Aさんが言う。「僕の話は極論に聞こえるけど事実なんだ」。Bさんは突っ込む。「その言い方をする人は必ず極論を言うのさ」。こんなやりとりは何を意味するか。Aさんは、Bさんの見識が狭いから理解しないだろうと予想し、前置きで釘を刺したと考えられます。Bさんは理解できないトンデモ話を多く聞かされた過去があり、どうせ君も極論を言うのでしょと釘を刺しました。つまりAさんの予想どおりBさんの見識が狭かったから、B...
芸術がわからない原因自体を探る研究。美術が難しい症候群を解きほぐす試み。アートを敬遠する日本人を理解者に変える。
自由という魔法にひそむ社会崩壊現象【新自由主義とグローバリズム】
「私は魔法使い、君の願いをひとつだけかなえてやる」と言われたら、「お金をくれ」が浮かぶ人が多いはず。お金で自由が手に入る。しかしある人は「政府と同じ通貨発行権をくれ」を思いつくでしょう。これなら、お金を使い切っても底をつく破産が永久に来ない。実は正解があります。著者の初見は赤塚不二夫の漫画『天才バカボン』のパパの願いでした。「わしがずっと魔法を使えるようにしてくれ」。その願いはかなえられ、話が続き...
日本の報道の自由は世界70位と振るわず【検閲の一般化と途上国化】
「報道の自由」の世界順位で、最新の日本は70位だという。海外報道がタブーを破ったジャニーズ問題も関係はあるでしょう。マスコミ各社がワンパターンに陥るのは、スポンサーの意向だからです。スポンサーは超大企業や外資系が中心で、新自由主義とグローバリズムの立場です。なのに視聴者が納得するのは、美術のあの現象も共通するのでしょう。「正解はひとつであり、正解だけを知りたい」「色々な意見があると、どれが正しいのか...
家庭の主婦にお金を理解させる論法は【芸術よりてごわい人類の難題】
日本人は「お金は使えばなくなる」と思っています。美術のためにお金を使った時も、やっぱり減ってしまう。そこでお金を一切使わないようにすれば、良い社会に向かうのだと信じています。ところが実際は逆に社会は滅びます。「お金を使えばなくなる」の信念は、お金を石油になぞらえています。石油は発火させて燃焼させることが多く、石油と異なる物体に化学変化して大気へ逃げます。このイメージでお金をみて考えている人が多い。...
日本の地名に託された先祖のメッセージ【平成デフレの災害引き寄せ】
商戦の都合で国民の生命財産が失われる現象として、テレビでも特集があったのが「地名変更」でした。現代感覚に照らして住所の特に町名が古くさいと嫌って、しゃれた名称に変える流行が問題です。ご先祖からのメッセージが消えて、不幸に落ちる不吉な行動です。昔の地名にはマイナス面の特質を表す漢字を入れて、子孫たちの生存をおびやかす災害を防ごうとしてきたらしい。古人は「今だけ、金だけ、自分だけ」でなく、不都合な真実...
表面的と内容的は常に誤解され対立し断絶する【抽象思考の限界】
人間同士は常に対立して闘っていますが、一人の中で生じる闘いもあります。「表面的」と「内容的」の対立もひとつ。自分が注目する着眼点を、表面的なものから内容的なものへと変えた時に、人生のターニングポイントが訪れやすい。ラジオドラマの物語構成には定型パターンがあり、「表面的な現象で騒動が起き、ラストに内容が明らかになり、人同士の関係が修復される」が多い。理解し合えない騒動は、映画やドラマの大きいモチーフ...
ブランドのラベル効果と品質体感は混じる【価値の分別は意外に困難】
「ブランドにもの申す」論が世に出回りますが、著者は「ブランド論にもの申す」に関心がありました。というのは、ブランド語りで起きがちなのが、ネームバリューと品質を分けて感じ取る難しさです。二つは混じり合って受け取られるからです。高級ブランドの信用は二面あります。「性能が裏づけたブランド信用」と「ネームが裏づけたブランド信用」です。ところが二つを分けて考えることは、人間の心理学的には全く困難です。なぜな...
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Aさんが言う。「僕の話は極論に聞こえるけど事実なんだ」。Bさんは突っ込む。「その言い方をする人は必ず極論を言うのさ」。こんなやりとりは何を意味するか。Aさんは、Bさんの見識が狭いから理解しないだろうと予想し、前置きで釘を刺したと考えられます。Bさんは理解できないトンデモ話を多く聞かされた過去があり、どうせ君も極論を言うのでしょと釘を刺しました。つまりAさんの予想どおりBさんの見識が狭かったから、B...
日本のよくある論調では、国力とは国が持つお金の多い少ないですが、これは無意味な指標です。なぜなら、自国通貨は政府が必要なだけ発行でき、今の十倍や百倍に刷り足すのも簡単。国家は無料でお金を欲しいだけ刷れて、お金に困る道理がありません。ならばなぜ、お金を多く用意できる国と、少なくしか用意できない国があるのか。簡単です。「欲しいだけ刷れる」の「欲しいだけ」がカギです。お金が欲しい理由は買いたいものがある...
当ブログでは芸術を理解する焦点とツボを解説しますが、芸術一辺倒でなく世事も含めて話題にします。そして「財務省解体デモ」の報道内容がわかりにくい問題。芸術を語る時と似て、焦点があいまいだし言葉が滑ってしまっています。チンプンカンプンな報道。財務省を解体する目的は、財務省内の「歳出」と「歳入」の部門を分けることです。両方を含むから国債発行と税収を等しくする短絡思考で、国の経済成長が常にゼロになる。企業...
SDGsという略語の和訳は「持続可能な開発目標」で、二酸化炭素地球温暖化説が典型です。世界はこの方向へ全員が向きたまえいう宣言ですが、資本家や資産家、経済学者を集めた国際会議で決められます。要は1パーセントの富裕層が決めた、世界を支配する設計図です。ファッション業界の「この春はパステルカラーが流行りそう」「次の秋はアースカラーとモノトーンです」と似て、予言を装う誘導。SDGsの中には迷惑なものもあり、ジェ...
「美術の価値」という概念は、実に多くの話題を生みました。「価値」は抽象語で意味が複数あるから、一人一人が異なる意味で使いやすく、よくすれ違います。同じように「お金の価値」も、言葉説明を詳しくしないと互いに意味が通じないことが多い。お金で考えると金銭欲がじゃまするから、鉄道切符で考えるとわかりやすい。新幹線の9700円の切符は、発行するJR社側からみると9700円の宝ではない。道を歩くJR職員がJRの未使用切符を...
「言論の自由がなくなると、民主主義は成り立たない」。アメリカ政権入りした民間人イーロン・マスク氏も、日本を憂えて言いました。このトートロジー的なわかりきった標語に、全ての答があります。民主主義を壊したい派が、言論の自由を狭める案を出してきます。1980年代以降の新自由主義とグローバリズムは、上級国民と下級市民の格差を拡大して、上が下を支配し、賃下げして搾取するセオリーです。早くから明文化されています。...
世界中でよく見かける間違った議論のひとつが、「資本主義はもう限界に来ている」です。このフレーズの何が間違いかは「語句定義の自己流解釈」です。多くのケースで、資本主義の「資本」はお金を指すのだと誤解されています。お金という資本を投じる経済だとして。資本主義の資本は、道路や電線を指します。主に社会インフラを指す。公的だから、国の政府がバックグラウンドに立つわけです。その推進力は自国通貨の発行です。言い...
ウクライナのゼレンスキー大統領とアメリカのトランプ大統領の奇妙な口論を、50分全編と訳文で調べました。トランプ氏の穏やかなねぎらいの言葉に対して、ゼレンスキー氏はプーチン氏への非難で割って入り、会議を壊した流れです。停戦合意をさせなかった印象。日本のテレビ報道内容は、切り取り映像イメージによる印象操作です。富裕層の言うことを聞かないトランプは、富裕層が出資するテレビ局の敵だから当然そうなる。また別に...
「増税すれば景気は落ちる」の言い方が、ネットによくみられるように変わりました。この正論は奇妙で、何ともねじれた感のある表現です。なぜならどの国の政府も、景気を冷やしたい時に増税するから。増税の主目的は景気下げなのに、副作用みたいに言うのが奇妙。国の財源は国債であり、公金と呼びます。税金は財源ではない。政府の支払いに使う資金づくりで税金を集めたりしない。なぜそうなのかは、今言いました。国の財源は国債...
財務省解体デモはもう全国に広がり、国民の正義感以上に危機感が漂います。沈黙中の民放テレビの一部が報道しました。『失われた10年』はもう36年目で、無限の増税で国民を貧困化させ、少子化急伸で人口減を進め続けた主犯は財務省だったと、国民は察しました。著者はフランス革命と関連づけて本にしましたが、圧政もいつかは滅ぶ摂理でしょう。財務省が総理大臣をあやつり国をとことん破壊した平成は、令和に入って転換点が近づい...
2024年11月の衆議院選挙の後に「重税が経済衰退の直接原因だった」「103万円の壁で増税カルト宗教の存在を知った」と言う動画がどっと増えました。次の結論がひんぱんに聞かれます。「国民に正しい知識が必要だ」「無知でも幸福になれた時代はもう終わった」。国民が無知だと、国の政府から攻撃され危害を受ける時代の到来です。これ、もちろん新自由主義の思想の骨子でもあり、「強者が弱者を搾取する自由、人権侵害を合法とする...
日米トップ会談(2025年2月7日)の模様で、テレビ放送などオールドメティアがある部分をカットしたと、ネットで話題に。それがラストのやりとり。記者の一人が総理にこうたずねました。「アメリカが日本に関税をかけると、日本は報復関税をかけますか」。総理はこう答えました。「仮定の質問には答えられません」。トランプ大統領はイヤホンを外し、アメリカの記者団を向いて「彼はわかった人だ」と三度言い、非常に怒った表情で会...
日本銀行(ニッポンギンコウ)の金利を上げる宣言は、間違った政策であり、日本経済は悪化します。そしてテレビ報道の経済学者の説明も、ほぼ全てが間違った論評です。なぜそうなるかは、芸術と似ています。経済学には昔からインフレの説明に誤謬、瑕疵があるからです。著者は「芸術の特徴は表現の裂け目である」と結論しました。が一般論では「芸術の特徴は細かく器用な作り」でしょう。定義がおかしいから美術鑑賞する人々は、新...
全国の水道局で水道の修理が行き届かない理由も、財務省内の出世競争の人事評価である増税と関係があります。国が通貨発行して県市町村へ仕送りする「地方交付税交付金」を、国の金庫の一万円札が残り少ないとして減額し続けました。ふるさと納税はそのカモフラージュ。そこにレントシーキングがからみ、フランスを追われた水道企業から、日本の水道を渡すよう要求されています。それで国債発行を止めて水道運営を困窮させて、民営...
最近、日本を変える話題で、少しまとめるのが難しい話に挑戦中です。やや年輩の方はご存じでしょうが、米経営コンサルのビジネスパーソンがマスコミで人気沸騰し、日本を変えようと激しく主張しました。その方向へ行った日本は激しく経済衰退し、昨年で35年失ったのです。それがアメリカとどう関係があるかといえば、実は他国からアメリカへ留学した学生は全員が「アメリカ最高、自国はサイテーだ」と言い出す人格に変わるという。...
日本に必要な人材を求める論には、ロクな結末がないと感じています。一例がカルロス・ゴーン氏だったわけで、確かにニッサン自動車の株価は上がりましたが、クビ切りで人件費を削減したコストカット中心で、薄情なよそ者の大ナタという新自由主義らしいマネーゲームでした。ついで絶対に軽視できないのが、緊縮財政と消費税増税、さらに103万円の壁を上げずに放置した年々のステルス増税です。国策として賃下げが続いています。非...
1月7日から起きたロサンゼルスの山火事には、一人は放火犯がいて逮捕済みらしい。ありきたりに解釈するなら、新自由主義とグローバリズムで格差を極大化して、まばゆく輝くセレブの街に対し強いルサンチマンを抱いた反社会行動、という文脈が考えられます。そもそもロサンゼルス市は、地理的条件に無理が多い街づくりが昔から指摘されていて、干ばつと地震にやられやすいという。そこに防火対策の不備や、市のサービス削減とコスト...
昭和の末期から増えてきた本が「日本のここがダメなのだ」の企画書です。「団体行動がダメ」「年功序列がダメ」「意思決定の遅さがダメ」「格差の小ささがダメ」「国民の過保護がダメ」「一億総中流ダメ」。読者が一斉に納得し賛同した時が、日本が大転落するスタート。それらは「新自由主義とグローバリズム」思想への転換であり、「うまい運営の国」をつぶして回る乗っ取りのセオリーでした。個人主義、能力主義、スピード、格差...
シューベルト『楽興の時』(Moments Musicaux、モマン・ムジコー)第三番は、最初の二小節で耳を吸い付け離さないピアノ曲です。特徴は短調でメランコリックに入り、途中から長調に転じて明るく開けていく展開です。シューベルトには、壮大とは逆の内向的な曲が多い。短調で始まり長調に転調し、または最後の和音で長調にひっくり返してハッピーエンドで終える曲は、人生を感じさせるからか。英プログレッシブロックのピンク・フロ...
ネットのYouTube動画で動物の映像が楽しい。社会問題よりアクセス数が二ケタも多い。アニマル・レスキューのシリーズがあり、アザラシやウミガメを捕らえて、体にからまった釣り糸や漁網を除去し、傷を消毒して放す。公的活動や私人の記録です。陸上動物版もあるのですが、作業者がてこずる動物は決まっています。犬、猫、馬などは人間が自分を助けて解放してくれる推測がはたらくのか、身をまかせて待つことが多い。野生の動物で...
最近「モナリザ症候群」という言葉を初めて知りました。太っている人があまり多く食べていないつもりなのに、やせない現象を言うらしい。レオナルド・ダ・ヴィンチ『モナリザ』の絵のモデルだったジョコンダさんに、少食でも太る傾向があったのかと思ったら、そうじゃない。
「創作物はいずれ枯渇する、何をつくっても誰かがやったものばかり」という説は現実に起きていると、著者は著書で触れました。米国特許庁が出した「人工知能AIが描いた絵画には、著作権を与えない」の判断は正しいと著者は考えています。「でもAIが描いた絵にも創造的なものはあり、著作物として認めてよいのでは」と思っている人は、やはり考えている範囲が狭いのです。この問題は音楽でよくわかります。今の音楽は西洋の12音階方...
最近、バブルがはじけるのが近いとの記事を見ます。Yahooニュースに港区の大規模ディスコ『ジュリアナ東京』なき近辺で、再開発が活発化している報も。部分的なバブルは毎日はじけているから、言うが勝ちかもしれません。NFTアートバブルもそんなひとつでした。日本のバブル経済は1987~1992年の5年間が中心で、発端は『五カ国プラザ合意』でした。高度成長を果たした日本を円高に変え、他国が輸出で日本を打倒するもくろみ。その...
香港とオーストラリア合作の映画『THE MAN FROM HONG KONG』のテーマ曲が、ロックバンドのジグソー(英)『スカイハイ』。香港映画『片腕ドラゴン』(1972)の主演ジミー・ウォング(台湾)が、刑事として敵のビルへ乗り込む伏線が、冒頭のハンググライダー。乗り込まれる組織の親分は英国映画『女王陛下の007』で、ジェームズ・ボンド役を一度きりで辞任したジョージ・レーゼンビー(豪)。イギリスや米ハリウッド映画と違う雰囲...
何度か論じてきましたが、悪い時代のヒーローたちは、時代を悪くしている犯人なのです。そのヒーローたちに「時代を良くしてください」と頼み込んで活躍の場を与えると、より悪い時代へとどんどん変えていくに決まっています。しかも国民は思考でつまずきます。「時代を悪く変えたいやつなんていない」と思考してしまう。実はいるのです。たとえば消費税を上げれば、誰にとっても生活費が高コストになります。「だから上げたい者な...
勘違いしている人に、勘違いだと教えるのは、実際にはかなり難しい。理由は主に三つあります。ひとつは、人間は保守的で惰性的で、勘違いにフリクションがかかる点。二つめは、外部からの洗脳が発端の場合、容易に解けないカルト宗教のパターンに陥る脳の限界です。まだあります。もし自分の勘違いを認めてしまうと、一貫しない自分の立場がない。勘違いで築いた地位や収入を失いたくない自己愛の心理。メンツと利害も理解を妨げる...
日経平均株価が史上最高を記録しました。1989年12月29日に最高価格38957.44円、終値38915.87円でした。以降が「失われた35年」。その日からアメリカ株は14倍に上がったのに、日本株は逆に下がったままで、経済衰退が延々と続きます。若者の過労死が絶えない時代。その日本株も最近4万円台に上がりました。国民の疑問は「株価は高いのに、僕らの暮らしはなぜ悪いままなの?」。この疑問が間違った前提なのです。今の世界を覆う新自...
「人間は変わろうとすれば、変われるものだよ」と「人間は変わらないものだよ」の二つの言い方が聞こえます。矛盾するように思えますが、そのとおり矛盾しているのです。芸術の運命を追っても、人間は矛盾した生き物だとわかります。舞台芸でもいえます。「僕は人前に出て目立ってはいますが、実は生まれつき引っ込み思案な性格です」という言い方。これつまり、引っ込み思案な性格と、前面に出て社交的にやる行動に、さしたる相関...
著者は家では水道水を飲んできて、飲み物をつくる家庭的な楽しみとは無縁でした。一杯のコーヒーや紅茶を入れたのは、人生の半分をはるか過ぎてからでした。豆の挽き方にこったコーヒーの次は紅茶。一袋4円のティーバッグを大箱で買い続けています。ふと店で気になり、一袋24円の高級な紅茶を買ってみました。素で飲んでみると、何と味がしないのです。どの程度おいしいのかと心が構えたせいか、4円の紅茶と似たような印象です。ま...
平成になって飲み会が減った理由と、飲み会を若者が嫌った理由は同じです。緊縮財政と消費税増税による通貨削減で所得が減り、可処分所得が減ったから。生命維持に必要でない出費を減らしたいから。生活費を節約するために、飲み会へ加わらなくなった。しかし「僕は貧困なので飲み会へ参加しません」と言う若者は少ない。「上司とは飲みたくない」と理由をずらす。上司のいない同僚の飲み会もガクンと減ったから、真っ直ぐな告白と...
新型コロナのクラスターで封鎖された施設の女性に、センメルヴェイスの話題の前置きでガリレオの語を出した時。「ガリレオってなーに」と質問されて撃沈しました。全員を敵に回す一人ぼっちの人生は、考えてみれば男の子の世界といえるでしょう。ハンガリー人のセンメルヴェイスの名が日本で表に出たのは、コロナ前の2019年でした。消費税が8パーセントの頃で、もう5年近くもたつ。「センメルヴェイス反射」と呼ぶ行動が「税金は財...
バブルより前からあったアルトマンシステムの現代版が、結婚相談所と呼ぶデータベース式の仲人産業です。入会した29歳男性、55歳男性、28歳女性が異性と見合いし、交際し成婚を目指すTVノンフィクション番組が、ネットで話題になっていました。かなりの話題性。何が話題の中心かは、内申書のスペック重視で相手を選ぶ世知辛さや、男性はエステ通いやメイク、女性は美容整形を受けて挑む、残酷なほどシビアになるお見合いでした。晩...
漫画『セクシー田中さん』の作者が、実写テレビドラマ化で違約の改変を受け、ライバル的な脚本家のSNS発言の後に自殺した件。最初に連想したのは、芸術が苦手な国民性の反映です。著者は昔、女性コミックを持ち主からまとめ借りして読み、細かい心理描写に驚きました。紙の漫画は抽象表現を多用するから、芸術の要素を自然に含みやすい。それでファンやオタクの鑑賞力で受け止められても、テレビ化なら万人受けも必要だろうくらい...
考えてみれば、日本が世界から浮いて経済が単独で落ち続ける時代に、落としている犯人は当代の顔役です。当代の売れっ子カリスマ論者や、ベストセラー書がそう。よく売れた書籍は経済衰退させるための指南役でした。悪い時代の人気書籍は、悪書である真理です。一例が著者も読者だった雑誌『クロワッサン』でした。結婚しない女性の生き方を提案し、そのかっこよさで若い女性たちを魅了したのです。今結婚したくてもできない、アラ...
以前から先延ばししていた歌曲の編曲を、最近進めています。山田耕筰(1965没)作曲、三木露風(1964没)作詞の『赤とんぼ』。この曲の魅力は故郷を感じる歌詞なのは間違いないとして、二回上昇するサビのメロディーが決め手だと思えます。「け、こやけーのー」と「て、みたのーはー」で二回高く舞い上がる。このメロディーはパクリとされた騒動があり、シューマン作曲『ピアノと管弦楽のための序奏と協奏的アレグロニ短調作品134...
ChatGPTは、人工知能AIが読者の質問に答えるプログラムです。ネット上にある大量の活字、画像、音声をまず「学習」して、知識を整理して待機します。そうして人が文章をつくる時の話のつなげ方や、論理展開の技法をプログラムが備えます。ChatGPTサイトでユーザーが質問すると、瞬時にAIが答えます。しかし根本的な課題がいくつか残っています。ひとつは著作権です。ネットに置いてある著作物は、ピカソ論にしても、若い画学生が描...
大勢の日本人が目からウロコとなった言葉は、たぶんこれ。「国も家庭と同じで、収入以上に支出すればお金がなくなって破産する」。それを信じた結果、世界で日本経済だけが「失われた35年」です。読者はもう信じていないでしょう。もちろん国の破産は真っ赤な嘘です。なぜ嘘かは、政府に通貨発行権があるから。家庭に通貨発行権はない。「国がお金を使いすぎれば、金庫の一万円札が減りすぎて底をつく」「金欠で国の台所はおしまい...
今の日本では「人を幸せにする」の生き方は失墜し、カリスマご意見番たちも鼻で笑うほど。「助け合いは社会主義だ、ソ連になりたいのか」と忌み嫌います。代わりに「優れた者は残れ、劣った者は滅べ」という弱肉強食の選民思想が大衆の心をとらえ、だからカリスマに君臨。日本の若者に広くみられるのは、助け合いよりも倒し合いすれば、戦いを通して人間の能力が高まって、イノベーションが起きて経済成長する筋書きです。互助と協...
謹賀新年。今90歳の人は、太平洋戦争(大東亜戦争)の終戦時に12歳の小学6年生でした。そして多くの児童は飢えた体験を持ち、それゆえ食物を大切にする傾向が強い。レストランでSNS掲載用に撮影し、食べずに帰る客の出現は、飢えを知らない後の世代でしょう。ところで今の新世代たちは、二次大戦の後半に日本人が飢えて栄養失調になり、次々餓死した理由と、そのメカニズムを理解できていません。特に理屈一辺倒の人に多いのは「出...
日本では「食べていくために働く」の意味が誤解されています。食べ物を買うお金づくりが労働だと思っている人が多い。富裕家庭に生まれたら生涯遊んでいても食べていけて、平凡家庭に生まれた罰ゲームとして労働を位置づけるのが、カリスマ論者たちの切り口あるあるです。これはお金の性質を誤認した間違い解釈です。国民が労働する理由は、自分たちの食べ物を作るためです。「食べるために働く」という日本語は一応は正解ですが、...