写真素材 cg.foto 鷹男!さよなら・・・・・・・ 今度こそもう忘れるわ・・・・・・・・ あたしは夢中で走り去った。 この場から早く抜け出したかったから。 でもそれは出来なかった。 「瑠璃さんお待ちなさい!」 この場にはあたしと鷹男しかいないと思っていたのに急に第三者が現れた。 あたしの前に急に現れ、前をふさいだのは高彬だったの! 「なっ!?高彬!!!」 「高彬!!!」 あたしと鷹男は呆然と高彬の姿を認める。 なんでこの場に高彬がいるの???? 高彬があたしを右大臣邸に連れてきたんだから仕方がない。 でもなんであたしの前に現れて通せんぼのように立ちはだかるの? 「高彬、どいて頂戴!早くここ…
写真素材 cg.foto しばらくあたしと鷹男はお互いを見つめていた。 でも最初に目を逸らしたのは鷹男の方だった。 何か考えているようなそして諦めたようなそんな表情をしていた。 あたしはその表情を見てもう鷹男はあたしを必要としていないんだと確信をした。 だってこんなところに鷹男はもちろんのこと あたしだっていたらいけないじゃない。 女御であるあたしがここにいるということは 後宮を逃げたしてしまったっていうことでしょう。 そのあたしを見つけて普通なら何故ここにいるか問い詰めるものじゃない? なのに何も言わずにただ諦めた表情で視線を逸らしたという事は あたしなんて別に傍にいなくても良いということに…
写真素材 cg.foto 高彬が急に淑景舎を退出してから2,3日が経った。 その後も鷹男があたしの前に現れる事はなかった。 このままあたしと鷹男の仲は進展がないと諦めていたそんな時 高彬が急にあたしとの面会を希望してきたの。 以前急に訳の分からないことを言いながら 結局梨壺で起こった事を教えてくれなかった高彬。 今度こそ梨壺で起こった事を聞こう、そう思っていたの。 でも高彬の言葉でそんなことなんて頭から飛び出てしまったのよ。 「瑠璃さん、急な面会を希望してごめんよ」 「うう~んそんなことはないわ。ただ驚いただけ。 それでどうかしたの?高彬の方からあたしに会いたいだなんて・・・」 「うん、そのこ…
写真素材 cg.foto あたしの体が完全によくなっても、 あたしは自分から鷹男に会いに行くこともせず そして鷹男は鷹男であたしに会いにくることも 清涼殿に呼んでくれる事もなかった。 会うのが恐いからあたしは感謝の言葉を認めた御文を贈った。 その返事として鷹男から あたしの体を労わる言葉を認められた御文を頂いた。 ただそれだけの簡素な御文だった。 内容を見ても鷹男が怒っているような文面は全然伝わらないけど それにしても簡素すぎて味気ないそんな気分だった。 あたしは感謝の言葉を認めるだけで緊張をし、 鷹男からの反応が恐かったというのにその反応が よく分からないものだったから・・・・・ それから2…
写真素材 cg.foto あたしはどれだけ意識をなくしていたのか分からない。 でも完全に目が醒めたとき、誰かがあたしの手を握ってくれていた。 その温もりは温かくあたしの心を癒してくれる。 でもその手を握っているのが誰なのか視線をやるとそこには鷹男がいた。 その時あたしは意識を戻したばかりで、思考回路が働いていなかった。 だから鷹男のホッとした安心した表情を見て あたしはやっぱりこの人の傍に一生いたい。 そんな気持ちが甦っていたの。 それからしばらくするとバタバタと 薬師や医師を呼べというような声が飛び交い、いつの間にやら 鷹男の姿はあたしの前から消えていなくなっていた。 鷹男があたしの傍にいて…
写真素材 cg.foto 鷹男の登場にあたしは驚きを隠せなかった。 でも高彬はすぐにあたしから離れ平伏した。 鷹男の表情は冷たく今まで見たこともない姿だった。 あたしはその姿を見て驚いたけど今のあたしは嫉妬をして 自分の行動を省みる事なんて出来なかったから 鷹男に自分が今まで言えなかった言葉をここで言いはなった。 「東宮様、別にあたしは高彬とは何でもございませんわ。 そう言えばまだお祝いのお言葉、言っていませんでしたね。 梨壺さまの御懐妊おめでとうございます。 さぞ東宮様はお喜びになられたかと存じます。 これであなたがずっと気に掛けていた後継者が もうすぐ誕生することになるのですね。 でしたら…
写真素材 cg.foto どこをあたしは目指しているのか分からない。 だけどここから逃げ出したい。 人がいないほういないほうを目指しながらあたしは駆けていく。 人の気配があれば違う廊下へと進み今自分がどこにいるのかも 分からずにぐるぐると駆けていった。 そんな時誰かと廊下でぶつかってしまったの。 ドンっ 「きゃあ~」ドサッ あたしは思わず廊下に倒れこんでしまった。 でも思いっきりだった訳じゃなかったから すぐに立ち上がりぶつかった相手に非礼を詫びて立去ろうとした。 「あっすみません」 下を向きながら詫びすぐに立去るつもりが この場からはなれる事が出来なくなってしまったの。 「瑠璃さん?」 「え…
写真素材 cg.foto 鷹男との心の距離は近づいているはずなのに一歩先から前に進む事ができない。 一緒にいてとても楽しい。 鷹男もあたしの傍にいて二人の距離は更に近づいていると感じてくれる。 そう思えるくらいあたし達の仲は良くなっていった。 なのに何故それ以上縮まらないの? どうして・・・・・・・・ それは鷹男にとって梨壺さまが一番だから。 あたしよりも必ず梨壺さまを選んでしまう鷹男。 そんな姿を何度も見せられどんどん苦しい気持ちは溜まっていく。 その悲しみはいつ開放されることが出来るのだろう? あたしの気持ちの限界はとうに超えてしまっていた。 そんな時だった!恐れていたことが発覚したのは!…
写真素材 cg.foto あたしはこれからは自分をどんどん出していこうとそう思った。 窮屈なこの後宮の生活はあたしには全くなじむ事ができない場所だった。 そんな場所に無理して入ったのは大好きな東宮様、いえ鷹男がいるから・・・・ だから入ったの。 女御らしくお淑やかにできるあたしじゃない。 本当の自分を好きになって欲しい。 偽りの自分などあたしじゃないのだから。 あたしは今では変わった女御として後宮中の噂になっていた。 楽しかったら大きな声で笑い、悲しかったら大泣きし 自分の感情に素直になっていた。 貴族の女性は扇で自分の顔を隠し自分の姿を絶対に周りに見せない。 声でさえお付の者に話させる。 そ…
写真素材 cg.foto あれから泣き続けた。 幾度考えても絶望からは離れることなどできない。 東宮様はあたしではなく梨壺さまを愛されているのだから・・・・・ あの頃出会った東宮様はもういない・・・・・ そんなこと分かっている。 でもそのことを受け入れたくはなかった。 結局東宮様はあの頃出会った東宮様じゃないんだわ。 やっとそこまで考えがいくようになってあたしは段々冷静になっていく。 もう、東宮様はあたしを忘れてしまったんだと。 そう踏ん切りがついてきた。 だったら・・・・・・・ あたしはどうしたいの? 東宮様があたしを愛してくれないから・・・・・ だからこのままあたしは泣き寝入りをすればいい…
写真素材 cg.foto 愛のない契りはなんてむなしいものなの・・・・・ あんなに夢見た東宮様と結ばれたのに 心が通じ合ってないなんて何て無意味なものなのか 悪夢のような初夜を迎えてから2週間が経った。 あれから時々東宮様はあたしを指名し、清涼殿に渡り愛のない契りを行う。 ただ跡継ぎを作るだけの不毛な行為。 一度きりでこの行為から解放されたい。 でもそんなわけにもいかず時々清涼殿に渡らないといけない。 小萩から言わせるとかなり呼ばれる回数は少ないんだとか。 新婚なのに呼ばれる回数が少ないと小萩はあたしに言ってくる。 あたしは呼ばれないほうが嬉しい。 これ以上惨めな気持ちになりたくないのですもの…
写真素材 cg.foto 胸がドキドキする。 東宮様はあたしを見てどんな反応をするのだろう。 やっぱりあたしを見ても思い出すことはないのだろうか? それとも・・・・・・・・ あたしはあれから早速父さまに東宮様の元に行きたいことを話した。 元々野心がない父さまだったからまさか自分の娘を入内させようという気持ちは 全くなかったみたいで酷く慌てていた。 あたしのような破天荒な性格の娘が後宮に上がったら何かを起すに決まっている。 そんな決め付けがあってはじめは反対された。 でもあたしの決意が固いのを見てあたしの気持ちを分かってくれた。 そうしてあっという間にあたしは東宮様の女御となることができた。 あ…
写真素材 cg.foto あたしは幼い頃の思い出を大切にしていた。 東宮様が私を見つけそして一生を共に過ごす事ができる。 そんな夢を見て過ごしてきた。 あたしを迎えに来てくれないのは東宮様があたしの成長を待つために今はまだ 迎えに来てはくれないのだと、自分の都合のいいように考えていたの。 そうして日に日に成長し、あたしも殿方を迎えてもいい年になっていった。 父さまからいい縁談があると持ちかけられても あたしは東宮様が迎えにきてくれることを信じ ずっと断り続けていたの。 まだ適齢期に入ったばかりで父さまも強引に話を持ってくることもなかった。 あたしが断っている理由を知るものは誰一人としていない。…
写真素材 cg.foto 幼き若君と母宮が久しぶりに二人きりの逢瀬を楽しんでいた。そう遠くない未来に我が子は重い重責を背負うことになる。そうなる前までは少しでも愛情を注ごうと母宮は思っていた。そんな時だった。若君の何気ない一言に母宮は悲しみに包まれる。誰からか聞いたのであろうか?不安げな顔で母宮に問う我が子。「母上、私は愛する人と将来結ばれることはできないのでしょうか?」大人びてしまった我が子であったがまだ母宮にとっては大事な大事な息子であった。寂しそうな表情に嘘でもいいから愛する人と結ばれると言ってあげたい。しかし我が子はいづれは帝になるであろう身の上。帝になって欲しいと母は思っている。だか…
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