とある福島県民の雑記ブログです。 テーマはローカル・自然・ふるさと・教育・働き方・職人・まちづくりetc… 福島には「ほんとの豊かさ」があると信じています。
桜を見る会が悪い意味で世間を賑わしているのを見てふと思った。僕は、福島の桜を何年見ていないのだろう。 高校を卒業し、岩手の大学に行ったのは今から8年前。ああ、8年間も福島の桜を見ていないのか…思えば、桜の季節に帰省できる機会は少なかった。 児童館の庭にも、小中学校の校庭にも、高校にだって桜の木はあった。地元石川町は桜が有名で、あまり見に行けたことはないけれど、今出川という川沿いの桜並木はそれは見事なものであった。 当たり前のように、自分の身の回りにあった日本の風景。福島を離れてからも見る機会はたくさんあったが、やっぱり地元の桜も見たいと思う。 一生に一度は見てみたいと思う桜がある。石川町の隣、…
退職まであと5日。今日はたくさんの林業・木材産業関係者が集まる会議に出席してきた。お世話になった方々に一言挨拶したいと思っていたところだったのでちょうどよかった。 公務員を退職し、家業の建具屋を継ぐことを打ち明けると、ありがたいことにたくさんの労いの言葉を頂いた。 かつては林業もきつい・汚い・危険の3K産業と呼ばれることもあっただろうか。しかし、この地域の事業体は皆輝いている。林野庁がスマート林業を掲げる前から、林業という業界の改革に取り組んできているほか、レーザーセンシングやIoTを駆使した林業経営を実践し始めている。 発注者と受注者という間柄であるがゆえに、公務員は事業体に対し高圧的になり…
日本語の美しさを感じるDREAMS COME TRUEの曲3選
DREAMS COME TRUEは、ボーカルの吉田美和とベースの中村正人からなる、日本を代表するバンドだ。 代表曲の「未来予想図Ⅱ」や「何度でも」は、誰しも一度は耳にしたことがある人気曲。でもその他にも、素晴らしい曲がたくさんある。 特に僕は、吉田美和のいかにも日本らしい作詞が好きだ。 そんな、日本語の美しさを感じさせてくれるドリカムの曲を3曲紹介しよう。 1.あの夏の花火 1992年発売のアルバム「The Swinging Star」に収録された曲。 優れた俳句の条件の一つに、情景がすぐに思い浮かぶ、というのがある。同じ条件で言えば、「あの夏の花火」とは、名句である。 明るいメロディーのAメ…
退職まであと1週間。退去へ向けて部屋の掃除をしていると思い出すのが、大学時代に住んでいた学生寮だ。 その寮は9畳の2人部屋を、4畳半の1人部屋に改築したもので、設備は机、トイレ、ベッド、ガスヒーター、ミニキッチン、洗面台。風呂は共用。入寮した日はその狭さにびっくりした。 しかし、住めば都とはよく言ったもので、手を伸ばせばあらゆる場所に手が届くそのコンパクトさが気に入った。掃除もしやすく、暖房もすぐに効く。寮の友達も、狭さに文句を言う者はあまりおらず、むしろその狭さの中でどれだけ快適な部屋を作れるかを工夫していた。 一時期寮の中で流行ったのが、ベッドを解体してラグとコタツを置けるスペースを作ると…
昨日に引き続き、相馬双葉地域を訪れた感想など。 避難指示解除で、ようやく復興のスタートラインに立てた相馬双葉地域。 被災地内で被害の大きさを比べてしまうのは不謹慎かもしれないが、自信と津波の被害に加え、原子力災害のあった地域は、正直言って被害のレベルが違う。 僕は石川郡から川内村を抜け、常磐自動車道「常磐富岡IC」へ向かった。付近で信号待ちをしていた時に道路標識で見かけたのは「夜ノ森駅」の文字。2020年3月10日に避難指示が解除された場所だ。 せっかくだから、見に行ってみようと思って、常磐富岡IC入り口を通り抜け、夜ノ森駅へ向かった。先行する一般車両もいたし、大丈夫だろうと思っていた。よく晴…
以下の文章は、避難指示が解除された地域の放射線量は十分安全な値である、ということを、僕の主観で書いたものである。 断っておくと、放射線の健康被害に関するデータの蓄積はまだまだ十分でなく、数少ない前例から推定するしかないのが現状である。 しかし、僕自身は、現時点で示されているデータはある程度信用してもいいと思っているし、それを基にして前へ進むことが、人類が問題を解決する方法だと思っている。「巨人の肩の上に立つ」ということだ。 被災地は、解決方法のない問題に直面しているという現実を、まずは理解していただきたい。 本題に入ると、本当に当たり前のことなのだが、放射線量が基準値まで下がったから、避難指示…
相馬・双葉地域を訪ねてみた。ほかにも、両親から福島の現状について聞いたりして、新たな発見があった。というか、発見が多すぎて少々混乱している。福島や原発に関する光と闇みたいなのもいろいろ分かったし。 とりあえず、自分の中で確信できたことは「福島にいないこと自体が、重大な機会損失になっている」ということだ。 いくら情報通信技術が発達しても、福島県外で得られる情報には限りがある。そもそもマスメディアが伝える情報は、だいぶ加工されているし、真実と嘘が入り混じった質の悪いニュースが溢れかえっているのが現状だ。そんな状況で、真実を伝えるニュースは少数派になり、かえって怪しいと思われてしまうのがオチだ。いつ…
今日から福島に来ている。 短い期間ではあるが、より福島のことを知ってから、岐阜へ向かおうと思う。 福島県には59の市町村があるが、まだ行ったことがない市町村も多い。 自分の中で、「行ったことがある市町村」とは、次のいずれかに当てはまる市町村である。 1)観光をしたことがある(例えば登山も含む) 2)イベントに参加したことがある 3)チェーン店以外で、買い物をしたことがある つまり、通過しただけでは行ったことにはしていない。 「あそこの〇〇という店は美味い」とか「あそこの△△という場所はとてもきれい」とか、自分の実体験をもとにその市町村について語れるかどうかが基準だ。 この基準で言えば、行ったこ…
今の職場(行政)は、完全週休2日制。一般的にみれば、だれもが羨む好待遇だろう。 有休を取りやすい環境だったこともあって、僕も初めのうちは大いに利用し、満喫させてもらった。 しかし、入って2年目、3年目になり、大きな仕事が任せられるようになるにつれて、だんだんありがたみが薄れてきた。休日になっても、仕事のことが気になって頭から離れないのである。 一般的に休日とは、仕事のことを忘れて思いっきりリフレッシュする時間のことを指すだろう。しかし、自分には、仕事とプライベートをはっきりと分けることは出来なかった。 金曜の夜が唯一気が休まる瞬間で、日曜日はもちろん土曜日でさえ、仕事のやり残しが気になって、月…
手塚治虫の漫画「ブラック・ジャック」に、不治の病を治すために、治療法が見つかるまでコールドスリープする話がある。 現代の医療で治せなくても、未来になら治療法があるかもしれない。ブラック・ジャックは、不治の病に侵されたカップルにコールドスリープを提案し、二人は幸せに暮らせる日を夢見て一緒に眠りにつくという話だ。 さて、現代のコールドスリープは感動の物語とはいかないようだ。 日本では現在、9基の原発が稼働している。そしてそこからは、使用済み核燃料がドンドン生まれている。 コンパクトな燃料からなんの代償もなしに莫大なエネルギーを取り出せるなんて、そんな虫のいい話はないのだ。 そしてこの使用済み核燃料…
退職・引っ越しへ向け、やらなくてはならないことはたくさんあるけれど、とりわけよく理解できていないのが、「医療保険」と「年金」だ。 この2つは、恥ずかしながら学生の頃は全く意識したことがなく、職場に入ってからもなんとなくの流れで来てしまった。公務員を辞め、4月から全く異なる立場になるが、いったいどこでどんな手続きが必要になるのだろう。 以下、備忘録色強めで、医療保険と年金制度についてまとめた。 1.医療保険 まず日本は「国民皆保険制度」であり、全ての国民が何かしらの公的な医療保険に加入している。 これは大きく「健康保険」と「国民健康保険」の2つに分けられる。 健康保険とは、サラリーマンや公務員と…
クラウドファンディングとは、インターネットを介して寄付を募る、資金調達方法のこと。自分には関係のない世界だと思っていたが、自分のすぐ近くでもクラウドファンディングによって理想を実現した人がいることに気づいた。 例えば、福島県白河市の「ゲストハウス blanc(ブラン)」。 クラウドファンディングによって、白河市の旧市街地エリアに誕生したゲストハウスだ。 僕は石川郡から白河の高校に通い、たくさんの友達もできた。しかし、通学手段は片道50分のバスのみで、最終の便が18時だったため、部活も勉強も早めに切り上げなくてはならなかった。 また、高校卒業後もありがたいことに友人関係は続き、みんなの集まれる白…
伊藤園お~いお茶・俳句大賞が好きだ。お~いお茶のラベルにあるアレである。 心に浮かんだ景色や素直な思いを自由に表現するのがコンセプト。ちなみに季語はなくてもいい。平成とともに始まって、今年で第31回を迎える。 最近一番感動した句が、「水筒を垂直にして飲んだ夏」だ。 カンカン照りの中、よく冷えた水筒の水を、思いっきりがぶがぶと飲み干そうとする姿が目に浮かぶ。詠み手は14歳。中学時代、野球の練習をしていた自分を重ね合わせたとき、心がジーンと熱くなった。いい俳句、短歌の条件に、その句が描く情景が目に浮かぶ、というのがあると聞いて、納得した。 ところで、近年は、夏がやたらと暑かったり、春と秋が異様に短…
退職まであと2週間とちょっと。そろそろ残った仕事を仕上げたいところだ。 退職直前の時期といえば、残っている有給休暇の消化に入っているのが一般的かもしれないが、私の場合そうはいかなかった。 自分の階級と給与に見合わない仕事ぶりで、のうのうと生きる人間はどの世界にもいるものだ(特に行政の世界)。そして、その尻拭いをさせられる若手職員もまた・・・。 別に明日から有給を使って3月31日まで出勤しないことだってできるが、それで迷惑を被る人があまりにも多すぎる。給料泥棒の上司がどうなっても知ったことではないが、地域に迷惑をかけることだけはできない。 現在、地域の林業・木材産業の新しい循環システムの構築を目…
東北を離れてから、例年この日は、福島を見捨てた後ろめたさ、何もできない罪悪感に苛まれてきた。 でも今は、福島に帰ると決めたから苦しくない。やることは分かっている。 福島で就職しなかったことを後悔するときもあった。でも今では、道を誤ったとは思っていない。 東北を離れて、外から東北を見て、その上で気づいたことがたくさんあった。全く見知らぬこの地で、沢山の人に出会い、たくさんの価値観を知った。これは後々必ず活きてくる。 僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる。 高村光太郎の詩の意味が、この年になってようやく分かり始めた。道に正解も誤りもないのだろう。 寄り道も含めて、人生だ。 I love you …
とうとうタイムリミットが示された。 福島第一原子力発電所で発生する汚染水から放射性物質を取り除いた「処理水」を保管するタンクが、2022年には満杯になってしまうという(以下リンク先 ニュース)。 https://news.livedoor.com/article/detail/17941819/ いずれ一杯になることはわかってはいたけで、ついにこの時がきたか・・・ 正直言って、国民の認識も議論も、まだまだ足りていないだろう。 https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/arti まず「汚染水」とは何か。 地震と津波で発電所内の電源が失われ、燃料棒を冷やせな…
今年の3月11日は、新型コロナウイルスのせいで目立たずに終わってしまうのではと心配している。 すべての日本人が、震災と原発事故の影響を受けたわけではない。正直言って、他人事のように思っている人も少なくないと思う。日本人は皆今を生きるので精いっぱいだ。常に全員が震災のことを思って生きてはいないし、それが辛い人もいる。 メディアも年がら年中震災のことを報じるわけではない。それでも、この日が近づくと、こぞって「あと〇〇日で震災から〇年」と報道し始め、どんなに忙しい人でも「震災」「原発」の文字を見聞きすることになる。ニュース番組に占める情報量も増え、震災について知る機会が増える。 今、私たちにとっての…
誰しも、自分の価値観や生き方を決定づけるような原体験を持っているだろう。 私にとっての原体験は、父の生まれ故郷の山で山菜採りをしてきたことだ。 当時、自分にとって山はとても広くて深くて、美しいというよりも怖いものだった。 山菜のポイントは、藪の中。道を外れて山の中へ分け入っていく父と母の後ろを、はぐれないよう付いていくので精一杯だった。 まるで、「千と千尋の神隠し」の冒頭のように、自分の娘に目もくれず屋台で食べ物を貪り食う両親と、それに戸惑う千尋のような… それでも自分は自然が大好きだし、これからも関わっていくつもりだ。今でも原体験は生きている。 さて、原体験というと子供の頃の出来事というイメ…
②ベクレル・シーベルト〜福島県民がイチから原発の勉強をしてみた〜
ある福島県民がイチから原発や放射能について勉強する回の第2弾。 第1弾はこちら↓ monono-aware.hatenablog.jp 今回は「ベクレル」と「シーベルト」だ。 原発事故を気に一気に知れ渡った言葉だろう。自分自身もそれまで聞いたこともなかった。しかし、「○○ベクレル」「○○シーベルト」といった数字の持つ意味がイマイチよく分からなかった。 少々長いが、結論として福島県産の食べ物の安全性を示す内容になっていると自負している。 まずはベクレルから理解してみることにする。 ベクレル(Bq)とは、「放出される放射線の量」を示す尺度だ。 ベクレルが大きいほど、たくさんの放射線が放出されること…
福島県の未来について、肩書を忘れて楽しくディスカッションする「ふくしま学(楽)会」。そこで出会った印象的な人や言葉を紹介するシリーズの第4回。 第1回、2回、3回はこちら↓ monono-aware.hatenablog.jp monono-aware.hatenablog.jp monono-aware.hatenablog.jp 今回の言葉は、 「問題を自分ごととして捉える」。 双葉郡の高校に通う高校3年生の発言だ。 彼女は、福島県外だけでなく、福島県内にも原発事故への問題意識に差があることに気が付き、福島が今抱えている問題を他人事と思わず、自分ごととして捉えることが必要だと指摘した。 私…
あらぬ風評を招かないよう、人前で原発事故の話をすることは避けてきたが、これからは自分が勉強する意味でも少しずつ言及していこうと思う。 正直に言って、自分自身もまだまだ原発事故や放射性物質について知らないことだらけだ。もし間違いがあったら遠慮なく指摘していただきたい。 まずはじめに、原発事故に至った経緯を勉強してみた。 原子力発電は、簡単に言うと次のような仕組みになっている。 ①核燃料を固めた棒(燃料棒)が、常に水の中に沈んでいて、核分裂のエネルギーでこの水が沸騰する。 ↓ ②発生した水蒸気でタービンが回って発電。 ↓ ③この水蒸気は回収されて、再び燃料棒の元に戻る(①へ戻る)。 本当にざっくり…
原発事故後から思い続けてきたが、口に出すのをためらっていたことがある。 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大とデマの拡散を見て、我慢ならないので言う。 日本には、理解することをやめた人間が沢山いて、悲しいことに日本はそういった「バカ」によって支えられている。 原発事故以来、沢山の人たちが、目に見えない放射能とそこから広がる風評被害に立ち向かってきた。 風評被害が出るということは、それくらい沢山の人が放射能と福島について知ることを諦めたということ。裏を返せば、消費の世界は、そういった人間により循環していたということだ。 人は、目に見えなかったり、正しく理解しきれていないものを過剰に恐れる。 正し…
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