の大統領選でも決選投票でマクロン大統領に苦杯を舐めましたが、その時の公約にEUそしてユーロ圏からの離脱を国民投票にかけるというものがありました。 今回、この公約は取り下げている様ですが、この人が大統領になれば大きな変化がある事は間違いありません。 フレグジット(英国のブレグジットをもじった言葉でフランスのEU離脱を指す)の可能性も囁かれ始めました。 仏紙Les …

  • 新婚カップルの数が7年で半減した中国

    中国のアキレス腱 中国の習近平主席は米国を抜いて世界最強の国になる事を目指している様ですが、多くの識者が指摘しているアキレス腱があります。 それは、中国の少子高齢化がもたらす弊害です。 この点について、中国の政府系英字紙である環球時報が興味深い記事を掲載しました。「Chinese population of first-marrieds halves over the past 7 years, indicating extremely low birth rates」(中国の初婚人口は過去7年で半減 - 極端に低い出生率)と題された記事をかいつまんでご紹介したいと思います。 環球時報記事要約…

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