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2020/02/26

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  • 四畳半神話大系(森見登美彦)を読みました

    拝啓何度も繰り返される物語が、僕の心を嬉々として満たしていきます。いつも僕の心は荒涼としていて、世の中を蔑みながら天に唾を吐き散らしているのですが、こんなに楽しそうにしている心を見たのは初めてですし、一体僕は何を言っているのかわからないと思ったのは人生で

  • いつかパラソルの下で(森絵都)を読みました

    拝啓親の影響、とくに父親の影響といいますのはエッフェル塔並に大きなものです。エッフェル塔は大きく美しいものですが、その影響というのは美しいものばかりではございません。時に人生に暗澹とした、拭ってもぬぐい切れない影がついて回る時があるのです。本人が気にして

  • 蝉しぐれ(藤沢周平)を読みました

    拝啓現代とは違って、恋愛の自由が許されない時代に、僕は憤り胸を掻きむしりました。すると血が噴き出まして、足元にまで滂沱と流れ、真っ赤な池が出来てしまうと怖いですけど、それぐらい理不尽だと訝った挙句今に至る次第です。そんな時代に生きた主人公は隣家の娘に淡す

  • こころ(夏目漱石)を読みました

    拝啓先生の重く暗い過去が僕の背中にずしりと乗っかってきて、なかなか離れていってくれません。先生はずっとこんな重さを、いや、この重さ以上のものを抱えて生きてきたのかと思うと、そのしんどさが憚られます。そんな先生の過去が物語の軸を占めていますが、その始まりは

  • 学問(山田詠美)を読みました

    拝啓不思議で暖かい絆に、僕は身体ごと飲み込まれていきました。なんでしょうか、この感覚は。言葉では言い表せない関係がそこにはありました。主人公と登場人物3人の不思議な関係。それに僕はやられてしまったのです。背中から何千の矢が降り注いでくるような衝撃もうけま

  • さくら(西加奈子)を読みました

    拝啓驚くべきことが起こりました。信じるも信じないもあなた次第ですが、なんとペットが喋りだしたのです。僕は開いたまま塞がらない口に大量のししゃもを投入してしまう程に驚きました。さらに、その犬は「うふふ」と笑います。どことなく上品な笑い方です。上品さの欠片を

  • 何者(朝井リョウ)を読みました

    拝啓僕はいつか自分より凄腕で遥か高い位置に存在している神のような何者かになれるのでは、と思っていた可愛らしくて食べちゃいたい時期があります。でも現実ではそんなことはなく、漬物石のように押しつぶしてくる時間を必死に堪えているのが精いっぱいなわけです。本作に

  • 倒立する塔の殺人(皆川博子)を読みました

    拝啓戦争末期から戦後を背景としたミステリーは、僕を気高くもどこか厳かな世界へと連れてってくれました。その世界は優しく残酷ですが、不思議と居心地がよく、3泊4日のつもりが一週間滞在してしまった気分です。長期滞在中、僕は強く気品のある少女たちに出会いました。時

  • 蜜蜂と遠雷(恩田陸)を読みました

    拝啓音楽とは音を出すものがあって、初めて音楽ということがわかります。と、思っていたのですが、その本の中には確かな音楽が奏でられていました。こんな感覚は初めてで、30歳年上の見知らぬ人が「ひょっとして生き別れの兄ですか?」と声をかけてきたぐらいの戸惑いを、僕

  • 女の一生〈1部〉キクの場合(遠藤周作)を読みました

    拝啓過去に日本が行っていたキリシタン弾圧。それは目を背けたくなるような事実でもありました。信じることがそんなにいけないことなのか。信じることは自由なのではないのか。それを当時の日本はわかっていなかった、いや、恐れていたようです。それに巻き込まれた女がいま

  • 容疑者Xの献身(東野圭吾)を読みました

    拝啓容疑者Xの献身ぶりには脱帽です。世界献身コンテストがあれば、僕は最優秀賞をあげたいのですが、そもそも僕は審査員になれるような器ではないので、残念ながらあげることはできません。それぐらいの献身ぶりを容疑者Xは果たします。ですが、当初僕は容疑者Xを奇妙な

  • 重力ピエロ(伊坂幸太郎)を読みました

    拝啓春とはどこからやってくるのでしょうか。冬の次に来るので、ひょっとするとどこかで獰猛な熊の如く冬眠めいたことをしているのかもしれませんし、そもそも冬自体が春で、寒い冬を耐えた皆様に陽気にでもなってうららかな雰囲気を演出してあげようじゃないか、という冬の

  • 永い言い訳(西川 美和)を読みました

    拝啓夫婦とは何かを問われた気がしました。ただ一緒に生きていくだけではない、いや、それだけなんですけど、そうするためには何が必要だったのか。それはずばり愛することを怠らないこと。そんな単純な事実に僕の目からはうろこが滂沱として溢れて出てきて、うろこの湖が出

  • アヒルと鴨のコインロッカー(伊坂幸太郎)を読みました

    拝啓僕は小説を読み始める時、あらすじやレビューを見ない人です。私今日肉ダメな人なんですけどー、と言う女子大生と大宇宙ぐらい大きな枠でくくればほぼ一緒です。なので僕は本作をミステリーと捉えていませんでした。 本作は現在と過去が交差するミステリーなのです

  • スロウハイツの神様(辻村深月)を読みました

    拝啓クリエーターってかっこいいですよね。僕はみんなに笑顔と元気を与え作るクリエーターであり続けたいと思っているのですが、そんなクリエーターが共同生活をしている場所があるのです。その名はトキワ荘、ではなく「スロウハイツ」お年寄りがゆたったりと余生を送れそう

  • 悪童日記(アゴタ・クリストフ)を読みました

    拝啓「とんでもねぇ」双子がいました。彼らは戦争が激化していく中、その「とんでもねぇ」を淡々と進化させていくことになります。そして、その「とんでもねぇ」を彼らは書き綴ることにするのです。本作は双子が綴った日記であり、記録として語られていきます。さて、時代背

  • ジョーカーゲーム

    拝啓スパイの難しさを知りました。僕はスパイというものを勘違いしていたようです。その勘違いは時空を越えて、遠い未来のアマゾン辺りぐらいでピラニアに食べられてしまいましたが、改めてスパイというものの奥深さを、強引に胸で噛みしめてみました。みたのですが、やはり

  • 王とサーカス(米澤穂信)を読みました

    拝啓ネパールの王宮で大事件がおこってしまいました。その出来事は国を揺らし、主人公を揺らし、僕の心もゆさゆさと揺らしました。得体の知れないものが喉から出てくるような感覚です。出てきた得体の知れないものが虫類系だと恐怖で心が満たされてキャリーオーバーしてしま

  • 掏摸(中村文則)を読みました

    拝啓巧みな掏摸師と出会いました。その掏摸師は天才と呼ばれ、癖のように掏摸をしています。無意識のうちにとっていた場合もあり、おそらく何かの境地に達しているのではないかと思われます。どれぐらい掏摸をすればそこに達するのかはわかりませんが、作中に書かれている掏

  • 世界の果てのこどもたち(中脇初枝)を読みました

    拝啓僕は当たり前のように生きれているこの世界、この国で、教科書や資料に書かれている戦争以外の戦争を知りません。戦時中、そこに生きている人々がどんな暮らしをして、何を思い、そしてどんな終戦をむかえたのか。教科書の中では、今の時代では、それは想像してもし尽せ

  • 白夜行(東野圭吾)を読みました

    拝啓登場人物二人の奇妙な関係と絆が居た堪れなくて、僕の胸が誰かにぎゅううっと絞られていくような気持ちになりました。そんなに絞っても何も出ません。何も出ないものの、牛の気持ちが少しわかった気がするので、これから牛乳を飲むときは身を引き締めて飲み干したいと思

  • 夢をかなえるゾウ(水野敬也)を読みました

    拝啓夢を叶える方法が見つかりました。向かいのホームや、路地裏の窓や、明け方の桜木町などを、こんなとこにいるはずもないと訝りながらも探しましたが、見つからなかった夢を叶える方法がついに見つかったのです。もちろん机の中もかばんの中も探しましたし、まだまだ探す

  • 沈黙(遠藤章造)を読みました

    拝啓信仰や宗教とは、こんなにも難しく歯痒いものなのでしょうか。人間が当たり前に食事をしたり睡眠をとるように自然に、簡単には出来ないものなのでしょうか。今の時代ならば信仰は、腕を伸ばすように自由に出来ますが、そうではなかった時代があるのです。教科書などで何

  • 告白(町田康)を読みました

    拝啓河内弁と思弁的な主人公の心の内が、心地よく濁流のように流れていく。改めて小説の面白さ、凄さが目の前をぐるぐる駆け巡って、そろそろ目眩がして倒れそうです。本作に出会えて、僕は幸せでございます。町田康さんには尊敬と感謝の言葉しかありません。そんな僥倖を噛

  • きいろいゾウ(西加奈子)を読みました

    拝啓若い夫婦とはいいものですね。若い夫婦やカップルを見るたびに、宿命とも言えるこの煮えたぎる血が沸騰寸前になり、ついつい小指についている赤い糸を引きちぎりたくもなりますが、客観的に見ると微笑ましいものです。今やその引きちぎった赤い糸でセーターが編めそうな

  • 教団X(中村文則)を読みました

    拝啓皆様、宗教とは一体何か、考えたことがおありでしょうか?僕はあるような、限りなく透明にないような、そんな秋の空ぐらいにきまぐれです。たまにはスコールがやみません。そんな宗教、とくに日本でのイメージはよろしくないかと思われます。実際に問題や事件を起こして

  • 夜は短かし歩けよ乙女(森見登美彦)を読みました

    拝啓とんでもない乙女が、そこにはいました。何がとんでもないのか、それはもう言葉では言い表せませんし、宝塚歌劇団でも言い表せないかもしれません。とにかく絵に描いたような乙女なのです。キングオブ乙女コンテストで満場一致で優勝出来る器の乙女と、冴えない先輩が交

  • 毎年、記憶を失う彼女の救いかた(望月拓海)を読みました

    拝啓毎年、記憶を失ったことのない僕には、毎年、記憶を失う彼女の救いかたがわかりません。誰か教えていただきたいです。と、思っていたところ丁度よく現れる正義のヒーローと同じようなタイミングで、知っている方が現れました。なんて都合がいいのでしょうか。まあ、正確

  • 凍りのクジラ(辻村深月)を読みました

    拝啓突然の突飛な質問失礼千万は承知の助でございますが、空を自由に飛びたい、そんな時何が欲しくなりますでしょうか?そうですね、タケコプターですね。ではどこかにすぐ行きたいと思えば?そうですね、どこでもドアですね。ではネズミが出てきたら?そうですね、地球破壊

  • 風に舞い上がるビニールシート(森絵都)を読みました

    拝啓風に舞い上がるビニールシート。なんでしょうか、この素敵な未知への扉感は。それを追えば、違う世界連れて行ってくれる、そんな期待。そんな期待に背中を、えいや、と押されページを捲ると、そこには未知なる世界たちが待ち受けていたのです。こんにちわ、ニューワール

  • イン・ザ・プール(奥田英朗)を読みました

    拝啓おかしな先生に出会いました。伊良部総合病院の精神科医にいる伊良部先生なんですけど、奇行が目立ちすぎるのです。目立ちすぎて、もはや奇行先生の伊良部が目立っているのかもしれません。どんな奇行かと言いますと、ここに書くのも憚られるのですが。例えば、深夜のプ

  • 強運の持ち主(尾瀬まいこ)を読みました

    拝啓僕は占い師を別次元の人だと思っていました。確かに、勉強や研究を何重にもかさねた知識のミルフィーユを作り出す占い師もいることでしょう。そういった方は確かに別次元の人と感じます。では、街中で布をかけたテーブルに水晶パターンの占い師はどうでしょうか?彼らは

  • 罪と罰(ドフトエフスキー)を読みました

    拝啓皆様は罪を犯したことがあるでしょうか?恥ずかしながら僕にはあります。あまり人に語るには値しないことではありますが、僕の108つある罪の内、一つをお話しさせていただこうかと思いましたが、長くなってしまいますので、また別の機会にでもお話させていただければ

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