~七夕の夜、許されなかった夫婦の喧嘩~ 第一章:冷たい夜に 七月七日、午後七時。夜空は澄んでいた。星は静かに瞬き、天の川がぼんやりと流れていた。 誰もが願いを胸に、空を見上げる夜。だが、その家には怒号が響いていた。「結局、あなたはいつも自分のことばっかり!」 「は?それはそっちだろうが!」和哉(かずや)と優美(ゆうみ)、結婚して5年。 仲睦まじい夫婦として知られていたが、この夜は違った。きっかけは些細なことだった。 優美が短冊を書き、夫に「一緒に吊るそう」と言ったのに、和哉は無視した。「くだらない。どうせ願ったって何も変わらないだろ」 「……どうしてそんなこと言うの?」言葉が、心を刺した。それ…