後頭部を撮影された老人、 謹呈された詩集をかならず読む老人 愛車モーリスはいつ廃車になったのか かれの離婚届を詩集がわりに読むか否か 湖畔の嵐のなかで うつくしい水鳥のような、 鮮やかな死が タニカワ、 タニカワシュンタロウと連呼するなか、 ぼくは悼む気もなくて、 バーガーキングと呟いていた それが正しい儀式であると、 強調する傍点をたずさえて歩きながら、 ぼくもおなじように連呼する タニカワ、 タニカワ、タニカワ、 タニカワシュンタロウ、 シュンタロウ、 またの名をスピルリナ青色素だと 存在しないものの現実味について しばし考える、 緑色の牛 ピンク色のコーヒー豆 蛇口からあふれたジンジャー…